鬼滅の料理人   作:ゆっくりカワウソ

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 しばらく時間が経ってしまいましたが、ようやく投稿できる段階まで来ました……、長かった^o^
 風邪をひいて絶不調になったり職場の人間トラブルで5月は踏んだり蹴ったり月に…w。そんなこともあり色々遅れましたがどうにか完成しました!!
私の誕生日も近いこともあり、この話を投稿でき嬉しい気持ちです(*´-`)

 さて、今回は灘君回!
主人公が出なかったのはどうかと思いましたが、どうにか出せました!w
かなり急展開なところもありますが、きっちり胡蝶姉妹との恋の場面は描けたと…思います!…多分w
 その様子をニヤニヤしながらでいいので見ていただけたらと思います^o^


第十八飯 突撃!雷の呼吸一門!〜絶品旬の賄いと胡蝶姉妹との進展^o^

 

 「さてと…、行きますか。」

食堂から出て目的地へと向かおうとした時、2人の女の子が声を掛けた。…それもよく知る女の子たちだ。

「ちょっと!」

「待った!」

そこにいたのは胡蝶カナエ・しのぶ姉妹。道を塞ぐような位置に腕を組みながら仁王立ちしている。

「こ、胡蝶さんにしのぶ…。ど、どうしたんだ?」

「……なんだっけ?」

ボケるカナエ姐さんに俺としのぶはずっこける。

「ちょっと姉さん!社長から桑島さんのところに一緒に同行するようにって言われたじゃん!」

「あ、そうだったわ。ということで同行するわよ!」

「…お館様、急だなぁ。…わかったよ。準備とかは大丈夫?1週間以上は滞在する予定だけど。」

「「大丈夫よ(です)!!」」

「お、おう。」

彼女たちの圧に押されながら、桑嶋邸へと向かうのであった。

 

 

↓料理人、アイドル移動中(*´꒳`*)

 

 

雷の呼吸の一門、元鳴柱の桑島慈悟郎邸の門を叩こうとする…が、ここでお馴染みの汚い高音と千葉繁ボイスが中から響く。

「ぎゃぁぁぁー!じいちゃん、これ死ぬ!絶対死ぬ!」

「バァーカたれ!そんなんじゃ死なん!」

「死ぬぅぅ!!」

「善逸ぅ!!逃げるなぁ↑!」

「あ、あはは。」

とりあえず声をかけないことには始まらないのでノックをし、声をかける。

「ごめん下さ〜い!!慈吾朗師範、いらっしゃいますか!」

大声で呼びかけ、扉を開けるとそこには獪岳が俺たちを出迎えていた。

「…。師範に何か御用で?」

猜疑心満載の眼差しに少し気怠そうな声を出す。…なるほど、これは鬼側に付いても仕方ないほどだ。

「君が獪岳だな。俺は灘結月、鬼殺隊で終柱をしているものだ。師範には入隊前からお世話になっていた。忙しいところすまないが師範を呼んでもらえないか?」

「柱……、今すぐ呼びます!」

急いで桑島さんを呼びに行く獪岳。…見た目や肩書きで判断しているようなのでそこも矯正しないといけないな。

 

 

 ドタドタと奥から足音を鳴らしながら、この家の主人である慈吾朗師範がこちらを出迎える。

「なんじゃなんじゃ、終柱…?誰じゃそいつ…てっ、おお!結月じゃないか!それにその別嬪さん2人はなんじゃ?!妻か?」

この言葉に狼狽える2人。

「つ、妻……えへへ。」

「つ!!?」

まぁ、嫌がるよな。(( ×‎ࡇ×)違うそうじゃない)

「いやいや、師範。冗談でもこの子たちにはかわいそうでしょ。…お久しぶりです、慈吾朗師範。初任務後以来ですね。」

「お久しぶりです、じゃないぞバカタレ!……ただいまだろう!」

かっと見開き、俺の言葉を指摘した慈吾朗師範。…その言葉に思わずうるっと来た。

「お主の話はわかっとる。…短期間ではあるがお主はわしの弟子じゃ。…いつでも帰って来い、ここはお前の帰る場所でもあるんじゃぞ?」

優しく微笑むその表情は豪快だが情のある爺ちゃん。…修行中の頃の厳しさが見られない珍しい物であった。

「…ところでお主ら。結月はわかるが……。お館様からは2人の女の子としか…。説明してくれ!」

「あ、すみません師範。彼女たちは竹取産業の社員で胡蝶カナエさんと胡蝶しのぶさんです。カナエさんは元花柱で任務中の負傷により引退しましたが、現在は鬼殺隊御用達の病院の医院長で芸能課の課長でもあります。しのぶさんはカナエさんの妹ですが、その頭脳は同世代や俺たちよりも賢く、薬学に秀でている才女でもあり我が社の歌姫の1人でもあるのです。…2人とも優秀な人たちですよ。」

そう言うとなぜか2人は恥ずかしがり、師範が遠い目でこちらを見る。

「…苦労するな、お主ら」

「はい…。」×胡蝶シスターズ

「?」

 

 

 

「それでお主ら、わしに用があると文に書いてあるが…一体なんじゃ?」

「…お館様からはなんと?」

「お主らが来るからよろしくとだけだが?」

「……はっちゃけてるなぁ…。…単刀直入に言います。師範、竹取産業の警備保障部門で後世の育成をしませんか?」

「…は?」

そう、獪岳を説得するという任務には慈吾朗師範の竹取産業の引き込みも含まれているのだ。理由は新部門である警備保障部門の育成スタッフ不足である。

 今現在、警備保障部門の社員は弥太郎氏たちが説得で入ってくれたヤクザたちが主に構成されている。それなりに腕っ節に自信のある彼らだが、良識が欠けている者や基礎体力がない者、そして彼ら以上に強い人間がいるためこれでは警備保障としての部門が失敗するとお館様から助言があったための改善策である。

