投稿激遅のかわうそです…泣
仕事もそうですが、難産も難産!アイディアが思い浮かばず気づけば年を跨いでの投稿!!半年以上更新してなかった気がします_(┐「ε:)_
楽しみにしている人なんてほとんどいないと思いますが、改めて言わせてください!…す、すみませんでしたぁ!!ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘→_| ̄|○ズサァァァァ!m(__)mドゲザッ
多分今後も遅いと思いますが、見ていただければかとは思います…
さて今回も原作崩壊多め、勝手な解釈濃いめ、ふざけてる度固め(柔らかいほどふざけてないと思ってください_| ̄|○)の感じになっています!
いつも通り生暖かい目で見ていただければ幸いです。
雪解け。雪が解けて春となり、多くの動植物が生を芽吹く季節に使われる春の季語として使われたり、そのまんま雪が解ける意味合いで使われることが多い。
だがこの雪解け関係性の改善や緊張の緩和としての意味合いとられることもある。歴史的にも社会主義と資本主義陣営の対立の緩和や人間同士のいざこざによる緊張の緩和という意味合いで雪解けを用いられることがあった。
今回はそんな因果がありそうな声を持つ、悲劇の無名作家の蟠りが解ける雪解けの物語である。
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「響凱の討伐?炭治郎たちと一緒にか?」
下拵えをする俺に春君が今回の任務内容を伝える。
「はい。炭治郎君たちと僕と渡さんで行くことになってます。……それとこれは僕らのもう一つの目的なんですが、響凱の小説の回収も試みる予定です。…できれば円満な形でが望ましい。」
「…そっか。俺は浅草にある海苔屋で仕入れがあるから今は行けないが…あとでそっちに行くよ。帰ったらその海苔でうまい握り飯作ってやる。」
「はいっ!」
元気よく出ていく春君を見送り、海苔屋へと向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜炭治郎視点〜
「兄ちゃ!ててつなご!」
「そうだな、禰豆子。」
妹の禰豆子と伊之助、善逸に加えて磯野さんと渡さんの計5人で任務に着くことになった。
なんでも元十二鬼月が住み着く家で鬼の討伐とその鬼が描いた小説を回収するとのことだ。…だけどこれ、そんな状態じゃないと思うのは俺だけだろうか?
「善ちゃんも!」
「うんうん、禰豆子ちゃん!……ねぇ、炭治郎。これってー。」
「言わせないぞ。」
「あぁん!?ひどぉい!」
「善逸君…気持ち悪いよ?」
「春さんまで酷い!?」
幼児化し天真爛漫な禰豆子(我が家の天使)、禰豆子にいやらしい目をする善逸、それを雑に受け流す今回の隊長の磯野さん、そんな様子を我関せずと暴れる伊之助に混沌とした様子を涎を垂らしながらニヤニヤとしている渡さん……収拾がつかない。こんな癖だらけの人たちを結さんたちはどう収めていたのかと疑問が残るばかりだ。加えて…俺たちが背中に背負っている荷物の量がおかしい。
薬屋で使うような担ぐ棚に大きな鞄。さらにはところどころ洋墨*1や鉛筆*2と呼ばれる描くための道具や紙の匂いがするのだ。非常食や禰 豆子が口にしている金平糖や飴*3の他にも衣類などと沢山だ。
「一体何をするのだろう…。」
ただただ疑問が頭の中で膨張するばかりだった。
それから時間が過ぎ…、
俺は衝撃的な光景を目にしている。
「だから言ってるでしょ!回りくど過ぎるのはだめだって!」
「し、しかし小生的にはこの方が……。」
「いやね?確かに知識人に向けてならこの表現で良いかもだけど君の作風だと大衆向けが1番なんだよ?だからもう少し柔らかい表現にした方がいいんだって!」
「う、うむぅ…。」
正座をする元十二鬼月の鬼に説教をする磯野さん。いつもの丁寧な敬語がなくなり厳しい感じだ。
「ねぇ響凱君、えっちぃ小説はないの?」
「え、えち?」
「それはですね、コショコショ。」
「!ふ、不埒な!?そのようなものはないぞ!」
「え〜。…そうだ!これを機に書いてみようよ!大丈夫、俺が手取り足取りー。」
「それ以上はあかん。」
涎を垂らしながら鬼に纏わりつく渡さんにそれを突っ込む磯野さん。…確かにふしだらなのはいけないと思う!
