人生を狂わされた主人公。
そこにその事件を知っている隣人の女子から告白される。
その日を期に事件当時から止まっていた主人公の時間が、ゆっくりと歯車が噛み合うように動き出す。
処女作なので至らないところ満載ですが、すいません。
もしよろしければ評価を頂ければと思っています。
雨 ひたすらに降り続ける雨
雨の匂い、全くもって不愉快だ。
嫌なことを思い出すこの天気。
男「怠いな」
学校へと続く坂道を登りつつ思う
何故俺は生きているのだろうかと。
別に死にたいわけじゃないが
生にも特に執着はしていない。
男「こんなこと思うのはあの人に失礼かもな」
友「よっ!朝から独り言なんて気持ち悪いぞ」
男「うるせえ、朝っぱらから気持ち悪いだとか失礼だと思わないのか」
友「おーおー、今日も荒んでますな不良少年」
コイツは友、何というか腐れ縁のようなもので繋がっている。
正直この世界にいるやつは俺にとって全員どーでもいいやつだ。
まぁコイツはその中でもマシな方だ。
どーでもいい事には変わりがないが。
男「不良じゃねぇよ」
友「この間もヤバイ先輩達を殴ってたろが」
男「全部お前のせいだろ」
友「そうだっけか?」
コイツはいつも問題を俺に持ってきやがる
その先輩達の件もコイツが原因だ。
友「でもあの人達結構噂だぞ、ヤバイんじゃねぇか?」
男「別にどーでもいいさ、また関わるんなら殴って黙らせればいいだろ」
友「アグレッシブー」ケラケラ
そうこうしてる間に下駄箱まで着いてしまった。
下駄箱を開けると一枚の手紙が入っていた。
男「………チッ」
友「おーおー、またか。」
男「めんどくせぇな」
友「ホントお前モテるよな〜」
男「毎度思うが俺に興味持つ奴なんて頭おかしいとしか思えねぇな」
友「男は見た目は良いからな羨ましいぜ」
男「めんどくさいだけだ、くだらねぇ」
内容はこうだ
「男くんが好きです、いつも見ていました」
あー、どーでもいいからその先の文はカット
大概内容は同じ
つまらない、つまりどーでもいい。
俺はその手紙を鞄へクシャリと無造作に入れて教室へ向かう。
すれ違う奴ら声を掛けられるが
大した内容もないので意識の外へ
そのまま教室に入り席に座るなり、
めんどくさいのが話しかけてきた。
委員長「ちょっと男、この間3年生を殴ったんですって?」
男「あ?だから?」
委員長「だからじゃないでしょ!男、そんな事でいいと思ってるの!?」
コイツは学級委員長、何かと面倒見のよいことで委員長という
なんとも難儀なことをしてやがる。
その上に俺に何かとめんどくさい事を言ってくるやつ。
男「あ?お前になんの関係があるんだ?」
委員長「関係あるわよ!同じクラスにいるものとして関係はあるわよ!」
男「朝っぱらから騒ぐんじゃねぇよ、うるせぇ」
委員長「うるさいですって!?」
男「そう言ってんだろうが、もうめんどくさいからあっち行けよ」
委員長はその後も何か言っていたが
正直聞く気がないのでその後は意識をカット
そのまま机に突っ伏して睡眠モードへ
程なくして教師が来て授業が始まるが
机に突っ伏していたので内容は全く覚えてない。
こんなん聞いてなくても後で教科書でも見れば問題ない。
最初こそは教師も注意していたが、
俺は毎回成績トップでありながらも素行の悪い俺の事は無視すると言うスタンスになり
絶賛放置プレイってやつだ。
そんな教師共のクソみたいな方針もどーでもいい。
そっからの行動として何かあったわけじゃないからカット。
で、放課後になったわけだが
友「おっし、んじゃ俺は帰るから頑張れよ」
男「何を頑張るんだか皆目見当がつかないな」
友「どうせ今回も振るんだろ?」
男「そのつもりだが何か問題でもあるか?」
友「なら頑張らなきゃ」