 ちなみに他の育手の何人かは了承し、この仕事の従事と指導、育手をしているが…、どうしても経験や技術、人員が足りないと言う問題も発生する。そのため、経験豊富でヤクザにも慕われるような豪傑な人間が必要なのだ。すでに鱗滝さんの方にも話は通してあり、今現在検討中との回答を得ている。

「まてまて。まずその警備保障とはなんじゃ?」

「警備保障…ですね。人物や会社の護衛、工事現場などの整備補助が主な仕事です。腕っ節も必要ですが、それ以上に護衛対象の信頼関係が必要になる部門でもあります。柱と育手として経験した師範には是非とも我が社でその力を貸してはいただけませんでしょうか?」

頭を下げお願いすると、吊られるように胡蝶姉妹も頭を下げる。

「いや、待て待てぃ!そんな軒先で!……話は中で詳しく聞こう。」

そう言って俺たちを中へと通した。

 

 

「なるほどのぉ…、よく極道どもがお主らの傘下に入ったのぉ。」

「俺の仲間とお館様のおかげです。どうやらその組の親分さんたちが2人に恩があるらしく、それで入るのを決めたようです。…それに極道としての未来を説明したらしいです。」

「…極道の未来…か?」

「…信じられないかもしれませんが、今後極道を取り巻く環境がガラリと変わります。それが100年後なのか、はたまた今現在なのか…。…ですが確実に彼らは冷遇され、破滅に追い込まれます。…本当の仁義を持つ親分さんでも…です。」

「……なるほどな。…腕っ節だけでは食っていけなくなると言うことかのぉ。」

「はい。…それに極道たちも時代の流れによっては我々が守るべきものを脅かす存在になる…これは確実です。」

「…なぜそう思うのじゃ?」

「…彼らは街の治安維持にも協力的な側面がある反面、行きすぎた力と権力は次第に暴走します。例え人情に厚い親分でさえもです。」

そう続けると少し青ざめた顔をする。…気づいたのだ、これはヤクザだけに当てはまる問題ではないと…。

「……傲慢ではありますが、彼らにとっての居場所を作るべきなのです。…本来彼らは居場所がなかったり、親に愛されなかったりと厳しい現実を過ごす中で自分のあり方を認める組に依存してしまう傾向にあります。…それは我々鬼殺隊の隊士も同じなのです。」

「そうか…いつか来る鬼のいない未来には…わしらは…。」

「だからこそです。いつか来る未来、俺たちも備えなければいけません。」

「…そう…じゃな。…よし、わしも変わる時じゃな!」

こうなった師範は早かった。

「ただ少しだけ待ってくれんか?…獪岳や善逸たちを育ててからだ。…それがわしの育手としての最後の使命じゃから。」

「もちろんです。…師範が我が社に来ていただけるのをお待ちしております。…おや?善逸?」

こちらを覗いている善逸に声をかける。大方、カナエ姐さんとしのぶを見に来たのだろう。

「結さん、お久しぶりです。」

「あぁ、夏の宴以来だな。……お前の汚い叫び声、外まで聞こえていたぞ。」

「そうだよ聞いてー!じいちゃんの修行が厳しすぎて大変なんだよぉぉ!死んじゃうよぉ〜!」

「大丈夫、大丈夫。善逸は才能の塊だから死なない。料理人、嘘つかない。」

「なぁーに原住民みたいなこと言ってんだよぉおお!」

「あ、そうだ。今日から俺とお前たちをしごくからよろしくな。報酬は絶品賄いとアイドルのライブだ。」

「え?わしそれ聞いてない。」

「師範、書状はちゃんと読んでください。2週間ほどここに厄介になることも書いてありますよ。」

「あ、本当じゃ。」

「えぇぇー!ヤダヤダヤダヤダ!死ぬっ!俺、そんな厳しいのイヤダァ!」

「大丈夫大丈夫、みんなも道連れだから。地獄の2丁目までみんな一緒だから怖くない怖くない(^_^*)」

 

「……え?Σ(・□・;)」×その場にいる人全員

 

「これを機に胡蝶さんとしのぶも色々と底上げしないとだし、師範も今後の指導に関しての教本作成に従事してもらいますのでそこのところよろしくお願いしますね♪。」

 

「。゚(゚´Д`゚)゚。ウソダァァァア!」×以下略

 

「みんないないけど…チキチキ!

窯芭津化式潜在能力底上げ訓練in雷の呼吸一門!開始!」

 

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〜窯芭津化式潜在能力底上げ訓練、通称KAMAトレ。我妻善逸視点〜

 

 皆さんこんにちは!我妻善逸です!結さんが来てからというもの修行は今まで以上に辛くなったし、なんか女言葉が出たりするし、飯はうまいし、胡蝶さんたちの歌や踊りでみんな元気になるし……なんなの?俺たちは地獄にいるのって思うことが……もういやぁぁぁぁぁぁぁ!(汚い高音)

 まじなんなの!?走り込み100本が500本になったり、素振り1万回とか腕ちぎれちゃうヨォぉ!

