鬼滅の料理人   作:ゆっくりカワウソ

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 おたせいたしました!だいぶ期間は空きましたが新話です^o^
アンケート結果を踏まえての話となっております。投票などありがとうございました!!また今話からはフラグとなんちゃってプレステトロフィーもつけていきます。前の話も編集して行くので見ていただけると幸いです\( ˆoˆ )/
 あ、あと今回はカナエ姐さん死亡フラグをぽっきり折る話です^o^


第九飯 胡蝶さんを救え!ー死神と酒呑童子と恐怖で愉快な仲間たち(鬼視点)

 6月、南欧州ではカラッとした天候のためJune bride*1なるものがあるが、日本では梅雨、つまり雨季の時期で現代日本でない限りあまり結婚式には好まれない天候である。

 この時期の雨は野菜や果物、森や川に恵みをもたらす豊穣の雫の側面を持つ一方で、水害や土砂崩れなどを引き起こす災厄の水流を生む側面を持つ。このような厄介な理由にくわえ、湿気や雨による不快度指数が上がるこの時期にわざわざ結婚式をするのは何も知らない外国人や早くに式を済ませたい人間、はたまた狐の嫁入りのような妖達くらいのものだ。そんな時期の任務はもちろん……正直言って萎える…。

 

 

「集落で季節外れの霜や氷柱が観測された。それに加えて集落の女性とその調査にあたった女性隊士が行方不明になっている。」

 

 

 だが、今はそのようなことを言っている余裕がない。なぜなら…カナエ姐さんこと胡蝶カナエが鬼に殺される任務が告げられたからである。鰤之丞からの報せで皆がその場で固まっていたが次の言葉で俺たちは冷静さを取り戻せた。

「…お前がお館様に頼み込んだせいかは知らんが、結月にそこの4人はあの娘と無口な天然男の追加人員として行くことになった。…もっと詳しい内容はこの筒の中に入っているから後で見とけ。奴らはすでに目的地の街にいる。今から向かえば間に合う。」

「わかった…。」

「報告することはあるか?」

「……確信は持てない、だが言えることは…上弦の鬼が引き起こしている。だから隠や他の隊士が近づかないよう警戒網を張って欲しい。ただし、バレないように慎重にな。」

「……なぜそう言える?そこまで言い切れる理由は?」

「産屋敷邸の報告書だ。季節外れの霜や氷柱、そこに加えて女性隊士の行方不明…鴉以外は生き残っていなかったと記憶している。そんな芸当ができるとすれば上弦やそれに相当する下弦の鬼だ。もっともその報告書は約数十年も昔のもの、入れ替わりの多い下弦の鬼の可能性は低い。異能の鬼なんて以ての外だ。また鬼舞辻は自分の痕跡を残したがらない、臆病な卑怯者で極めて慎重な奴らしいからな。結論、上弦の鬼しかいない。…慎重に警戒網を張る理由は無惨が戦力を送り込む可能性を減らすためだからだ。」

前世の記憶を伏せながら伝える

「そうか。そういうことにしとくぞ、結月。安心しろ、早急に伝えておく。」

 そう言うと鰤之丞は去って行った。残るのは……背筋が凍るような冷ややかさだけが残った。

 

 

「早すぎる…。」

 そう呟いたのは春くんだった。たしかにこの時期でのこの任務は早すぎる。具体的に言うと2年も前倒しなのだ。彼女が逝去する年齢は2年後の18歳、それなのにこの状況は非常に不味い。俺や弥太郎氏、春君や大ちゃん、あっくんがいても勝てるかも怪しいのだ。血鬼術に戦闘能力、分析能力が他の鬼と比べると段違いに高い上弦の弐童磨を完璧に倒さないといけない。

「…問題ないですよ。」

そう言ったのは京ちゃんだ。不敵に笑みを浮かべ、机の上に箱を乗せる。

「胡蝶しのぶ博士と作ったPW*2丸です。テストは済ませていてあとは実践投入のみです。…粉瘤爆発用の小麦粉玉です。湿気や水分に少し弱いですが、粉さえ舞えばこちらのもんです。火を近づければ…ボンっ!加えてこの粉には試作段階ではありますが藤の花のエキスも入ってます。」

「僕もテスターでやったんですけど……、期待以上でした。」

「コストの面ではご心配なく!廃棄になる小麦粉…、もちろんカビ入りでこちらも使ってます。嫌がらせにはもってこいです^o^。」

 なんてものを作ったんだよしのぶさんに京ちゃん!(歓喜)

二次創作でもあったあの作戦ができるじゃないか!