「春さん、この曲難しいよぉ!」
「大丈夫大丈夫、善逸君ならできるできるw。」
「いやぁぁぁぁ!!春さんも鬼ぃ!!」
「それは小生への皮肉か?」
「あ、いえ、そんなことはないです。響凱さん、後でこの曲の合わせをお願いします。」
「う、うむ。」
安心と知ると何故か鬼と合奏をする善逸(西洋の琵琶のようなものを演奏している。ぎたーという楽器らしい)。
「あのぉ…俺たちは?」
「炭治郎くんと伊之助くん、悪いけどご飯の用意とかをお願い。あとは物資の補給、近くに竹取産業の商店があるから「磯野の遣い」と言ってもらえれば大丈夫だからね。伊之助くん。」
「なんだ!春之助!」
「近くの林から食べられる野草や木の実、あと肉をとってきて欲しいけど頼める?」
「おうよ!この俺様に任せとけ!」
そして俺たちは…雑務をすることになった。
思えば、ここまでの道のりはおかしなことばかりだった。
〜回想〜
「あそこの鬼は3人で倒そう、大丈夫大丈夫。君らの普段の任務の方が大変だから!」
響凱との創作活動前の鬼たちは俺たちの連携という名の討伐訓練が行われる。
「響凱さーん!小説を世に出しましょう!」
「なっ、何故それを!?」
「その前に!」
雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃
禰豆子が食べていた金平糖を口一杯に詰め込まれた鬼は…落ち着きを取り戻す。
「…小生は……なぜお前たちは小生を生かそうとした?この金平糖、飢餓状態が一気に解消された。それに…無惨様の呪いが…きえた…だと?」
「この金平糖はとある料理人が開発したものです。そこにいる禰豆子さんはこの金平糖のおかげで飢餓状態にもならないのです。」
腕を曲げて、自信満々の禰豆子(春さん曰くまっするぽーずだとか)。かわいい、さすが竈門家の長女!
「……そうか…。…久々だ、甘味なんぞ食べてこなかったのに…美味しいと感じた。…小生に用があると言ったな、話してくれ。」
「響凱さん、話が早くて助かります。…あなたの小説、世に出しませんか?」
「!!」
目を大きく見開き、
「……小生の…小説を?」
「えぇ、そのために僕は来ました。やりましょう!あなたが殺した編集者を見返しましょう!見る目のなかったクソ野郎ってね!」
「なぜ知っている?!」
「極秘事項です。あと鼓の演奏曲も作りましょう!」
「え、なにこの人。小生怖い…。」
「さ、やりますよぉ!窯芭津化式創作合宿通称カマバッカ缶詰、解禁!!」
「おー!」
「いや待て!話が飛躍しすぎだろう!小生ついていけない!」
…この鬼の人同様、この時の磯野さんの勢いには引いてしまった。そんな様子を楽しそうに腕を上げる禰豆子、…かわいい。我が妹ながら以下略。
〜竹取産業、取扱商店〜
そんなこんながあり、俺と禰豆子は商店へと向かい、
「あのぉ、磯野さんの遣いで来ましたぁ…。」
「あらあら!磯野さんの!ちょうどよかったわ!竹取産業の人も来ているから一緒に運んでちょうだいな!」
そこにいたのは俺たちの教育担当でもある結さんと弥太郎さん、高島さんもここにいるのだ。
「竹取産業の人…って結さんに弥太郎さん!?それに高島さんまで…。」
「あ、やっちゃん!ゆっちゃん!大ちゃん!何してるの?」
「よぉ、炭治郎に禰豆子。どうせ春くんのことだから2週間くらいは缶詰になると思ったんだ。だから後方支援みたいな感じで来た。」
「…店の方は?」
「それなら千寿郎君と有一郎、獪岳に任せてきた。あいつらの店である2号店を開店する前の試験的な感じでな。それに前の用事も早く終わったんだ。」
「な、なるほど。」
結さんはいつものように笑っているが、さらっと千寿郎君と有一郎君たちがすごいことをしているのを俺は聞き逃さなかった。
「俺は任務がこの近くでな。高島も別だが任務でここにいる。確か鼓の鬼の家だよな?」
「僕らも終わったら手伝うよぉ。」
「ありがとうございます!」
〜鼓屋敷〜
「な、なんだこれは!?」