 しまいには兄貴(獪岳)が女言葉を使いながら俺を罵倒する始末だし!…

 

 

〜善逸、獪岳の女言葉回想中〜

「あんたなんなのヨォ!弱音ばっか言って!冗談じゃ無いわヨォン!アチシたちはあんたに構ってらんないのよん!このブス!」

「あんたこそブスヨォン!このバカちん!」

 

 

 …正直思い出しただけで気持ち悪い。……けれども…、こうしている内にだんだん兄貴と距離が近づいたような気がする。なんだかんだ言って俺のことを助けてくれたり、一言余計なことを言われるけど…どこか表情が柔らかくなった気がするのだ。

 …そして兄貴からこんなことを吐露された。

「俺はお前が羨ましかった。師範がお前に気にかけていたことに俺は正直嫉妬していた。……前にいたところで俺は………。」

涙を流しながらここに来る前のことを悔やんでいた。不満や苛立ちと共に過去に自分がしたことへの後悔が俺の耳に聞こえて来る。ぐしゃぐしゃに入り混じり、まるで水に墨を入れた時のように暗く、本来であれば幸せを入れるための箱に穴が空いている…そんな印象を兄貴に抱いていたのだ。

「…兄貴、言いたくなければ言わなくていいんだ。…俺のこと…そう思ってたんだな。…俺…兄貴が羨ましかった。ひたむきに努力して…血が滲むような修行も弱音を吐かなかった兄貴を…尊敬しているんだ。……じいちゃんにも兄貴のようになれって…。…だから俺も頑張れた。……俺には親なんてものも血のつながった兄弟もいなかったけど……、きっと兄弟がいたらこんな感じなのかなって思うことがあるんだ。」

「……。」

「……兄貴、結さんと何かあったの?」

普段なら言わない兄貴の言葉で俺は何かを確信した。結さんが来てから、これが原因だと思った。言った後に動揺する時に聞こえる音が兄貴から聞こえて来るのだ。

「……そう…だな。…あの人のおかげで俺は自分自身を振り返れた。….…善逸、俺はお陰で決心がついたよ。」

そう言って兄貴は覚悟を決めた顔をして出ていった。

 

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〜主人公視点、修行開始3日目〜

 さて、獪岳説得の最終目標は悲鳴嶼さんに謝罪し、鬼化するのを防ぐこと。現状模範生のように俺を手伝ったり、あのカマバッカ式トレーニングにも喰らいつくあたり…根性と向上心は認めよう。ただし…彼の性格はお世辞にも褒められたものではない。現に彼は悲鳴嶼さんが子供たちを殺した犯人という冤罪をかけられ、子供たちも鬼に食い殺されると言う結果を招いたのである。…しかも寺のお金を盗むという加点済み。

「これは天誅もの、…けれども…。」

 そう、彼は…愛を知らない。疑り深くずる賢い…、彼の名前の意味に含まれる文字。…親はなんて名前をつけたんだと憤りを感じる。……ならば、彼を疑り深い男から獪岳という名の普通の男の子に戻すところから始めることが先決。…であれば、

 

「ほらほらほらほら!おめぇらもっと全力出してけ!獪岳!いつまでニューカマーになってんだ!善逸!お前は休むな!」

「ひぃぃやぁああ!!(汚い高音)」

「じょっ、冗談じゃないわヨォ!やってやろうじゃない!(細谷ボイス)」

 

まずは彼らを限界まで疲れさせる。…そこから彼にあのことを圧力点*1を刺激して、真実と心の内を吐かせ、彼の説得と改心を行うと言った過程になる。

 …大方疲れさせるのは成功、あとは…面談という形で攻めてゆく。…獪岳を呼び出し、茶を出して話をする。

「改めて君と話すのは初めてだな。」

「…えぇ。…師範とあのカ…我妻とお知り合いとお聞きしましたが。」

「あぁ。師範は育手の時からだな。善逸は去年の宴会の時に演者として活躍してくれたな…。あの時は話せなかったな…。獪岳、君のことは聞いているよ。君の普段の修行の様子もね。…非常に真面目にしていると聞いている、さすがと言えるね。」

「恐れ入ります。」

「…ただ、君はやってはいけないことをした…そうだね?」

「!!…ど、どうしてそう思うんですか?」

「…惚けんじゃねぇよ。」

「!?」

「俺は全て知ってる。お前が元いた場所で金を盗み、…悲鳴嶼という男が死罪になる原因と子供たちの命を間接的にだが奪ったこともだ。」

もちろん悲鳴嶼さんは生きているが、ここでは死んだことにしておこう。あとで鰤之丞で彼に連絡して一芝居を打ってもらうことにしよう。

「な、何故それを…?」

「調べたからな。お前の経歴のみならず善逸たちのもな。……何か言うことがあるか?」

すると先ほどとはうって変わり、その表情には卑屈さと態度の悪さが出ている。これは荒療治が必要だ。

「だからってお前に迷惑掛けたってのかよ?」

「…それが素か…。…迷惑はかけてないさ。…ただ、このままその腐った性根のままテメェに食わす飯はねぇ。今日からその罰として俺の作った料理の飯抜きと俺との一対一の組み手もつけてやる。それに寝起きは野宿だ。自分やった行動を悔い改めてみろ。」

「はっ、誰がやるー。」

 

「やれ。お前なんぞが決める権利はない。この場でお前を殺すのも容易いが、そんなお前のために機会を与えてやったんだ。この場で死なないだけありがたいと思え、羽虫が。」

 

精一杯の殺気と脅しを浴びせた。全身から汗が吹き出し、俺に怯えているようだ。

「今日から開始だ。……まずは組み手からだ。…どうした?さっきまでの威勢はどうした、ガキンチョ?」

「テメェ!」

木刀を持って襲い掛かるが…、木刀を足で蹴り上げる。

「まず言っておく、俺は…足でしつけをするタイプだ。」

 あとは簡単、彼をボコボコにするだけの簡単なお仕事だ。…心はかなり痛むが彼が一度その性根と過去に向き合うにはこうするしかなかった。

 このやり方で使う手法はブラック企業の研修でよく使われる肉体労働と自己批判だ。心は体の調子を変調させる…、ならばこの変調をどん底まで落とせば良い。自分がしてきたことの重大さを知らせるには彼のプライドを粉々になるまで壊すしかないのだ。

「そこに小屋がある。そこで寝泊まりしとけ。明日も同様に修行はあるから遅れてくるなよ?」

 彼をその小屋の中に放り込み、あとは明日以降…彼がどのようになってゆくかを見守るしかない。

 

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ー獪岳視点、小屋暮らし1日目ー

 あの野郎、ふざけやがって!!テメェの腹いせのために俺をこんなところに放り込みやがって!俺を認めないあいつらが悪いんだ!