「クソ有能すぎだよ、みんな。」

 

 ここを見ているみんな、童磨の弱点って知ってる??そう、舐めプするところだよね!!

おふざけはここまで、童磨の戦闘スタイルは相手の技をすべて引き出してから戦略を立てて攻撃を仕掛ける鬼の能力を最大限に生かしたものである。慢心していなければ恐らく、上弦の壱も倒せる程度の能力と言っても過言ではないが、それに加えて童磨の氷の血鬼術は人間には相性が悪い。特に粉凍りという人間の肺にダメージを与える血鬼術は呼吸を使う鬼殺隊にとって初見殺しかつ絶対呼吸の使用者殺すマンである。

 あと俺たちだけかもしれないが……すけべの変態だと思うんだよね。だってそうでしょ、女の子を好んで食べてるんだもん^o^

 いくら栄養価が高くても女の子を狙ったり、取っ替え引っ替えで女の子と付き合ったり、上げ先の果てにしのぶの毒にやられて最後に「これが…恋っ!!」みたいなことを言ったりしてるんだ。…妥当な評価でしょ?(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

 

 とにかく童磨を確実に仕留めるには彼が慢心している時に倒し切れるのが必要条件である。要はあれだ、瞬殺できればいいんだ。(アオ○ジ風)

 

 早速俺たちは予定である合流地点へと向かう。どうやら、思ったよりも近かったらしく19時ごろにはカナエ姐さんやギユタンこと冨岡のいる宿へと向かった。

 だが俺たちは失念していた…、カナエ姐さんがとにかく破天荒であることを…。

「おいおいバァさん!本当かよ、その2人が宿から出たって?!」

番頭に2人のことを聞いていると、客である1人の老女が2人が1時間前にはすでに宿を出ていたことを俺たちに教える。それに頭を抱える弥太郎氏…、……心中察するよ。

「んだよ、あんな別嬪さんにいい男は見かけんからねぇ。…ところであんたたちはどんな関係なんだい?」

「えぇーっと…。」

弥太郎氏が言葉に詰まったので俺が答えを出す。

「実はあの2人は俺たちの商会の取引先の人間なんだ。ここで合流するはずだったんだが…出ちまったならしょうがない。ありがとうな、ばあさん。」

「んだかぁ、ならしょうがねぇなぁ。…あん2人はあそこの集落に行ったんだ。」

そう言うと玄関を出て集落のある方向に指を指す。

「あんがとよ、ばぁさん。」

俺たちはすぐに集落へと向かうが…、どうも嫌な予感がしてならない。

「これじゃあ間に合わない…、結さん。」

「なんだい弥太郎氏。」

「俺があんたを飛ばす、だから最大限の助走をつけて俺の腕をジャンプ台にして飛んでくれ。大丈夫、あんたのところには必ず向かうし、間に合う。」

 思ったよりもぶっ飛んだ提案に驚いたが、彼と俺の能力なら可能だと思えた。

「わかった、頼む。」

「流石だ。高島、ここからだとどのくらいの出力と距離、方角でいけるかを教えてくれ。」

「おっけいゆざっちゃん、…対象までの距離は3kmで出力は…うん、この覇気の強さなら十分だね。方角は……ピッタリ北。…風は北に向きに風速5m…。準備おっけー^o^」

「よしっ、結さん!!お願いします!!」

イメージするのは……空を大海原のようにかける鳥のように…そして成功する未来と自分を!

「行くぞぉぉ!!!」

「はい、喜んで!!!」×4

3人が弥太郎氏の足や体を支え、彼は低めに体制を整えて腕を組み発射台と化す。走り出す、速度は風を超え雷をも追い越す。さながら気分はワープをするゴールドシップのようだ!それに最っ高にハイッて奴だ!(迫真)

 

 

「武装色硬化!!金黒腕彗星(ゴールデンブラックスター)

 

「神速縮地!偽・空中歩行(エアウォーク)

 

 

「行っけぇぇぇ!!!」

離陸すると俺は空を蹴り、彼女達のところへと向かうのであった。…無事でいてくれ、2人とも!!

