『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!   作:IXAハーメルン

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第百二十一話

「なんか萎びてる……?」

 

 

――――――――――――――――

 

種族 クリーピング・カクタス

名前 ドーナ

 

LV 11000

HP 2943/30667 MP 3543/8765

 

――――――――――――――――

 

 名前もレベルも同じ、先ほど『鑑定』で調べ上げた同一個体だ。

 だが艶のあった表面はいつの間にかしわの撚ったちりめん模様に、伸びる速度も先ほどほどではないようで、砂へ足とられつつ必死こいて逃げなくとも距離が取れるようになっている。

 

 回復していたHPも減ってる……なんで……? 

 味方同士で共食いならなぬ共吸収でもしているの……?

 

 同士討ちでもしているのかと思ったが様子が違う、もし同士討ちなら横にいる仲間に根っこを伸ばしているはずだが、少なくとも見える限りではそんなことはなく砂の上だけに根を這わせている。

 しかし走れば走るほど、進めば進むほどサボテン達はしわしわになっているように見えた。

 まるでそう、人間が全力で走れば疲れ、息を荒げるのが当然であるかのように。

 

 そうか、こいつらそれこそ命を燃やして移動しているんだ。

 当然だ。植物が伸びるのにどれだけのエネルギーを使うだろう、伸ばした分後ろから栄養を吸い取って足しにはしているようだが、それでも一切の消耗なく根を生やし体を成長させられるわけがない。

 つまり……

 

 MPとHPの両方を使い高速成長し集団で一気に仕留め、消耗した分を補うのがこいつらの狩り……!

 

「でも――狩るのは私!」

 

 魔法を使う必要なんて最初からなかった、そんなことをしなくともこいつらは勝手に疲労し、体力を削り、私の前に首を垂れる。

 そして体力を限界まで使い切った奴らに私を諦めるという選択肢はない、ここで狩らなければ死んでしまうのだから。

 

 逃げてよかった、逃げなければこんな単純な事にも気付けなかっただろうから。

 

「フォリア船抜錨ぉ!!」

 

 遂には動くこともまともにできなくなったようで、次々と地へ伏せていくサボテンどもへ駆け寄り、カリバーを軽く叩きこんでいく。

 果たして……予想通りサボテンは再生もせず、光の粒へ姿を変えた。

 

 こいつらは確かにとんでもない強敵だ。

 バラバラに打ち砕かれても破片を吸収して瞬時に再生してしまうし、破片へ下手に触れてしまえばそこから寄生されてしまう、その上植物の癖に移動速度だって速いと来たもんだから手に負えない。

 だが……

 

『レベルが1135上昇しました』

「行ける……!」

 

 確かな手ごたえと勝利への確信。

 流石に炎天下を走り続けたせいで肩で息をしてしまうが、それ以上の喜びに心が躍る。

 まだ情報が足りない、流石に今のような戦い方では危険を伴うのであまりできないが、一体ずつ情報を集め対策を練りこめば実にいいレベル上げ相手になりそうだ。

 

 決めた、今日はこいつでレベルを上げよう。

 

『レベルが1047上昇しました』

 

 

 追ってきたサボテンのすべてを叩き潰し終え、走っている途中で見かけた岩陰に姿を隠していったん休憩。

 冷えた岩にぺったり背中を宛がい冷たい水を飲めば、何も入れていないはずな水の甘さと清涼感にため息が漏れる。

 

 日光に当たらなければ砂漠でもだいぶ暑さはマシかも……

 

 塩飴を舐めながら静かに目を閉じ全身に集中すると、酷使された太ももや肩、腕など節々がじんわりと熱を帯びていることに気付く。

 以前炎来でやけくそ気味に『スキル累乗』のレベルを上げてしまったせいだろう、今の『活人剣』ではダメージを補い切れていないらしい。

 そろそろスキルの調整もするか。

 

―――――――――――――――――

 

結城 フォリア 15歳

LV 20876

HP 41754 MP 104385

物攻 41759 魔攻 0

耐久 125267 俊敏 146147

知力 20876 運 1

 

 

SP 30880

スキル

 

スキル累乗 LV8

悪食 LV5

口下手 LV11

経験値上昇 LV6

鈍器 LV4

活人剣 LV11

ステップ LV1

アイテムボックス LV3

 

Σ∀しょウ 浸食率 2%

 

―――――――――――――――――

 

 うーむ、取りあえず反動を抑えるためにも『活人剣』は……20くらいまで上げてたいけど……

 計算苦手なんだよなぁ、電卓でも買った方が良いのだろうか。

 えーと、11と19を足して……8かけて……

 

 目の前にはちょうどいいことに砂がたくさんあるので、計算するのには困らない。

 サラサラと指で恐らくこれであっているだろうという単純な式を連ねていった結果は……

 

「12000!? んなぁー!」

 

 思わず頭を抱え転がってしまう。

 

 最低限の上昇量だというのに、これだけで現状のSPを四割も使ってしまうことに気が付いた。

 スキルのレベルが上がるほどにSPの要求量が増えること、そして10の数値を超えるたびさらに二倍だのとされてしまうことを知ってはいても、実際目にするとでは全く違う。

 おせちがからい。

 

 しかし嘆こうと地団駄を踏もうと結果は変わらない、必要なものは必要なのだ。

 泣く泣くSPを割り振り、無事『活人剣』のレベルは20となった。これで与えた20%のダメージは私の回復に当てられる、これでも反動に耐え切れないようならもう少し上げる必要があるが現状は保留。

 次のレベル1上げるだけで上げるだけで10000とかやってられん。

 

 せめてどのスキルを上げれば何が手に入るとかもっと分かればいいんだけど……情報が全然ないんだよね。

 

 ただでさえ危険を伴う探索者、スキルを冒険して取ろうという人も少なく、そもそも私のように数百倍の勢いでレベルを上げられる存在自体がまあ……多分いないだろう。

 それこそ『剣術』だとか一般的なスキルならある程度出回っているが、それでもスキルレベル20程度までが限界だ。

 ネットを見てどれを取った方が良いとか従っていた最初の頃と違って今の私は割と上位層ということらしい、あまり自分自身そんな認識はないけれど。

 

 つまり……この先どのスキルを取るかは自分で決めるしかないんだよねぇ……何とるか、それともレベルを上げるか……ひどく悩みどころだ。

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