第一話 プロローグ
「・・・・・・・・ん?」
外はすでに明るく、小鳥のさえずりも聞こえる。近くの時計はすでに6時を指している。
「もう朝か・・・・・・・・うーん・・・・・・・・!」
その少女は体を伸ばす。その部屋には昨日の夜やったであろうゲームがパッケージが開いた状態で放り投げてあった。よく見るとその部屋には、小説とマンガ本とそして大量のゲームのパッケージが所狭しと並んでいた。その少女は窓にかかったカーテンを勢いよく開け、ベッドとシーツを直した。その後軽く髪の毛を整え部屋を出て行った。
「おはよーございまーす‥‥ふぁ・・・・」
「おはよう姉さん。今日は珍しく早起きですね。」
「おはよー深雪。そして珍しくは余計よ。」
「おはよう真由美さん。もうすぐ朝ご飯できるから着替えてくるか顔洗って来たら?」
「おはよーハジメ。さんは入らないわ。堅苦しいのはなしでいいって言ったのに。もう。」
「おはよう真由美君。まぁそういわず、着替えてくるといい。」
「お義父さん。おはようございます。ではそうさせていただきます。」
その少女、獅童真由美は自分の部屋に戻って着替えを済ませる。服を脱ぐと年に似合わぬプロポーションがあらわになる。ただ一つ、右腕にできていた割と大きめな傷を除いて。
「この傷と付き合い始めてもう12年になるのか・・・・・・・・お父さんたち、何してるのかなぁ?フフッ」
真由美は急いで下着を変え、現在通っている高校のブレザーを着た。すると部屋の外から人の声がした。
「姉さん、朝食の準備ができました。部屋から出てきて早く食べてください。迷惑が掛かります。」
「はいはい、今行くわ。そんなせかさないで頂戴な、深雪。」
ブレザーのボタンを済めて閉め、部屋の扉を開ける。するとそこには彼女の妹、獅童深雪がいた。
「全く。姉さんはいつも準備が遅すぎます。」
「ごめんごめん。早くしようとは思ってるんだけどね?」
深雪はあきれたような顔をした。真由美はそれを見て効果音にてへぺろとでもつきそうな顔で謝った。その後朝食を食べて、それぞれ登校の準備をする。
「じゃあハジメ、私たちは先行くね。」
「うん。また学校で。」
「行ってきまーす。」
なぜ真由美、深雪と一緒に登校しないかというと、それは簡単に行ってしまえば彼女たちのルックスのせいである。真由美も深雪もそれなり・・・・・・・というかかなりといって差し支えないほどにルックスが整っている。それはさながらモデルのよう。
素で韓国の成形に成形を重ねて手に入れた体を持つアイドルと同等のプロポーションをしているため、いくら一緒の屋根の
そして今日もけだるいという心をポーカーフェイスで押し殺しつつ真由美は学校に向かう。教室に入ると数人が声をかけてきた。
「おはよう!真由美さんに深雪さん。今日もきれいだね!羨ましいよ。」
「こら香織。全く‥‥ごめんね?」
「いいのいいの、気にしないで。雫ちゃん、それにカオリンもおはよう。」
「うん!おはよう!」
「みんな仲良さそうだね。私も仲間に入れて欲しいな。」
「あら恵理、おはよう。いいわよ。一緒に話しましょう。」
その後他愛もない会話をしていると、始業時刻ぎりぎりになってハジメが登校してきた。(この時間に登校しているのは、ハジメがそれがいいと判断したからである。)深雪はトイレに行っているので教室にはいない。すると香織が席を立った。
「ちょっと行ってくるね。」
それに便乗して私も席を立つ。
「私も行ってくるわ。」
そうして二人してハジメのところに向かったのだがそこでいつもの光景が始まったのだ
「よぉ、キモオタ! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」
「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」
一体何が面白いのかゲラゲラと笑い出す男子生徒達。
声を掛けてきたのは檜山大介といい、毎日飽きもせず日課のようにハジメに絡む生徒の筆頭だ。近くでバカ笑いをしているのは斎藤良樹、近藤礼一、中野信治の三人で、大体この四人が頻繁にハジメに絡む。
これは癪だが檜山の言うことも間違ってはいない、彼はオタクだ。と言ってもキモオタと罵られるほど身だしなみや言動が見苦しいという訳ではない。髪は短めに切り揃えているし寝癖もない。コミュ障という訳でもないから積極性こそないものの受け答えは明瞭だ。
大人しくはあるが陰気さは感じさせない。単純に創作物、漫画や小説、ゲームや映画というものが好きなだけだ。世間一般ではオタクに対する風当たりは確かに強くはあるが、本来なら嘲笑程度はあれど、ここまで敵愾心を持たれることはない。
では、なぜ男子生徒全員が敵意や侮蔑をあらわにするのか。その答えが彼女だ。というか彼女たち、なのである。
「南雲くん、おはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」
「ハジメ、遅いわよ。もう少し早く来なさいよ。もう。」
ニコニコと微笑みながら私とその少女、白崎香織がハジメのもとに歩み寄った。このクラス、いや学校でもハジメにフレンドリーに接してくれる数少ない例外であり、この事態の原因でもある。
学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る
腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。このような美女に声をかけられようものなら
男女問わず落ちてしまうだろう。私でもそうだったのだから・・・・・・ゴホンッ。いつも微笑の絶えない彼女は、非常に面倒見がよく責任感も強いため学年を問わずよく頼られる。
それを嫌な顔一つせず真摯に受け止めるのだから高校生とは思えない懐の深さだ。そして真由美も、影では香織と勝るとも劣らない美貌のお姉さんという評価らしい。
まぁ、頼まれればなんでもするし(変なこととできないこと以外なら)嫌な顔は絶対しない。というか半ば趣味で引き受けてるから嫌とも思わないわけだけど。
頼れるお姉ちゃん的存在の真由美は主に女子に人気が高い、しかしなぜか香織と一緒にハジメのところに行ってしまうのである。男子の方からは、それが殺意の波動かと言われんばかりの視線を集め
女子からは訝しめの視線をハジメは受けた。すなわち、「何気軽に話しかけてんだ?アァ?」ということだ。そしてそれにまた面倒な相手が絡んできたのだった。
「香織に真由美、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に二人は優しいな」
そう、彼である。些いささか臭いセリフで香織と真由美に声を掛けたのが天之河光輝。いかにも勇者っぽいキラキラネームの彼は、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人だ。
サラサラの茶髪と優しげな瞳、百八十センチメートル近い高身長に細身ながら引き締まった体。誰にでも優しく、正義感も強い(思い込みが激しい)。
小学生の頃から八重樫道場に通う門下生で、雫と同じく全国クラスの猛者だ。雫とは幼馴染である。ダース単位で惚れている女子生徒がいるそうだが、
いつも一緒にいる雫や香織に気後れして告白に至っていない子は多いらしい。それでも月二回以上は学校に関係なく告白を受けるというのだから筋金入りのモテ男だ。
「? 光輝くん、なに言ってるの? 私は、私が南雲くんと話したいから話してるだけだよ?」
今日もこの無自覚だ女神はさも当然のごとく爆弾発言を落としになる。ざわっと教室が騒がしくなる。
男子達はギリッと歯を鳴らし呪い殺さんばかりにハジメを睨み、檜山達四人組に至っては昼休みにハジメを連れて行く場所の検討を始めている。
そして毎度恒例のごとくにして当然のように私も反論する。
「あら光輝、おはよう。それで勘違いしてるようだから訂正するけど、世話を焼いてるんじゃないの、世間話をしに来てるの。さっきのはあいさつのようなものよ。わかった?」
「それは分かったけど、南雲に世話を焼いてることには変わりないじゃないか。」
「あはは・・・・・・おはよう光輝君。この二人には感謝してるよ。それに、これは自業自得みたいなものだから。」
「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織たちの優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織たちだって君に構ってばかりはいられないんだから」
〝直せ〟と言われても、ハジメは趣味を人生の中心に置くことに躊躇いがない。なにせ、父親はゲームクリエイターで母親は少女漫画家であり、将来に備えて父親の会社や母親の作業現場でバイトしているくらいなのだ。
既にその技量は即戦力扱いを受けており、趣味中心の将来設計はばっちりである。
ハジメとしては真面目に人生しているので誰になんと言われようと今の生活スタイルを変える必要性を感じなかった。
香織と真由美がハジメを構わなければ、そもそも物静かな目立たない一生徒で終わるハズだったのである。そしてその空間についに入ってきてしまった。
そう彼の事を最も嫌う最強最悪の妹が・・・・・・・・
「毎度恒例!霧子さんキィーック!」
扉を開けた途端その少女、深雪が光輝の背中にクリーンヒットを入れた。受け身を取る暇さえなかった光輝はそのままうつぶせに倒された。
「もう、あなたって人は!この人と姉さんたちは好きで話してるのに適当な理由を付けて話をぶった切るとはどういう了見ですか!」
そのまま倒れて気絶している光輝に深雪は文句を言い続ける。こうして今日もまた学校生活の幕が上がった。
進むこと昼休み。深雪と真由美は教室でゆっくりお昼を食べていた。ちらっとハジメの方に向くと香織がハジメのところにいてそれに光輝が介入しているところだった。
「また始まりましたよあの人たちはもう・・・・・・・・」
「ちょっと行ってきましょうか。また騒がれたらゆっくりお昼も食べられないしね。」
そうして向かい始めた真由美たち。しかし、突然足元に紋章のようなものが現れ、そのまま真由美たちは消えてしまった。直前にこの教室の担任であり直前の授業担当者である
畑山愛子が何か言っていたようだが、その忠告は果てしなく遅かった。
という訳で始まった錬成士と魔弾の射手。魔弾の射手はもう劣等生のあの人の二つ名をぱk・・・いえリスペクトさせていただきました。
檜山はこのまま死んだほうがいい?それとも魔人族の一味になって襲い掛かってくる展開がいい?(奈落編終了まで)
-
このまま死すべし慈悲はない
-
復活させるよ?イイネ?