今回は結構早くから構想が練れていたので投稿が早くできました!
…甘露寺ちゃんと伊黒さんが上手く表現できているかが心配ですが、かわうそ時空なので許してください…。
あ、そうだ!(唐突)
今回もカオス成分たっぷり(自称)だと思います。(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
…楽しんでもらえれば幸いです(≧∀≦)
日本において結婚式は9月から11月、3月から5月に行われるのが人気とされている。前話の童磨討伐の際にも触れたが日本では欧米のようにJune brideと言われる6月は梅雨の時期のため好まれない。また夏や冬も同様に結婚式には不向きな天候になるため、天気の安定する9月から11月と3月から5月がと日本でのマリッジシーズンであると言えよう。
さて俺たち、特に春君がプロジェクトリーダーを務めるブライダル部門のスタッフの採用や教育のマニュアルが熟成し、機能してきたころこんな知らせが入った。
「大変です、結さん!」
下拵えの手を止めて春君の呼びかけに応じる。
「どしたの春君。そんなに慌てて。」
「こ、これを見てください!!」
「これ…履歴書だね。……は?」
そこに書いてあったのは原作では恋柱として活躍するお色気担当の甘露寺蜜璃のプロフィールであった。
「あいえー!!なんで甘露寺ちゃん?!」
「わかりますよその気持ち!まだ13歳で応募するとは…。」
「とりあえず俺と弥太郎氏に春君、あと新人研修中のカナエ姐さんで面接しよう。他の子たちの面接は?」
「既に終わってます。あとは甘露寺ちゃんのみです。」
「…よし。じゃあすぐにでも面接の案内出して。場所はブライダル部門の事務局、時間はお昼過ぎにしてくれ。あと日にちは今日から一週間後にして、藤乃運送(竹取産業流通部門)に速達で頼む。」
「了解です。…ところで新人研修中のカナエさんも同行ってどういうことですか?」
「彼女は医療部門でもあるが音楽部門の社員でもある。…そう言えばわかるだろ?」
「まさかっ。」
「そのまさかだ。現代のよりもクオリティーが高く、結婚や引退してもそのまま食っていけるアイドル達をプロデュースさせるのさ(^ω^)」
「まさか…TO○KIOやちょろご○ズ、ヒプ○ス並み以上のクオリティーを…!?」
「もちろんやぁ。みんな幸せになれるプロジェクトやぁ。」
主夫ヤクザな顔と言動をしていました、磯野談。
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とりあえず弥太郎氏とリハビリが明けで研修中のカナエ姐さんを事務局まで呼びつけて面接の打ち合わせをする。
「…あの、私もこの会議に参加して…いいものなの?」
「いいも何も胡蝶さんは今後採用活動にも取り組んでもらう。その研修とアイドル発掘もしてもらいたいからね、その第一段階でもあるから尚更出てほしい。」
「わかったわ。…湯沢さん?」
顔を赤くして緊張しているようだ。前世だとそこまで意識していなかったみたいだが、今世は極端に女性に弱くなったとのこと。……難儀な転生だとぼやいていたのはここだけの話。ただ仕事モードになればあまり気にしないとのこと……人って不思議だね( ´Д`)。
「…すまない。もう少しで仕事状態になるから触れないでくれ。」
「え、えぇ。」
「この中で採用に1番関わってるからね。面接に関しては彼が復活したら話そう。…まずはこの資料に目を通してくれ。」
出したのは甘露寺ちゃんのプロフィールだ。
「応募者は甘露寺蜜璃さん、13歳。…まだ成人前だがこの会社の結婚・ブライダル部門に配属を希望とのこと。将来的に考えてこっちで計画している学校法人竹取学園の女学校*1にも入学させようと思っている。」
「なるほど。…少し試験的な面もありますが良いと思います。未成年ということも考えるとやはり仕事よりも先に学が必要。となれば高等教育を受けさせて、今後の人材として育てる、良いと思います。」
「女学校まで作るのね。青田買いもいいけど…問題は私の音楽部門。その甘露寺さん、あいどるにするとのことだけど…。ごめんなさい、あいどるの事がいまいちよくわからないからなんとも言えないけど。」
「僕から説明しますねカナエさん。アイドルは外国語で偶像崇拝という意味です。このアイドルとはいわば偶像、つまり祈ったり縋ったり応援される人物や団体のことであることを定義しましょう。…その人物や団体で如何に観客やお金を落とせるか、好きになって応援してもらえるかが大前提なのです。この偶像崇拝を生み出す方法として幾つかのやり方がありますが、今回我々が取る方法は歌や音楽でこれを作り上げます。」
