ラブライブAnotherx2!~新人アイドルに窮地に追い込まれた虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が奮起し、追いつくまでの話(予定   作:ひいちゃ

6 / 13
#06『ファースト・ラウンド』

 そして一週間後、ジョイントライブの日がやってきた。

 その時まで、同好会のみんなはいつに増して熱の入った練習をして、私……高方結友もみんなに曲を作ってあげたり、みんなが作った曲を添削したりもした。

 何しろ相手は、私たちよりずっと人気も実力も上のスクールアイドルだ。中途半端な練習や準備では一歩どころか半歩も、彼女たちに追いつくことはできないだろう。そのことは、私はもちろん、みんなも実感していた。

 

 そしてこの日。私たちはやる気に満ちた表情で、控室にいた。円陣を組み、せつ菜ちゃんが掛け声をあげる。

 

「さぁ、いよいよジョイントライブです。私たちが今まで積み重ねてきた全てを全開放する気で頑張りましょう! 行こう、九色の虹を咲かせに!」

『ニジガサキー!!』

 

 そこに係員の生徒が、準備の完了を知らせに来て、私たちは控室を出て、舞台袖へと向かっていった。

 

* * * * *

 

 そして私たちが舞台袖で出番を待っていると……。

 

「あなたたちがスクールアイドル同好会ね? 今日はよろしくお願いするわ」

 

 なんとランジュちゃんが私たちのところにやってきた。そして手を差し伸べてくる。みんなを代表して、私が握手に応じる。

 こうして間近で見ると、すごい貫禄みたいなものを感じる。アイドルというか……お姫様、というか、女王様?

 またそれと同時に、凛としたような空気も感じた。

 

 すると、ランジュちゃんは手を放すと、髪をふわりとなびかせ、颯爽と立ち去ろうとした。

 

「あ、あの……?」

 

 私がそう呼び留めようとすると、ランジュちゃんは立ち止まり、きっ、とこちらを振り向いて言った。

 

「ごめんなさい。私、慣れあうのは嫌いなの。それに今、私たちとあなたたちは敵同士なのだから」

 

 そう言って去っていくランジュちゃん。そしてしばしの沈黙。

 それが過ぎると、さっそくかすみちゃんが膨れだした。

 

「ぶー、なんですかあの態度! かわいくないですぅ! もっと親しくしてくれたっていいじゃないですかぁ!」

 

 そこに、しずくちゃんがかすみちゃんをなだめだす。

 

「まぁまぁ。それに、ランジュちゃん、敵と慣れあうのが嫌いって言ってたけど、敬意は持ってたんだと思う。だってそうじゃなきゃ……」

「そうね。敬意とかそういうポジティブな感情を持ってなかったら、そもそも私たちのところに、握手をしたりしに来ないものね」

「うん、そうだね」

 

 と、そこに。

 

「すいませーん。準備ができました! 一番目の方からステージへお願いします!」

 

 係員の人がそう声をかけてきた。いよいよ出番だ。

 私たちがどこまで彼女たちに追いつけたか、今までの頑張りが試される時だ。

 

「さぁ、いよいよ出番だよ! まずは歩夢ちゃん、頑張って!」

「うん!」

 

 私の言葉にそう明るく返して、歩夢ちゃんはステージへと向かっていった。

 

* * * * *

 

 そして9番目の璃奈ちゃんのステージが終わり、次はいよいよランジュさんたちのユニット、QUEENDOMの出番になった。ランジュちゃんとミアちゃんがステージに上がり、ライブが始まる。

 

 相変わらずすごいステージだ。プロのシンガーに匹敵するほどの歌唱力、そして踊り。それが、彼女の生まれ持った才能と努力のなせるものだということは、私にもよくわかる。そのパフォーマンスのすごさに、同好会のみんなも圧倒されている。

 観客もすごく盛り上がっている。熱狂という言葉がぴったりくるぐらい。私たちのライブの時以上だ。だけど、やはりその熱狂ぶりには何かが欠けていて、私はそれに違和感を感じた。

 

* * * * *

 

「相変わらず、すごかったね。QUEENDOM」

 

 部室に戻ってくると、開口一番、歩夢ちゃんがそう言った。その話し方は打ちひしがれているというより、感嘆している感じだった。

 

「本当にすごかったですよね。あれだけのことができる才能持っているなんて、ずるいです~」

 

 そう言って膨れるかすみちゃんだけど、ネガティブな感じはしない。素直にランジュちゃんの実力を認めている感じだ。

 

「そうね。でも、彼女たちもすごかったけど、私たちもかなりいけてたんじゃないかしら?」

「そうだね。きっと、一歩どころか、三歩ぐらい追いつけたんじゃないかなって思う」

「エマ先輩。それって、一歩とたいした変わらないような……」

 

 そんな風に、みんなが今回のライブについて盛り上がっている間、私は、PCに向き合って、メールボックスをチェックしていた。多くはないが、だからと言って少なくもない、同好会に届けられたメールを見て、私は違和感の正体に気が付いた。それと同時に、ランジュちゃんたちに迫る手がかりも。

 

「そうか……」

「どうしたのですか、高方さん?」

 

 そう聞いてきた栞子ちゃんに、私は向きなおって、自分の考えを話すことにした。

 

「うん。彼女たちの歌になくて、私たちの歌にはあるものの正体がわかったんだ」

「それはなんなのですか?」

 

 そうしずくちゃんが聞いてくる。それに私は、確信をもって答えた。

 

「うん。それは『楽しさ』だよ。みんな、このメールの数々を見てみて」

 

 そう言って、私はみんなにPCの画面に映っているメールを見せた。その文面には、いずれにも『楽しかった』『元気が出た』『また見たい』という楽しさを表す言葉がつづられていた。

 

「ランジュちゃんたちのライブは確かにすごかったんだけど、楽しいとは思えなかったんだ。少なくとも、みんなのライブのほうがずっと楽しかった」

「そうなんだ……。例えたくさんでなくても、見に来てくれた人たちの何人かが楽しいって思ってくれたのなら嬉しいね」

 

 そう言って、歩夢ちゃんが目元の涙をぬぐった。

 

「今回のみんなのライブを見て確信したんだ。ただ上手な歌を歌ったり、素敵なダンスをするだけじゃダメだって。みんなを楽しいと思わせるパフォーマンスじゃないとダメだって。だって私たちはスクールアイドルなんだもん」

「そうですね! 結友さんの言う通りです!」

「みんな……うぅん、私たちがさらに歌やダンスに磨きをかけて、そのうえでさらに楽しさを追及していけば、私たちはきっとランジュちゃんたちを超えることができる。そう思うよ。みんな、もっと頑張っていこう!」

『おーーーー!!』

 

 みんなが私の声に合わせて、掛け声をあげる。

 こうして私たちは、さらなるステージに向けて、さらなる一歩を踏み出したんだ。

 

* * * * *

 

 一方、そのころ、QUEENDOMのほうでは、一つの問題が立ち上がっていた。

 ミアがこう言いだしたのだ。

 

「ランジュ……済まないけど、私はもう、スクールアイドルやめたい」

 




ランジュの性格は、スクスタとは違い、『敵に対して敬意は払うがなれ合いはしないし、敵は越えていくものと考えている。だけどどこか憎めない』というものに改変させていただいています。
さて。新たな一歩を踏み出したニジガクとは逆に、不協和音が生じだしたQUEENDOM。果たしてどうなるか?
次回も楽しみにしてもらえると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。