驚く元十二鬼月もとい、響凱さん。俺たちが運んできた食料にツッコミを入れる。…それはそうだ、俺だってツッコミを入れたい。ますます磯野さんたちがしたいことがわからなくなる。
「?」
「言っている意味がわからないみたいな顔をするな!なんだこの大量の食料や楽器は!?」
「あぁ!そのことですか!いまから缶詰をしてもらうからですよ!」
「か、缶詰?」
「要は作品を作るために籠るってことです。」
「…なるほど?」
「じゃあ作りますよ!時は金なり、時間は有限ですよ!」
「ちょっ、まっ!?」
勢いで押される響凱さんを尻目に俺は土間を借りて、ご飯を炊くのであった。
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〜主人公視点〜
「…炭治郎、このご飯の出来は…。」
「お、お口に合いませんでしたか?」
「口に合うどころじゃねぇ…、どうしてこんなクソ美味いご飯になるんだ?」
「うーん、俺たちの家は炭焼き小屋なので火加減が得意なんです!だからでしょうか?」
「なるほど、火加減か。……それにしても美味すぎる。」
炭治郎のご飯マジックに驚きながら土間で皆の分のご飯を作る。
「この沢庵すごく美味しいです!ご飯と一緒に食べると止まりません!」
「そうだろう?炭治郎、こいつも食ってみな。」
「うわっ!クセになりますね、これ!」
「味見は料理を作る人間の特権だからな。…さ、飯でも作ってみんなに振る舞おう。」
「はい!」
元気の良い返事をする炭治郎、そんな彼と共に飯を作る。
今回は缶詰、もとい製作作業がメインとなる。
ならば、俺たちが彼らに作る料理で1番重要なのはサッと食べれてサッと作業に戻れる、いわゆる軽食が適任である。
現代のようにハンバーガーやケバブなんかのファストフードがない時代、日本伝統の軽食であるおにぎりこそジャパニーズファストフード。梅に昆布、おかかに鮭とオーソドックスなものからツナマヨ、焼肉、沢庵昆布と変わり種もイケるスーパーフードだ。
「具もいいけどやっぱり混ぜ込みも美味いよな。」
「?混ぜ込み…ですか??」
「試してみるかい?ウマいぞ?」
「……ゴクリ。」
「良い反応じゃあないか。今作るから待ってろ。」
もう一つ忘れてはいけない、混ぜ込みタイプのおにぎり。現代ではマ○ミヤの混ぜ込○ワカメで和えたおにぎりがイメージしやすいだろう。
今回はおかか、野沢菜と鮭、ひじき(鶏肉とにんじんお揚げに蓮根、しいたけなどが入っている)を作る。
醤油と炒りごまの入ったおかかはシンプルだが濃厚な出汁の味に人を魅了し、野沢菜と鮭はシャキッとした野沢菜に塩味の効いた鮭がさらに食欲をそそる。そしてひじきは濃いめの味と多めの具材が旨味の津波を食べたものに浴びせる。
「美味しいです!このひじきも山では食べたことのない味です!」
もぐもぐと美味しそうに食べる炭治郎に頬が緩む。この時代は炭治郎のような年齢ような少年も満足に食べれないという事がザラにある。…この笑顔が…、絶望に変わってはいけない(戒め)。
あとは汁物だ。一気に栄養が取れる濃いめで具沢山のものが好ましい。豚汁や具沢山味噌汁がこれに該当する。そう考えていた時に帰ってきたのは山の王、伊之助だ。彼の取ってきたものを見て俺は驚いた。そこにあったのは血抜きされた猪の肉に川魚、わらびなどの山菜、さらにはきのこと大量の山の幸を持ってきたのだ。山の王、いや山神伊之助。
「い、伊之助!これをどこで?!」
「グハハハっ!山や森は俺様の庭だ!こんなもの容易いぜ!」
「よくやった!お前最高だよ!」
「すごいぞ、伊之助!流石は山の王だ!」
炭治郎と俺で伊之助を褒めまくると原作通り、ホワホワしている。すぐに意識を取り戻し、怒る…まさに形式美である。
「ほわわわわわっ。…はっ?!バカ野郎!俺をほわほわさせんじゃねぇ!」
「まぁまぁ。…さ、伊之助が極上の食材を持ってきたんだ。…バカ美味い飯、作ってやるから待ってな?炭治郎、手伝い頼むぜ?」
さぁ、作り手ども!腹を空にするまで創作をするが良い!