男「意味が分からない」
友「今回の女の子はちと手強いって事だよ」
男「…なんでもいいわ、変わらんだろ」
友「じゃあな」フリフリ
手を振って教室をあとにする友
男「あぁ、めんどくさい。」
女ってのは自分に都合が悪くなるとすぐ泣く。
丁寧に断っても泣く。
とにかく何しても泣く。
めんどくさい限りな生き物だよホント。
男「あー、女さんだっけ?」
女「返事しに来てくれたのね!」
オメェが来いって言ったんじゃなかったのかよ
と言いたかったが面倒なのでスルー
男「そうだけど、悪いお前とは付き合えない」
女「うん、そうだと思った」ニコニコ
なんで振られてニコニコしてやがんだコイツ
普通泣くんだけどな女って生き物は
男「あ、んじゃ俺は行くから。悪りいな」
女「あ、待って」
男「なに?」
女「諦めたつもりはないんだけど?」
男「はぁ?」
女「だから、諦めたわけじゃなくて、いきなりだから無理だろうなと思ってね」
男「そういう問題じゃ…」
女「だからお友達からにしようかなと思いましてね」ニコニコ
コイツ人の話しなんも聞いてねぇー
うわ、友が言ってたのはこう言う事だったのかよ
泣くよりスゲェめんどくせぇよオイ
男「友達ね、じゃあまたな」
面倒だから全力スルーだな
さっさと帰ろうとドアに手を伸ばすと
女「待ってよ!だから一緒に帰ろうよ」
男「え?なにそれ面倒くさい」
女「めんどくさくなんかないよ!」
あ、やべ心の声が出てたわ
女「勝手に後ろついていくから良いけどね」
男「勝手にしてくれ」
女「だから勝手にするって言ったじゃん」ニコニコ
男「あ、そう」
どーでもいい事だが、先程からこのお嬢さん
やたらニコニコしながら後ろについて来やがる。
つかコイツは新手のストーカーかよ
男「あのさ、どこまで着いてくるんだ?」
女「え?自分の家までだけど?」ニコニコ
男「お前の家どこだよ」
女「え?男のくんの家の横だけど」キョトン
男「え?はぁ!?」
どういうことだ?
女「あれ?私のこと覚えてない?ずっと私達お隣さんなんだけど」
ということは、コイツは昔から俺を知っているわけだ
ホントめんどくせぇよ
男「つか、俺の…昔あったあの事も知ってんのかよ?」
女「………事件のこと?」
男「やっぱりか、尚更付き合いたくないわ」
女「事件のことと私は関係ないじゃない?」
男「関係あるよ、お前が通報したんだろ?」
女「知ってるの?」
男「警察が言ってたんだよ隣に住んでいる小さな娘が通報したってな」
女「そうね、私の事だね。」
目の前のクソめんどくせぇ女は
つまりもう1人の命の恩人と言うことになる。
果てしなくどーでもいい事だけどよ。
男「じゃあその日を境に俺の周りが急に不幸になったり、俺自身が事件に巻き込まれるようになったりしたのも知ってるわけか」
女「うん、知ってるよ。男くんが悪いわけじゃないのもね」
そうだ、あの日を境に俺の周りは呪われたかのように
どんどん不幸になった。
俺を引き取るはずの親戚が事故にあい死んだり
優しくしてくれた近所の人は病死したり。
仲の良かった友人達も死んだ。
そしてクラスメイトも不気味がり、どんどん俺から離れていき
俺のそばに寄ってくるやつはいなくなった。
あぁその頃からだっけな、
めんどくせぇ
どーでもいい
とか言い始めたのは。
それこそどーでもいい事だな
女「私は全部知ってるよ」
男「全部だぁ?」
女「男くんは私のことを知っているはず、きっと思い出すよ。」
男「なにを言ってるんだ?」
女「すぐに思い出してくれると思うよ」クスッ
男「………ック」
気がついたら俺は走って家の中に入って居た。
なんだよコレ
うぜぇなんてもんじゃねぇよクソが
男「記憶が、頭の中がグチャグチャする!」
