毎年、何千人もの人間がプロを目指しても、プロ試験を通るのは20パーセントあまり。
更にその中で『バトルだけで食えている』のは、ジムリーダー以上のごく一部だけである。
プロのトレーナーにならなかった者は、育て屋、ポケモンセンター勤務、フレンドリィショップ販売員、サファリゾーン管理員……ポケモンに関われる仕事を選んでいく。
プロローグ ~intro~
蛍光灯が不規則に点滅する。
古くなっている、ということはない。この家に引っ越してきたのも先月だし、勿論その時に電気系統だってメンテナンスを終えている。
「またか……」
ポケギアに入っていたゲームを中断し、ボクはベッドから起き上がった。
「お母さん、いる?」
声をかけるも、母親の返事はない。真昼間なのでお父さんは仕事で不在。つまるところ、この家にはボクしかいない。
「……絶縁グローブは、っと」
頼りになる大人が居ないとわかれば、あとは自分でなんとかするしかない。
大方の予想はついている。野生のポケモンが我が家に入り込み、どこかのコードを物色しているのだ。
この街周辺の生息分布を考えると、おそらくはコラッタ、あるいはメリープだろう。
引っ越し直後は「一軒家でこの家賃は安い!」と機嫌のよかった両親だけど、賃料の安さが野生のポケモンの公害によるものだったとは予想外だったらしく、
決まって深夜3時に鳴き出すホーホーたちや、借家の柱を前歯でかじるコラッタの習性にストレスを溜めている。
「ポケモンも生きているんだからしょうがないと思うんだけどねぇ」
いつの間にか、野生ポケモンの処理はボクの仕事になってしまった。トレーナーズスクールにも行かず、一日中家で過ごしているボクがそういう役目にあてがわれるのは自然な成り行きだと思う。
「さてと、」
感電防止のための絶縁グローブを手に嵌め、駆除用の物干し竿を手に階段を下りてキッチンへと向かう。
ポケモン取り扱い免許証を持っていればモンスターボールやポケモンを使うことも出来るが、生憎ボクは免許を持っていない。
免許を持っている両親のどちらも不在となれば、持ち得る手段は追い払うのみだ。
「……外っぽいな」
室内に生物の気配がないため、キッチンの勝手口から外へ出る。ゴム製のサンダルに履き替えるのを忘れない。
「……いた」
家の裏手、配電盤がある面のそば、自宅とお隣さんの家の間にあるその極狭スペースに、そのポケモンは居た。
配電盤から器用にコードを出し、こちらに気づかないくらいの集中力で一心不乱にコードをかじっている。
3~40センチ程度の体長、四本足の体躯、黄色い毛並み、特徴的なジグザグの尻尾。
明らかにメリープではなさそうだけど、かといってコラッタにしては毛並みが違いすぎる。
「もしかして、噂に聞く色違い?」
「う~ん、残念。コラッタの色違いは薄緑だし、そもそも耳や尻尾の形状が違うんだから別種を疑った方がいいね」
突然の女性の声に驚き、声のした方を振り返る。
「その子はね、ピカチュウ。カントー地方のポケモンだよ、ここらでは極レアだね」
声の主は、隣の家の二階から顔を出していた。
頭に真っ赤なバンダナを巻き、目は蒼く、口角はキュッと上を向いている。
肩から手先にかけての肌を大胆に露出した背格好がまぶしい、快活そうな女の子だった。
年はボクより少し――――いやかなり上だろうか。
「キミさ、ルビーくんでしょ? アタシ、隣に住んでるサファイア、御年15歳、よろしく」
「よ、よろしく」
女性どころか人とすらあまり話さないため、何を言っていいのかわからず、反射的にそう答える。
「そのピカチュウさ、野生でしょ? バトルで追い払うか、ゲットすればいいじゃない」
事も無げに彼女はそう言った。だけど、
「…………ってない、から」
「え?」
