さて、今回は「俺は嫌われていない」男である冨岡さんがご来店です(´∀`)
ちょうど鮭もシーズンなので冨岡さん回に充てました^o^
みなさんはどんな鮭料理が好きですか?私は焼いた肉厚のシャケに醤油をたっぷりつけてご飯にかけて食べるのが好きです!(´∀`)
天高く馬肥ゆる秋。
この慣用句は秋は空気も澄んでいて、空も高く感じられ、馬が肥える様な収穫の季節であると言う意味だが……俗な意味では食欲の秋と解釈されることが多い。…俺たちの場合は間違いなく後者の俗な意味の方を選択する…それも必ずだ。
…考えてもみてくれ、秋って美味しいもの沢山出るだろ?さつまいもに新米、柿、さんまに鮭、いくらだぞ?思い浮かべないわけないジォノォイコ(江成)。春先でも同じことを言ったが、これは譲れない。うまいもの考えて何が悪い!
…それに芸術や読書だけじゃ腹は膨れない。生きるにあたり食べることは重要な要素だ。栄養が偏ったり食べ過ぎれば太ったり病気になるし、逆に食べなきゃ死んでしまう。秋は凍える冬の最後の実りの季節、今のうちに美味しいものを食べ、保存食などを作り置きして備えるのが古代から続く人間の営み。…だからこそ食は大事なのだ。
…まぁ、俺たちがただ単に食いしん坊なだけなんだけどな( ˘ω˘ )w
さて、あのカオス極まる楽しい宴から約1ヶ月半がすぎた。エレキギターなどの竹取産業楽器革命が起こったことにより食堂の増改築が行われたりと忙しい日々を送りながらも秋の味覚を調理し、舌鼓を打っていた。そんなある日こんな手紙が届いた。…面倒なので現代日本語に直して内容を記す。
〜食堂紬様〜
梅雨の時期のお約束を果たして欲しく、こちらを送りました。お時間のよろしい時に返事をよろしくお願いいたします。
冨岡 義勇
「……忘れてたよ…。…鮭用意しないと…。」
「ちわっ、三河屋でぇーす。」
某国民的長寿アニメのサブちゃん風に入ってくる弥太郎氏。
「…弥太郎氏?」
「お疲れ様です。実は昨日村上*1まで鮭の競りに行ってたんですよ。いやぁ〜、いいのが手に入りましたよ!」
弥太郎氏の持って入り箱の中には大きな銀鮭が3尾入っていた。
「…どうやってここまで…。ここまで列車使っても20時間はかかるのに…。」
「忘れましたか?俺の能力。…月歩と剃を使って休みながら行けば4時間以内には着きますよ(´ω`)。」
「…心底チートだよね、六式って…。」
「まぁ、自分でもそう思いますけどぶっちゃけこのぐらいの荷物しか運べないので後のは列車便で届けられる予定です。」
「なるほど…。」
「結さんは剃よりも機動力あるので今度月歩も教えますよ(´ω`)。」
「…それはマジでお願い。」
……便利だけどまた一歩人外化するような気がする…。…俺はとりあえず考えるのをやめて、鮭を捌くためにキッチンへと向かった。……ちなみに、はらこ(イクラ)も入っているようとのこと。これはどんな戦いも乗り越えれそう(小並感)
さて、まずは下拵えを始める。まな板に乗った鮭を捌くと…
「わぁ!スッゲェ!!」
叫び声が出るほどの綺麗なピンク色の身にルビーのように輝くいくらが姿を表す。さながらピンク色のバラを添えたピジョンブラッド*2のルビーである。
「これ絶対いいやつ!カマ*3とか焼いたら……あぁ!!日本酒と飯が進んじまう!」
刺身にしても良し、焼きも煮るも良しなこの鮭。を捌き終える頃には鮭大根以外の料理の構想がたくさん浮かんでいた。
「ちゃんちゃん焼き*4にはらこ飯*5、ホイル焼きに焼き鮭……、おにぎりも捨て難い。…いかんいかん。鮭大根をまず作らんとな…。」