もう何もする気が起きなくて
ベッドに横になっていた。
そのまま夢の中へダイブ
「とーさん今日も遅いね」
「うん、…お仕事頑張ってるのよ」
「先にご飯食べよっか」
「うん」
「とーさんまだ帰って来ないね」
「えぇ、先に寝てなさい」
「うん、おやすみ。かーさん」
最近ずっとこの調子だ
かーさんは悲しそうな顔をしている。
俺が小学校から帰ってくると家の中が
めちゃめちゃに荒れていた。
そしてかーさんと、とーさんが喧嘩していた。
かーさんは泣きながらとーさんに何か言っていた。
とーさんは怒鳴りながら暴れていた。
俺は多分泣きながら立ち尽くしていたと思う。
そして俺の家族はバラバラになった
とーさんと、かーさんが離婚したから。
俺はとーさんに連れられて
別の家に来た、家と違う匂いがする。
そしてその家には知らない女の人がいた。
とーさんは今日からここが新しい家で
この女の人が新しいお母さんだと説明した。
理解できなかった。
この日から地獄が始まった。
「あーあ、連れ子なんて最低、死ねばいいのに」
どうしてこんな事を言うのだろうか
「あら、もう帰って来たの?一生帰って来なくていいのにぃ」
ここは帰るところではない
俺の居場所じゃない
じゃあどこが俺の居場所?
「邪魔なのよっ死ねクソガキが!」
何度も何度も叩かれた、蹴られた。
そして俺は…
「うあぁーーー!!!」
「ちょっクソガキが 何して、痛ッ」
子供の小さな抵抗
拳を振り回して足や腹を殴る程度のもの。
だが、その現場をちょうど帰宅した
とーさんが見て俺を殴った。
俺は何度もとーさんに説明したけど
とーさんは何も聞いてくれず
血反吐を吐くくらいまで殴り続けた。
このまま殴られれば死ぬだろうと思っていた時、
唐突に都合の良い声が聞こえてきた。
かーさんの声だ。
俺は瞑っていた瞼を開き見てみると
正真正銘のかーさんがそこに居た。
かーさんが俺の事を覆い被さるように抱きしめて
とーさんの暴力から守っていた。
かーさんは俺に
「大丈夫だから、必ず守ってあげるから。」
激しい痛みの中を耐えて優しくそう言った。
「クソ女がっ!死ね!!!」
とーさんが包丁を手に取り振り下ろした、何度も何度も。
とーさんの腕が振り下ろされる度に
かーさんの身体がビクッと跳ねた。
そして強く俺を抱き寄せて
「大丈夫、大丈夫だから ね かーさんが必ず 守って…あ げ る か ら……………。」
死ぬ間際までずっと俺を守ってた。
この痛みや苦しみ、恐怖を全て耐えて
優しく声をかけて庇ってくれた。
そんな優しいかーさんはもう動かない。
「かーさん、ねぇ!?かーさん!!あ…アァァァガァァァ!!!!!!」
俺は………意識がなくなり
気がつくとみんな死んでいた。
俺の身体や服は血塗れていて
部屋中も真っ赤に染まっていた。
そして手には血の滴る包丁。
そして状況を理解した。
かーさんは死んだ。
かーさんを殺したとーさんも死んだ。
あの憎らしい女の人も死んでいた。
そう、コイツやアイツもみんな全部俺が殺したのだと。
「かーさん、仇はとれたよ…ごめんね。」
俺はそのまま血塗れの姿でフラフラと外に出た
雨だ、空が見えないくらいの雨。
もしかしたら涙のせいで見えないのかも。
わからない。
行くあてなどなかった
けど一歩でも家から離れたかった。
自分がどこを歩いているか理解もせず
雨の中ひたすらに身体を引きずらせながら歩いた。
全身骨折してた。
身体にまともに動く場所なんてなかった。
そして…………。
男「!?ハァハァハァ…夢か。」
あの女に余計な事を言われたせいで
記憶がフルに蘇り夢に見てしまったらしい。
男「クスリは……くそ無いじゃないか」
あの時の事を思い出して最低の気分になるものだから