〜響凱視点〜
あぁ、楽しい。
小生が筆を置いた以来、長い間このような感情とは無縁であった。人を喰らい、血を飲み、化け物として振る舞ってきた。無惨様に気に入られ、十二鬼月にまた戻れることばかり考えていた…。今思えばこのような考えは浅はかでくだらないものであったと後悔するばかり。
けれどもそんな後ろめたい気持ちも考えも今は邪魔なだけだ。
「響凱さん、ここの表現最高です!まさかのあそこでこうなるとは思いもしませんでした!」
小生の作品をバカにするどころか褒め殺すかの如く称える鬼狩り。
「響凱さん。ここの調子*4
最高っす!」
あの担当者に罵られた鼓も…。黄色い頭の少年が楽しそうに鼓の調子に合わせて弦を弾く。心地よい旋律を奏でる少年に合わせ、調子を刻む。生前では考えられない、孤独であった小生には温かいものである。
「こんにちはー!磯野さんいますかー!」
小生の家に入り、勝手に入ってきた童。どうやら磯野の知り合いなのだろう。長い髪を舞いあげて、笑顔で入ってきた童は肩のカバンを下ろしてこちらに向かう。
「…磯野、この童は?」
「あ、そうでした!紹介しますね!彼は時透無一郎くんです!楽団でいろんな楽器を演奏していますが、現在はフルート、和楽器でいう篠笛を担当しています。加えて鬼殺隊では最上位である柱でもあります。贔屓目に見ても天才ですね。」
「何っ!?柱だと?」
「そうなんです!僕、こう見えても柱なんです!…響凱さん、ですよね?演奏をご一緒するの楽しみで急いで来ちゃいました!」
元気に受け応える時透少年の笑顔に微笑みながら、一つつぶやく。柱であり、優れた演奏をする少年。小生の描けなかった物語を…、彼らのおかげで描くことができるのだ。……後悔ばかりだった小生の生きてきた軌跡にまた明るい光が差し込んでくる、そんな感覚だ。
「事実は小説よりも奇なり…だな。…ようこそ、小生の家へ。…ともに良き作品を作ろう、時透少年。」
「はいっ!よろしくお願いします!」
さぁ、鼓を持ち筆を上げよう。今は時間が惜しい。一つでも多く、小生の物語と楽曲を紡ぐ。それが今の小生に残された、死ぬまでのわずかな時間なのだから。
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ー主人公視点ー
「できた。さぁ、運ぶぞ!伊之助、摘むなよ?」
「摘まねぇーよ!」
摘まないように教育したのは俺たち、一応確認のために言ってみたがその必要はなかったようだ。缶詰部屋へと向かう。ちょうど演奏をしていたのか、合奏による爽やかなハーモニーが扉から漏れていた。勢いよく扉を開けると、楽しそうに演奏をする響凱、善逸、無一郎、春君にあっくんたちがそこにいた。
「さぁ、飯の時間だ!てめぇら、腹空かせてない奴はいるか?!いねぇよなぁ!」
「いません!お腹ぺこぺこです!」
「よしっ!!今から運ぶから手伝ってくれ!」
「「「はいっ!」」」
怒号のような返事を皆が出すと台所のところまで駆けて行く。
「びっくりしただろ?」
「あぁ。…貴様があの金平糖を作ったのだな?」
「まぁ、一緒に作った人たちがいるけどな。禰豆子はどうしてかこの金平糖と睡眠しか受け付けないが、普通の鬼なら人間の食事ができる。あんたも食いな、久々に食いたいだろ?」
「そうだな。…貴様はなぜそこまで食にこだわる?…上弦の弍を討伐した時も酒を出したとも聞いた。…小生にも教えてくれないか?」
「そう…だな。少し話す、時間いいか?」
「…問題ない。」
