「あからさまに落ち込んでるわね。あっ初めまして、八重樫 雫よ。よろしくね。」
「今日は、あの檜山とかいうゲス野郎を絶対に・・・・・・・・こr」
「ストップ―!それ以上は放送コードに引っかかるから。ね?という訳で。」
「「さぁさぁどうなる奈落編第七話」」
「姉さん・・・・・・・・」
(空気が重い!)
周囲の空気がどんどん冷えてゆく。精神的なものではなく物理的に。つまり、ほんとに”温度が下がっている”のだ。
そしてその急激な気温低下を引き起こしている人物とは今、檜山の前に立っている。否、立ちふさがっている少女、深雪だった。
その瞳はまるで汚物を見るように冷たく、それでいて異質な威圧感を放っていて、それは体が動かないほどだ。
「ど、どうしたんだよ深雪・・・・・・・・」
その空気に耐えかねて檜山が口を開く。
「気安くその名前で呼ばないでくれませんか?このゲス野郎。」
しかしそれを深雪は一蹴する。
「ななな何のことだ?」
「あら?ご自分で言ったことを記憶してらっしゃらない?これはこれは、随分と都合のいい頭をしていますね。このくそ野郎。」
「なんだと!?」
檜山は声を荒げた。しかしそのあと言われたことで背筋を凍らせることとなる。
「あなたは言いましたね、”アイツが悪いんだ”と。そしてあなたは適性が風なのにもかかわらず、火属性の魔法【炎弾】を放っていましたね?適性は風属性のはずなのに。」
深雪はこう続ける。
「私は最初、それに何も疑問は覚えませんでした。しかし、先のあなたのつぶやきを聞いて確信しました。一発だけ姉さんの手前に着弾した炎弾。それは床の耐久値が限界なことに気づいたあなたが、
”姉さんたちを落とそう”と”わざと”撃ったのだと。それはそうですよね。風属性魔法と違って、火属性魔法には爆発の効果がつきます。そしてすでに限界を迎えていた床を破壊するのにはそれで十分だと。
檜山は一気に顔が青ざめた。まさか、それだけでそこまで推理し、自分の犯行を一言一句違わずに当てるなんて。だからこそ檜山は焦った。冷静さを欠いた行動に出るのは明白だった。
「なな何を言っているんだ!ふざけるな!おい皆!こいつの言ってることはでたらめだ!そそうこいつだ!こいつがあの魔法で真由美たちを落としたんだ!」
檜山はそう弁解する。しかしその声に耳を貸す生徒は誰一人としていなかった。その瞬間、檜山の足に激痛が走った。
「あがぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!!!!!」
檜山の足が切断された。しかも両足だ。そこにあったのは氷の刃だった。
「ほんとは今すぐあなたをこの手で殺したい!・・・・・けどそれじゃあ姉さんたちの苦しみを味わわせることはできない。だから、あなたはここで魔物にでも食べられればいいわ。ではさようなら、いい死に方ができるといいわね。皆さん、行きましょう。」
深雪はそう言い、20層に戻るための転移陣の元へ戻った。他のクラスメイトもそれに続いた。
「おおおおおおおい!てめえらふざけるなよ!見捨てるんじゃねぇ!俺を助けろよ!なぁ!おい!無視するなぁ!」
檜山は叫ぶ。しかし彼は、助けるには罪を重ねすぎた。そう言わんとばかりに最後尾にいたメルドが檜山の方を向いて言った。
「獅童真由美、南雲ハジメ、白崎香織の三名は戦闘中に行方不明。檜山大介は戦闘中に仲間をかばって戦死。これで貴様の外当たりはよくなるだろう。」
そう言ってメルドは深雪たちの後を追った。そのあとに響いたのは檜山の絶叫だけだった。
「---み!」
声が聞こえる。ここはどこだろう?あたり一帯は暗闇だ。
「--ゆみ!」
またあの声だ。いったい誰を呼んでるんだろう?
「真由美!」
「はっ!?」
その声で真由美は目を覚ます。目の前には香織が涙を流しながら真由美を見ていた。
「良かった・・・・・よかったよ・・・真由美ぃ!」
「ちょ、ちょっと香織。痛いよ?痛いから抱き着くのやめて?ね?」
香織は慌ててその腕を離す。
「それにしても、香織。あの高さから落ちたのに何ともないのね?」
「あっ・・・それはね?」
聞けば、奈落に落ちたとき、真由美がとっさに周囲に風を巻き起こす魔法【エアロ・ストーム】を使って一時的に減速させたらしい。その瞬間、ハジメは
真由美のバッグの中から(真由美は資材倉庫からくすねてきた鉱石をすぐ使えるように、バッグを持ってきていた。)アザンチウム鉱石を使い即席のグライダーを作ったが、
上から降ってきた瓦礫が端に当たってグライダーは傾き、三人ともまた下へ落下。その時にはもう地面が見えていたらしい。その時真由美はハジメと香織を技能:疑似瞬間移動で地面まで瞬間移動させ、自分だけ地面に落ちて行ったらしい。
そこはたまたま水路になっていたので、頭を地面にぶつけることはしなかったが、それなりの速度で水にたたきつけられたこともあって、そのまま気絶したらしい。
「そう・・・・・ならよかったわ。結婚前の乙女の体を傷つけたら大変だもんね。」
「もう!それはあなたもでしょう?」
「そうね。フフッ。」
そうして真由美は立ち上がろうと両手を地面につける、否つけようとした。そこである違和感を覚える。左手が動かないのだ。よく見れば左腕には即席の当て木と服を破って作った三角巾がまかれていた。
「あっ無理に動かさないほうがいいよ?一応治癒魔法はかけたけど、骨折が治ったわけじゃないからね。」
どうやら左腕は骨折してるらしい。痛みはないから一応動ける。真由美は香織に助けられつつその場に立ち上がった。するとそこにハジメが帰ってきた。
「この先は全部真っ暗だ。無理せずにここにいよう白崎さん。っと、真由美さんもう起きたんだね。おはよう。」
「えぇ。おはよう。」
真由美は何げなくステータスプレートを見た。それは多分、スマホを不意に取り出すのと同じの行為なのだろう。すると技能のところに新たな技能が増えていた。
”構造知覚”と”暗視”である。
「なんか増えてるんだけど・・・・・・・・」
「おぉ!暗視だって。これで暗闇も安心して進めるね!真由美さん!」
「え、えぇ・・・・」
真由美はその技能を使ってみることにした。すると、どんどん辺りが明るく見えてきた。そして暗闇が見えるようになったがゆえに、見てしまった。
「なに・・・・・・・・あれ?」
それは、巨大な爪をもった熊のような見た目の魔物だった。
今回はちょっと手抜きじみてます。いやー檜山君どうなっちゃうんですかね?(ゲス顔)次回は爪熊(作者命名)との戦いから、ユエとの出会いまでを描くつもりです。ちょっと長くなりそうなんで投稿までに時間がかかるかと思います。ということで次回をお楽しみに!
檜山はこのまま死んだほうがいい?それとも魔人族の一味になって襲い掛かってくる展開がいい?(奈落編終了まで)
-
このまま死すべし慈悲はない
-
復活させるよ?イイネ?