あれからはクスリをその都度飲むことになっている。
男「またあそこに行くのか……」
めんどくさい場所だよホント。
ここは精神科だ
しかもここには苦手な人が居る。
事件以来ここに来ているが
あまり来たくないから
クスリを貰う時以外はここの通院はサボタージュで決め込んでいる。
男「失礼します」
部屋に入ると相変わらず
病院独特の匂いと生活感たっぷりの部屋構成
そこには相応しくない立派な椅子
そして椅子に腰をかけている女性こそが…
男「お久しぶりです先生」
先生「やあ久しぶりだね」
事件当時からの俺の担当医だ。
先生「久しぶりに顔を見れたのは良いんだけどねー」
先生「ちゃんと来てくれないと困るんだけどねー。」
男「あぁ、すみませんちょっと「「面倒くさくて」でしょ?」
あぁ、この人はなんていうか読んでくるからな
まぁ単純思考な俺だからこそ読めるのかしれないが。
先生「それより前回来たのはいつだっけ?」
男「多分半年振りくらいですかね」
先生「サラッとふざけた事を言うねキミは。」
男「今日来たのでチャラにして下さいよ」
先生「チャラにしても構わないが、見ないうちにまた悪化したね。」
悪化?最近はクスリを飲む機会もなかったんだがな
男「そんなことは」
先生「だとしたら今日、もしくは昨日、何かあったんじゃないかい?」
男「……………」
先生「ふむ、その反応から見るにやっぱりね。」
何故こうも簡単に分かってしまうのだろうか。
男「そんなどーでもいい話しよりクスリを下さい!」
先生「おやおや、まるで薬物中毒者みたいだよ?」
男「………下さいっ ウッ」
急に襲ってくる吐気、眩暈、頭痛、平衡感覚の消失。
先生「ふざけるのは終わりにした方が良さそうだね」
先生「これを飲んで、ここに横になりなさい。」
先生から渡されたクスリを飲み、
俺は先生に誘導されたベッドに横になる。
先生「ふむ、キミかなり精神的負荷が掛かっていたようだね。」
男「そのようですね」
先生「何故こうなる前に来ないっ!」
男「心配してくれてるんすか?」
先生「一応キミの専属Dr.だからね」
あぁ、優しさが痛い。
先生「今日はまた何でこんな状態だったんだい?」
男「昨日女性に告白されて、その相手があの事件に関わりある人…と言うか隣人で」
男「そしてその女性の話しを聞いたせいか、あの事件の夢を見て…思い出してしまって。」
先生「なるほどね。」
男「それから何だかあの女性を見てから夢の中に、ありもしない記憶が…」
先生「ありもしない記憶?」
男「そう、記憶が乱されているようで」
先生「キミの夢の話しは昔から聞いてるよ、だから知っている。脳があまりのショックに記憶してしまった事件の日の出来事を夢として見てしまう。」
先生「だが、今まで何があってもブレることなかった夢が何故?」
男「それは俺が知りたいです」
先生「ふむ、おそらくだが…近々また夢を見るよ。」
男「どっちのでしょう?」
先生「…今日と同じ、もしくは続き、または変化した夢だ。」
男「どうゆうことですか?」
先生「まだ説明出来ないが、私の仮説が当たっていれば、長年私が悩ませていた事も解決する。」
男「つまり、寝ろと?」
先生「いや、普段の通りに生活しろってことだよ」
あれから病院を後にして帰宅中だが
参ったなこれは
先生にクスリを貰ったのはいいが
今回は3回分しか出されてない。
またすぐに来いと言うことだろう。
男「記憶が曖昧になりつつあるな」
家に戻ってから寝たがその日は何も夢を見れなかった。
だが、不快な夜を過ごしたことには違いない。
気がつけば朝だ。
男「今日は学校に行きたくねぇな」
いつでも行きたくないが、今日はあの女に会いたくない気持ちのせいだ。
なんだろうか隣人だからなのか?