「免許、持ってないから」
「……なるほどね」
ポケモン取り扱い免許証の取得、所謂『ポケモンの所持・捕獲が認められる』のは、トレーナーズスクールの義務教育課程を修了した10歳以上に限る。
本来ならボクも取得していてもおかしくないが、スクールに通ってすらいないためその権利がない。
ただ、例外があるとすれば――――免許所有者がその場に立ち会っているケースのみ、だ。
「これ、使いなよ」
突然上空から2個のボールが落ちて、否、彼女がボールを落とし、その衝撃でポケモンが飛び出す。
「その子、ジグザグマって言うの。見た目可愛いけど、そこそこレベル上げてるから油断しないで」
そう言った彼女は歯を見せて口角をさらに上げる。
ジグザグマと呼ばれたそのポケモンはこれも見たことがなく、名前の通りジグザグした毛並みが特徴的な小動物型のポケモンだった、
「もう一個は捕獲用のボール、使っていいよ」
「な、なんで」
「そりゃ、ここいらでピカチュウなんて滅多にお目にかかれるものじゃないし。先に見つけたのがキミだから、バトルの順番を譲ってあげてるだけ」
キミがやらないならアタシが捕獲するけどね、とエイパムみたいに悪戯っぽく笑う。
二階から見下ろすその顔を見る限り、文字通りの高みの見物を決めているだけにしか思えないのだけど……。
「ギャウウウウウッ」
突然地面に投げられたジグザグマがボクに向かって吠える。
早く指示を寄越せ、と言っているのだろうか。
「お姉さん、このポケモン何が出来るの?」
「あー、大丈夫。技名言わなくても『攻撃』とか『防御』って大雑把な指示出せば勝手に判断するから」
ウチの子賢いからね、とエイパムみたいに悪戯っぽく笑う。
「それと、お姉さんなんて余所余所しいな、親しみを込めてサファイアさんでいいよ」
「~~~~~~~~ッッツ!!!! ジグザグマ、攻撃ッ!」
年下を平気で揶揄う性格の悪いご近所さんをスルーし(断じて巧く返せなかったわけではない)借りたポケモンへ指示を出す。
ジグザグマは身体の毛並みをいきなり逆立て、それを針のように発射した。
「ナイス!『ミサイルばり』」
頭上でサファイアが楽しそうに実況する声が聞こえる。
「ぴぃっがぁああああああああっ!?」
発射された針が急所にでも刺さったのだろう、コードから美味しそうに電気を拝借していたピカチュウが激しく悲鳴を上げる。
「あら、結構良い声で鳴くね、あのピカチュウ」
「ジ、ジグザグマ、弱らせろ!」
「ギャオッ!」
ボクの指示を聞くが早いか、ジグザグマはピカチュウへの向きを180度回転させる。
「『すなかけ』かぁ、悪くない悪くない」
ジグザグマはその後ろ足で、地面の砂石を猛烈な勢いでピカチュウに当てていく。
ピカチュウはこちらの存在を捉えようとするも、砂粒手が視界を遮りパニックに陥っているらしい。
そのまま無暗に攻撃を繰り出したとしても、こちらに当たる確率は低いだろう。
「よし、ボールを」
「ダメ、まだ早い! もっと体力削った方が捕まえやすくなるよ」
「口出ししないでよ!」
「アタシのポケモン貸してるんだから、これくらいはいいじゃない。アドバイス、アドバイス」
けらけらと笑うサファイアをスルーし(今度は本気で無視した)ボールを投げる挙動を止める。
今のやりとりの隙にピカチュウが体勢を立て直してしまったのか、『すなかけ』を喰らっていた先程までのパニック状態とは打って変わって四肢を地面に着け、その重心を安定させている。
砂利で視界が邪魔されていながらも、その鋭いまなざしは確かにこちらを捉えている。
「……あれ、もしかして怒ってます?」
「そりゃそうよ」
「!! ジグザグマ、受け止めて!」
ボクが指示するより早く、ジグザグマは防御の姿勢を取る。しかしそれよりも、