「なるほど、だからこの私も必ずいなければいけないってことなのね。…歌や音楽で…そんな宗教的な事ができるのかしら…。」
「あくまでも音楽にお金を出してもらえるかなので宗教とは違いますが…、ある意味似ています。ですが宗教と違うのは心の拠り所が神仏や教祖ではなく音楽とその音楽や歌を奏でる人がミソなのです。要は尊いをお金で売るのですよ( ˘ω˘ )。」
「最後のはいまいちピンとこないわぁ……、けど今のでなんとなく気付いたわ。熱狂的な信者にお金を払ってその音楽を聴いてもらったりその人?に会いに来てもらうみたいなものでいいかしら?」
「それですよ。さすがカナエさんです。」
「あれ?あってたのね…。…それで選考基準とかってあるの?」
「あるにはあるな。」
復活した弥太郎氏が話す。
「選考基準は見た目の良さや一芸に秀でた人間。それだけでなく、向上心の有無や勤勉さ、物事に対する柔軟さなども求められる。後者に至ってはこちらの部門にも言える事だな。」
「なるほど。…ところでしのぶも一緒の部門だけど…。」
「彼女は薬剤師とアイドルとしての採用です。一応カナエさんもアイドルとしてやってもらいますが、基本はアイドルたちの教育やプロデュースをしてもらいます。加えて医療部門のスタッフとしても研修してもらってるのでかなり負担は強いています…申し訳ない。」
「通りで歌や踊りのレッスンがあると思ったわ。…それでこの選考基準はあいどるとしてよね?社員、生徒としての面接の基準は?」
「さすがだ、そこに目をつけてくれると思ったよ。面接官しての面接で見る箇所は志望動機、その人の得意不得意分野、あとは将来的にこの会社でやりたい事、この3点だ。具体的にはここで何をしたいか、何が得意で何が苦手か。あとは苦手分野の克服するためにしたことやそこで学んだこととかを少し掘り下げて聞いていかなくてはならない。」
「…そこまで聞かないといけないのね。」
「まぁ、今の世の中ならそこまで聞かなくても縁故や嘆願、住み込みで働くと言うやり方が多いが、俺たちの会社は決して財閥のように大きくはないがそれなりの規模だと思っている。適性やその仕事に傾けられる熱量があるか、その人の人間性とかを見て採用していかないといずれその会社は崩壊する。右倣えだけではダメなのさ。…もっともお館様が最終決定をすることになっている。あくまで俺たちは宝石の原石を見つける仕事だ、そこで真の宝石にするのはお館様とこの会社だ。」
「…責任重大ね。」
「まぁ面接は俺たちも関わるからな。胡蝶さんだけには負担はかけないさ。」
「灘君……。」
「話を進めるぞ。この履歴書から質問を作るぞ。まずは俺からな。」
俺たちは面接に対する会議を終えて、その後は普段通りの日常が過ぎていき、面接日へと時間が進んでいった。
「き、緊張するわ。(・_・;」
「大丈夫だよ、胡蝶さん。…リラックスして、深呼吸。」
「すーはーすーはー(・_・;。」
「よし、行こう。」
だいぶ緊張しているようだ。…あとで飯作ってやろう。
時間になり、ノックがなる。
「どうぞ。」
「し、失礼します!!」
花澤ボイスがドアの前から聞こえる。
(キタコレ!!あいつら羨ましがるだろうな!!)×3
内心興奮しつつもドアを開ける彼女をじっと見る。着物を着て、精一杯のおめかしをして来ているようだ。髪はすでに桜餅色の綺麗な桜色と若草色だ。
「こ、こんにちは!きょ、今日はよろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いいたします。麻布區 *2からお越しいただき、誠にありがとうございます。ではこちらにお掛け下さい。」
春君の促され、断りを入れてから椅子にちょこんと座る。その様子が年相応の反応で少し癒された。
「では甘露寺さん、本日は
「は、はい!か、甘露寺蜜璃です!本日はよろしくお願いします!」
「よろしくお願いします。では、早速ですが質問の方をさせていただきますね。甘露寺さん、あなたが当社結縁館の従業員の応募をしたきっかけを教えてください。」
「はい!え…あれ?私、えっと…。」
(これは…緊張して白くなった感じだな…。)
あたふたしているところに弥太郎氏が言葉をかける。すごく優しい声色で甘露寺ちゃんを落ち着かせる。