やっぱり俺はあの女を知っている気がする。
友「おーす!今日はまた不機嫌なツラしてんなぁー」
男「別に不機嫌なんかじゃねぇよ」
友「いや俺の目は誤魔化せないぜ!なんかあったろ?」
男「何も聞かずにいるか、何も聞けない様にされるか どっちがいい?」
友「おー怖っ 退散して先に教室に行きますか」
全く、困ったやつだよ
何も話しちゃいないってのに
察しが良くて困る。
何も話してないんだよな
一応友達なのに…
男「いや、めんどくせーし」
俺らしくねぇ
くそ、あの女のせいだ。
その後は女に会うこともなく放課後まで過ごしたのでカット
鞄を肩に引っさげて帰宅しようとしたところ
見たくない顔に会っちまった。
女「一緒に帰ろうよ」
男「あ?なんで?」
女「帰る方向一緒でしょ?いいじゃない?」
そういうと女は手を握ってきていきなり教室から引っ張り出してきた。
男「やめろ離せよっ!」
キョトンとした顔の後、女はゆっくりと手を離した
女「そう、ごめんね」
そう言うと女は小走りで立ち去っていった
何故かあの手で触られたくなかった。
あの時のことがチラつく。
男「くそっ」
夢を見た
先生の言う通りだ。
内容に関してはゴチャゴチャだ。
と言うか無い記憶が足されていた。
起きてみるとまだ2時間ほどしか経ってない。
男「早速だけど先生の所に行くか」
足早に病院に向かった。
なんだか無性に聞きたくなって。
診療時間は過ぎていてシャッターも閉まっていたけど
何度かシャッターを叩くうちに
足音が聞こえてくる。
先生はここに寝泊まりしているはずだから
きっと出てくると確信していた。
先生「いやー早々に来てくれるのは嬉しいんだけどね、診療時間は過ぎてるんだけどなー」
男「先生!あの…」
先生「あぁ、なるほどね。入りな」
しばらく歩き先生の診察室に入ると先生はコーヒーを出してきた。
先生「飲みな、夢見たんだろ?」
男「はい、それを聞いて欲しくて」
先生「聞く前にひとつ、その隣人の女は夢に出たかい?」
男「出たけどそれを何故?」
先生「そうか…話してみて」
男「途中まではいつも通りだったんだけど、俺はかーさんの背中にあった包丁を抜いてとーさんの足に刺したんだ。」
男「それからとーさんが喚きながら俺を殴っている時にあの女が来て…」
先生「その包丁でキミの父親を刺したんだろ?」
男「はい、再婚相手の女も刺し殺してからその包丁を抜いて…そして女はニコニコしながら助けたよ男くん。そう言って手を差し伸べて来たんだ。」
先生「そしてそこからキミは逃げ出した、そして途中で力尽きて意識を失って夢は終了、でしょ?」
男「先生は何かわかっているとみて良いんですか?」
先生はいつものおちゃらけた感じは一切なく
真剣な表情で言った。
先生「今までの疑念は晴れたが、間違いであって欲しかったよ。」
男「では…」
先生「キミの夢は夢じゃなくて記憶さ」
先生「正直ね、キミのカルテが最初からそう物語っていたんだよ」
男「どういうことですか?」
先生「キミは運ばれて来た時には瀕死状態で手も足もその他含めて全身骨折。」
先生「這って外に出ていたのも奇跡的な状態だったんだよ」
先生は一呼吸おいてから静かに言った。
先生「そんな状態の人間が暴れている父親をメッタ刺しに出来る筈がない。」
男「…………」
先生「つまりキミに父親を殺すことは不可能であると同時にその女が殺したことが解る。」
先生「キミはあまりのことに記憶を隠した。いや、薬や警察達の聞き込みやらでありもしない記憶を刷り込まれたんだ。」
男「俺、俺………」