「そうか…。俺が生まれたのはー。」
前世のことをやんわり含めながら響凱に俺の半生を語る。そうあれはー、
「俺が3歳の頃だった。」
〜響凱視点〜
料理人が話した内容は想像を絶する内容であった。まずは彼が3つの頃、実の両親に捨てられたことだ。まだ右も左も分からない子供、それもようやく言葉を発するようになった頃の幼子をだ。
最初は怒りに駆られていたが、次に彼が話した内容に驚愕した。それは前世の記憶をもって彼が生まれたことだ。
「ぶっちゃけ驚いたよ。死んだと思ったら親に捨てられて、終いには子供と来た。…新潟、越後での捨て子ってなるとやっぱり死ぬ可能性もあったからな。前世の知識や自分の舌のおかげで生きてきたけど、板前の親父に拾われなかったら今ごろどうなってたのかもわかっちゃいない。いやぁ、事実は小説よりも奇なりってあるもんだな!」
あっけらかんに笑う。だが次の瞬間、真面目な顔をしてこう告げた。
「その時もそうだが、親父と一緒に料理の修行で旅をしていた時に色々見てきたんだ。餓死寸前の子供、碌に治療されずに飢えに苦しむ娼婦、貧しさとその日のおまんまも食えずに一家心中する家族。…辛かったよ。もし腹一杯おまんま食えたら、…死ぬことも厳しい労働もしなくてよかったのかもと思うことがある。」
優しく中性的な顔立ちの料理人であったが、この時の表情は酷く老け込み、その端正な面に影を落としていた。
「…俺は料理人だ。そんなことあっちゃならないと思った。せめて目の前にいる人にはお腹いっぱいになって幸せになってほしいと考えてしまうんだ。…鬼だろうと悪人だろうとそれは変わらない。腹すかしている奴には飯を出す、話はそれからってな。…全部親父の受け売りだけど…俺もそれは思う。…変だよな、親父も働いていた料亭の仲間達も夢半ばに鬼に全員殺されているのに…。」
「……。」
「けどな、今思うと俺の親父も同じことをしたと思ったんだ。…死んだ仲間と親父の夢を叶えたい。…これは強迫観念じゃなくて俺がしたいことだ。…ずっと思っていた。お腹いっぱい幸せに暮らしていける世界、…誰も悲しまず飢えがなく笑顔の大円団を見たい。バカみたいな話だろ?でも俺は本気さ。だから飯を作る。理不尽なんて何のその、誰も彼もが腹一杯になって笑顔を浮かべられる未来をな!」
そう言い切った彼は小生を見つめる。漆黒だが艶やかな黒い瞳は小生の心をも見通しているようであった。
「…小生はきっと、お前のようなバカな人間に出会えていたら…。…理不尽にも耐えれたのだろうか…。」
「…さぁな。ただ、理不尽ってものは破るもんだぜ?」
理不尽は耐えるもの…、小生はそう思っていた。それを破るものと答えた。小生の心の中は驚きと感嘆で満ちていた。不思議と笑顔になれる気がした。
「…面白いな。」
「ニシシッ。」
「…理不尽は破るもの…か。やってみよう。だがその前に腹ごしらえだな。」
「そうだな!腹一杯食ってくれ!」
久しぶりの空腹、美味しい匂いに誘われながら小生は皆の元へと向かう。覚悟はできた、小生の全てをかけて物語を描くとしよう。
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〜主人公〜
さて、今回のメニューは以下の通りだ。
・おにぎり
(鮭、高菜、沢庵おかか昆布、おかか、野沢菜と鮭、ひじき(鶏肉とにんじんお揚げに蓮根、しいたけ)、ツナマヨ、焼肉など)
・牡丹汁(味噌テイスト)
・お茶(緑茶)、梅ジュース
名付けて!ババンッ
缶詰作業用、おにぎりオードブル!