「湯沢です。甘露寺さん、大丈夫ですよ。ゆっくりでいいので落ち着いてからでも問題ないですよ。そうだ!では聞き方を変えましょう!ここに応募を知ったのって何時ごろですか?」
「えっと…7月の中頃です。近所の張り紙で知りました。」
「ほう、なかなか暑い時期に知ったんですね。その張り紙を見て思ったや感じたことを教えてください。」
「はい、…とても綺麗でした。お婿さんとお嫁さんが仲睦まじくしている絵を見て私もこんな未来を描けるのかなって思いました。」
「なるほど、そうですか。このことを聞いたら張り紙を作った人間も大喜びですよ。恐らく説明会にも来ていたと思いますけどどうでしたか?」
「はい、いきました!…みんな私よりも年上の方ばかりだったので緊張はしました。けど、私はここでなお一層働きたいと思いました。」
「なるほど。」
一見関係なさそうな質問、けれどもこれは甘露寺ちゃんの志望動機を聞くための行動だ。徐々になぜ働きたいかを聞いていくようだ。13歳である甘露寺ちゃんだからこそ、この聞き方は良かったようだが春君はわからなかったようだ。
「ちょっと湯沢さん、関係ない質問はー。」
「磯野君、少し黙ってくれ。今は甘露寺ちゃんの志望動機を聞いているところだ。」
ようやく春君は弥太郎氏の真意に気づいたようだ。ただし、まだ胡蝶さんはあまりピンと来ていないようだ。
「!?……!!わかりました、失礼しました。」
「失礼。では続けますね。働きたいと思った時にどんなことを考えましたか?あとどんなことをしたいと思いましたか?」
「…私は人の幸せを見るのが大好きです。両親や兄弟の笑顔を見るたびにとても満たされた気持ちになります。…その中でこの気持ちが溢れかえった事があります。それが結婚式でした。新郎と新婦が仲睦まじく白無垢を着て、幸せそうに微笑むのを見て……とてもきゅんきゅんしました。私のこんな幸せな未来を想像する度にとても幸せな気持ちになりました。…そんな時に結縁館の張り紙の言葉に感銘を受けました。幸せを作るお手伝い、その言葉を初めて見たときに私も人の幸せのお手伝いをしたいという思いが生まれました。ここで働く事ができたらきっとそれが実現できると思うっています!」
「なるほど、素晴らしい思いです。」
ようやく磯野君が復活したようだ。
「幸せを作るお手伝い、これは私たちが掲げる理念ですが実はもう一つあるんです。…人との縁を結び、繋げる。結婚式は当人のみならず様々な人たちの縁を結び繋げます。そんな場所を作り上げて行く事が我々の使命、甘露寺さんのような素晴らしい方を採用したいと考えています…。しかしあなたはまだ未成年、当社では正規雇用できないのです。」
「…そうなんですか…。」
明らかに気落ちしているようだが本題はここから。甘露寺ちゃんスクールアイドルプラン(仮)始動だヽ(´▽`)/
「ですがそんな方をこのままお返しするのは愚の骨頂。そこで我々の提案を聞いていただけませんか?」
「提案…ですか?」
「えぇ、ここからは担当の灘と胡蝶が説明させていただきます。」
「灘です。ここからは私と胡蝶がご説明といくつかの聞きたい事があります。」
そう言うと先程と違い、気を引き締めた顔をする。…コロコロ表情を変える本当に面白い娘だ。
「甘露寺さん、女学校に通いながらアイドルをしませんか?」
「あい…ど…る?それってなんですか?」
「アイドルは歌と踊りをして見るものを惹きつける職業のことです。もちろんお給金も出ます。」
「えぇっと…。」
「いきなりですみません。1から説明します。まず甘露寺さんには当社系列の女学校に入学してもらいます。そこで先程のアイドルのお仕事と学業、更に結縁館でのお仕事もしてもらいます。」
「えっと…、それよりもつまり私は…雇ってもらえると言うことですか?」
「はい。正確には正規雇用、ではなく非正規雇用です。普通の場合は勤務時間は約8時間から9時間ほどで月20日ほどの勤務になりますが、甘露寺さんの場合はそれよりも短い月3日から10日の3時間から5時間勤務での契約になります。」
「!そんなっ、私、それ以上に働けまー!」
「落ちついてください。たしかに短いですが、理由があります。…先程のアイドルのお仕事も兼ねての契約なのでそのようになっているだけなのです。それに…この職業も人の幸せを作るものなのです。」
「…幸せを?」
「はい。まだ未成年ということもあり、学生として教養などえてもらいたいのもそうですが、最終的には結縁館だけでなくこの竹取産業会社の一員になってほしいのです。」
「へ?…でも私ー。」
「髪の毛の色と力、大食いのことですよね?」