 

 

 

〜某集落、胡蝶カナエ視点〜

「おやおや?君は鬼殺隊の剣士だろ?どうしてこんなところにいるのかな?それに、危ないよ?そんなものを女の子画振り回すのなんてやめようよ。…俺がそんな君を救うからおいで。ついでにそこの美形君も。」

 血をかぶったような髪の柔和そうな青年、優しい声で吸い込まれるような虹色の瞳。ただ、彼の体の胸、心に虚が空いていたように思えたのだ。

「…あなた満たされてないのね。」

「俺がかい?どうして?」

「………。」

「そうね、まるで心も心から発する色もわからないようね。…だってあなたの笑顔…、嘘だもの。本当はなんて顔をすればいいかわからない…、そんな感じよ。」

「ひどいなぁ、俺はいつも笑顔なのに…。」

少し悲しそうな顔をするが私は続ける。

「…かわいそうに、本当の感情を知らないのね。……ねぇ、あなた…美味しいもの食べて満たされたって思い出ある?」

「?何を言ってー。」

「私はあるわよ。…幸せって案外身近なところにあったんだなって思うの。…あなたは?」

 私がこんなに鬼を煽るなんて…初めてだ。鬼と人はきっと仲良くなれると思っているのにだ。…きっとこの鬼を逃すと後悔するようなことが起きてしまう…そんな予感がするのだ。

「言ってる意味がわからないなぁ。俺たちの食べ物は人間だ。君たちとは味覚も違う、それに俺は人を救っているんだ。…かわいそうに、まだそんな悲しい記憶を持ってるんだね。俺が君を救うよ。」

「胡蝶……、無駄だ。…人を食べることを救うと世迷言を言っている。…斬るしかない。」

「2人ともひどいなぁ…。」

 冨岡君が水の呼吸で切りかかるが…、二対の鉄扇で華麗に受け止める。それは両親とともに見た華僑*3の人たちの舞みたいだった。

「うーん、水の様にしなやかで生命力が溢れてるね!

凪のような静かなる水、けれども力強い濁流!すごいね君!」

「!!」

「けど…、迷いがあるね。」

そう言うと鉄扇で彼を振り払い、そのまま吹っ飛ばす。

「…強い…。」

「おや?普通ならこれで気絶したり運悪く死ぬのに…君、柱だね?」

「…俺ははしー。」

「そうよ、私たち2人とも柱よ。」

「俺はー。」

「今は黙って、冨岡君。」

「そっかぁ、だからかぁ。…俺強いけど、壊れないでね?」

 彼はそう言って二対の鉄扇で優雅にこちらに微笑む。

「無惨様よりいただきし上弦の弐、たっぷり味わってね?それと俺の名は童磨、君を救う男さ。」

 

 

……まずい、肺がやられてしまった。呼吸をうまく維持できない。あの氷の粉、まさかあれが私たちの肺に悪さをするとは思ってもみなかった。

 冨岡君は…よかった、生きている。ただ彼も満身創痍のようだ。

「だから言っただろ?…かわいそうに、苦しいだろう?俺が救って……なんの音だい?…誰もいないのに。」

私に近づく鬼…童磨の意識がこちらからそれた。何故か空を気にしているようだ。……どうしてだろう、私も聞こえる。……この声…聞き覚えあるかも?…私と妹に優しい思い出をまた見せてくれた彼に似たー。

「胡蝶さーん!!離れろぉぉぉぉ!!冨岡ぁぁぁ!胡蝶さんを抱いて待避ー!!!」

「!」

その号令で冨岡君は私を抱いてその場から離れる。

「…まさか…。」

「そのまさかだ!!|偽・悪魔風脚黄金流星蹴《ディアブルジャンブ・ゴールデンドロップティアキック》!!」

私がそこで見たは空から飛んできた灘君が童磨の顔面に飛び蹴りを喰らわせ、吹っ飛ばしているところだった。……目玉が飛び出るほど驚くってあながち間違いじゃないのね、だって私がそうなっているもの。

 

 

 

ー主人公視点ー

 上から見ていたがこれはピンチのようだ。幸いぎゆたんが動けそうなのでカナエ姐さんとともに上空から大声で声を掛ける。………どうやら通じたようでぎゆたんが姐さんを抱えて離脱できたようだ。…さて、ぼちぼち俺も決めてやりますか!サンジと某ドロップキックをかます黄金不沈艦ぽく決めておきますか!!