「『でんこうせっか』!!速っ!?」
ピカチュウの突撃の方が先だった。
「ギャオオオオッ」
ピカチュウの重量を真正面から受け止めたジグザグマが苦悶の声を漏らす。
「びぃい、がぁ……!!」
食事中のひと時を邪魔されて相当虫の居所が悪いのだろう。攻撃を見事に決めた後も、その怒りが静まる様子はない。
「お姉さん、これ、ど、どうしたらいいの!?」
「アタシのことは親しみを込めてサファイアさんと呼んで。別に、どうしたもこうしたもないよ」
先程までと同じエイパムのような笑顔――――だけど、目だけは凄く真剣で。
上から見下ろすその表情は少し、いや、かなり冷酷で、決して親しみを抱けるような少女の顔をしてはいなかった。バトルに魅せられた、その顔はまるで、
「こわい……」
怖い、恐い、強い、コワい。それは、知らないものに巡り合ったときの気持ち。
その感情は、今も住宅街の隙間で戦い続ける2匹のポケモンにではなく、それを上から見下ろすひとりの『ポケモントレーナー』に抱いたものだった。
「ほらほら、早くジグザグマに指示をしてあげな。女の子を待たせるのはよくない」
あの子はあれでも♀なんだよ、と再びエイパムのような笑顔で悪戯っぽく笑う。
「指示って、どんな」
「簡単だよ、そのまま『わざを出せ』って言えばいい」
「本当に?」
「アタシが今まで嘘吐いたことある?」
今までも何もこれが初対面でしょう、と言いかけたその時、
「ギャウ!!」
こちらに真っすぐな視線を向けるジグザグマと目が合った。
「そ、そのままわざを出せ!」
咄嗟の機転が利かず、サファイアに言われるがままの台詞をそのまま吐いてしまう。
そんなボクの小恥ずかしさを気にも留めず、ジグザグマはピカチュウに向かって猛スピードで駆け出していく。
そしてピカチュウの胴体めがけ、その頭をその助走の勢いのまま衝突させる。
「ぴっ……!!?」
「『ずつき』だね」
ジグザグマの技をモロに喰らったピカチュウは、怒りのボルテージこそ未だ落ちていないものの、その体力は虫の息と言っていいほどに痛々しいくらい削れていた。
それでも、まだピカチュウの戦意が消える気配はない。
「さあ、それくらいでボール投げていいんじゃないかな」
「……言われなくても投げるよ」
先程投げ損ねた捕獲用のモンスターボールを握りしめ、軽く振りかぶってピカチュウに向かって投げる。
ボールは甲高い開閉音を鳴らすと、次の瞬間にはピカチュウを捉え、瞬きをするまでもなく捕獲を完了させていた。
恐る恐る、ボールへと近づく。
捕獲後、少しだけ揺れていたボールもそのうち揺れが小さくなり、1分と経たないうちに大人しくなった。
完全に動きがなくなってから、ボクはピカチュウ入りのモンスターボールを拾い上げる。
「おめでとう、これでキミも立派な『ポケモントレーナー』だね。あ、いや、まだ無免許か」
いつの間にか隣に立っていたサファイアがジグザグマをボールに戻しながら呟く。今の間に2階から降りてきていたらしい。
「……ポケモントレーナーなんて、ならなくていい」
「おやおや、若いんだからもっと立派な夢を持ちなよ」
捕獲したボールの中をまじまじと覗く。捕まえられた現実を受け入れられないのだろうか、薄っすらと見えるピカチュウの様子は、残り少なくなった体力を使い切るかのように落ち着きのないものだった。
「キミ、幾つだよ」
「今年10歳ですけど」
「10歳! ピッチピチじゃない、他の同級生たちは学業免除期間を活かしてアマチュアのトレーナーとして研鑽を積んでいる時期でしょう。キミもトレーナーになりたいとは思わないの」
「ポケモントレーナーになっても、それでごはんが食べられるわけじゃないでしょ」
ポケモンと共に生きることが当たり前になった世界でも、『ポケモンバトル』だけで食べていけるプロは多くない。