「!!どうしてそれを!?力のことはある言ってはー。」
焦りと恥ずかしさで林檎のように赤くなっている…。いい反応だ(大○明夫風)。
「申し訳ないが、こちらで全て調べさせていただきました。もちろん、全員の情報もです。…甘露寺さん、あなたには人を惹きつける才能を持っている。その力も髪の色も全て甘露寺さんの個性で誰も持っていない唯一無二の武器で魅力でもある。……私たち会社でその力を奮っていただけないでしょうか。」
「私からも。甘露寺さん、私からもお願い致します。」
そう言って俺たちは甘露寺ちゃんに頭を下げた。同時に皆も頭を下げる。驚いた顔をした甘露寺ちゃんは
「頭を上げてください!!その、私…初めてでした。家族以外で…この力も髪の色も大食いも……気味悪がられていました。…そんな方達にお願いされるのであれば……不束者ですがよろしくお願い致します。」
そう言うと頭を下げた。
「…甘露寺さん、ありがとうございます。正式な採用等は社長面談後にお送りいたします。…ではここからは入社や入学に関する説明をさせていただきます。では胡蝶さん。」
カナエ姐さんに色々諸々説明の方をさせる。初めてと言うこともあり、俺たちもフォローに入ったが、概ね大丈夫そうであった。そして俺たちはこの後のこともすでに計画していた。
ノック音が聞こえ、扉が開かれると春君の秘書が入ってきた。
「失礼致します。伊黒様がお見えになりました。ここにお通し致しましょうか?」
「構いませんよ。お願いします。」
そう言うと一礼してナイナイ(伊黒)を連れてくる。
「…どういうつもりだ、灘?俺はお館様からここにくるように言われたが……なぜ貴様がいる。」
「よぉ、伊黒。すまんな。…ただここから先はお館様からの命令だと思え。」
「?!貴様、何を!」
「すまん伊黒。俺から補足で言わせてもらうが、これはお館様からの決定事項だ。」
「……。それで、用件は?」
「用件は鬼殺隊の柱としてこの娘の護衛任務に就いてもらうと竹取産業芸能課の社員としてこの娘の付き人になってもらうことだ。」
「……は?」
当然、この反応はわかっている。
「お館様も承認しているんだよな?」
「そうだ。」
はぁとため息をつき、甘露寺ちゃんを見ると……かなり驚いた顔をしていた。…十中八九見惚れていたのだろう、間違いない。
「あのぉ…。」
この空気に耐えられずに甘露寺ちゃんが声をかけた。
「……驚かしてしまいすまない。俺は伊黒小芭内という。君の付き人兼護衛になるそうだ。よろしく頼む。」
「は、はい。甘露寺蜜璃です!よろしくお願い致します!」
そう言った彼女に顔を赤くしながら頷く。……意外に早くフラグ立つんすねw
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何個か質問などを終わらせて、お開きするという時に甘露寺ちゃんから大きなお腹の音が鳴った。
「くぅぅぅきゅるるるる。」
「ご、…ごめんなさい。」
「ハッハッハッ、だよな。こんな緊張するようなことをしてるんだ!そりゃ腹減るさ。」
「ひ、ひどいですよぉ…!」キュゥゥゥゥ(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)ハゥハズカシイ
「おい灘。彼女をいじめるな。」
そう言うと睨みを聞かせる。…一目惚れですねわかりますw
「待て待て、伊黒。忘れてないか?俺が何者かをな。」
「…。回りくどいことをするな、アホめ。さっさと案内しろ。」
「口が悪いなぁ。…甘露寺とよばせてもらうぞ。甘露寺、これから時間は空いているか?甘味を作ってご馳走しよう。普段は料理人してるからな、クソうまいもん食わしてやる。」
「!!本当ですか!!…その…、今日、お土産を持ってきたんですけど…如何ですか?」
そう言って、フロントに預けていた大きめの瓶を取り出して中身を見せた。香る濃厚な蜜の匂い、最古の甘味である。これだけでも上物だと分かる品だ。
「こ、これって!」
「うちで採れた蜂蜜です!味にも自信があるので使ってください!」
「…こんないい蜂蜜を…。ありがとう。」
「甘露寺さん、こいつ 料理の腕は 確かだから期待しても問題ないぞ。」
「一言余計だ伊黒。またお前の家にくさや送るぞ。」
「ヤメロォ!焼いたら臭いが落ちなかったぞ!」
「へぇ、焼いたんだぁ?味は?」
「…オイシカッタデス…。」
「ぬぅあんだってぇ?オイシ?なんだ?w」
小声で最大級の煽り顔で伊黒に挑発する。某掲示板の創設者のように返す。
