ラブライブAnotherx2!~新人アイドルに窮地に追い込まれた虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が奮起し、追いつくまでの話(予定 作:ひいちゃ
と同時に、スクスタ本編で、スクドル部に転向した彼女に対するアンチテーゼでもあります。
ある日の朝。私……高方結友……は、部室で、ミアちゃんの作曲を手伝っていた。
あの愛ちゃんとのお出かけから、何か得たものがあったらしく、ミアちゃんの作曲はすいすいと進んでいった。
そんなところに。
「おはよう。あら、結友、ミア、早いわね。見たところ、あなたたちが一番早いみたいじゃない」
朝香果林さんが部室に入ってきた。
「あ、果林さん、おはよう」
「うん。湧き上がってくるものがあったからさ。それが消えないうちに形にしておきたくて」
「そう。でもやる気が出てくるのはいいことね。よいしょっと」
そういうと、果林さんは別のテーブルの前に座り、その上に弁当箱を下した。あれ?
「果林さん、今日は朝ご飯、弁当で食べるの? いつもは寮で食べてくるのに、珍しいね」
「ええ。たまには部室で食べるのも悪くないかな、と思ってね。今日は特別にお弁当を作ってきたのよ」
と、ふと見ると、ミアちゃんが、果林ちゃんの弁当箱を見つめていた。彼女の料理に興味があるのかな?
その視線に、果林さんも気が付いたようだ。
「あら、ミア。私のお弁当に興味があるの? ふふ、なんなら見てみる?」
「え、いいの?」
「えぇ」
そう言って果林さんは弁当箱の蓋を開けた。するとそこには。
「うわぁ……」
なんとも言えない光景が。このカオス具合は、せつ菜ちゃんの作る料理に匹敵するものがあるなぁ。
「これは……なんというかすごいね……」
「うん、相変わらずというか……」
「まぁね。でも、栄養はあるのよ? それ優先で作ってるから、見た目や味は保証できないけど」
そう言って果林さんは、そのお弁当をぱくぱくと食べ始めた。
そこに他のみんながやってきて、さっそく今日の朝練が始まった。
* * * * *
そして、朝練が終わり、授業が終わり、そして放課後。
放課後の練習が始まった。
まずは柔軟、さらにボイストレーニングや体幹トレーニング……。みんな、それらを一生懸命、そして楽しくこなしていく。もちろん、ミアちゃんも、表情は少し硬いままながら、みんなと一緒にトレーニングに励んでいた。
そしてそれらが一息ついたころ、果林さんがスマホの時計を見て言った。
「あ、ごめんねみんな。そろそろ、撮影の時間だから行くわね」
そう言って帰る準備を始める果林さん。その果林さんに、愛ちゃんが声をかける。
「え? でもまだ時間が……って、ああ。果林、方向音痴だもんね。そのぐらい時間かかっちゃうかー」
「ええ。これでも、まだギリギリだけど……。それはともかく、また明日ね」
そういうと、果林さんはきりっとした顔になって、颯爽と去っていった。さすがだなぁ……。
「果林は、毎日、とても忙しそうなんだね」
「まぁね。でも、多分、果林さんも好きでやっている二足の草鞋だからね。本人は苦じゃないんじゃないかな」
私がミアちゃんにそう言うと、彼女は戸惑ったような表情を浮かべた。どうしたのかな?
* * * * *
その翌日。同好会の部活は休み。
でもこの日も、私は部室で、ミアちゃんの作曲の手伝いをしていた。そこに。
「あら、今日も残って作曲? 精が出るわね」
果林さんがやってきた。
「うん。ミアちゃんの作曲がとてもノッてるみたいで。そういえば、果林さんは?」
「えぇ。ダンススクールに行く前に、忘れ物をしちゃって」
そう言って微笑む果林さん。そこで、ミアちゃんが思い切ったように口を開いた。
「果林って、モデル業については、とてもストイックなんだね。そんな君だったら、ランジュと組んだら……」
「組んだら、彼女と一緒にストイックに取り組んで、もっとすごいスクールアイドルになれたかも、って? そうね、そうなる未来はあったかもしれない」
果林さんはそこまで言って、「でも」と付け加えた。
「でも私は、その未来より、みんなとともに歩んでいける現在のほうがとても魅力的なの。そりゃあ、モデル界は、自分以外は全てライバル。ストイックに自分を鍛えた者が勝ちだけど、スクールアイドルは違う」
「違う?」
聞き返したミアちゃんに、果林さんはうなずいて続けた。
「スクールアイドルは、仲間と共に歩み、影響を受けあって、そして自分を磨いていく、そんな場だと思うの。そしてそうして磨きあったスクールアイドルたちが共鳴しあって、楽しい場を作り出し、観客を楽しませ、沸かせる。自分一人でストイックに自分を磨き高めて、観客を魅了する。そういうスクールアイドル像もありかもしれないし、それを否定はしない。だけど、私は今のやり方のほうが何より魅力的なの。少なくとも私には、朝香果林には、そんなスクールアイドルがぴったりだと思うのよ。それは、ランジュのやり方と私たちのやり方を両方体験してきたあなたならわかることじゃないかしら?」
「……」
その果林さんの告白を聞いて、また考え込むミアちゃん。そこに。
ガタンッ!!
何かがぶつかる物音がした。
「なんだろう? 誰かが来たのかな?」
* * * * *
私がドアを開けると、そこにはかすみちゃん始め、同好会のみんながいた。
「あれ? みんな? 今何か物音を立てたのはみんななの?」
私がそう聞くと、かすみちゃんが首を振った。
「いいえ。その前に、ラン子が、部室のドアの前で何か文句言ってましたよ。かすみんが仕掛けた悪戯の罠に引っかかったみたいです」
「ああ、あの罠か~。ドアの前に金属製の塵取りを置いといたけど、みんな気が付いて避けてたやつだね~」
「腹立たしそうにしてたよね。『なんでここにこんなものがあるのよ!』みたいなこと言ってたっけ」
愛ちゃんがそう言ったところに、ミアちゃんも、私の横からひょこっと顔を出してきた。
「ランジュが? 愛、彼女は何か言ってたかい?」
「いいや。愛さんが引っかかったことについてからかったら、逆切れしたように言い返して、来た方向に帰っていっただけだよ」
「そうか。ランジュ、ボクのことが気になって、様子を見に来たのかな……」
そして、ミアちゃんは、ランジュちゃんが歩いて行ったであろう、廊下の先を見つめていたのだった。
書いてみて、タイトルと内容とが、ちょっと食い違ってしまいました。
どうしてこんなことに(笑
それと、今回はAnotherx2版ランジュのちょっと憎めないところを少し書いてみた(つもり)のですが、いかがでしたでしょうか?
当初は、ランジュは抜けたミアの代わりに、自分と同じ部分があると感じた果林をスカウトしにきた、という流れにしようと思ったのですが、それはちょっと違うなと思ったので、このように改変しました。