 

 しばらくして激しい感情が収まったため部屋を見渡してみる。やけに整備された小屋の中にあった手記が目に入ったため手に取り読んでみる。

 

 

 あいつらは俺を認めない!ここまでしてやっているのにどうして俺を見ない!ふざけるな!

 

 

 手記には周りが自分を認めないことに対しての不満や怒りが綴られている。この文章を書いた人間に共感を感じる一方、俺はこの人物に対して哀れみと優越感に浸っていた。俺は違う、こいつと違い選ばれた人間なのだから。

 そうこうしていたら眠くなった。…こんな報われないやつと違って俺はー。

 微睡の中、この優越感に浸れたのは幸せだと思っていた。…今になってこんな自分を殴りたいと思うとは思っていなかった。

 

 

ー2日目ー

 ふざけるな!

俺があのカスよりも劣るだと!?ただ泣き叫ぶだけのあいつより!?見る目のねぇカスが俺を評価するんじゃねぇよ!!

 

 この鬱憤を晴らすために昨日の手記の続きを読むことにした。

 

 

 なぜだ!?俺より劣るやつが上の立場になっただと?!俺はあいつよりできるはずだ!なのに……、…俺は…俺は…。…俺は必要な人間…だよな?

 

 なんだこの打って変わりようは……ふざけるんじゃねーよ!俺はお前のような無様な姿にならねぇ!俺は!俺は!!!

 

 

 無様だ。…認めればよかった……、これは…俺なんだ。……人でなし…だったんだ。

 

 

ー5日目ー

 

 ようやく気付いた。…俺は……いらない人間だ。親には嘘と疑心の意味を持つ文字を名前に付けられた。…それだけでなく俺は大変なことをしてしまった。

 意地汚く生きてきた俺だからわかる……、…みんなは…生きたかった筈だ。今思い返せば…あの頃の生活は貧乏でみすぼらしい…と思っていたがみんなは笑顔で…悲鳴嶼さんも………優しくて…大きくて…あったかなその手で撫でてくれた…。

 本当は…それだけでよかったのかもしれない。…満たされた気持ち……これさえ有ればよかった。…金なんか必要ーー。あぁ、そうだ。これだったんだ…善逸が借金しても、騙されても欲しかったもの。

 

そう…それが…心から満たされるような愛だったんだ。

 

 もう戻ることのない…あの日々も全て。俺が…壊してしまったのだから…。

 けれども…善逸は俺を心配してくれた。俺を兄弟のようと言ってくれた。ならば俺は……、灘さんの元に行かなくては…早く。

 

_____________________

 

 

 5日後、獪岳から謝罪と墓の場所について聞かれた。彼はまだ子供だが幼子のように泣きじゃくり、ごめんなさいと繰り返していた。

 次の日には彼と共に子どもたちのお墓と悲鳴嶼さんが隠れている廃寺へと向かった。手を合わせ、声を詰まらせながら今までの行いを懺悔し、涙を流しながら地面に額を擦り付け、心からの謝罪をする。

 

 

 そして俺はいるはずのない子どもたちの幽霊を…見てしまっているのだ。獪岳に対して、初めはあまり良い顔をしていなかったが彼の心からの謝罪と懺悔が通じたのか苦笑を浮かべながら獪岳の頭に手を置いた。子どもたちも獪岳を追い出したことを謝りながら頭を撫でる。

 

″ありがとう、お兄さん″

 

 そんな言葉が聞こえると同時に温かくて小さな手が俺の左手に触れる。墓の前には子どもたちが並び、俺の手に触れたであろう子供もそこへ駆け寄ってくる。

どうやら悲鳴嶼さんが近づいたからだろう。彼らは嬉しそうな顔をして彼を見つめる。その一方で悲鳴嶼さんは険しい顔をしながら獪岳を見つめていた。

 悲鳴嶼さんが来てくれるかどうかは賭けだった。説得の際には弥太郎氏も同席した。幸い喧嘩とまではならなかったが言い争いになってしまい、つい先日までは行かないの一点張りだったため来ないかと思っていたが、

 

 

「…君の根性には折れた…。…彼はどんな様子だ?」

「…精神的に追い込まれて本性を出した…、だがその中で自分がしてきたことへの後悔とかが出てきている状態だ。」

「…わかった。なら行こう。」

「まじかっ。」

 

 

と最後は意外とすんなり答え、同行することになった。元より、桑嶋邸の近くまで来ていたので会うつもりでいたのには違いない。

「獪岳。」

低く響く杉田ボイスで獪岳を呼ぶ。ピクリと動き、反応する。恐る恐る頭を上げるとそこには仁王像のような雰囲気を放つ悲鳴嶼さんにびくつきながらも見つめる。

「お前がやったこと、全て灘から聞いた。……だが、お前のみではなくお前を追い出した子たちにも非があること…今になって知った。…皮肉にも私を犯人と言った子からそのことを聞いたんだがな。」

 そう言った悲鳴嶼さんは悲しげで静かな怒りの表情を浮かべる。裏切られ、嘘をつかれたことへの怒りを露わにする。その様子を獪岳と子供達の幽霊が苦虫を噛んだような顔をして見つめている。

「……私は今も許せない。君たちのことも…私自身のことも。…けれども…。」

そう言って獪岳のそばに寄り、抱きしめた。

「そんなバカ息子たちを…私は愛そう。」

 まさかの白ひげのセリフを彼の口から聞くとは思っていなかった。

「私は…この目が見えないことを…恨んでいる。君たちの嘘を見抜けなかったことも、…君たちの表情も見れない…この目を。」

この言葉と共に堰を切ったように獪岳は嗚咽を漏らす。次第に泣きじゃくる獪岳の頭を撫で、抱きしめる悲鳴嶼さんはまるで仏のように穏やかな雰囲気をだしていた。先ほどまでの怒りに満ちた仁王像のような表情ではなく、子供をあやす弥勒菩薩のようなものであった。