「うるさい!だからなんだ!」
「それってあなたの感想ですよね(ひ○ゆき顔)?」
「貴様ぁ…、いつか殺す。」
「おやおや?矛盾してますねぇ?美味しかったんだよなぁ?それを作る俺を殺したら、食べられないよなぁ?」
「〜〜!!!(ꐦ°᷄д°᷅)」
「あのぉ…私…くぅぅぅ〜、はぅぅぅ(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ!」
どうやら甘露寺ちゃんのお腹は限界のようだ。くさやの話だけでここまでお腹が鳴るのにびっくりだが、それ以上に甘露寺ちゃんの羞恥心と真っ赤になってお腹の減りを抑えようとしている様子がかわいそうになってきた。
「伊黒も来るだろ?」
「……甘露寺さんが行くのであれば。」
「私、行きたいです!!」
「なら決まりだな。」
少しだけ甘酸っぱい気分だ。
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食堂に着いて真っ先に食パンを炙り、バターを塗ったトーストを出す。
「蜂蜜をそのトーストに塗って食ってくれ。後でうまい甘味作るからこれ食って待っててくれ。あと伊黒のはこっちの奴な、食いにくかったら言ってくれ。」
ご存知の通り、ナイナイの口は幼少期の生家にいた時に大きく裂かれたのである。今(大正時代)の整形技術では治せないため、自然治癒力を活かしても大きく裂けたままなのである。…そのため素顔を見せるのに対してコンプレックスを抱いている。もっとも彼の出自自体に問題があったためそれ以外にもコンプレックスがあるが今はここだけの話。
ちなみに素顔に関しては俺たち転生組は確認、本人も了承済みなのである。あと補足だが鏑丸も同行している。大人しくしていたので後で生卵をやると言うと嬉しそうに首を縦に振っていた。
「わかりました!楽しみです。」
「わかった。」
伊黒用の衝立を立てると甘露寺ちゃんは素直な疑問を問いかける。
「どうして衝立を?一緒に食べましょう?」
「すまない、甘露寺さん…そのだな…。」
言葉に詰まるナイナイに春君がフォローを入れる。
「実はですね、伊黒さんは人に食べているところを見られるのが嫌いなんです。少食なのを揶揄われてから特に。…なので申し訳ないですが衝立をさせて貰いますね。」
「…そう言うことだ、すまない。…せっかくのご飯を不味くしてしまー。」
「そんなことありません!……衝立があっても一緒に食べられます!…一緒に食べませんか?」
「…甘露寺さんがよろしければ…。」
「やった!…ごめんなさい。…いただきます!」
2人とも美味しそうにトーストを齧っていた。あとはこちらがスイーツを作る番だ。待っていろよ、少食の皮肉屋に素敵な健啖家。胃の容量は十分かな?(EM○YA風)
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ーカウンター席、甘露寺視点ー
憧れの結婚式に携わる仕事と…あ、なんだっけ?あい…どると言う仕事をすることになりました!私、歌や踊りは弟たちと遊ぶ時しかしてないけど…大丈夫だよね?(汗)それに私が新しくできる女学校に行けるのも本当に楽しみ!(*´∇`*)
今日の面接をした人たちも素敵だったわ!まずは磯野さん、あの人の雰囲気がすごく柔らかくてまるでお餅みたいだったわ!多分普段は違う雰囲気なのかもだけどすごく丁寧な人だと思うの!さっきの伊黒さんへの配慮、素敵だわ!(*´꒳`*)
次に面接で話してくれた湯沢さん、すごく古風でまるで金棒のように強い人ね、多分。けれども…すごく優しい人だったわ!私が緊張して話せなかった時も優しく話してくれたことや私の言いたかったことを引き出してくれたの!…それに湯沢さんからあんこの甘い香りがしたの!きっと井村屋の大福ね!あそこの大福を食べている人に悪い人はいないと思うの!(๑˃̵ᴗ˂̵)
次は胡蝶さん!面接ではあまり話さなかったけど食堂に行くまでの間たくさん話したの!なんでも妹のしのぶさんという人も私と同じお仕事をするんだって!まるで花のように可憐で素敵な人だわ!私ともお仕事上、一緒にやることが多いから仲良くしたいわ!(〃ω〃)
次は灘さん!胡蝶さんと同様に面接ではあまりお話をしなかったけど湯沢さんと同様に強くて優しい人だわ!料理人をしているみたいで私の家の蜂蜜を見て、とてもいい蜂蜜だっ、ですって!キャー(≧∀≦)
とてもいい匂いをしているからきっとお料理もすごいんだなって思うの!