 冷や汗を流し、こちらを見る童磨に超高層ドロップキックをかました。

「よしっ、そのムカつくイケメン顔蹴り飛ばしてやったぜ!おい童磨!生きてんだろ?!んなところに寝っ転がってないで立ちやがれ!このクソ色ボケ教祖!」

 蹴りを一発くらわせまた吹っ飛ばす。

顔は…前が見えねぇ状態になっているようだ。

「ひどいなぁ、顔がぐしゃぐしゃで前が見えないよぉ。…どうやって飛んできたの?」

「なぁに、お前たちの言う酒呑童子とその愉快な仲間たちが俺をここまで飛ばしたのさ。」

「酒呑童子…えぇっと。」

そう言うと自分の頭に指を差し込み、グニグニと脳みそをかき混ぜる。

「思い出した!確か鬼殺隊の剣士だね!猗窩座殿が戦いがっていたのを覚えてるよ!…それに君、死神だね。ようやく目が再生したよ。こんな顔してるんだね。」

「だから死神じゃねぇっての。…本当つくづくあんたって有能なのかアホなのか、はたまた変態なのか…。そりゃ無惨も手元に置いときたくなるな。思い出し方がキモいけど。」

「貶してるの?それとも褒めてる?」

「両方だよ。貶し9割、褒め1割だな。」

「ひどっ!?」

「あっ、間違えた。半分間違ってとよ。」

「…なんの?」

「褒めのところを半分間違ってたよ。正しくは9割5分貶しだ。」

「ますますひどいね。君は…思ってたよりも静かだね。まるで雪のようだ。」

「キザだなぁ。…あんたは常に観察してるな。…表現はキモいけどその人の心を見透かせてる。流石は変態イケメン教祖だな。」

「最後のは余計だよ。」

そう言って笑顔で鉄扇を振るうが…想定済みだ。

「甘めぇよ…、その程度か?」

「いやいや、そうじゃないよ。…あれ?」

 童磨の鉄扇を持つ手を切り落とす。思いっきり油断をしているようだ。

「…いつの間に、……再生…しない?」

ここでようやく自分が置かれた立場に気付いたようで、少しこちらから距離を離す。

「…何をしたんだい?」

「何、不死殺しを体現させたのさ。…何故俺が死神と言わられるのを嫌がるかわかるか?」

「不死殺し……あー!なるほど!不死殺しなら神様も殺せるか!!そっかぁ!面白いね君( ´∀`)」

「流石は教祖だ…でも?」

「神様なんていない、だろ?」

「違うな、いるよ。ただ俺は神様は嫌いでね。傲慢で厚かましくて、恩着せがましい癖に祟る…一部は除くがな。」

「…見えないのにか?」

「いるさ。お前のその数奇な運命も…、その伽藍堂な心を作ったのもそいつだ。」

「馬鹿げてるね。」

「あぁ馬鹿げてるさ。…だからこそ人間はそんな馬鹿げたこの世の中を生きて、命を燃やしてその生を全うする。だが…、今のお前らはそれすらを冒涜している。…それはそうとてめぇ、さっきの女の子を喰おうとしたな?」

「そうだよ!俺は優しいからね、救済を与えようとしたのさ!」

「なるほど、その特異な出自がそうさせてるんだな。…人を喰ったくらいで救済されるならとっくに人類はいなくなってる。お前や鬼舞辻程度が人を舐めるな。思考や進化を忘れたお前たちが俺たちよりも高尚で進化した姿?笑わせるぜ!」

 本当に馬鹿げてる。それが救済というならば俺は…。

「今ここでお前を殺してやる、それが俺たち鬼殺隊が鬼になったお前らの落とし前と遺族への償いだ。」

「傲慢だなぁ、君。ちょうど腕も治ったしボチボチいくよ?」

「そっちこそ。見くびりすぎな。」

 話の結末は呆気ないものだった。…瞬殺と言っても過言ではなかった。

 

