特地にて始まるナワバリバトル。
人間に訪れるのは祝福か、終焉か。
2020/12/01/21:34に誤字修正しました
ここは、ハイカラスクエア。
流行に敏感な若者たちが日々、切磋琢磨しあい、イカした奴になるために競い合う場所。
そんなハイカラスクエアに、ある時から半透明の前時代的な門が現れた。
イカッターやGesotubeにも様々な情報が投稿される中、この謎の門の調査に乗り出したのはなんと海女美術大学だった。
なんでも、ある著名な教授が「なんてイカした建築なんだ!!」と発言したことが発端らしい。
なんともお気楽なことである。
「……………………何なんだろう、あれ」
四号は一人そう愚痴る。
四号はオクタリアンと戦って以降、インクリング特有のお気楽思考になることが少なくなった。(それでも世間ではたまにいる程度であるが)
ひょっとしたら新しいオクタリアンの兵器かもしれない。でも、ホタルさん曰く、違うとのこと。
考えても仕方ないと、いつものように
門が半透明ではなくなったのだ。
そして、様々なヘンテコな生き物が出てきた。
デボン海洋博物館に展示してある生物に似たような生き物。
縦長で凶暴なシャケのような雰囲気を出すいかにも野蛮そうな生き物。
ドスコイやバクダンのような大きさの生き物。
彼らは半月状の変なものや、開いたシェルターに似たブキを構えたり、変な棒を持ったりしていた。
そしてそれを他のインクリングたちに突きつけ、攻撃してきたのである!
だが、彼らは知らなかった、知るよしもなかった。
彼らが攻撃したインクリングは、極めて自己顕示欲が強く、また高いナワバリ意識を持つ。
そして、
インクリングたちはこれをナワバリバトルだと認識した。
認識してしまったのだ……
――くコ:彡――
ものの数分でハイカラスクエアは地獄と化した(侵略者側にとって)。
というのも、門が開いた時間が悪かった。
その時間帯は丁度バイトが始まる時間帯であり、歴戦の
彼らにとって空を飛ぶだけの生き物やデカいだけの生き物など、オオモノシャケに比べたら大したことないのである。むしろマルチミサイルを打ってきたり、馬鹿でかいボムを投下してこない分、だいぶ楽である。
そしてもう一つ、彼ら侵略者たちにとって悪いことがあった。
インクリングのインクは、墨が進化したものであるが、急激な進化の中、強い毒性を獲得したのである。
考えてみてほしい。肌を露出させた状態で、毒液の雨にさらされたとき、人間は生きていられるだろうか?
否、毒にやられて死んでしまうだろう。
つまり侵略者たちは毒性のインクの弾幕に、耐え切れなかったのである。
侵略者を一人すら残さず殲滅してしまったというのに、「でもまぁいいか!」で済ますインクリングたちはやはり享楽的である。
ちなみにクマサンはバイト達がいつもより少なくて不思議がっていた。
――C:。ミ――
銀座事件より七日後、自衛隊は門の先の特別地域、略して特地へと派遣された。
戦車の列を成し、門を突き進んでいく自衛隊。
だが、自衛隊の隊員たちは、思わぬものを目にすることとなった。
門の先には丘が広がっており、そこには別の同じような門と、その周りを真っ赤なインクで染め上げられているという光景である。
そして、子供の背丈ほどの、頭が大きい謎の人型生物が多数いた。
「マンメンミ!!!」
特地を塗りつぶさなイカ?