灰は1人未開の地であるテイワット大陸を探索していた。
ウェンティ―バルバトスの仮の名前らしい。本名を名乗ると色々不都合があるとのことだ―の質問攻めにある程度答えると満足したらしく、赤く光るガラス玉を一方的に押し付けた後彼は1人でどこかへ行ってしまったのだ。幸い彼から簡単な講義を受けたので灰はテイワットの言語を聞いて理解できるし単語程度なら話せるようになっていた。そのために少々厄介な約束をする羽目になったが。
故に誰かに遭遇してもなんとかなるだろうと灰は楽観視していた。
…ちなみに今の彼の姿は、全身
探索を進めるにつれて、灰は様々な見たことの無いものを発見した。例えば
―ヒルチャールは見つけたら始末しちゃって構わないよ。あれは百害あって一利なしだからね―
そんなことをウェンティが言っていたことを思い出した。
相手の強さが未知数な為、まずは小手調べと近くにいたヒルチャールを切りつける。すると呆気なくヒルチャールは倒れ、消え去った。
ヒルチャールが
相手からは慣れ親しんだ目線…殺意を感じる。だが幾度も火を継いだ灰にとってその斧使いは稚拙に過ぎない。しばらく回避に専念して実力を把握した灰は、もう用済みだと判断し、左手の火を滾らせる。
繰り出したるは『混沌の火の玉』。原初の呪術の1つであるそれは、岩をも溶かす焔を生み出し、それを相手に投げつける。直撃した暴徒ヒルチャールは断末魔をあげる間もなく塵すら残らず絶命した。
なお、この術の使用者たる灰は目の前の惨状にドン引きしていた。
確かに灰が用いた呪術は呪術の中でも最上位に位置するものだ。それ故高い火力を誇ることは灰自身理解していた。だが、
あまりにも弱すぎないか?
目覚める前は、火の玉1つで倒せる敵などせいぜい亡者の類のみであった。そもそも灰は近接戦闘に重きを置いているので本職の呪術師に比べると火力は低い方である。にも関わらず敵は文字通り蒸発した。ふと、先程ウェンティとした会話が頭に浮かんだ。
―君の力は今の世界には強すぎる。くれぐれもその力を人に対して向けないでよ。君との殺し合いなんてしたくないからね―
今この時初めて灰は己がこの世界において規格外な存在であることを自覚した。灰のいた時代では呪術師を名乗るならばこの程度の呪術は使えなければ話にならなかったのだが、ここではどうやら過剰火力になるようだ。
呪術の使用は極力自制しようと心に決めた灰は、とりあえずドロップしたアイテムを拾うことにした。
なお、ドン引きしていたのは灰だけではなかった。
「…何よ、出鱈目じゃない」
離れた場所から様子を伺っているのはモンド唯一の偵察騎士ことアンバーである。火の元素を扱うアンバーは、灰の行った業の出鱈目さを正しく理解することが出来た。溶岩を司る法器使い(法器が見当たらないが)など前代未聞である。しかも近接戦闘も万全とか。
アンバーは己の職を恨んだ。そう、アンバーは偵察騎士。お巡りさんのような仕事である。故に不審者を見かけたら尋問せねばならない。そして目の前の鎧男は紛うことなき不審者である。
『彼女に目をつけられたら尋問を逃れ得る不審者無し』とモンドで謳われたアンバーであったが、ここまで尋問をしたくない人物を見たことは初めてであった。ちなみに灰は彼女のことをとっくの昔に認識している。彼に気付かれずに監視するには
アンバーが灰に話しかけようか思案している間に灰は面白い物を見つけた。『黒銅の角笛』。ヒルチャールが仲間に警告を呼び掛ける時に使用する角笛である。このことはこの世界では常識であるが灰は残念ながらそれを知らなかった。だが角笛自体は知っていたようだ。しばらく弄り回した後、いざ鳴らさんと息を吸い、口を角笛につけたところで
「ちょぉっとまったぁぁ!」
哀れな偵察騎士の声が平原に響いた。
風神バルバトスより与えられた、赤く光るガラス玉
それ以上でも、それ以下でもない
彼曰く、「それを持ってないと色々面倒なことになるよ」との事だ
投稿ペースが早くなった?この時期の受験生は皆絶望するものです。
それはさておきアンケートのご協力ありがとうございます。
言質は取れましたので幕間は私の好き放題やらせて頂きます。
さて、これまでの描写で火の無い灰の大体のステ振りは分かる人には分かったのではないでしょうか。実はこの装備とステ振りは私のダークソウルIII初見攻略の時から今までずっと使用しているものです。ダクソを知らない人向けに言うと『軽量武器を使いこなし、なおかつ呪術(炎属性の遠距離攻撃)も十分な火力を出せるが、耐久力は純魔(遠距離特化職)と同等かそれ以下』といったもの。
火の無い灰の戦闘時、このことを頭の片隅に置いておいてもらうと少し状況が分かりやすいかもです。
幕間(フロムネタもりもり)について
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