 

直死終の呼吸 弐の型  両儀の舞(りょうぎのまい)

 

 

 童磨は構えていたようだが、俺の方が早かった。剣は童磨の死の線をなぞり、体全てを切り裂く。…舞のような剣技は切り裂かれたことを悟らせないほど静かで軽やかなものだった。

「?何かしたかい?…どうして俺の後ろに?」

「気付かないのか?俺はあんたの死を刈り取ったのさ。…つまりお前はそろそろ死ぬ。」

「……そうみたいだね。体が動かない…。」

切られた体は動かずに徐々に崩壊を迎え始める。指先から崩壊を始め、次第にその速度を早めてゆく。

「…鬼でなければあんたとはいい仕事ができたと思うよ。仲良くもなれただろうな…胡散臭いけど。」

「それは余計なお世話だよ…。そうか…、…改めて名前を教えて欲しいな。」

「俺は結月、しがない料理人だよ。童磨、あんたが人として生まれ変わったら美味い飯食わせてやる。それこそ満たされるって感覚を教えてやる。」

「おいおい、俺はあの子に伽藍堂って言われたんだぞ?そんなのわかるわけー。」

「わかるさ。」

懐からお猪口と竹の水筒から酒を注ぐ。注いだ酒を童磨に飲ませる。

「…おい…しい?」

「美味いだろ?…俺は鬼舞辻無惨がお前に仕掛けた呪いすらも断ち切った。…死ぬ間際こそこの酒は美味いと思うのさ、…人としてな。」

「教えてくれ!この酒はー。」

「これはとある酒蔵が作った日本酒…名前は「胡蝶蘭」……、あんたが殺そうとした彼女の名を冠したものだ。」

「そっかぁ…。…久々に美味しいって感じたよ。……ねぇ、なぜか知らないけどとってもお腹が空いたよ。人じゃない…この酒に合うものが食べたいなぁ。」

「……そうか。…来世まで待ってろ、この酒に合う食いもん作ってやる。だから今度は鬼なんてものになるなよ。」

 この答えに満足したのかこちらを見て微笑み、雨共に童磨の体は朽ちていった。

 

 

ーあの世、童磨視点ー

 真っ暗な世界…、おそらくあの世でこの先を行くと俺が行く世界へと着くだろう。ここまでの人生で悔いなんてものも感じたこともないし、面白いとも感じた事はなかった。…けれどもあの最後の酒の味と彼との約束がどうしても頭から離れられなかった。

 これまで感じられなかったあったかいものや鈍く重たいものが胸を締め付ける。俺はこんなものを知らない!最後に飲んだ酒の味を思い出すたびにこのモヤモヤとしたものが強まってしまう。

「なんだ、この感情!!俺は、どうかしているのか!?こんな事なかったはずなのに!あの両親の骸にも感じなかったのにだ!」

 たった1人の料理人の言葉やその前の女の子の剣士を冠した名前の酒の味がこうも心の中に突き刺さるなんて!

「あの酒の味に合う料理が食べたかった!」

そう、これはきっと後悔だ。初めてこんな気持ちになった。……つい思ってしまうのだ。もし人だったら、教祖でなくただの個人だったら……きっと彼が温かくも優しい料理を振る舞ってくれていたのだろう。…それにあのお酒以外にも美味しい飲み物も…。

「俺はなんて馬鹿だった!!希薄な感情!人の心なんて知らない俺が!なぜだ!今になって!どうしてだ!!!」

 とにかく苦しい!!これが地獄の責苦であるならばまさにそうだ!

