筆を走らせ三千里─物書き妖怪放浪旅   作:わはかす茶

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短めですが念のため忠告。


今回は一応戦闘シーンになります。苦手な方は(略)


戦意喪失させることが勝利の一番の近道

少女を助けに来た、と思われる二人組を見やる。

水色の髪と大きなリボンが特徴の子供と、隠す気も感じられない獣耳逆立つ暗い茶髪の女性。

後者の女性からは明確な殺意が感じられ、鋭い目付きで私を睨み付けながら構えを取っている。

 

 

「……わかさぎ姫から離れなさい。危害を加えるというのなら私が許さない。」

 

「あたいも許さない!わかさぎはあたいの友達なんだ!」

 

 

どうやら青髪の魚少女はわかさぎという名前だそうだ。と、そんな事は置いておいて、かなり不味い状況であることはいうまでもない。

 

身体が万全じゃないせいで、二人を相手取るのはほぼ不可能だという点だ。普段から戦闘は避けてきた性分だが、二人とも無力な人間ではない。

 

あの水色の髪の少女もなにかしらの能力がある、というか私の見立てだと彼女のほうが多分強い気がしてる。

 

 

 

……空気が冷たい。喉が凍りつき、張り裂けるような痛みがして、声を出す気になれない。

 

 

「……黙っていても、なにも進展しないわよ。」

 

「ヴ……ルサイナ……喉ガ痛インジャコッチハ」

 

 

顎を引いて口許を手で抑え、息を吐いて温かい空気を循環させる。一番は喉だが、実際喉以外も痛いのは変わらない。

ところで彼女はなぜこの寒さに慣れているのだろうか。毛深くて暖かいからかな?こちとら声を出すのすら嫌になるくらい寒いんだけど。

 

 

「ン……あー、あー。」

 

その体勢のまま、私は声を張り上げる。聞こえてるかは怪しい、別に聞こえてなくてもいい。

 

 

「こいつに怪我した脚掴まれて、溺れさせようとしやがった。油断させて、捕って喰おうとした。」

 

「それは嘘。この子は虫も殺せぬ臆病な妖怪なのよ?そんなこと出来るわけないじゃない。つくならもっとマシな嘘をつきなさいよ。」

 

 

あー、だめだ。完全に事実を伝えてもこれだもんな。衝突は避けられないわ。仕方ないねー。

 

 

「えと、あ、ちが、」

 

 

「覚悟なさい!

″咆哮″.【ストレンジロア】!!」

「″影符″.【黒鉄球の刑】。」

 

アオーン、という獣耳の咆哮と共に、衝撃波、小粒弾幕が放たれる。衝撃波はまるで突風のように強く、後の小粒弾が逃げ場を狭めている。

 

 

……でもこのスペルカード相手なら十分有利を取れる。繰り出される咆哮は黒鉄球の質量を上げて耐えればいいし、小粒弾1発の火力などたかが知れている。被弾しないように適当に振ってるだけで凌げるからだ。

 

 

 

私としては有り難い。脚が痛むからあまり動かしたくなかったし。

 

 

「あたいがいることも忘れないでよね!」

 

 

水色の髪の少女が間髪入れずに追撃を仕掛けてくる。すぐに影を一筋伸ばし、私は叫ぶ。

 

 

「″妖術″【将夜叉】、あの子を牽制。」

 

 

私の分身である将夜叉が地面から現れ、自立して少女の方へ向かっていった。それと同時に身体を締め付けていたあの冷気が遠ざかるのがわかる。なるほど、あれはあの子の能力だったわけか。

 

 

「チルノちゃ……ちっ、仕方ないわね。私が一人でやるしかない!」

 

 

獣耳の彼女は臆せずこちらに鋭い爪を向けてくる。まあ身なりで察することは容易だが、彼女もわかさぎと同じれっきとした妖怪だ。

 

「……。」

 

私は今現在対峙している彼女を見やる。あの上に向かって伸びた獣耳からして、おそらく人狼の類いだろうか。だとすると夜に出くわすのは少しばかり危険だったか、いや出会ってしまったのだから仕方ない。

 

たらればなど考えている余裕はないのに、変なことを理屈交えて考えようとする癖は気付いていても治らんな。

 

 

「″影符″.【悪筆、蚯蚓(みみず)手繰りて】」

 

私はスペルカード宣言と同時に、手に持つ筆の先をつつく。黒いインクを含んだそれが膨張し、まるで一本の太い蛇のように伸びていく。

 

やがて数メートルにわたって巨大化したそれは、もはや一種の化け物のようだった。光を一切反射しない漆黒の、ぶよぶよとした体表。目も口も鱗もなにもない無生物。

 

 

加えて、見上げる程の巨体。

 

 

 

ドゴォォン!

 

 

 

 

私は筆を握る手に力を集中させ、その化け物を操ろうと妬きになっている。

あれでもちゃんと実体が存在しているようで、周囲を荒らし回りながらびたんびたんと魚のようにのたうち回る。

 

 

「よっ……と!ふっ!」

 

 

常に前進する蚯蚓をコントロールするのは中々骨が折れる。都合よく勝手に追尾とかしてくれないしな、これ。動かすこと自体は苦でもないけど、当てる当てないは正直スペルカードの存在意義に含まれていない。

 

 

 

「こ……怖いわぁ、人間怖いわぁ……」

 

コントロールに苦戦する私の姿を見てか、彼女はとうに意気消沈していた。スペルカードの規模を見てしまい、勝てないということがわかったのか。

 

その真偽は不明だがどうでもいい。

 

寧ろ私としても怪我が治りきっていない状態だったし助かる。やられたからやり返しただけで、別に私から捕って喰おうという気はない。

 

 

 

 

あと、一応私は″妖怪″なんだけどな。かれこれ100年は生きているし、それなりに妖力は付いてきてると思っていたが……

 

ずっと人間に間違われ続けるというのも難儀なもんだな。最近の妖怪は妖怪を見分けることすら出来なくなったのか、と私は内心彼女を含めた妖怪という存在を蔑視していた。




久々に書くと文章力落ちてるのがわかるなぁ……
あとシナリオが脇道に逸れていたり、事故だよ。

バトルシーンは一話に完結させた方が宜しいですか?それとも会話シーン終了後、戦闘描写を省略して次話に投稿し、見たい人だけ見るかたちにした方が宜しいですか?

  • 一話にまとめて書く
  • 今の形態(分離)でいい。
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