最後に伊黒さん、あの人は…紳士的で…なんだろう、ドキドキする。吸い込まれるような黄金と翡翠の瞳、優しい声色…。それに私のお仕事のお付きをしてくれたり守ったりするんだと考えると…キュンキュンしちゃう!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
いけないいけない!今はこの美味しい西洋の食べ物をあったかいうちに頂かないとね!いただきま〜す!
「美味しー!!サクサクでふわふわで濃厚で!!なにこれ!!」
「確かに…。前に灘が言っていたがこれはパンという西洋の主食らしい。小麦を粉にして発酵、窯で焼いたものだそうだ。それに牛の乳で作ったばたーという塊を塗りつけたり、果物の砂糖煮を付けて食べるとのことだ。」
「なるほどぉ!」
「…しかし、これは前食べたものよりも硬いようだ。…恐らく窯で焼いた柔らかいパンを更に炙ったものだな。」
「柔らかいのにカリカリサクサクするのはそう言うことなんですね!…それにうちの蜂蜜もこんなに美味しくなるなんて…。」
「…君の家の蜂蜜はとても上質なものだ。極めて遺憾だが灘が作ったパンと更に合わさって美味しくなったと思う。」
口ではこう言ってるけどサクリとたてる音は美味しいって言ってるみたいですごく…嬉しかった。だって私と同じ気持ちなのだから。
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さて、2人が食べている間に今日のメニューであるスイーツを作り上げる。まず作るのは極上のハチミツに合うパンケーキだ。果物をたくさん使うのもいいが、今の季節は秋。苺も春先しかならないしバナナなんてもっての他、今の日本じゃ手に入らない。……こんなことなら柳川集落で温室栽培の基盤を作って、東南アジアから輸入すればよかったと悔やんでいるところだ。
「…シンプルに行くか。」
パンケーキというよりホットケーキを作る。この時代にはホットケーキミックスなんてないので薄力粉、砂糖、ベーキングパウダー代わりの重曹を入れ、卵と牛乳を合わせる。滑らかになるまで混ぜたら、適量をお玉に入れて油を敷いたフライパンで焼く。今回は甘露寺ちゃん来店なので彼女用に15枚焼き上げる。
「どれ一口もらおか。」
小さく焼いた生地を食べてみる。ほんのり甘く、卵の濃厚な香りに満足しつつも生前食べたものよりも少し美味しくないような気がする。…やはりベーキングパウダー…必要だよなぁ…。早くドイツから輸入して、量産しないと…(使命感)。まぁでも、蜂蜜かけるし…大丈夫だよね?
次はやはり飲み物だろう。口の中をさっぱりさせるものもいいが、やはりここは 甘い+甘い=幸せ 、要は甘い飲み物を出そうと思う。まずはシナモンや砂糖でつけた林檎を用意する。次に檸檬を搾り、漬けた林檎と漬けた液を弥太郎氏たちが作ったブレンダにぶち込む。あとはブレンダーの紐を引っ張り、細かくした後は念入りに合わせたものをすりこぎで更に潰す。潰した原液をコップに入れて炭酸水で割る。
「一口…ピャァァウマイィィ!」
品種的にも酸っぱめの林檎と氷砂糖の甘さ、シナモンの香りが口の中に広がる。加えてレモンのアクセントがたまらなくいい!果物のつぶつぶも入ってるからとても贅沢な気分に…あぁ堪らないぜ!これはもう海産物一家の婿殿みたいな名言が出ても不思議じゃないよね(^ω^)。
「焼けたかな?焦げ目がセクシー、エロイッ(810)」
オーブンを中を見るとすでに準備していたリンゴとさつまいものケーキが焼き上がっている。弥太郎氏の生前のおふくろの味を再現したもので、バナナが入っていたところをさつまいもに代用したものだ。これにもシナモンが使われている。…改めて思うけどシナモンっていいよね。嫌いな人はいるけど…この匂いには抗えないよね(╹◡╹)。リンゴの焼ける甘い香りに更にクリームを乗せれば…、優勝シチャウワネ、ヤダコレオイシソォー!(一般人大蛇丸)
加えて林檎、栗とかぼちゃのペーストのクリームチーズサラダだ。味付けはもちろん甘いのでサラダとは言えないが、カボチャと栗の濃厚な甘さとりんごの爽やかさ、そして甘めのクリームチーズが包み込むこのサラダは間違いなく甘党大絶賛のものである。某実在した名馬を女の子にしたゲームのMMさんが食べたら「パクパクですわー!!」