毎年、何千人もの人間がプロを目指しても、プロ試験を通るのは20パーセントあまり。
更にその中で『バトルだけで食えている』のは、ジムリーダー以上のごく一部だけである。
プロのトレーナーにならなかった者は、育て屋、ポケモンセンター勤務、フレンドリィショップ販売員、サファリゾーン管理員……ポケモンに関われる仕事を選んでいく。
ポケモン取り扱い免許証を取得すれば、ポケモンの所有権と捕獲権が与えられ、約6か月間の授業免除期間が得られる。
だけど、その期間内でプロ試験に合格出来なければ『職業としてのポケモントレーナー』への道は限りなく閉ざされてしまうと言っていい。
もしその期間を過ぎてもプロを目指すのであれば、ボクの両親のように、仕事の合間に貯金を切り崩しながらチャンピオンロードなどで腕を磨きつつ、ポケモンリーグへの挑戦権を得るか、欠員が出るまでは開催されないジムリーダー試験をひたすら待ち続ける――いわゆる浪人しかない。
叶うか分からない夢を大人になっても追い続けるくらいなら――――最初からトレーナーなんかじゃなく、もっと別の仕事を目指した方がいい、と思うのは、普通のことなんじゃないだろうか。
「だったらルビー君、キミは、何になりたいんだい?」
「……それがわからないから、スクールにも通ってないんだよ」
「それはね、逆だと思う。自分が何者になりたいのかわからないなら、まずスクールに通った方がいいよ」
先程までの小馬鹿にするような口ぶりとは打って変わって、サファイアは真面目な口調で語りだす。
「色んな人に会えるからね。ポケモントレーナーになりたいやつ、ジムリーダーになりたいやつ、チャンピオンを目指すやつ、育て屋で弱いポケモンをじっくり育てたいやつ、ポケモンセンターでポケモンを治したいやつ、フレンドリィショップの経営がしたいやつ、サファリゾーンでポケモンの生態を研究したいやつ。その中には、キミみたいにポケモントレーナーを目指したくないやつもいるはずだよ」
「……前のスクールでは、そういう人がいなかったから、皆トレーナーを目指すのが当たり前って感じだから、嫌になって」
「本当にいなかった? 本当に? 『トレーナーじゃない夢を持っているヤツいない?』って、クラスの全員に話しかけた?」
少なくとも、ジョバンニ先生はそういう悩みに耳を傾けてくれる人だと思うけどね、と付け加える。
「ジョバンニ先生……?」
「そう、キキョウシティの名物先生でね。あの人はバトルを通して、ポケモンの奥深さを教えてくれるんだ。実際、アタシの同級生はジョバンニ先生にタマゴの孵化についてメチャクチャ詳しく教えて貰って、それをキッカケに育て屋になる夢を追っているよ」
タマゴ、というのは、ポケモンのタマゴのことだろうか。ポケギアのニュースで、タマゴから新種のポケモンが見つかったという速報を稀に見ることがある。
「ルビー君の前のスクールのことは知らないけど、一度ジョバンニ先生に会ってみるといい。別に、ポケモンバトルだけがポケモンのすべてじゃないよ。ポケモンと共に生きるのが当たり前の世界だけど、イコール、プロのトレーナーを目指さなきゃいけない、ってことではないんじゃないかな」
サファイアの言葉を脳内で反芻する。ポケモンと共に生きるのが当たり前の世界だけど、イコール、プロのトレーナーを目指さなきゃいけない、ってことではない……
「ま、そういうアタシはパパに憧れてジムリーダー目指してるんだけどね」
「サファイアのお父さん、ジムリーダーなの?」
「お、やっと名前で呼んでくれたね、少年」
エイパムのよう、ではなく、控えめに口元を緩ませた笑顔を見せるサファイア。
不意打ちのその表情に、思わずボクの顔が火照る。