「それが心よ。」

「!!?」

白無垢の似合う女性がこちらを見つめる。

「…あなたにとっては辛いと思うわ。でもこれは大きな一歩よ。それに彼はあなたに言った事は必ず守る。」

「……。」

「じゃあね、虹色の目を持つ貴方。…必ず、ゴールはあるから…あきらめないで。」

白雪のように消えた彼女と…、俺の最後に心を引き出した彼に呟いた。

「さよなら、…蒼き神秘の眼を持つ……美しい女性と…鬼殺しの料理人。」

歩みを進める。…その先が地獄であろうとも、この思いを胸に抱いて……ただ足を動かすだけだった。

 

 

 

ー現世、主人公視点ー

 童磨を討伐したと同時に鰤之丞が勝鬨をあげる。

「報告!!上弦の弐討伐!!上弦の弐討伐!!終柱、灘結月が討伐!付近の隠や隊士は支援や後始末を要請す!繰り返す!ー。」

駆けつけた4人は

「流石ですね。…よくやってくれました!」

「…PW丸使えなかった…。実践データーがぁ…。」

「まあまあ、ハル君。万事使わない方がいいよ。…早ければハッピーエンドに近づくわけだし!」

「高島君珍しいね、なんかいいこと言ってる。」

「ひどっ!?」

良くも悪くもいつも通りだ。

 一番詰め寄られたのはカナエ姐さんからだ。

「なんであんなところかー、ゴホッゴホッ!!」

「おいおい…、あんた肺をやっちまってんだろう。……あれしか方法がなかったんだ。時間的にも、君の命的にも。」

「けれども貴方は!…どうして…。」

「さぁな、だが少なくとも俺は君やしのぶさん…それに周りの人達が…幸せであることを願ってね。…やっぱりハッピーエンドの方がいいし、これが最善だったんだよ。…悪かった。」

「……謝らないで…そう…なのね。」

目からは大粒の涙を流し、体を震わせる。

「怖かった…、死ぬって思った途端…しのぶ達の顔を思い出したの。…置いていったら…どうなるのかって…。」

「…きっと君の真似をする。精神をすり減らし、体も…藤の花の毒で満たして…童磨に自死覚悟の特攻をしていただろうな。それに…君の屋敷の子供達も悲しむはずだ。」

「…よかった…よかったぁ…。」

泣きながら妹の結末を変えることができたのに心底ホッとしているようだ。

「……ホッとしているところすまないが悪い知らせから教えよう。…呼吸の元になっている肺だが……おそらくもう元のようにはいかない。日常生活や歌とかには問題ないだろうが、戦線には復帰できない。医者からも言われるがその様子では無理そうだろう。今だって苦しいだろ?」

「えぇ…、それはわかっているわ。」

咳き込みながらもそう言う。

「でも…良い知らせも…あるのよね?」

「まぁ…良い知らせとは言えないと思うが、君には竹取産業の社員になって鬼殺隊を支えて欲しい。…配属先は追って連絡するし…今であれば断って欲しい。」

「断るわけないじゃない…。ただ…あの子と一緒に…。」

「それは約束しよう。…君たちに向いている配属先にはなるだろう。」

「そう…よかった。」

そう言うと緊張の糸が切れたのかそのまま気絶をした。

「冨岡もありがとうな。…鮭が取れる時期になったらクソ美味い鮭大根をご馳走ー。」

「いただこう!」

鮭大根という言葉を出したのかかなり食い気味で答える。…ただこいつがいなければきっと成功率は低かったはずだ。…これぐらい問題ない。

「……灘。お前はあの鬼と色々話していたが…。」

「…まぁ一種の気まぐれだよ。…ただ…鬼になったことへの後悔は与えられた。あの世で反省しているだろうよ。」

「…お前は甘い。なぜそんなことを…。」

「冨岡、今は上司としてお前に話そう。鬼ってのは元は人間だ。どうあろうと俺たちも人を殺していることには変わらん。……だからこそせめて人として死なせなくてはならない。あの上弦の鬼はおそらく心を無くしたまま人間として生きていた。ならばその人としての心を死の間際で自覚させれば良い。…今回は運良くそれができたがな…。」

「……隊律違反とも取れる内容だな。」

「お前がそういうか…。…まぁどうとっても良いが…俺や弥太郎氏達はそう思ってる。…もちろん落とし前は付けさせるが、あくまでも俺たちは人斬りだ。そこのところをよく覚えておけ。…きちんと判断し、その目で確かめろ。理性を持ち、鬼舞辻の呪いも断って人間と共存を図る鬼もいるかもしれないんだ。」