と叫ぶほどだろう。わかるよ、俺も止まらなくなりそうで怖いもの…。
さて、今回は以下がお品書きだ。
・ホットケーキ〜with甘露寺家の蜂蜜
・林檎とかぼちゃの焼ケーキ〜生クリームは添えるだけ
・かぼちゃと栗のクリームチーズサラダ
・林檎ソーダ
・コーヒー、紅茶
題して!ドドン
色々混じっちゃったけどコンセプトは「甘露寺ちゃんの胃袋を掴んじゃえっ!」だ。折角入社してくれるんだもの、食からこの会社を好きになってもらいたいジぉョノイコ(江成)。やっぱり彼女には戦いなんてさせたくないからね、将来的にはナイナイと幸せな家庭を築いていってね!(ゆっくり)ちなみに僕らのハッピーエンドの条件の一つにナイナイと甘露寺ちゃんが結ばれるというのが入っているのでとりあえず今時点での第一段階はクリアというわけだ。ん?第二段階?そんなもん恋の呼吸(意味深)をして伊黒Jr.ができた時に達成するんだよ…え?恋の呼吸は余計?(・ω・`)
…それに甘露寺ちゃんやしのぶさんのアイドル姿、見たいよね、ね?(同調圧力)
さて、煉獄同様な食いしん坊を制圧しちゃいますか!(´∀`)
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大量のスイーツを運んで行くと、そこには涎を垂らし極限状態の甘露寺ちゃんが待っていた。
「はい、おまちどうさん。…伊黒も食べるか?」
「いや、あれで腹も膨れたからいらん。」
「そうか。なら飲み物は飲んでけ。…コソッ、その包帯してても飲める棒があるからそれを使ってくれコソッ」
「…恩に着る。」
「灘サンっ!これって!!」
「ふっふっふっ、秋の食べ物を使った西洋風甘味だ。このホットケーキの上から蜂蜜かけるな。」
上から蜂蜜が降り注ぐ様はまるでシャンパンタワーのように艶やかであった。
「うわぁ〜!すごい綺麗!!」
「さ、これで完成だ。お上がりよ。」
「いただきます!!」
一口食べるとパァッと花が開いたように笑顔になる。
「おいっしぃぃぃい!!」
「その飲み物も飲んでみな、癖になるぜ。」
「俺もいただこう。」
ナイナイと甘露寺ちゃん同時に林檎ソーダを飲むと2人して同じようにびっくりする。
「なんだこれは!毒か!?」
「いや、毒じゃないよ。これは炭酸って言う奴のせいだよ。飲み慣れるまで時間はかかるが癖にー。」
「おいしい!!パチパチってグワァーって!それにこれって林檎ですよね?すっごく爽やかで甘いです!」
「甘露寺さんの言う通りだ。」
「……お前の掌返し……キレッキレだな。…隠し味にレモン汁も入れているんだ。さっぱりするからな。」
「…。この刺激…確かに癖になってくるな。」
「だろ?」
「…不服だがな。」
「一言余計だよネチ柱。」
「誰がネチ柱だ!」
「甘露寺さん、このケーキも食べてみてくれ。」
「オイっ!((((;゚Д゚)))))))」
ネチネチするナイナイをスルーし焼きケーキを食べる。
「!!おいしい!!林檎とさつまいもがたまらないです!」
「だろ?でもこのケーキは完成じゃないんだ…。バナナという果物があるともっとおいしいぞ?」
「!?本当ですか!!」
「あぁ、今度手に入ったら2人で食べに来な。」
「はいっ!!」
「お、おい灘。」
コソッ「なに考えたんだい伊黒ぉ?」
「!?!!?!」
声にならない絶叫をするナイナイ、甘露寺ちゃんのことになるとこんなポンコツになるの…超面白いね(´∀`)
それからスイーツや飲み物を楽しんだ2人は満足な顔をして店から出ていった。…問題は甘露寺ちゃんが同じメニューを3周くらいしたため小麦粉や林檎、砂糖が在庫切れになってしまったのだ。
「さ、さすが甘露寺ちゃん…。…これは今日の営業は中止にしたほうがいいな。明日になれば昼の分は届くだろうから明日に備えて早めに閉めるけど…いいかな?」
「意義なし!(´∀`)」×5
皆も同意見のようで張り紙を用意し、暖簾をしまう。
「そういえばこんな早く閉めるのってなかったですよね。」
ここで解散するのもなんだから、5人に宅飲みを誘う。
「だな。…なぁ、この6人で俺の家で宅飲みしないか?なんか持ち寄ってさ。」
「いいですね!磯野君たちは?」
