灰の明晰な頭脳は、何故アンバーが怒っているのかを正確に理解していた。恐らくアンバーは勘違いをしている、己がこの少女に手を出したのではないかと。そう思った灰は誤解を解こうとして……
「違うんだ」
致命的に選択を間違えた。これではまるで浮気の言い訳をする男である。火の時代において、会話が成立する人物など稀であり、力が全てを解決する手段だった。そのため、交渉などできるはずもなく、ましてや怒っている人の誤解を解くなどという所行ができるはずもなかった。無論、アンバーはそんな灰の事情など知らない。
「正座」
「貴公、話を」
「正座」
灰は正座した。ノエルを適当な場所に移した後に。
「……ねえ、アッシュ。私の可愛い後輩に何をしてくれたの?何をどうしたらノエルが気を失ってアッシュに抱かれることになるの?というかアッシュは何か問題を起こさないといけない病気にでもかかってるの?実は私ジンさんからアッシュのことを監視しておくようにさっき言われたんだけど目を離した瞬間にこれ?私ずっとあなたの事を見ておかないといけないの?」
そう、アンバーはブチ切れていた。いや、ストレスから発狂状態に陥ったと言った方が正しい。さて、ここで灰の行いを振り返ってみよう。
1つ 忠告を無視し敵を集め、それに巻き込む
2つ アンバーの今月のお給料を粉砕する
3つ アンバーの後輩であるノエルを気絶させる
なるほど、ブチ切れて当然である。更には道中多大なるストレスをかけられたり預かり知らぬ所で灰の保護者にされたりと、アンバーは散々な目にあっていた。しかもこれはたった1日強の出来事である。アンバーの頭の中からは灰が類稀なる実力者であることなど雲のかなたに飛んでいってしまっていた。
「うう……ん、んぅ?」
と、ここで
「ノエル!大丈夫?何かされてない?」
ここで視線が己から外れたので気を抜く灰。
「アンバー様?一体何が……ああ!?」
ここでノエルの視線が自分に向いたのでちゃんと正座する灰。
「も、申し訳ございません!お客様に大変失礼を!」
すると弾かれるように立ち上がったノエルは灰に謝罪し始めた。これにはアンバーも、謝罪された側の灰も驚き、固まっている。
「……ああ、別段気にすることはない。紛らわしかったのは事実だ。責任の一端は私にもある」
「……ほんとに何があったの?」
そしてノエルがアンバーに事情の説明をし、灰がそれに同意する。事態を把握したアンバーはバツが悪そうに灰に謝罪した。
「その、私の勘違い……だったのね。ごめんなさい、アッシュ」
「問題ない。今までの行いからそう考えても仕方ないだろう。」
「……自覚あったの」
なお、灰は己の行動を自覚しているが直す気は毛頭無い。
そして、周りのアンバーを見る目がどんどん変わっていくことに彼女は気づかない。
あの後、ノエルは誰かが助けを必要にしていると述べた後にどこかへ行ってしまった。その際、後で何かお詫びをすると言われたので灰は頭の片隅に置いておくことにした。
「それで、今日は何をやらか……するの?」
隣のアンバーに話しかけられる。彼女の中で灰はトラブルメーカーの位置に確立されたようだ。灰は気づいていないのかはたまた気にしていないのか、若干失礼な言葉が飛び出しかけたことに対して別段言及することは無かった。
「とりあえず外に出て色々見て回ろうと思う。案内を頼めるだろうか」
灰にとっては太陽が空高くに輝いていることですら新鮮である。この色彩に溢れた世界を見て回りたいと思うのは当然の帰結であった。
「ええ。じゃあ着いてきて、モンドの全てを教えてあげる!」
そして灰はアンバーに連れられ、城を出た。
お待たせしました。先日ようやく全ての試験が終了致しました。
一次志望の前期試験の結果はもう帰ってきていて、そちらは残念ながら不合格との事です。二次志望の方は結果待ちです。
これからどうなるかは二次志望の結果次第といった感じですね。
応援してくださった方、本当にありがとうございました。
さて、これからようやくモンド日常編に入ります。ひと月ほど前に取ったリクエストをようやく形にすることが出来ます。
順番はアンケートで決めようと思っています。
上4つがリクエストの物、残りが私がぼんやりと考えている物です。
票が多いものから順に作っていこうと思っています。
また、基本的には灰とアンバーはセットで動いています。
次のお話は?
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皇女との出会い(フィッシュル)
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占星術と灰の人(モナ)
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悪そうな人とやばい人(モブファデュイ)
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依頼:蒲公英の種(グローリー)
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酒場にて(ウェンティ)
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金貨の価値は……?(アンバー)
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オオカミとの約束(レザー)
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しかし、信仰がたりない(リサ)