鮭大根は白く輝く大根と鮭とシンプルな具材だが味に深みがあるのが特徴である。たまり醤油の濃厚な味付けと生姜の爽やかさ、砂糖の甘さに酒の豊かな香りが合わさった汁は鮭だけじゃなく肉や鰤にも合う万能汁と言っても過言ではないだろう。この二つの具材がこの汁に煮えて色が変わるだけでなく、具材の旨味も染み出し極上のタレに変化する。であればこれらの調味料もこだわらなくてはいけない。
酒は地元新潟の純米大吟醸、醤油は紀州のたまり醤油、砂糖は沖縄のサトウキビ由来の上物、さらに生姜は高知の名産品をセレクト。…これだけでもうまいしか言えないよね(´∀`*)
鮭大根の味見も完了し、はらこ飯を作る。出汁は昆布のあっさり目のもので鮭やイクラの味を生かす薄口醤油で味をつける。はらこ飯の炊き込み部分を完了した後はいくらの味付けに取り掛かる。酒と薄口醤油、味醂に昆布と鰹出汁の醤油漬けが今回の味付けだ。少し甘い味付けだがちらし寿司やカニや他の魚との丼にも合うため、作っている間は……常に美味しく食べる妄想をしてしまうのであった。
さて後は甘味や副菜、汁物を作ってゆく。汁物は熟成された猪肉とキノコたっぷりの牡丹汁。副菜は今が旬の里芋、油揚げ、椎茸、蓮根の煮物。甘味はさつまいもとりんご、カボチャの2種類のパンケーキだ。後は竹取産業食品部で作っているリンゴジュースで締める。
さて今回のお品書きは以下の通りだ。
飯物→はらこ飯
汁物→牡丹汁(猪肉、人参、こんにゃく、ネギ、キノコ、じゃがいも)
副菜→椎茸と里芋の煮物(油揚げ、蓮根)
主菜→大盛り鮭大根
甘味→2種のシフォンケーキ(りんごさつまいも、カボチャ)
飲み物→ほうじ茶、リンゴジュース
名付けて!ババンッ
「秋を食い尽くせ!!大満足鮭大根定食!」
今回のコンセプトはぎゆたんに感謝感謝だ。先日の約束を果たすことと良い鮭で作りたかったと言う単純な理由なのであまり捻りはない。
…鮭大根がメインなのはもちろんだが…いささか力を入れすぎてしまった。こんなうまそうな鮭や食材だぞ?力入れても問題ないだろ。
「ぐぅぅぅ……。」
それに俺の腹は限界に達していた。
…少しつまんだが……うまい。自画自賛通り越して本当に俺が作ったのかと感じるほどだ。……少し腹が膨れたのでぎゆたんに手紙を送ると数十分以内に店への中へと入ってきた。
「早いな。」
「あぁ。任務も早く終わったからな。」
「あ、冨岡さんいらっしゃい。湯沢さんが今日村上まで鮭をー。」
春君がぎゆたんにそう言うと、
「頂こう。」
とめちゃ食い気味に答える。やっぱり村上の鮭を出しちゃ期待するよね。
「じゃあ、用意するから適当に座って待っていてくれや。」
「あぁ。」
短い返事だがその目は期待に満ちていた。
御膳を出すと…ぎゆたんの目が輝き出した。…まるでこの世の楽園に辿り着いたかのような感じだ。
「いただきます。」
静かに一口、鮭大根を食べる。…すると目を見開き、箸を止める。そしてもう一口食べると…そこからは箸を止めることなく食べ進める。その顔は幸せそのものであった。他のはらこ飯も汁物もぺろりと平らげ、ほうじ茶で流し込む。
美味しいものを食べると無口になる、と言う言葉を体現するかの如く食いっぷりだ。…ちょっとだけ孤独のグルメに見えるのはここだけの話。
そう思っているとぎゆたんはこう口にした。
「…錆兎と姉さんに会えた。」
「…例の兄弟子とお前の姉ちゃんにか?…どの料理だ?」
突飛押しもない一言だがすぐに料理を食べての感想だと気づく。
「…鮭大根だ。……2人に会えた気がした。」
「そうかい。…おかわりいるか?甘味の前に出せるが。」
「頂こう。」
