筆を走らせ三千里─物書き妖怪放浪旅   作:わはかす茶

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また数日空きましたごめんなさい!待っていた方いらっしゃったら申しわけないです!


一難去ってまた一難なんて、たまったものではない。

「あっ、さっきの妖怪さんじゃない!!」

 

「あーえー……そのぉ……」

 

 

その金髪の少女は真っ先に私を見てそう言った。突然の登場で身を隠す暇もなかったとはいえ、不味い、これはかなり不味い状況だ。まさか先程命からがら逃げた相手と鉢合わせることになるとは、思っていなかった。

 

 

それにもう一人、原理不明な高速移動をする人間に挟まれて。まともに殺り合えば物理的に粉砕玉砕されるだろうし、かといって挟まれてしまえば逃げる手立てもない。

 

 

「...妹様の知り合いなのですか?」

 

「そうよ。さっき出会ってね、なんでもパチェに話を聞きに来たんだって。」

 

 

仲睦まじく話している様子を見るに、どうやらこの二人は知り合いなのだと。これが俗にいう詰みというヤツか。しかもこの館は彼女達のテリトリーであり、地形を熟知している。勝敗は火を見るより明らか、加えて私が無事に逃げ延びる可能性すら怪しくなってきた。

 

 

「それはそれは不躾な事を、申し訳ありません。」

 

「ぁ、え、いや、こちらこそ……」

 

 

先程の殺意マシマシな様子から一転、突然頭を下げる銀髪の女性の様変わりした態度に呆気にとられることとなった。

 

 

「私はフランドール、吸血鬼のフランドールスカーレットよ。紅魔館の主の妹、宜しくね!」

 

(わたくし)はお嬢様と妹様に仕えるメイド、その長を務めている十六夜咲夜(いざよいさくや)ですわ。妹様の御友人とあらば精一杯もてなさせて頂きますので、宜しくお願い致します。」

 

「あ、ああ、わざわざ御丁寧にどうも、夜爛黒葉と申す者で御座います……。」

 

 

白銀メイドの咲夜さんと金髪吸血鬼のフランがそれぞれ自己紹介をし、それに合わせて私も名乗る。気品ある振る舞いからして品のある高貴さというものが感じられ、人間や妖怪のそれらとは全くもって違った存在であることを痛感させられる。

 

 

「ええと、それで黒葉さんはパチュリー様に御用事が。もしかして魔法を嗜まれている方なのですか?」

 

「ああ、えと。呼び捨てで大丈夫です。魔法については無知なのですが、アリスさんからの伝で。」

 

「人形使いのアリスさんから。成る程、手荒なことをして申し訳なかったわ。」

 

 

ま、まあ侵入者に対しては至極全うな判断というか、私から文句言えることはなにひとつないのだが、やはり咲夜さんもそれなりに交流の広い方のようで、アリスさんの事もちゃんと知っていた。

 

 

 

はじめから彼女のことを引き合いに出していたら、こんな騒動にはならなかったのではないか……と思いはしたが後の祭りなのである。

 

 

「それじゃあ咲夜、黒葉のことを案内してあげて。」

 

「承知致しました妹様。黒葉も固くならないで、折角妹様が心を許す客人なのだから。」

 

「あ、はい……。」

 

 

 

ひとまず一難は去ったかな。

 

 

 

 

「あ、そうだわ黒葉。パチェとの話が終わったらまた遊びましょ?紅魔館の中で!絶対、ぜぇーったい、逃げちゃだめよ?」

 

「……。」

 

 

あどけない少女の笑みを浮かべながら、フランが「また遊ぼう」と手を振る。一難去ってまた一難ってやつか……。

 

「妹様に相当気に入られたようね。」

 

「……逃げちゃだめですか?」

 

「駄目よ。妹様直々に釘を刺されたばかりじゃないの。」

 

「ええぇ……。」

 

「それにもし逃げたら、私が許さないから。」

 

 

咲夜さんから脅迫に近い、というか死刑宣告を喰らった。私がここから生き延びる手段ってないですか?あ、ない。そうですか。

 

 

 

 

 

 

──────

 

咲夜さんに連れられ、長い長い紅魔館の廊下を歩く私。だが目的の場所へと着く喜びに反して、その足取りは重く鈍く、歩幅も怯えた蜥蜴のように小さい。

 

「……。」

 

「いつまでそんな顔をしてるの……貴女も用事があってここに来たんでしょ?」

 

そりゃまあ……

 

「怨霊みたいな顔してもだめよ。決まったことなのだから諦めて。」

 

 

そんな顔してない、と反論する気力もない。圧倒的な力量差のある吸血鬼などを前にして勇ましく歩けというほうが無理な話だ。私が意識できる最大限、そう遠くない死の感覚に呑み込まれぬよう、一歩一歩を踏みしめるしかなかった。

 

 

「──ところで黒葉、貴女の職業柄と交遊関係について知りたいのだけど。教えてもらえるかしら?」

 

「ああ、ひょっとして遺言を伝えてくださると。」

 

「……。」

 

 

 

 

ドスッ!!!

 

 

咲夜さんはなにも言わす高速移動をしながら、私の頭にナイフを刺した。妖怪だからって容赦のない一閃を振り下ろさなくてもいいじゃないの……。

 

 

「そういうわけじゃなくて、単純に気になるだけよ。」

 

「そうですね、私は職業柄、物書きとしてこの地を歩きながら妖魔本を手掛けています。交流はその執筆仲間が数人と、古本屋に魔法使い、半人半妖の古道具屋……まあ見積もっても、ざっと両手で数えるくらいでしょう。」

 

「妖魔本……あまりいい響きではないわね。私も前にその件で振り回されたもの。」

 

 

咲夜さんはあまり興味がないといった様子でそうぼやく。あまり読書を嗜む性分ではないのだろうな。

 

 

 

「……さて、その話は私じゃなくて。パチュリー様にしてあげなさい。」

 

 

やがてある扉の前に辿り着いたと同時に、咲夜さんはそう言ってドアを開く。その先に広がっていた光景は、数メートルもある巨大な戸棚に大量の本が敷き詰められている不思議な空間であった。

 

バトルシーンは一話に完結させた方が宜しいですか?それとも会話シーン終了後、戦闘描写を省略して次話に投稿し、見たい人だけ見るかたちにした方が宜しいですか?

  • 一話にまとめて書く
  • 今の形態(分離)でいい。
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