今回は前述したように日本のファストフードであるおにぎりがメインのオードブルだ。米は力の源とされていた江戸時代では普通に米を4から5号を食べる人が多く、「力をつけるなら米を食べろ!」と現代日本でも信じられている節がある。
精神的な意味でも力をつけ、体を作る。そんなお米をふんだんに使い、なおかつさっと作業に戻れる効率重視なおにぎりこそが今回の食事には合うものだ。
コンセプトは効率と真心を込めて。
創作の作り手の心と進捗は大事!食べる時間が惜しい、けれども精神衛生的にも美味しいものを食べたい。そんな欲張りを実現するための料理が今回だと自負している。
おにぎりと汁物、飲み物が徐々に並んでゆく。皆も目を輝かせ、今か今かと待ち遠しく見つめる。
「美味そうだ。…こんなに美味そうだと思ったのはいつぶりだろうか。」
響凱も久方ぶりの食事ということもあり、ワクワクしながら皆と同じように見つめる。
「さ、みんなで食べましょう!作業はまだまだ始まったばかり!合掌!」
春君が号令をかけるとパチンッと合掌する音が鳴り響く。
「いただきます!」
「「「いただきます!!」」」
おにぎりを一つ取り、口に入れる。
「うまい。」
響凱の口からは放たれたのは久方ぶりの美味いものへの素直な感想だった。一口食べるごとに溢れてゆく涙は葉から落ちる雪解けの雫のようだった。
「なぜ小生は…鬼に…。……この世の中には…こんなに美味しいものが…。」
「そうか。……、ゆっくり食べろよ。」
涙を流しながら美味しそうに握り飯を食べる。その顔には初めに見た時より憑き物が取れ、優しい雰囲気を醸し出していた。
あらかた涙を流し終えた彼は皆と談笑をしながらご飯を食べる。
「あぁ、人と食卓を囲む。こんなに楽しいものだったのか…、小生は忘れていたのだな。…ふふっ。書く気がもりもり湧いてきた!こうしてはおれん!筆と紙を取らねば!」
それは雪解けのように凝り固まった心を解きほぐし、創作者としてまた歩み始める響凱の物語の復活を見ているようであった。
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〜響凱視点〜
あぁ、心地よい。この約半月の間、今まで溜まっていた書きたかった事を吐き出すことによって創作意欲が刺激され、また新たな作品を生み出す。こんなに創作が楽しいと思えたのは本当に久方ぶりのことだ。
さらには楽曲や舞台の脚本も書けるのだ。自分の作品に命を吹き込む演者がいる。そう思えるとさらに筆の運びは一層に速くなる。
「…ふふっ。!…そうか…これが小生…いや、俺が夢見ていた理想なんだ。あゝ、遠回りだったが……俺の今までの苦悩が報われる。」
今までの苦悩や後悔、それらが自分の血肉となり自分の作品に命を与えてゆく。冒険譚、推理物、怪談、喜劇に悲劇、全ての分類の作品を昼夜問わずに書き続ける。
「皮肉だな。昼夜問わず、休まずに作品を創れるのは鬼になったからなんて…。…楽しいな…、……彼らにも感謝だな。…それに…夕飯…美味しかったな…。」
最後の物語を描き終え、筆を置く。ちょうど雀の鳴き声が聞こえ始める。夜の静かな時間は新しい朝を迎えようとしている。
「そろそろ夜明けか…。…そこにいるんだろう、料理人。」
「バレたか。朝飯持ってきたんだ、食べるだろ?」
「いただこう。」
出されたものは沢庵に豆腐の味噌汁、白米と簡素なものであった。だがそれが良いのだ。
手を合わせ黙々と食べる。白米が進む沢庵に食欲を沸かせる味噌汁、これだけでも1日頑張れる。そんな朝飯であるのだ。空になった椀を見つめ、お茶を啜る。それだけで心は満たされてゆくのだった。
そして俺は料理人に告げた。
「……そろそろ筆を置こうと思う。」
「そうか。」
これだけで彼はわかったのか、悲しそうに眉を顰める。たが俺の心の中のしこりはすでに失くなっており、この世に対しての未練は一切無くなっていた。
「…介錯は?」
鬼殺隊らしいが、痛みを与えないための気配りをする。