一口、一口噛み締めてゆく。少しずつポロポロと目から涙を流してゆく。…思い出に耽っているのだろうか…、それとも鬼がいなければあったかもしれない未来を見ているのか…それはここにいる冨岡義勇にしか分からない。…ただ…この料理で少しでも彼には味方がいる事を実感してほしいのだ。心と体に傷をつけながらも誰よりも優しい男である彼は味方が少ない。だからこそ俺たちは温かい料理を準備してここに来るのを待っている。
「…話半分でいい。冨岡、俺たちはお前のことを戦友と思っている。…鬼になって人を喰ったり、人でなしなことをしない限り、俺たちはお前の味方だ。金の無心以外であればいつでも頼ってこい。」
「……意外に制約みたいなのが多いな。」
「まぁな。ぶっちゃけ俺たちは血のつながらない他人だ。冨岡の姉ちゃんや寝食を共にした兄弟子のようにはいかない。それこそ金の問題は最悪殺し合いに発展するからな。あと女関係もな。」
「そうか。…俺は嫌われていないんだな。」
「まぁな…。だが他の柱とかは知らんがな。」
「!!」
心外って顔してる、はっきりわかんだね。まぁ、ぎゆたんの無口で口下手な性質のせいか人に嫌われたり、誤解されている。おそらくこの誤解は決戦が終わるまで解かれることはないだろ。だから俺たちはこの図太くも繊細な剣豪を見守ることにしたのだ。…それにこの誤解も解けたら、きっと俺たちの目指すハッピーエンドに大きな一歩になるだろう。
「……やっぱりうまいな、灘。」
「そうかい。ゆっくり味わっていけよ。」
表情には出ないがうまそうに食べる彼を見ながら、夜の部の開店準備を急ぐのであった。
ーカウンター席、冨岡義勇視点ー
そう、これは衝撃的だった。一口食べただけで見えた今は亡き蔦子姉さんや錆兎、両親に会えたのだ。たった一瞬だけ、されどその幻はもしもあったかもしれない未来なのだと思えた。思い出の味とは違うが、灘の作った料理は間違いなく思い出を引き出してくれたのだ。どれも逸品であるにも関わらず、どこか素朴な味わい…。それを作り出す灘は間違いなく神の手だ。
「…今日は少し飲みたいな…。すまない。」
近くにいた磯野に声をかける。
「はい。」
「酒を一杯もらいたい。」
「でしたら、今日はレモンサワーなんていかがでしょうか?」
「レモン…さわー?ならそれを貰おう。」
「はいっ、レモンサワー一丁!ついでに鮭とば*6もいかがです?」
「貰おう。あと鮭大根も。」
「はい喜んで!鮭大根と鮭とば一丁!」
「喜んで!」×5
奇妙な掛け声と共に出てきた鮭とばと鮭大根を摘む。味わい深い鮭の香りを楽しみながら酒を待つ。
「お待たせしました、レモンサワーです。」
カランと氷が鳴るのと同時に檸檬の爽やかで少し苦味のある香りがする。シュワシュワと聞きなれない音も聞こえる。
「この音は…。」
「炭酸の音です。最初は慣れませんが癖になりますよ!」
「そうか…。」
カランっと音を立てながら杯を口につける。…なるほど、これはすごいな、口の中が刺激で溢れかえっている。暴れる酒を喉へと運ぶと、その刺激は少し痛く、パチパチと胃の中へと進んでいく。変な感覚、痛覚に似た不快感、けれども飲まずにはいられない。この刺激がたまらない。そして同時に檸檬の苦味のある爽やかな味が突き抜ける。
「うまい。」
料理を食べる箸が止まらないのもそうだが、この酒もかなり進む。どんどん進んでゆく。少し微睡みながらも聞こえてくる音楽が心地よい。
「…はぁ……。錆兎、……なぁ、お前なら……。」
この心地よさは……一時の夢なのだろう。…あぁ、少しだけ…この心地よさに身を任せてもー。
そして、目覚めたら灘の家の一室で寝ていた。