先生「今日はここに泊まっていきな。」
男「…はい、そうさせていただきます」
情けない話だが泣きながら先生に俺は抱かれていた。
まるでかーさんの様に優しく先生は抱いてくれた。
俺は泣き疲れて先生に抱かれながら寝てしまったようだ。
先生「ん?起きたかい?」
男「昨日はすみませんでした。」
先生「時間外営業に美人の私と添い寝サービスとは治療費高いよー」
男「払い切れる自身がないですね」
先生「なんなら夫になって一生払い続けて貰っても構わないよ?」
男「願っても無い事ですが、遠慮しときますよ」
先生「あら残念、結構本気なんだけど」
男「その話はまた後程にして学校に行ってきます。」
先生「………大丈夫なの?」
先生は心配そうな顔をして聞いてきた。
やっぱり先生は優しいや。
男「行ってきます。」
先生の問いに返すことなく病院から出た。
この事を女に聞かなくちゃならない。
この際めんどくせぇとかどーでもいいとか言ってられない。
そして俺はまだ誰も来ることのない早朝に学校へと駆けていた。
男「ん?門が空いている」
校舎の前まで行くと女が立っていた。
女「待ってたよ、多分今日はこの時間に来ると思ってたからね。」
男「そうか、こっちから探す手間が掛からなくて良かった。」
女「昨日、何か思い出したんじゃないかな?」
男「あぁ、全部な」
女「そう、ここじゃなんだから屋上に行かない?」
男「そうだな」
女は施錠された屋上の鍵を開けて屋上へと出た。
女「委員長から借りてきたんだ鍵」
男「あの委員長からか?」
女「天体観測するから貸してって言ったらね」
男「そんなことはどーでもいい。お前あの家のすぐそばでよく遊んでた女だろ?」
女「そこまで思い出してくれたんだ」
男「告白とかもされた記憶もあるな」
女「そうだね、夫婦になるとか結婚するとかね」
男「それもどーでもいい」
女「私にとっては重要な事なんだけどな」
男「お前あの日とーさんと再婚相手の女も殺しただろ?」
女「バレちゃったか」
悪びれもなくのほほんとした顔で舌を出してニコニコしていた。
男「何故だ?」
女「何故って未来の夫が今にも殺されそうだからでしょ?」
男「再婚相手の女は逃げようとしていた、殺さなくても良かったんじゃないか?」
女「あの女も男のことを虐めてたし許せなかった。」
男「こんな事は思いたくないけど、俺の周りの人間の不幸も…」
女「病死の人はともかく、事故に関してはそうだね、子供ながら必死に頑張ったよー」
男「何故だ?みんな優しく」
女「はあ?優しく?ないない!あいつらはね男くんの居ない影で口揃えて怖いだの悪魔だの言ってたの!」
女「だから殺したの男くんを苦しめる奴らは全員私が殺して男くんを助けてあげたの!」
男「俺はそんなこと頼んでない!!」
女「私はただ男くんが好きなの、愛してるのよ!」
男「だとしても俺はお前を認められないっ!」
女「………そう、じゃあさよならだね。」
そういうと女はゆらりと動いた
俺は咄嗟に身構えたが
女は俺の方ではなくフェンスに向かっていた。
男「まさか、おい!」
女「大丈夫死んでも貴方の側にずーと居るからクス」
そう言い残して女は死んだ。
俺の目の前で屋上から飛び降りて。
俺はただ立ち尽くすしか出来なかった。
確かに俺は真実を知りたかった。
長年苦しめられたこの事件の真相を。
こんな結果は望んでなかった。
女は俺を苦しませていたが
確かに俺の命を救った。
狂っていた愛情だとしても
俺を愛していたのは事実だ。
俺は許すことが出来ず愛が実ることはないが
この女を救っても良かったのに!