「必要ない。もう時期朝日が差し込むさ。」
縁側の雨戸を勢いよく開け放ち、外へと歩き出す。こうして早朝に外へと出たのは人間の頃以来だ。
少し肌寒いが、少しずつ朝日の暖かな空気が流れてゆく。あぁ、そうだった。この朝日の爽やかさをすっかり忘れていた。徹夜で物語を描いた時に差し込んだ朝日もこのようなかんじだった。
次第に差し込む朝日が体を包み込む。体が崩壊しているのかポロポロと灰が舞い上がる。不思議と焼けるような痛みもなく、心も穏やかなままだった。
「…料理人、…いや灘結月。…お前のような男に会えて本当によかった。…それに磯野や童たちにも…。礼を伝えてくれ、それが俺の遺言だ。後は皆に任せる。妖はここで消えるとしよう。」
そう伝えると、彼は覚悟を決めた顔をして
「…わかった。…必ずお前の作品を後世まで広める。…あの世に行ったら土産話と一緒に美味いもんまた食わせてやる!だからー。」
魂の叫び、本心からの言葉。…暖かな感情が心を占める。……答えは得た。
「…長く生きた中でようやく答えは得た。…あぁ、お前たちの痛快な物語の結末と美味い飯をあの世で楽しみにしているさ。」
気がつくと一寸先も闇の空間にいた。先には白く輝く光が見える。…ただ漠然とその光へと歩くということだけはわかったがここがどこなのかは理解できてはいなかった。
「ここは…。」
「そこの君、どうしたの?」
唐突に声をかけられ振り返るとそこには優しい表情をした虹色の瞳を持つ美男子がそこにいた。瞳には上弦の弍と描かれていた。かつての十二鬼月の上の位であった男、嫌な汗が噴き出てくる。
「上弦の…弍…。」
「あれ?俺のこと知って…、思い出した!君、だいぶ前に下弦の鬼だった人でしょ!懐かしいなぁ!それと俺の名前は童磨、よろしくね!ところで君は首を斬られてここに来たのかい?」
「いえ、その…。とある料理人たちに心を絆され、太陽の光にて自害を…。」
親しげに久々に会った既知のように声をかける童磨はさらに顔を輝かせ、嬉しそうに言葉を続ける。
「ってことは灘殿の料理を食べたってことだよね??いいなぁ…、俺初めて会ったときに殺されちゃったからまだ食べたことないんだよね!よかったら教えてくれない?」
「え、何その出会い…俺怖い…。」
こうして俺は暗闇の道の先、光へと向かう仲間(?)と出会った。……つくづく俺の周りは変人が集まるようになった。…料理人、どうやら土産話はお前だけではないようだ。また会えるのを楽しみにしているぞ、料理人とその仲間たち。
〜主人公視点、缶詰作業から数週間後〜
あれから数週間が経ち、とうとう響凱の小説の第一版が世に出される日が来た。
彼の消滅後、遺言により指定された作品を出版し全国の本屋へと並べられていった。たちまち本はベストセラーとなり、上方*5では落語の題目、東京では歌舞伎の演目として取り扱われる様になっている。
物語の名前は「板前犯科帳」、幕末江戸で板前が時にシリアス展開な事件解決をしてゆく時代小説である。全3部作の作品はたちまちファンからの続編を待ち望まれたが、世間的には響凱は若くして亡くなった作家の作品が周りの家族の意向により世に出されたとなっているためその望みは無い。たが、そこに春くんは目をつけていた。
我楽多文庫*6、今で言う同人誌の活動を後押ししたのだ。
「僕的にはまだまだですけど、同人誌にしか得られない栄養素の存在を知覚させる良い機会です!響凱さんの作品はそれほど良質で愛される作品だったんですよ!あの世でも彼の物語が広まってくれると思うと…くぅぅぅ!さぁーて、ぼくも忙しくなるゾォ!」
…何を言っているかはわからないけど世に彼の作品が広がるのは良いことが。ちなみにアッくんが彼に提案した官能小説も地味に人気となり、純愛物と聞かれると間違いなく響凱の作品と呼ばれる程だ。
何言っているかわからない?わかるよ、俺もそう思うから_(┐「ε:)_グデェ