「おはよう、冨岡。どうだ?頭は痛いか?」
襖が開き、彼が入ってきた第一声は俺を心配する言葉だった。
「大丈夫だ…、ここは?」
「俺の家だ。…朝飯食べるか?」
「あぁ、頂こう。」
「一応、昨日の代金は頂いたよ。身支度したら出してやるから早く顔を洗ってきな。」
…少しだけ子供の頃を思い出す光景だ。ついこう口からつぶやいてしまった。
「母さん…。」
「あ?母さんじゃねぇよ。…たくっ、飯食ったらちゃんと家帰って休めよ。」
「わかった。」
そして灘はこう言った。
「…お前という存在はお前しかいないんだ。お前の兄弟子や姉ちゃんが死んだ時同様に俺たちもお前が死ぬのは悲しい。……生きてまた…飯を食いに来てくれ。」
その顔は哀愁が漂い、ただただ心の底からの願いのようであった。……前にもあの5人にも同じことを言われたことがあった。生きろ、頼れ、そう言っていた。
(あぁ、俺は…幸せ者だ。姉さん、錆兎、鱗滝さん。)
空いた心の穴にゆっくりと、でも確かに暖かく優しいものが注がれているように思えた。
俺は…この暖かな気持ちと優しさを守りたい。
だからこそ俺は体を張れる。自分や他の隊士、そして命を奪われた者たちの無念や後悔の連鎖を断ち切るためにも俺は覚悟するのだ。俺は…皆を守る柱であると。
「灘…俺は柱ではないと言っていたが取り消すぞ。」
「…そうかい。ようやく理解したか?」
灘は時々変なことを言うが…呆れながらも俺の覚悟を汲み取ったようだ。
「ならば聞こう。お前は誰だ?」
答えは決まっている。
「水柱、冨岡義勇。先代の鱗滝左近次と兄弟子たちの意志を継ぐ者だ。」
「…そうか。…その意気や良し。同僚として言おう、共に励んでゆこう。その力、弱い者を守るために振るってくれよ。」
そう答える彼の顔はすごく穏やかなものであった。
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一雫の水はやがて大きな命を育む。その水は川のように力強く、凪のように穏やかな姿を見せる。水の呼吸、それはそんな水の様を描いた剣術である。
水のように激しく、そして穏やかに。これを極めし担い手がここに有り。
その名は冨岡義勇。先代と兄弟子の意志を継ぎ、鬼の殲滅に大きく貢献するがそれは今はまだ、先の話である。
ー取得トロフィー&フラグー
・食欲の秋、それ1番言われてるから(´∀`)
・約束のTー鮭大根始めました♪
・村上まで仕入れたんじゃ!ークセガツヨインジャッ!
・その鮭、新鮮につきー夢広がる鮭料理
・ぎゆたんインしたお!ーぼなぺてぃ?
・IFーもしもの未来
・郷愁のレモンサワーー小林私にインスパイアされました⭐︎
・俺の名は冨岡義勇ー水柱になる男だ(既に就任済)
・今はまだ、先の話。
ーコソコソ大正次回予告^o^ー
ようやく鮭大根のご馳走の約束を果たしてもらった冨岡さん。覚悟を決めた冨岡さんは原作以上の活躍をしたとか^o^
ちなみにこのレモンサワーは全て竹取産業製。炭酸水もレモンは灘君監修の元、かなりの自信作なんだって。あとレモンサワーを出したのは今のレモンサワーブームと小林私氏の「悲しみのレモンサワー」という曲からインスパイアを得たとか笑
さて、次回はなんと!甘露寺ちゃんが登場します!それに加えて未来の夫(原作だと来世)である伊黒さんも登場!
ブライダル部門に面接に来た甘露寺ちゃん。そこに灘君たちもその現場に同行することに!そして親方様の命令で甘露寺ちゃんの警備をすることになった伊黒さんもご来店することに?!
次回、
第十三飯 未来のご夫婦来店!ーうれし美味しい満腹定食(仮)
次回もお楽しみに!(╹◡╹)