 

 

_____________________

 

 「灘から君が桑嶋さんのところにいることは聞いている。…頑張ってるそうだな。」

「…まだまだです。……その…、もうそろそろ離れてもらっても…。」

「…南無。」

恥ずかしそうに言う獪岳に悲しげな顔をしながらだから抱きしめていた腕を緩める。そんな様子を見ていた俺の顔を見た獪岳は赤くなりながら狼狽する。

「ニヤニヤ(≖ᴗ≖ )」

「な、灘さんっ…。」

「すまんすまん。…明日からはまたお前に料理を作るよ。……今日は豪勢に作るから悲鳴嶼さんもいかがでしょう?」

「ありがたい、ご相伴にあずかろう。」

「ご迷惑をおかけしたので今日は悲鳴嶼さんの好きな炊き込みご飯をご用意いたします。」

「尚更いただこう。」

悲鳴嶼さんの嬉しそうな表情にびっくりした様子で見つめる。

「え、悲鳴嶼さん…。」

「知らなかったかい?悲鳴嶼さんは炊き込みご飯が大好きなのは。」

「い、いえ。知ってはいましたが…、その…ここまで嬉しそうな顔は…。」

「そうか。……行こう、みんな腹を空かせて待っている。」

 まずは帰ろう。…俺たちには帰る家があるのだから。

 

 

_____________________

 

 「悲鳴嶼さん!?」

「どうしてここに?!」

驚いた様子の胡蝶姉妹であったが嬉しそうな顔をしている。

「…灘に夕飯に呼ばれたのだ。…鳴柱殿、お邪魔しても構わないだろうか?」

「問題ないぞ!岩柱殿、色々と話してみたかったのだ!お主の身体能力と柱までに上り詰めた道のりを聞いてみたかったんじゃ!」

「…かの有名な鳴柱殿と言葉を交えること、光栄です。」

「うむ!…それとだな獪岳。」

「は、はい!」

「灘からはお前のことを話そうとしたが…、聞かないでおいた。お前が話してくれるまでワシは待っているぞ。…例えお前がどんなことをしても、ワシはお前のことを見捨てはせんぞ。…ワシの夢は獪岳と善逸たちが幸せになれる日を見届けることなんじゃよ。」

「「!!」」

善逸は嬉しそうに笑い、獪岳は素直になれないのか笑いを堪えながらも頬を赤くしている。

「それとお主もじゃ、結月!お主は早く嫁と孫を見せんか!」

「…は?!いやいや師範、俺まだ16歳ですよ!!早すぎまー。」

「こんなべっぴん2人がお前を好いているのにお主ときたら!」

「ちょっ!?そんなわけないでしょ!!この2人がこんなうだつの上がらん男を好きになるわけないでしょ!」

「…お主、まだそんなことをー。」

「慈吾朗さん、その辺に。」

「そ、そうです!その…。」

「いやしかしだな!」

「…それは私たちが決めることです。なので…。」

「……すまんな、2人とも。」

慈吾朗師範は咳払いをし、夕飯の支度を俺たちに頼んだのであった。どことなく覚悟を決めたカナエ姐さんとしのぶに疑問を持ったが今は彼らが満足する料理を作るのが俺の仕事、やってやろうじゃないか!(杉谷)

 

 

 

 

 

〜善逸視点ー

 (絶対に惚れてるよ、この2人。)

胡蝶さんたちの様子と心の声はやっぱり結さんに対して、恋と愛情を表現していた。甘くも酸っぱくてじれったい、まるでスモモの味のような感覚になる。

 少し嫉妬はするもののなんとなく惚れる理由は見当がついていた。初めて会った時も優しい眼差しで俺たちが結さんの料理を食べている様子を見ていたのを思い出した。そこで聞いた音は心地よく、穏やかで優しさに溢れていたのだ。…俺にはわからなかったが、きっと…両親がいたらきっと知っている感覚なのだと思ったのだ。

「なぁ、善逸。」

「…なんだい兄貴?」

「…なんか口の中がジャリジャリして甘ったるい気分になるんだが…これは気のせいじゃないよな?」

「…奇遇だね、俺もだよ。」

 

 それ以上にこんな会話を獪岳とできるになったのは…素直にうれしかった。…けど…やっぱり美女にモテルノハクヤシィィィ!!(汚い高音)

 

 

 

 

 

ー主人公視点ー

 

 さて今回はカマバッカ式を乗り越えたみんなのご褒美として少し豪勢な賄いを作ってゆく。

あらかじめ用意した水につけておいた昆布出汁を沸騰させないように煮立て、醤油に砂糖、酒、みりんを入れて味のベースを作る。具材は春先が旬である筍に、しめじに舞茸、こんにゃくにお揚げ。あらかじめ水に浸しておいた米に出汁、具材を入れて火を入れる。

 

 あとは他のメニューにも取り掛かる。

ふきのとうはお湯で沸かして水でさらして下処理*2後、タラの芽や菜の花、筍、ウドと共に天ぷらにする。

 薫るはごま油と春の山菜、少し苦くも爽やかな味わいは春の訪れを告げる。そんな食材たちは大人になろうとする彼らと俺たち、そして人生の苦楽を経験した悲鳴嶼さんや慈吾朗師範にはうってつけの食材だろう。素材本来の味を生かしつつも深みとエグ味のある藻塩でいただく。

 

 ゼンマイとワラビは塩漬けにしたものを塩抜きし、豆腐と共に味噌汁に。初日につけておいた大根の醤油漬けは今日が食べ頃に。

 そして最後の甘味はシンプルにみかん。このみかんは竹取産業が作ったもので品種名は「ハルカグヤ」。少し酸っぱめの品種だが、さわやかな甘さと後味のキレの良さがこのみかんの特徴だ。くし切りにし、そのさわやかな香りを愉しみながら盛り付ける。

 

 さて、お品書きは以下の通りだ。

 

・旬の炊き込みご飯

・山菜盛りだくさんの天ぷらwith藻塩

・豆腐とワラビとゼンマイの味噌汁

・大根の醤油漬け(少しピリッと辛い鷹の爪入り)

・ハルカグヤ(みかん)

・桜葉入り茎茶

 

名付けて!ドドン!