「……。」

「おそらくだが、お前が経験したこともないことが起こる。そこでどうするかはお前次第だ。…だが人間としての最善を選べるよう努力するんだな。」

「肝に…命じておく。」

「もちろん、人を喰おうとする奴は…わかってるな?」

「…あぁ。」

炭治郎達のために……とりあえず念は押したし、少し頭に来たのでこう言った。…ぎゆたんもとい冨岡の過去はわかっているし鬼に対しての憎悪は理解している。ただ……、柱になる前の戦い……あの集落での下弦の鬼が見せた安心した顔と言葉を…。

 知っていたはずだ。…でもあの光景が離れない。

「人間は….つくづく愚かで痛みに脆い。けれども…美しいものだ。………だからこそ…結さん、俺たちはあのワカメ野郎を倒さんといけないんですよ。」

弥太郎氏が俺に声をかける。

「その先の結末を…僕たちが変えてみせる。だから…突き進みましょう。ハッピーエンドは絶対です。」

春君が俺の背中を優しく叩く。

「どうあれ僕らは味方です!変態と言われようとそれは変わりません!」

自信満々に変態宣言する大ちゃん。

「いやっ!あんただけだよ!((((;゚Д゚)))))))」×2

あはぁぁあん!?

「僕も変態だから安心して高島君。…結さん、僕は変態のクソ真面目ですが高島君と同じく味方です!安心してください!」

そして繰り返すあっくん。

「なんだろう…安心できそうで出来ないよ、あっくんに大ちゃん。」

「何故っ!?」×2

2人のやりとりもそうだが…皆のおかげでどうにか病んだ心が癒えた気がした…。独りじゃないことがどれだけ心強いと思えたのはきっとこれが初めてのような気がした。

「……ぷふ、ありがとう4人とも。…さて明後日からまた仕事だ。…帰って休もう。京ちゃんも待ってる。」

 こうして俺たちは上弦の弐童磨を討伐し、自分たちの家へと帰っていった。

 

 

ー藤の家、冨岡義勇視点ー

 …上弦の弐、やはり敵わなかった。そんな敵を倒した灘はやはり柱でも特別な存在だろう。…それに最後のあの言葉は……俺が完全に理解できるのはもっと先になる気はするが心に命じておこう。…ただ……錆兎や姉さんのことになるとどうしても鬼への憎しみは消えない。……俺はどうすべきなのか…、俺は……ただただ悩むしかなかった。

 答えはきっと、灘の店で鮭大根を食べるときにわかるはずだ。その時までじっくり考えてみようと思う。

 

【冨岡義勇、自身の日記より】

 

 

 

ー蝶屋敷、胡蝶カナエ視点ー

 「姉さん!!!」

しのぶの元に戻った私への第一声と表情は…まるで泣きじゃくる子供のようだった。

「よかったぁぁあ!!生きてて…よかったぁよぉぉ…!私、わたじ…。」

「しのぶ…。…ごめんなさい。」

 抱きしめると少し強めに抱きしめる。

「いいの……グスッ、生きて帰ったんだからズビッ。……治療するわね。先生も呼んでいるから…あとは任せて、姉さん。」

泣きながらも頼もしい妹が治療をしてくれるのだ。きっと良くなる。……心の底から彼の言っていたことが起こらなくてよかったと思いながら目を閉じるのであった。

 

 

次に目が覚めたのはそれから1週間後だ。どうやら手術直後らしく体が重くて痛い……。

「目が覚めたか、胡蝶さん?」

「灘…君?」

「すまんな、邪魔してる。今日はしのぶさんに病人食とここのリフォーム施工の相談とかで来てたんだ。それに君の配属先もね。」

「り…りふぉ?」

「まぁ改築のことだ。君らの配属にあたり、この蝶屋敷を改築する必要がある。」

「ど、…どう言うこと?」

「それは私から言うね。」

 出てきたのは……洋装を纏ったお館様だ。それに…前見た時よりもがっしりしてるいる気がする。

「!?お館様?!!」

「あぁ、そのままで…。カナエ、いやカナエさん、竹取産業社員として働いてもらいます。配属先はここ、蝶屋敷で新しく設立する医療部門と音楽部門です。もちろん、妹さんもご一緒にです。」

