ラブライブAnotherx2!~新人アイドルに窮地に追い込まれた虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が奮起し、追いつくまでの話(予定 作:ひいちゃ
「全ては、今から半月前、その時から始まったのです……!」
「いやせつ菜先輩。その、いかにもアニメのナレーションのような話し方はいいですから」
アニメのナレーション調に話し出したせつ菜ちゃんだったが、かすみちゃんのダメ出しをさっそく受けたのだった。
本当に懐かしいなぁ、この光景。本当にこの同好会に帰ってきたんだ、という感じがする。
「今から半月前、二人の留学生がこの虹ヶ咲に転校してきたんです。それで、その二人は、私たちのライブを見て触発されたらしく……」
そのせつ菜ちゃんの後を、スイスからの留学生、三つ編みが特徴の三年生、エマ・ヴェルデさんが引き継いだ。
「理由はわからないけど、同好会に入らず、二人だけでスクールアイドルを始めたの」
「それで、たちまち人気になったってこと?」
私……高方結友が聞くと、みんながこくりとうなずく。そして、スタイル抜群の三年生、朝香果林さんが話を続ける。
「えぇ。私たちが見ても、ドギモを抜かれるようなすごいパフォーマンスだったわ。それでたちまち、私たちの人気をすべてかっさらっていった、みたいな形になって……」
「今じゃ、かすみんたちがライブをしても、固定ファンや、かすみんたちの友達以外には2、3人がぽつりぽつりと来てくれるだけになっちゃったんですよねー……」
そう言って、みんなは沈んだ雰囲気でため息を吐いた。そうとう人気を奪われたのが堪えてるみたい。
でもその二人、本当にすごいな。始めてすぐ、果林さんが認めるぐらいのパフォーマンスをするようになって、しかも、同好会の人気をかっさらうほどになるなんて。留学してくる前から、ダンスや歌の練習をしてたのかな? それでこの同好会に入らなかった理由も気になる。
まぁ、ともあれ、みんなをこのまま沈んだままにさせとくわけにもいかないよね。
「みんな、手ごわすぎるライバルが現れて沈む気持ちはわかるけど、もっと元気出していこうよ! 元気で明るくいかないと、観客のみんなも喜んでくれないよ!」
「そ、そうですよねっ。熱さを忘れてはおしまいですっ! 皆さん、元気とやる気を出していきましょうっ」
「そうそう。あ、久しぶりにストリートライブやろうよ。私、みんながどれだけレベルアップしたか見てみたいな!」
「やりましょう、やりましょうー! このかすみんの魅力で、先輩だけでなく、観客の人たちを釘付けにしちゃいますよー!」
というわけで、私たちはさっそく部室を出て、ストリートライブをしに向かった。
* * * * *
そしてストリートライブをしたんだけど……。
『……』
再びみんな沈黙。観客は、いつも来てくれる固定ファンの他は、2、3人しか来てくれなかったんだ。もちろん、その人たちはみんな、とても喜んでくれたけどね。
でもそれよりみんな、観客がたくさん来てくれなかったことに落ち込んでいるみたい。うーん……。
と、そこに。
~~♪
どこかから、スクールアイドルらしい声。それに混じって喝采も聞こえてくる。
歌声は、私が知ってるどのスクールアイドルの声とも違う声だ。もしかして……。
「ねぇ、歩夢ちゃん。この歌声って、もしかして?」
私がそう聞くと、歩夢ちゃんはこくんとうなずいた。表情をさらに沈ませて。
「うん。さっき話した二人の新人。ランジュちゃんとミアちゃんの声だと思う」
こんな近くでライブやってたんだ。でもこれはチャンスかもしれない。私はさっそく、みんなに提案してみた。
「ねぇ、もう一度、彼女たちのライブを見に行ってみない? そしたら、何かつかめるかも」
私がそう言うと、みんな、いくらか表情を明るくしてうなずいてくれた。
「うん、そうだね。結友ちゃんの言う通り、何かつかめるかも」
「いわゆる敵情視察ってやつだね! いいねいいね!」
「確かに、二人のライブを見れば得られるものがあるかもしれませんね! ライバルから学び取り、さらにレベルアップする。実に熱い展開です!」