 

「春風が吹く、旬の絶品賄いin雷の呼吸一門」

 

 

 

 コンセプトは雪解け。獪岳の凍りきった心を溶かす雪解けのように、そして暖かな日の光が差し込むような明るい未来が送れるように願いながら作った料理だ。元々野草やジビエ*3に詳しかった割烹の奴が書き記した野生食ノート(冊子名は雑食浪漫(仮))に載っていたメニューをこちらでアレンジしたものだ。つくづく思うがこいつの生まれ変わり、ホモサピ*4なんじゃないかと思ってしまう。

 ともかく俺流にアレンジして使わせてもらいます…。そしてこの本も世に出せるように尽力するので力を貸してくだちぃ…(>_<)。

 

 

 皆に料理を配膳し終わると待ちきれんと言わんばかりに皆が手を合わせ、いただきますと叫ぶ。

 皆箸が止まらないようで食事に夢中になっているようだ。まずは山菜の天ぷらから……うまい。苦味のあるふきのとうと菜の花、シャキシャキと良い音を奏でる筍、みずみずしくほのかに薫るウド……そして藻塩の旨味が食欲を掻き立てる。冷えた体を味噌汁と炊き込みご飯が温める。嬉しいことに味噌汁の豆腐は柔らかな絹ごし!これはたまりません!(自画自賛)

 箸休めの大根の醤油漬けも存在感を醸し出す。

周りも美味しそうに食べ、空になってゆく皿を見るたびに嬉しさが込み上げてくる。カナエ姐さんたちも笑顔で食べている。…何故だかさっきよりも嬉しく感じてしまったが…きっと気のせいだろう。

 

 

_____________________

 

 皆が食べ終わり、各々が自由に過ごす中、俺のいる部屋にカナエ姐さんとしのぶがやってきた。

「ねぇ、灘君。今暇?」

「あぁ、暇だが…。胡蝶さんにしのぶ…どうした?」

「あ、あの。私たち結さんに伝えたいことがあって来ました。」

真剣な顔でしのぶが俺にそう言ったのだ。…恐らくだがアイドルのこととかでの相談だろう。無理もない。若い彼女たちにはかなりの負担を強いているのだ。きっと辞めたいのだろうと半ば覚悟をしていた。心の準備をしながら話を聞いたら、俺が想像してもいなかった言葉が出てきたのだ。

「灘君。」

「結さん。」

 

 

「「私たち、あなたのことをお慕い申しております。!」」

 

 

「……へ?」

「今はまだ…あなたの心を虜にできていないけど…私としのぶの全てで魅了してあなたを虜にしてみせる!」

「と、虜!?」

顔を赤らめながらもハキハキとしたさわやかな恋の言葉を述べる。一方しのぶは、

「結さんは私たちの好意に鈍感です!……こんなに好きで好きでたまらなくてずっとそのための行動をしていたのに……結さんのバカっ!鈍感!朴念仁!!」

とこれまたツンデレの割合がデレ4:ツン6といった具合の告白をする。

「ど、鈍感…。」

「だから私は!」

 しのぶは俺を押し倒して、顔を近づける。風呂上がりなのかほのかに香る石鹸とシャンプーの香りがさらに胸の鼓動を加速させる。俺よりも年下の女の子のはずなのに俺は彼女にドキドキしているのだ。

「私たちは結さんを唇を奪います!」

「!!」

その言葉に突っ込もうとする前に、彼女は…文字通り俺の唇を奪ったのだ。まだ幼い、けれども女として精一杯のくちづけ。生まれて初めて(前世+今世)のキス……次第に…蕩けそうになってきた。唇を離したしのぶは年齢を超越したような色気を出してトロンとした目をしている。そして…、

「大好き。」

そう言って頬に軽くキスをするのであった。

しのぶが離れると今度はカナエ姐さんが俺の上に乗っかり、蠱惑的な雰囲気を纏い、その妖艶な手は体を這いながら滑らかに顔へと触れる。甘く、濃密な蜂蜜みたいな香りが鼻口をくすぐり、はだけた着物からは彼女の胸の谷間が見える。

「これは私たちが灘君への愛の証明。……待ってる…、あなたが出した答えなら…私たちは納得できる。…だから…これが私の答え。」

そう言って情熱的に貪るように口を吸う。抱きしめてくる体は柔らかく、触れたらきっと壊れてしまうような感覚になる。そして彼女は最後に首のところで軽く唇に触れた。

「それじゃあ、おやすみ。…私たち待ってるわ。」

「おやすみなさい。」

 

 

 

  2人がいなくなると……、力無くその場に寝転がった。…これは夢だ。都合の良い妄想だ。…そうだ……これは…。…けれども2人の唇が触れたところが…熱く、そして……口づけをされた感覚が消えないのだ。

今は……この怠さと火照りに身を任せてみよう…。明日になれば…きっと……いつも通りの朝だ。

 

 

 

ー●●.とある万能のデバガメー

 