とまぁ響凱の作品は世に広まり、そのモデルでもある食堂紬もいつも以上に繁盛している。
そんなことを思いながらお館様の料理を作りながら彼の話し相手をしていた。疑問に思うよね。わかるよ。主人がなぜ土間にいるのかって…。何故か「暇つぶしの相手になっておくれよ…。」とぴえん顔までする始末。…確かに最近の産屋敷邸では輝利哉様たちと遊ぶか料理か報告しかしていない。彼なりのコミュニケーションの取り方なのだろうと思う様にする。
「しかし、この作品は面白いね。」
先ほどの板前犯科帳を読みながら俺に声をかける。
「そう思いますか、お館様。」
「うん。それにね、多分知っている人たちは君らのことを小説にしたんだって思うよ。変わり者の庄屋に7つの顔を持つ役者、江戸で負けなしの武士に日の本一の韋駄天飛脚、極め付けは主人公が看板娘姉妹に好かれている江戸一の板前。誰がどう見ても君たちだよ。」
「…ちょっと待ってください。それ本当ですか?!」
「そうだよ。それに後書にもあるよ。」
後書を見るとそこには名前は出されていなが明らかに俺たちをモデルにしたことや取材に協力した炭治郎や善逸たちについても触れていた。少し嬉しいくも恥ずかしい思いだったが次の一言で恥ずかしさの割合が10割超えのグラフブレイカーになる。
「と言ってもこの内容は私たちしか知らない。結月がカナエとしのぶと友達以上恋仲未満な状態のこともね。」
ニヨニヨしながら俺を見つめる。
「…いったいどこの誰がそのことを…。」
「善逸と慈吾朗さん。」
「…あんのバカ師匠と弟弟子めっ!!」
「早く結婚するの楽しみにしてるよ?(≖ᴗ≖ )ニヨニヨ」
祝福してるのはわかったが少しイラッとしたので少しだけ仕返しをする
「お館様だけご飯抜き…。」
もちろん冗談が効果覿面の様ですぐに俺に縋り付く。
「なっ、ちょっと待って!謝るからっ、本当に悪かったって!お母さん!」
「母ちゃんちゃうわっ!あんたそんな性格じゃないでしょ!」
「君に胃袋掴まれちゃったから仕方がないだろう!」
最近俺たちの前では威厳がなくなり、こんなに面白人間になっちゃったお館様にどうしてこうなったと思いながら飯を作るのであった。
あと善逸と師範、覚えてろよ( ꐦ◜ω◝ )
かつて氷の様に凍てついた蟠りを持っていた男は料理人たちの温かい心により、雪解けの様に心の中の氷を溶かし、再び心に焔を灯した。
男の物語は夢を与え、希望を見せ、暗く沈み込む大正の世を彼の心同様に明るく灯した。彼の名の通り
その結末を知るのはまさに神のみぞ知る話。
ー取得トロフィー&フラグー
・突撃!隣の小説家!
・竈門家の天使、禰豆子ちゃん!ーお兄ちゃんもメロメロ^o^
・金平糖はお薬です!ー響凱、正気を戻す
・大量物資の運搬ー某タコ先生のカバンみたい(小並感)
・カマバッカ缶詰作業開始!
・無一郎inしたお!
・炭焼き小屋のご飯炊きー火加減はお任せを!
・苦悩はお腹の中に流し込もう!
・料理人の過去ー転生者の幼少期
・涙のおにぎりー後悔は涙と共に…
・書く気がもりもり湧いてきた!
・優しい朝に…
・出会っちゃった★ー童磨再登場!童磨と愉快な仲間(?!)
・ご飯抜き!ーお館様、涙目(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
・物語は紡がれる
ーコソコソ大正次回予告^o^ー
響凱の物語を無事回収し、ついでに鬼殺隊の柱内にも自分の赤裸々な恋事情もバラされちゃった灘くん!
あの後善逸くんと慈吾朗さんはたんこぶが10個ぐらああできるほど蹴られたんだって…。痛そう…。ま、まぁ某海賊のコックの整形蹴り程じゃないし大丈夫だよ…だよね?
さてっ、次回は浅草へとお使いする炭治郎くんたちに密着!なんでも響凱宅の近くに珠代さんが作る薬に使われる薬草があったとか何とか!そこで出会うのは…あらあらうふふ!(邪悪な笑み)
次回っ!
第二十二飯、
初めてのお使いin浅草!ー炭治郎と愉快な仲間たち(転生組)の受難
^o^次回も見てねっ!