火の無い灰に救済を   作:ラウガメア

3 / 18
1

何時も通り、男は―灰は目覚めた。

目の前にあるは暗闇。それに欠片も動揺することなく、目の前に手を突きだす。そして重い蓋を押しのけて棺桶から立ち上がる。

最早灰はその一連の動作を無意識下に行う。実際何度繰り返したかは数え切れない。

そうして何時ものように現状を確認する。鎧は問題なし。道具類も大事無い。武器に傷みも無し。

確認を終えて辺りを見渡すと、灰はある強烈な違和感を覚えた。

 

…ここは、これ程色に満ちていたか?

 

灰の記憶にある灰の墓所(スタート地点)は、殆どが無彩色で彩られていた。だがここはどうか。地面には緑の草が生い茂り、また見たことも無い赤い花が咲いている。木々は多くの葉を持ち、溢れんばかりの生命力を感じる。

そして上を見上げた灰は、あるものを見つけ瞠目した。

 

太陽が、暗月の神に奪われたはずの太陽が、輝いている

 

灰は混乱した。立て続けにイレギュラーが発生したから無理もないだろう。とりあえず周囲の安全を確認しようと盾を取り出した時、ふと大きな白い光の玉(装備アイテム)を見つけた。どうやら灰が入っていた棺桶の蓋に乗っていたようだ。周囲に誰もいないか念入りに確認した後、それを手にした。どうやら火防女が顔につけていた物のようだ。詳しく知るために意識を集中させ、それに宿ったソウルを読み取った。

 

不死の呪いは根絶され、新たに不死人が現れることはなくなりました。今でこそ世界は闇に包まれていますが、いずれまた新たな火が生じ、世界は明るくなるでしょう。

…ですが、貴方の呪いはどうなるのでしょう。

貴方の体からダークリング(呪いの証)が消えることはありませんでした。まるで貴方が、私のものを含め、全ての呪いを背負い込んだかのように。

このまま1人不死として、永遠を生き続ける。誰よりも苦しみ、誰よりも戦ってきた貴方への報いがこれだなんて、あまりにも残酷ではないですか。

どうか、貴方に救いを。せめて後の世に、貴方の幸せがあらんことを。

 

灰は全て理解した。ここは己の知る世界の遥か未来であると。

そして彼女の祈りが、己を風化から護ってくれていたのだと。

灰は、彼女への深い感謝を抱きながらその火防女の眼帯を身につけ…。

左手の呪術の火を滾らせた。

 

「こんばんは。鎧姿のおにーさん」

 

底なしの木箱より愛刀(混沌派生の打刀)を取り出し、ゆっくりと振り返る。

 

「あまりここいらでは見ない容貌だけど…キミは一体何者かな?」

 

そこには、白い衣服に身を包んだ、男のようにも女のようにも見える、幼い顔立ちの者が浮かんでいた。

 


 

火防女の眼帯

ある男と共に()の時代を終わらせた、とある火防女がつけていた眼帯

防具として扱うにはあまりに薄く、脆いそれは

しかし彼女の一途な祈りにより、高い防御力を持つ

 




まさかここまで伸びるとは思っておりませんでした。ラウガメアです。
UAは1200を超え、お気に入り登録者数は60。
更には評価バーに色まで着きました。2度見しました。
本当にありがとうございます。
さて、いきなり私の身の上話になるのですが。
感想返信の方ではもうお伝えしたのですが、実は私、受験生なんです。
そしてこの作品を書いた経緯は「模試の成績が伸びないということからの現実逃避」だったので完全に見切り発車なんです。
何が言いたいのかと言いますと、投稿頻度は非常に遅いかつ不安定になると思われます。
そこの所をご了承願います。

幕間(フロムネタもりもり)について

  • いらん
  • ほしい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。