「…嘘でしょ?!」

とある料理人を水鏡越しで観察する彼は顔を赤くしながら、男の身に起きた艶かしい出来事に驚く。

「…いやいや、彼は確かにフラグを立てすぎていたけどこうはならないでしょう?!」

「何をしているの?」

彼と共に物語の大円団を手伝う境界の少女が水鏡を除くと、

「あらあら。」

口に手を当てながらニヨニヨと微笑む。

「これは貴方がやったの?」

「いや、…ここまでなるはずはなかったんだ。…式ちゃん?」

「…怪しい…。」

「そんな目で見ないでよ!流石にこんなハーレム物にするつもりはないよ!それに彼、そんな鬼畜なやつじゃないぞ!」

「…それもそうね。貴方もそんなバカなことしないだろうし。」

「……一体どうしてこんな………、もしかして…!」

彼は水鏡の前から離れ、近くの小部屋へと入る。

 

 

「Nooooooooo!!!!!(汗゚ロ゚)」

 

 

 小部屋からは彼の断末魔が響いてくる。ドタドタと小部屋から出てきた彼の手には空っぽになった瓶。その瓶には「恋愛エキス」のラベルが貼ってあった。…彼女がよく見るとそのラベルの下には他のラベルが貼られてある。それを剥がすとそこには、

 

「姉妹丼ハーレム恋愛エキス」

 

と書かれていたのだ。率直に言ってキモいの一言である。わざわざ姉妹丼と書かれてあるあたり、露骨かつ悪意のある代物であると彼女は推察し、軽蔑した目を彼に向ける。

 

「…うわぁ(っ'-')ヒキッ」

「ちょっ!!僕じゃない!こんなエキス見たことない!やけに恋愛エキスが多いなって思ったらこんなことに!!」

 彼は嘘が下手くそなのは少女も知っている。それにこういうことに関して真面目な彼がここまで露骨なことはしないことも彼女にはわかっているのだ。

「……事故にしてもひどいわ…。」

「そんなぁ…。僕こんなの作った覚えないのにぃ…(´༎ຶོρ༎ຶོ`)。」

「…あら?」

瓶底に残っていた液体を見ると彼女たちの世界に馴染みの深いものだった。

「…魔力みたいね。…それも愛の妙薬をベースにした抑止の罠(姉妹丼チャーム)かしら?」

「……なるほど、…確かに彼女たちならやりかねない。…詳しいことはわからないが恐らく…。」

考え始めると止まらないようだ。首をすくめながらも先程のエキスについて問い詰める。

「ところで…そのエキス、何に使ったの?」

「え、それってこれ?」

「いえ、貴方が最初に見せた恋愛エキスよ。」

「え、えぇっと。…その、あの…転生時に向こうの肉体を構成するときにさまざまな特典と共にこういうエキスを使うんだよ。…その本来の恋愛エキスは転生者の恋愛運や恋愛値を上げるためのものなんだ。…他の転生者にも使ったんだ。…彼らが幸せになるために…。」

「言い分はわかったわ。…けど管理が杜撰よ。これを機に整理した方がいいわね。」

「あ、…はい…。」

 デバガメをしていたためだろうか、彼女に監視されながら小部屋の整理と罠の処分という地味だが意外ときついペナルティを受ける観測者の彼であった。

 

 

_____________________

 

 あれから一週間、地獄の2丁目までの特訓は続いた。……それまでの間で昨日のこと(2人のキス)は夢ではなかったということがわかった。

 まず初めにそれを認識したのは善逸のとある一言であった。

「結さん、昨日はお楽しみでしたねっ(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)」

「……はっ?」

「いやいや惚けないでくださいよぉ〜(*´-`)。すごく濃くてイヤらしい接吻してたじゃないですかぁ(≖ᴗ≖ )」

「……見てないよな?」

「聞いてました^o^」

「そ、そっか…。」

恐らく赤くなったであろう俺の顔を見て更にイタズラそうに笑う。

「…なぁ善逸。…このことは内密にー。」

「分かってますよ!…結さんには恩がありますから。…でも…。」

「…まさか…。」

「獪岳にはバレています。」

角から出てきた獪岳は顔を赤くしながら戸惑った顔をしている。かなり刺激が強かったのか、はたまた善逸が誇張して言ったためなのか、しどろもどろになりながら口を開く。

「、そ、その…灘さん。……す、スケベなんですね…。こ、ここでそういうことは…やめた方が。ふ、2人とも…そういうことは」

次第に鼻血を出し始める。

「………す、スケベ……。」

それに助長して善逸は調子にのった。

「やーい、やーい、結さんのスケベェぇ(σ ˃̵౪˂̵ )」

なのでとりあえず脅しといた。

「善逸……お前の朝飯抜きで走り込み1000本行っとくか?( ꐦ◜ω◝ )」

「ひぅ(絶句)」

「わかったらその汚ねぇ高音抑えろ、これ以上言うと蹴り入れるぞ?…俺は手じゃなくて足が出る性質だからな?」

「す、すみませんでしたぁぁぁぁ!」

「だったら早く朝の準備して朝飯待っとけ!」

「は、はぃぃぃい!」

…後で少ししばいとこう。

「わるいな獪岳。…スケベなのは否定はしないが…あまり言いふらさないでくれ。」

「…もちろんです。…だって貴方は俺の過去のことを…バラさなかったから…。だからこれで貸し借りなしですよね?」

「!!全く、ずる賢いやつだ。…だがそれも君の長所の一つでもある。…君はすごいやつだ、色々あったがよくここまで頑張ったな。」

頭を撫でると気恥ずかしそうにハニかむ。

「…獪岳、もし君が鬼殺隊に入ったら俺のところに来い。…面倒見てやるし、板前やらないか?」

「…え?」

「君が作ったご飯、少し拝借したが…美味かった。もしで良いんだ、検討してはくれないか?」

 そう言うとその目からは大粒の涙を流し、嬉しそうにこう答えた。

「断れるわけないじゃないですかぁ…。本当にずるい人です…。」

「…人は皆狡くなるものさ。」

彼は俺たちの仲間になるのであった。この日から雷の呼吸一門の料理番になったのはまた別のお話である。

 

 

↓カマバッカ式トレーニング終了後

 

 

 トレーニング期間が終了し、3人で家路についた。……正直、今彼女たちにイエスを言うのは簡単だ。けれどもそれは心のこもった答えになるのであろうか?

