ラブライブAnotherx2!~新人アイドルに窮地に追い込まれた虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が奮起し、追いつくまでの話(予定 作:ひいちゃ
私たち……高方結友とスクールアイドル同好会のメンバー、そしてミアちゃん……は、沼津を訪れていた。
というのも、今日、この沼津で開催されるイベントで、Aqoursがライブをするというので、その手伝いに来たんだ。
「うわ~。とてもにぎやかだねぇ」
と愛ちゃん。
「そうだね。露店も出てるし、イベントというより、お祭りみたいだよね」
その愛ちゃんに、歩夢ちゃんが明るく笑いながらそう言う。
「あ。あそこで綿あめ売ってる。ミアさん、一緒に食べよ? 璃奈ちゃんボード『にっこりん』」
「うん。璃奈がそう言うなら食べるよ」
相変わらず、ミアちゃんは表情が固いけど、それでもなんか少し璃奈ちゃんと仲良くなってるみたいだ。
と、そこに。
「お~い、みんな~!」
会場のほうから、千歌ちゃんが駆けてきた。とても楽しそうな表情なのは言うまでもない。
「みんな、今日は来てくれてありがとう!」
「いやいや、私たちのほうこそ、呼んでくれてありがとうだよ」
私がそう答えると、千歌ちゃんは嬉しそうに微笑んだ。
「私たちのステージは、夕方で、みんなに準備を手伝ってもらうのも、その1時間前ぐらいからだから、それまでは自由に楽しんでてね。時間が来たら連絡するから」
「うん、わかった。そしたらこのイベント、楽しませてもらうね」
「うん!」
そう元気にうなずいて、千歌ちゃんは再び会場のほうに駆けて行った。本当にとても元気だなぁ……。
と、そんな彼女を見て、ミアちゃんが戸惑ったような表情をしていた。何か気になることがあるのかな?
「どうしたの、ミアちゃん?」
「わからない……。イベントでのライブという大切な舞台、とても緊張するはずなのに、彼女はなんであんなに楽しそうなんだい……?」
そう困惑しているミアちゃんに、かすみちゃんがチッチッチッと指を振りながら言った。
「だからミア子。何度も言ってるじゃん。楽しさというのは考えるんじゃなくて、感じるものなんだよ!」
「ごめん、かすみ。何を言ってるかわからないよ」
「ぎゃふん!」
ミアちゃんがかすみちゃんにそうあっさり返して、かすみちゃんがコメディのようにのけぞる。
本当にコメディみたいだけど、これもかすみちゃんの、ミアちゃんに楽しそうを教えようとしている手段の一つ……なのかな?
と、そこで果林さんが。
「ふふふ、でも今回はかすみちゃんの言うことも一理あるわ。全ての答えが考えることだけで得られるわけじゃない。感じたものから考えることで得られるものもあると思うわ」
「ですよね、ですよねー! ふふふ、やっぱりかすみんはプリティ天才なスクールアイドルなのです!」
「かすみさん、調子にのらないの」
偉そうにするかすみちゃんに、しずくちゃんがそう釘を刺す。これもうちの同好会では当たり前の光景だ。これを見て、ミアちゃんも少しでも楽しさを感じてくれるといいんだけどな。
* * * * *
そして私たちは、イベントの縁日を楽しみに向かった。
おや、あれは……。
「あっ、ミスイベントの大会のエントリーをやってますね! くふふ、これはぜひとも出なきゃですよ~! ほら、しず子、行くよ!」
「きゃっ、も、もうっ、かすみさんったら強引なんだから……」
「だって、こんなのにはぜひとも出なきゃ!」
そしてかすみちゃんは、しずくちゃんを引っ張って、イベント大会の受付へと走っていった。さすがかすみちゃん。こういう出し物には目がないなぁ……。
と、ミアちゃんが別の屋台のほうを見ていた。それに璃奈ちゃんも気づいたみたい。
「どうしたの、ミアさん?」
「あれ、おいしそうだね。食べてみたいな」
「食べてみたい? それじゃ、私、買ってくる」
だが、ミアちゃんは首を振った。
「ううん。さっきは璃奈におごってもらったから、今回はボクにおごらせてよ。行こう、璃奈」
「うん! 璃奈ちゃんボード『にっこりん』」
そして二人は、たこ焼き屋さんに走っていった。本当に仲がよさそうだ。まるで姉妹みたいだ。
そして、買ってきたものを食べながら、私たちがミスコンを見ていると、それはやがて終わった。そして。
「ぶ~、なんで超絶かわいいかすみんが、ビリから二番目なんですかぁ!」
「まぁまぁ。他のみんなもきれいだったから仕方ないよ」