俺はこの手で女を繋ぎ止めとく事が出来なかった。
救う事が出来なかった…
いや、救う事をしなかったんだ。
男「ちくしょう、何がしたかったんだ俺は…」
その後俺は警察の調書を受けてから先生に報告しに行った。
先生はコーヒーを出して一言
泊まっていくか?と聞いてきた。
だがその優しさは受け取れず俺は断った。
先生はまた近々おいでと言うと
俺を診察室に残し部屋を後にした。
一人残された俺は先生の淹れたコーヒーを一口啜る。
男「苦いな」
今日のコーヒーは酷く苦く
俺の気持ちのような苦さだった。
あれから一年が経った。
俺はあの日から先生の病院に住むことになった。
今も病院にて先生とトーク中だ。
先生と俺は高校を出たら交際するという約束をした。
いや、払うツケが大き過ぎてな。
あの時の先生は満更冗談でもなさそうだったから
ある機会に聞いてみたんだ。
先生は即答で「いいよ」と言った。
なんでもキミにはこれからも治療が必要とかなんとかでね。
キミの治療は一生かかるかもしれないから
その方が治療費もタダだし都合がいいだろうと言っていた。
全く何を言ってるのだろうか
治療もなにももうあれ以降は
夢に魘されることもなくなったし。
真実を知って受け入れた俺はもうどこも悪い所はない。
治療の必要などないのにな。
まぁ方便だろう。
先生「クスリを持ってきたぞホラ」
男「またですか、もう治療は必要ないって治ったんですからクス」
先生「……良いから飲め」
男「はいはい飲みますよ。」
先生から貰ったクスリを受け取り飲む。
クスリを飲むと少し視界情報が歪むんだ。
クスリの副作用だろうか?
さっきまでいた女の患者もどこかへワープしちまうし。
その患者の声も歪み、そしてワープ。
先生だけは認識出来るんだけどな。
先生「どうだ?」
男「どうもこうもこのクスリ副作用強過ぎて嫌ですよ」
先生「どんな副作用だ?」
男「今まで隣に居た女の人が話しかけてたのに急に見えなくなって聞こえなくなるんすよ」
先生「声も聞こえなくなるのか?」
男「そうですよ、せっかく声を掛けてくれてるのに悪いつうか ごめんねクスリのせいで認識出来ないんだ」
男「先生も説明しといてくれよ」
先生「そうか…あとで説明しといてやるからな。」
先生「すまない、また後で来る」
先生は悲しそうな顔をしながら部屋から出て行った。
何故だろうか?
それより、あの女の人はいつも頭を怪我している
血もよく出しているのも見かける。
大丈夫なのだろうか?
よく「愛してる」だとか
「貴方の側にずーと居るからクス」とか
ひたすら話しかけてくるんだ。
まぁここに通っている人なんだから
頭がまともじゃないことは確かだし
俺のことを誰かと勘違いしてるのだろう。
それにしてもこの拘束具はなんとかならないだろうか?
ベッドから動けないじゃないか
先生は監禁癖でもあるのかな?
考えるのめんどくせぇ
まぁどーでもいいや。
そして俺は目を閉じ、夢の中へ…。
短めに作ろうと思ったんですが
思ってた以上に長くなり後半半ば無理矢理短くまとめたので
急展開気味になってしまって残念です。
お目汚し失礼しました。
そして読んでくださってありがとうございます。