「僕も賛成です!ちょうどカラスミもありますし!」
「はあぇ〜、いいっすねぇ!(肯定)」×3
「決まりだな。じゃあ18時ごろに俺の家に集合な。」
「賛成!!」×5
秋の夜長、自宅で飲んで歌って過ごす楽しいひととき。温かい鍋やおつまみをつまみながら、美味い酒を飲む。心内を知る仲間と共に過ごした夜はきっと今世で年寄りになっても忘れないだろう。
_____________________
ー甘露寺邸までの帰り道、伊黒小芭内視点ー
甘露寺さんを送るまでの道のりで様々な話をした。髪の毛の色の話や灘たちの話、仕事の話なんかをしていた。お土産を持ち、楽しそうな笑顔を浮かべる様は桜の精霊のように美しかった。
「俺は君の付き人兼警護と言われたが…付き人の仕事について何か知っているか?」
「特には言われていないです。その……伊黒さんは不気味じゃないんですか?見ず知らずの桃色の髪や大食いのことも…。」
「…甘露寺さん、俺は君の容姿もそうだがその優しい心に魅力を感じるよ。多分だが灘達はそんな君だからこそ採用したんじゃないか?」
「そ、そうですか?」
少し赤くなりながらも笑顔でそう答えた。
「……奴らはなにを考えているか時々わからなくなるくらい突拍子もないことをする。…だがどれも生活を楽しく、便利にしていくんだ。…遺憾だがな。」
「ふふふっ!」
「…どうした?」
「伊黒さん、今もあの食堂でもとても楽しそうだったもの!私も楽しくなって笑ってしまったの!…それに伊黒さんと同じく私そのものを見てくれた気がしたの。だから嬉しかった。」
そう答えるかの彼女の回答に俺は素直にこう言った。
「…確かに、あいつらは…そいつの心を透かして見てくる。……素直な自分を見てくるから少しムカつくが、飾り気なく接してくれる。俺の過去を知ってもなお…だ…。」
「伊黒さんの過去…。」
「…いずれ話すさ。今はまだ話せない。」
「…待ってます。…そうだ!まだ灘さんや胡蝶さんのことをもっと知りたいので教えてください!もちろん伊黒さんのことも!」
飾り気のない優しさ、彼女だからこそ灘たちは仲間として引き入れたのだろうと思えた。…そんな彼女に心を惹かれている自分もその1人なんだろうと呆れつつも、どこか温かい気持ちになれた。…呪われた血を継ぐ俺には勿体無いものだが…、今はこの気持ちに素直になりたい。
「そうだな、じゃあ灘のことから話そうか。」
だが勘違いするなよ灘、調子に乗るのは別問題だ。覚悟しろよ、お前の異名を甘露寺にバラしてやるからな( ˊ̱˂˃ˋ̱ )!
_____________________
ー???ー
一つ歩むは夫婦の道、二つ進むは心のままに。この2人が来世ではなく今世で幸せになれるその日まで僕らは見続けよう。
力強き桜の乙女とそれを支える知の蛇、彼らの道は険しくも明るい。彼らの物語は今始まったのである。
ー習得フラグ&トロフィー
・甘露寺ちゃんの採用試験ーキュンキュンしちゃう!
・役職コワレチャーウ!ー10代で背負う役職多すぎっ!?
・未来の夫婦の邂逅
・甘露寺ちゃんご来店!ーいくぞっry(諏訪b
・早い閉店ージャケンヨルノミマショーネ!(´∀`)
・2人ぼっちの帰り道ー弾む談笑、ツンデレ小芭内
〜大正コソコソ次回予告(^o^)〜
甘露寺ちゃんの伊黒っちの邂逅に成功した灘君達。
スクールアイドル(仮)として活躍する様子を妄想して現代の曲や作曲をしているんだってさ!
あと伊黒っちが成長していく彼女にどんな反応をするのかとゲス顔で楽しみにしているらしいよw
ん?僕の顔もだって?ハハッソンナコトナイヨ(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎
さて、次回は影は薄いけどキャラ立ちしている村田さんが登場!女学校ができるため入学予定の生徒や教師陣を確認する灘君たち。お館様の名により村田さんも職員兼プロデューサーになるとのこと。村田さんも同行する中で理事長やその秘書、さらにはそこの生徒たちがかなり個性的なんだって?!
まるで走るのが大好きな女の子たちに見えるらしいよ!
次回!
第十四飯 アレッ?ここってト○セン学園!?ーみんなもニッコリハンバーグ給食(´∀`)(仮)
次回もイキマスヨォイクイクヽ(´▽`)/