「かすみんだって、かわいさでは負けてないもん!」
ふくれ面のかすみちゃんと、そんな彼女をなだめているしずくちゃんがそろって戻ってきた。そんな二人を見て、思わず頬がゆるんでしまう。傍らを見ると、璃奈ちゃんと並んでいるミアちゃんも、ほんの少しだけど表情が緩んでいるように見えた。
* * * * *
そして、時間がやってきて、私たちはライブステージに駆け付け、ライブの準備をした。ミアちゃんは、璃奈ちゃんと仲良くお手伝いをしていたのは言うまでもない。
そして。
「大きな世界、広い世界が待ってるんだ♪」
ステージの舞台袖の私たちの前で、Aqoursのみんなが、楽しく歌い、踊っている。彼女たちが歌っているのは新曲『Fantastic Departure』。とても楽しく、未知の世界を目指す楽しさが伝わってくるかのような曲だ。
「本当にAqoursはすごいよね、結友ちゃん」
「そうだね。QUEENDOMもすごいけど、Aqoursも負けてないと思うよ」
「う~、かすみんだって負けてませんもんっ。でも、本当にすごいです……」
「私たちも実力も人気もついてきたと思いますけど、まだまだですね」
と話し合っているところに、いつの間にかライブは終わり、Aqoursのみんなが舞台袖に戻ってきた。
「あっ、千歌ちゃん、みんな、お疲れ様!」
私がそう言って、彼女たちにタオルを渡す。
「ありがとう! ふぅ、歌った歌った~♪」
「本当、頑張ったよね。やりきった、燃え尽きたって感じ!」
「そうですわね。今回も完璧でしたわ。……あ、千歌さん。皆さんにあのことを話さなくていいのですか?」
「あ、そうだ!」
ダイヤさんに言われて、千歌ちゃんが何かに気づいたみたいだ。どうしたんだろう?
「みんな、1曲だけだけど、出る気ない?」
『ええっ!?』
その千歌ちゃんの言葉に、私を除いた同好会のみんなが、声を揃えて驚いた。
そりゃそうだ。お手伝いだけのつもりだったのに、いきなりライブに出ないかと聞かれて驚かない人がいるだろうか? いやいません。
「実はね。スケジュールにちょっとズレができて、1曲分だけの時間が空いちゃったんだ」
「それで、何もしないでつぶすよりはと、みんなにもライブの時間をプレゼントしようかって話になったんだ。無理にとは言わないけど、どうかな?」
千歌ちゃんと果南さんの説明を受けて、みんなが考え込む。そこに。
「いいじゃん、出ようよ、みんな!」
「そうね。せっかくの機会だもの。出ないのはもったいないわ」
と、果林さんと愛ちゃんのDiver Divaの二人が真っ先に賛同する。
「うん、そうだね! 私も出てみたい!」
「はい! 私たちも思いを観客の皆さんにぶつけましょう!」
「はい!」
歩夢ちゃん、せつ菜ちゃん、しずくちゃん、A・ZU・NAの三人もやる気満々だ。
「うん、みんなで出ようよ!」
「そうだね~。頑張ろう~」
「よーし、かすみんの魅力で、みんなをメロメロにしちゃいますよ~!」
「璃奈ちゃんボード『頑張るぞー』」
エマさん、彼方さん、かすみちゃん、璃奈ちゃんのQU4RTZも元気にそう答える、と。
「ミアさん。ミアさんも、一緒に出よう?」
「え?」
璃奈ちゃんが、みんなから離れた位置に立ってたミアちゃんに声をかけ、手を差し伸べる。
「私、ミアさんと一緒に歌いたい」
「え、でも、ボクは部外者だし……」
そう躊躇しているミアちゃんの肩を、私は優しくたたいた。
「部外者じゃないよ。ミアちゃんは体験入部者、私たちの立派な仲間だよ」
「結友……」
「それにね。このイベントと、このライブで、ミアちゃんに見つけてもらいたいんだ。楽しさのカケラを」
「楽しさのカケラ……」
「うん。このライブで、少しでも楽しさを感じてくれれば、少しはミアちゃんのためになると思うんだ。無理にとは言わないけど……」
私のその説得に、考え込んでるミアちゃん。その彼女に、璃奈ちゃんが再び声をかける。
「行こ、ミアさん。きっと楽しくなると思う」
そこで気が付く。璃奈ちゃんは私が話してる間もずっと、ミアちゃんに手を差し伸べていたこと。
ミアちゃんその手を見つめて、そして……。
「うん……」
戸惑いながらも、その手をとった。そこでさらに観客席のほうからの歓声が聞こえてくる。
それに応えるように、みんなは舞台袖から出て行った。
そして、ニジガクのみんなのライブが始まった。みんな楽しそうに踊り、歌っている。ミアちゃんも、少し戸惑いを見せているけど、その表情は少し緩んでいる……ように見えたんだ。