「せつ菜先輩のアニメ好きは本当にぶれないですね。でも、かすみんも、結友先輩の意見に賛成です! 彼女たちから学び取って、かすみんのかわいさをレベルアップさせちゃいますよー!」
「ふふふ、かすみさんらしいね。でも、相手から学び取ることって大切ですもんね」
「あれだけのパフォーマンスをする人たちですもの。きっと、得られるものは大きいはずよ」
「彼方ちゃんも、寝ないで、じっくりと観察するよ~」
「うん、さっそく行ってみようよ!」
「璃奈ちゃんボード『れっつごー』!」
そして満場一致で、私たちは歌声のするほうに行ってみた。
* * * * *
そしてその新人二人がストリートライブをしているところに行ってみると……。
「うわぁ……」
本当にすごい。ランジュちゃんとミアちゃんらしき二人のスクールアイドルたちが、激しく歌い、踊っている。
みんなが言う通り、そのパフォーマンスは圧巻。そのパフォーマンスのすごさを前に、周囲の観客たちも大いに沸き、夢中になっている。同好会のみんなも、そのパフォーマンスの前にまた見とれていた。
そして私はというと、二人のパフォーマンスを見て、一つ気づいたことがあった。
そしてライブは終わった。
「いや~、すごかったね~。愛さん、ライバルのライブなのに熱くなっちゃったよ~」
「うん……私もすごいと思った。璃奈ちゃんボード『きらきら~』」
「それで結友ちゃん。あの二人のライブを見て、何かわかった?」
「うん」
そして私は、みんなに、感じたことを話してみた。
「うん。あの二人の実力は練習とかそういうものじゃなくて、天賦の才能によるものじゃないかな、って」
「才能、ですか?」
聞き返したせつ菜ちゃんの言葉に、私はうなずいて答えた。
「うん。二人のパフォーマンスには、努力によるものとは違う何かを感じたんだ。きっとあの二人、特にランジュちゃんは、アイドルになるべくして生まれてきた子なんじゃないかな」
それを聞いて、みんなが思いっきり沈んだ。かなり打ちひしがれてるみたい。「天才がライバル」と聞かされれば、それは打ちひしがれもするだろう。だけど。
「ちょっと待って、みんな。私は二人を天才とは言ったけど、勝てないとは言ってないよ。それともみんな、相手が天才と聞いて、あっさり負けを認めるの? 夢を諦めるの?」
私がそう聞くと、みんな声を揃えて、「そんなことない!」と言い返してきた。うん、その意気だよね。
「でしょ? 確かにあの二人はすごい天才だけど、勝てない相手じゃないと思うよ。私たちには才能はないかもしれないけど、頑張る気持ちは誰にも負けてないじゃない?」
「はい、もちろんです!」
握りこぶしを作って即答するせつ菜ちゃんに、私は笑顔で話を続ける。
「確かに今は彼女たちには勝てないかもしれない。だけど、彼女たちを研究していいところを取り入れたり、一生懸命練習したりして努力すれば、きっとあの二人に勝てると思う。みんなはそんな子たちだと私は思ってるよ」
私がそう言って話を締めくくると、みんなの表情に明るさが戻り、その瞳に輝きと炎が宿ったような気がした。いつもの皆に戻ったみたい。よかった。
「う、うん、頑張るよ!」
「そうですね。私たちの戦いはこれからです!」
「そうだね! 逃げるなんて愛さんたちらしくないよね! 逃走じゃなくて闘争心を燃やさなくちゃ!」
「私も頑張ります!」
「かすみんも頑張ります! 絶対、No1スクールアイドルの座を取り返しますよー!」
「璃奈ちゃんボード『がんばるぞー』」
「ふふふ、相手が強いほど、乗り越えがいがあるってものよね。ねぇ、エマ?」
「うん!」
「彼方ちゃんも、寝ぼけてる場合じゃないな~」
うん、もうすっかり元のみんなだ。このみんなならきっと、あの二人に勝てると思う。そう確信できた。
「よし、みんな、あの二人を追いつき追い越すべく、がんばろう!」
「おーーー!!」
夕焼け空に、私とみんなの声が響き渡った。
とりあえず、ここまででプロローグ終了となります。
次回からは、前に話した通り、少し不定期気味になりますが、生暖かく見守ってくださると嬉しいです。
よろしくお願いします!