「そうだよ、アタシのパパ、プロになるのは早かったんだけど、ノーマルタイプ専門だからジムリーダー試験の倍率メチャクチャ高くって、この間ようやく夢を叶えたの。来月からジムリーダーなんだって」
「おめでとう、ございます」
「あはは、ありがとう。だから、アタシもパパみたいに、プロのトレーナーのなって、ゆくゆくはジムリーダーになりたいなって」
「……サファイアの父さん、どこのジム? この街の?」
ボクの何気ない問いに、サファイアがとても嬉しそうに、どこか少し寂しそうに答える。
「トウカシティ。ホウエン地方のジムだよ」
トウカシティ、という聞き覚えないの地名に、ボクの先程の火照りが動悸へと変わる。
「引っ越すんだ、今度。ホウエン地方って、南の方でしょ? 海に囲まれてるし、水ポケモンとかいっぱいいるの。この子の仲間もホウエンにいるし」
先程戦闘に出したジグザグマの入ったボールをボクに見せる。半透明のボールの中では、オレンジ色のきのみを美味しそうに頬張るジグザグマの姿があった。
「だからさぁ、先月お隣さんが引っ越してきてくれた時はビックリしたよ。この辺りって、野生ポケモンがうるさくて普通の人は住みたがらないから。ウチみたいにジムリーダー目指して生活切り詰めてる一家みたいな変わり者が来たのかなって、ちょっとワクワクしてたんだ」
サファイアの話を聞くに、ボクら家族が引っ越してきてすぐ、お互いの両親が打ち解けたらしい。既にプロ資格は持っていてジムリーダーを目指すサファイアのお父さんと、プロを夢見て仕事の合間に研鑽を積むボクの両親では釣り合わないんじゃないかと思ったけど、お互いガルーラの使い手だということで一気に距離が詰まったとかなんとか。
「だからさ、ルビー君のことはご両親から聞いてたよ」
「……どんな風に?」
「大人みたいに落ち着いていて、すごくよく頭が働く男の子だって。学校に行かないのも、自分の進路について真剣に考えてるからだって」
先程の火照りとは違う意味で顔が熱くなる。自分がいないときに両親が自分のことを話している、というのはこうもむず痒いんものなんだろうか。
「だからさ、真剣に自分の将来について考えたいなら、ジョバンニ先生に会いに行くといいよ。あの人は答えを知っているわけじゃないけど、答えを知っている人を知っている、そんな先生だから。アタシも10歳ぐらいで夢に行き詰ったとき、ジョバンニ先生に救ってもらったの」
それから、サファイアは色んなことを話してくれた。
ずっとルビー君に話したかったことがたくさんあるんだ、と言って、ボクらはそのまま外で日が暮れるまで話した。
ピカチュウを捕まえたあと、お母さんの手持ちとして登録すればサファイアが居なくてもウチで飼えること。
ジグザグマがここまで自分で考えて動けるようになるまで頑張って育てたこと。
サファイアのお父さんが頑固でノーマルタイプのジムに拘り続けたこと。
そのせいでジムリーダー就任のチャンスを幾度となく逃し、豊かな暮らしが出来なかったこと。
お金がないせいでホウエン地方への引っ越しは格安便に頼み、そのせいでサファイアは荷物と一緒にトラックの荷台に乗らなければいけないこと。
引っ越し先ではジョウトよりもっと田舎な、数軒しか家がない街に住まなければならないこと。
ずっと、ずっとボクはサファイアの話を聞いてた。
ずっと、ずっとボクはサファイアの話を聞いていたかった。
☆
サファイアはいなくなった。
ジョバンニ先生に会った。
ボクはこの町で暮らし、生活し、そして生きてきた。
全てはサファイアのおかげだ。
だが、ボクはサファイアとの記憶を閉じ込めた。
怖かったのだ。
勇気があれば、希望に満ちていれば、
扉を開ければ、そこに永遠の夢が在るから。
物語は、この5年後から始まる。