筆を走らせ三千里─物書き妖怪放浪旅   作:わはかす茶

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本人を前に忘れ去られてたら、そりゃあ怒りたくもなる

さて、これ以上滞在するのも気が引ける。もう少し見て回って次に行く場所を決めなくてh

 

 

「おっと、私の話はまだ終わってないぜ?」

 

 

.....てっきり博麗の巫女に着いていってたと思ったのに、魔理沙の方は私に関心があるのかずかずかと距離を詰めてくる。

 

 

「なにさ。」

 

「お前……今朝私に勝負を吹っ掛けてきた妖怪に似てるな。」

 

「...気のせいでは?」

 

 

そう、まさしく魔理沙が言ったように今さっき出会ったばかりなのだが、ここに来て確証が持ててないのかと内心溜め息をついた。そういえば素の状態でも人間か妖怪かの区別がついてなかったあたり、所詮力が強いだけで大した学のない人間ということか。

 

 

「あれー……人違いだったかなぁ……。」

 

 

魔理沙はポリポリと頭を掻いてなにかを思い出そうとしているようだ。

そんな記憶を遡るようなことかよ、一体どれだけの妖怪をあの短時間で相手していたんだお前は。

 

 

 

「多分そうですよ。なんせ私達、″初対面″でしょう?」

 

「その言い方……全く、なんか嫌な奴だぜ。」

 

 

内心キレかかっている私のわざとらしい振るまいに苦言を漏らし、露骨に嫌そうな表情を浮かべる魔理沙。どうやら感覚的に私のような妖怪を好かないらしい。まあそりゃそうだ。

 

古くから生きている妖怪の理屈など、十、二十年そんじょそこらしか生きてない人間の少女が好くものか。大抵は古臭いと一蹴されるか、不必要に恐れを抱かれるのが関の山。

 

ここで素直に正体を明かしたって構わないとも思っているが、妖怪にとって一番嫌なことは「馬鹿にされた」ことでも「怖がられなかった」ことでもなく、何より「忘れられた」ことなのだから。

 

 

 

 

 

 

「ふふっ、すみません。こういう性分ですのでご容赦を。」

 

「お前、面倒臭い奴って言われたことないか?」

 

 

 

面倒臭いとは言われたことないな。そもそも物書きを始めた頃からは人間と関わることは殆どなかった気がするし。

話し相手が全く居ないということはないけれど、面倒臭いと思うことはあっても思われることは私の知る限りではなかった。はずだ。

 

 

なーんかどっかで会った気がするんだよなぁ……

 

 

魔理沙は未だ気づいていない様子で考え事に耽っている。戦ったとはいえ、素性を隠してなおかつ服装も違ってれば中々分からないものか。顔は変わってないけど。

 

 

「それで、話したいこととはそれだけですか?」

 

「ああ、それだけだぜ。」

 

 

魔理沙は煮え切らない思いをそっと仕舞い込み、「それじゃあな」と私に背を向ける。次回会ったときにまた忘れてたらまた同じこと繰り返してやるからな。

 

 

 

「そういや名乗ってなかったな。私の名前は霧雨魔理沙、普通の魔法使いだ。」

 

「夜爛黒葉、存じの通り妖怪です。」

 

 

 

冥土の土産に覚えとけでも言うのか、魔理沙は今更すぎる自己紹介を押し付けると、そのまま箒に跨がって博麗の巫女の後を追うように飛んでいった。

 

 

 

……なあ里の方々。私よりあっちの方がよっぽど妖怪じゃないか?なんで皆、あれがさも当然かのように何事もなく過ごせているんだ。

 

 

……(呆然)

 

 

良い意味でも悪い意味でも、肝が据わりすぎだろ。あれに比べりゃ一般妖怪など米粒程度だろうに、先程の驚きようは異常すぎはしないか。

 

 

「……魔理沙、か。」

 

 

魔法使いと名乗った少女、霧雨魔理沙。妖怪が妖力を、霊魂が霊力を操るように、魔法使いもまた別の力を持っていそうだな。それこそ魔力というやつだろうか?

 

 

当初巫女を含めた人間達は、猛威を振るう妖怪に対抗すべくその身に神霊を降ろし、その力を行使していたという。その血筋の生まれならば多少霊力が窺えてもいいはずなのだが……彼女からはそれを感じなかった。

 

 

だが魔理沙との弾幕ごっこにて、「魔法」というものが実在しているのを確かに目にした。時折耳にする「魔法の森」という場所はきっと彼女のような魔法使いの為の土地なのであろう。

 

 

妖怪には「妖怪の山」、霊魂には「三途の川」、人間には「人里」と各々が為に在り暮らせる場所がある。

 

 

魔法……というものを使う魔法使いが「魔法の森」に住んでいたとて驚くまい。

 

 

「魔法の森……ねえ。」

 

 

 

だがここ暫くほっつき歩いて魔法の森らしき場所にたどり着いた覚えはない。また鬱蒼とした地帯を歩くのは骨が折れるが、それよりも冷めやらぬ興奮と探求心が湧き出てくるのを感じる。

 

 

 

魔理沙の振るまいからして恐らく、魔法使いというのは魔法を習得した普通の人間の総称なのだろう。幻想郷を長く生きた私も知らない彼らの伝というのを聞いてみたくなった。

 

 

 

────決めた。次は魔法の森へ向かおう。

 

 

 

 

 

怪しまれぬよう本を片手に素性を隠すようにして人里を抜け、宛もなく林道を歩く中で動きやすいように自らの服装を変えていく。一度里を抜けてしまえばもう擬態する必要もない。

 

 

加えて和服はちょっと動きづらい。やはり元の(こっちの)方が動きやすいな。

 

 

かつて轆轤首(ろくろくび)の服を参考に作った手製のもので、誰かが言うには洋服とよばれるものらしい。私にそこらの知識がなく一概に言えないが、これが非常に軽くて肌に馴染む。

 

 

和服だとどうしても引っ掛かりを感じていた部分が短くて済むし、背中に垂れた頭巾を頭に被れば雨も凌げる非常に便利なものだ。

 

 

 

 

 

とまあ私の服装について語りはしたが、そもそも無策で未踏の地を訪れよう等と浅はかなことをするつもりはない。私はある人の元へ向かおうとしているのだから。

バトルシーンは一話に完結させた方が宜しいですか?それとも会話シーン終了後、戦闘描写を省略して次話に投稿し、見たい人だけ見るかたちにした方が宜しいですか?

  • 一話にまとめて書く
  • 今の形態(分離)でいい。
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