 彼女たちは魅力的な人間だ。聡明で明るく、美人。これ以上ない出会いと言っても過言ではない。でも俺は…怖いんだ。今まで女の人と付き合ったことはないし、彼女たちを真に理解しているわけでもないのだ。

 …ならばこの場でいう言葉と行動はは決まっている。

 

「2人とも…あの時の答えだけど、まだ時間が欲しい。俺は…あの勢いのまま答えることはできない。…本当に申し訳ない!」

謝るように言うとしょうがないといった顔をした2人がいるのだ。

「そう言うと思ってました!…大丈夫です。」

「ただな、2人とも。」

「「?」」

「時間はかかるし答えはまだ言えないけど………その答えの内容は期待できると思う。」

そう言うと彼女たちは顔を赤くして、赤く潤んだ瞳で見つける。

「君たちは俺を虜にすると言った。…なら俺は君たちを惚れさせる。…だから俺のことも見ていてくれ。」

 軽く抱きしめ、2人の唇に口づけをする。昨日のような情熱的な物でなく爽やかで、初心なフレンチキス。今の俺にできる2人への接吻は…これしかないのだ。

「…いこうか。」

火照る頬と気持ちを誤魔化しながら俺たちの住む町へと帰ってゆくのだった。

 

 後日、鰤之丞によってお館様や転生組にこのことがバレて一悶着あったがそれはまた今度話すことにしよう。

 

 

 

 

 

 1人の猜疑心に囚われた少年は和解と雪解けを経験し、姉妹は共に1人の男を愛することを覚悟する。そして男は2人の愛に向き合い、大円団への道へと進んでゆく。

 新たに出会った人間も増え、物語は大きく加速してゆくのであった。

 

 

 

 

 

 

ー習得トロフィー&フラグー

・突撃雷爺さん家〜ようこそ鬼滅の料理人御一行

・朴念仁の惑わせ〜苦労する姉妹

・戦慄のカマバッカ式トレーニングin雷の一門

・カマバッカ式体験談Zさん〜もういやぁぁぁ!(汚い高音)

・善逸の優しさ〜獪岳の吐露

・ニューカマー獪岳〜細谷ボイスのボンちゃんw

・圧力点への攻撃〜獪岳の本性

・俺は足で躾けるタイプ

・ブラック企業さん、今だけは貴方を参考にします〜獪岳を追い詰めるメソッド

・日記の男〜実はアレ、創作です

・日記と自分〜獪岳完全一致の巻

・懺悔と後悔〜み、見えちゃいけない物見えちゃった…(゚Д゚)

・悲鳴嶼さんinしたお〜複雑な気持ちと説得

・そんな息子でも私は愛そう〜杉田ボイスの白ひげ降臨

・悲鳴嶼さん、桑嶋邸にお呼ばれする〜救われた姉妹との再会

・聞かない優しさ〜漢気桑嶋

・久々の見せ場〜コンセプトは雪解け

・乙女の決死の覚悟〜私たちは貴方を好いています。

・濃密なキス〜…初めての味は…甘酸っぱい(*´꒳`*)

・脳みその処理崩壊〜妄想オチにしようとする男、結月

・神様しくじる〜これはアカン

・露骨な罠〜クセが強すぎるんじゃっ!

・夢じゃなかった!〜善逸調子に乗る

・狡賢くたっていい〜それが君の良さ^o^

・君の未来を共に〜心料理人の夜明け

・答えはその先に…〜フレンチキスと覚悟

・本編の夜明け〜romance dawn…一度使ってみたかったんだよねw

 

 

 

*1
BBCドラマ「SHERLOCK」の敵役が使う言葉。主に相手の弱みや圧力を掛ければ相手が壊滅するような事柄のこと。

*2
ふきのとうは苦味がひどいためこのやり方で苦味を抑える。詳しいやり方はネット上にもあるので割愛。ちなみにハウスで育てた物は野生で生えているものよりも苦味が少ないとのこと。

*3
食材目的で狩猟された野生の動物の肉のこと(フランス語)。熊や野鳥、猪なんかがこれに該当する。

*4
登録者数が80万人以上の日本人YouTuber。ドブにいる生物を食べたり、雑草でお茶作ったりするかなり破天荒な生物学&グルメ(?!)なチャンネルである。ちなみにこの人、マキシマムという調味料をかなり推している。




〜大正コソコソ次回予告^o^〜

 ついに原作前編が終わった灘君たち。本当にお疲れ様だよね!心をすり減らしながらも灘君だのために奮闘する弥太郎くん。竈門家のみんなと仲良くなった春君。皆に明るい未来を与えてしまった変態三人衆。そして獪岳と悲鳴嶼さんとの和解と善逸との関係構築、姉妹ど「それはダメよ( ꐦ◜ω◝ )」、……コホン。(^^;;

 胡蝶姉妹との恋の予感が恋に変わった灘君。カナエちゃんとしのぶちゃんとの恋が楽しみだよね^o^
 
 あと少し。君たちの努力と思いが叶う!ぼくはそれを信じているし確信している!
 ずっと応援しているよ。ぼくは観測者であり、君田のファンだ。そして次回予告係だから、しっかりやらないと!

 さて次回だけど、実は少しだけ補完したいところがあるから原作前編がつづくよ!
 カナエちゃんとしのぶちゃんの覚悟の裏側やお館様へのカミングアウト、更に宇髄くんのお嫁三人との結婚式などを短編形式で取り上げていくよ!^o^
 作者も短編は初めてだから至らないところがあるかもだけど、生暖かい目で見てもらえれば幸いかな?w


次回!ドドン!

第19飯「鬼滅の料理人アラカルト〜原作編までの箸休め」

次回もまた見てね!^o^
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