私の呼び方もそうだが…、情報量が多いせいか空いた口が塞がらない。

「おや…かた…さま?」

「これから社長って呼んでね♪、胡蝶さん?」

「は、はい。」

「よろしい!じゃあ結月、いろいろ話を進めるからまた屋敷に戻ろう!」

「……とのことだ。それじゃあ…、追って仕事内容や研修とか知らせるよ…。病み上がりにすまない。」

「…んーん。大丈夫。ありがとう、灘君。このお花…私に?」

瓶の中に浮かぶ美しい花、まるで水中で花が舞を踊っているようだ。

「まぁな。…バーバリウムという薬品を使ったものだ。」

「綺麗…。」

「仲間に手伝ってもらったが…花とかは自分で選んだ。……これに込めた想いは 不枯花、不破夢(花は枯れず、夢は破れず)。君の夢は壊させやしないし、新しく夢を作ることだってできる。その…君は美しい、花のように明るく人の心を華やかにさせる。」

微笑む彼に…目を奪われてしまった。

「灘君…。」

「…だから君は笑って…生きて欲しい。しのぶさんや蝶屋敷のみんなと幸せに…。…じゃあ、またな。元気になったらまたなんか作るから…だから…生きろ。」

 そう言って…、彼は病室から去っていった。

今の私の顔はどうなってるんだろう色々ありすぎてごちゃ混ぜになっているが……、顔が熱い。

だって!私に美しいって!…それに…私や冨岡君を救った姿は…まるで天使のようだった!…ただでさえ身体的に息苦しいのに精神的にも締め付けるつもり?!何を言ってるのかわからないって?、私もよ!!

「…あまり…からかわないでよね…。」

ざわつく心を落ち着かせるために布団を被り、目を瞑るに出会った。

 

 

 そしてフラグはまた建てられた。

 

 

ー取得トロフィー&フラグ(仮)ー

・はい喜んで!!ー鬼殺隊食堂愛を込めてー

・瞬殺の上弦の弐

・結局使わなかったPW丸ー秘密兵器不使用ー

・童磨の心ー胡蝶名を持つ日本酒に惹かれてー

・異世界の泡沫乙女現る

・お館様乱入ー直接言いたい配属先ー

・ぎゆたん日記ー鮭大根食べたいー

・カナエ、恋心に翻弄される

・無自覚のフラグ建設ー社長はもちろん灘くんー

 

*1
ジューンブライドとは6月の結婚のことを示しており、その月に結婚すると生涯幸せと女神からの加護を得られると言われている。諸説あるがその女神様の由来は古代ローマとされており、ローマ帝国のあった地域であるイタリアやフランスはこの時期に結婚式を挙げることが多いらしい。

*2
Powder Wisteria flowersの略。Wisteria flowersは藤の花の英訳で、胡蝶カナエの紹介からしのぶと共に開発。要は藤の花の毒素を入れた廃棄小麦粉玉で粉塵爆発を目的とした用途である。ちなみに小麦粉は嫌がらせの意味を込めてカビ入りである。

*3
中国本土又は台湾本土から離れた在外中国人のことで現地の国籍を取った2世や3世は華人と呼ばれる。国籍は中華人民共和国又は台湾(中華民国)であり、日本だと在日中国人や当国(中国と台湾)以外で住む中国人のことを示す言葉である。ちなみに灘君たちは華僑の人たちともかなり仲が良く、すでに竹取産業に引き入れている模様。




ー大正コソコソ次回予告^o^ー

 上弦の弐を倒したことにより一気に隊士たちから注目されることになった灘君!このことによって原作キャラとも親密度が増してしまい……ついには本作内でめちゃいじられている不死川実弥が登場((((;゚Д゚)))))))
 面倒なことに勝負を挑まれてしまうのでした!(笑)
さすがおはぎなすけべ柱、やることが違うっ!(笑)(´・∀・`)

 ちなみにカナエ姐さんを悶えている様を見たしのぶはとても複雑な顔をしていたが、なんとなく理由を察したためこれまた複雑な気分になったんだってさ。

次回!!
「第十飯 おはぎ柱との決戦(笑)ー柔らかな甘さの3種のおはぎー

次回もまた見てねっ(*´꒳`*)
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