※ゼロ(ショートカット、ナレ足し)を先にお読みいたたいた方が面白いかと存じます。
BUMP OF CHICKEN『ゼロ』の二次創作です。
時代に翻弄された『姫』と『騎士』の物語。

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ゼロ(原文・ほぼセリフのみ)(BUMP二次創作)

迷子の足音 消えた

代わりに 祈りの歌を

そこで炎になるのだろう

続く者の 灯し火に

 

兵士「居たぞ!こっちだ!」

 

トーチ「クッ、もう見付かったか…。姫様、こちらへ!早く!」

 

ララ「……もう、いや……」

 

 

数刻前 黒の国城内 玉座の間

 

 

兵士「な、なんだ……あいつ……」

 

兵士「来るぞっ!構え」

 

ザシュッ

 

兵士「なっ、何が」

 

ズシャッ

 

兵士「ひっ…に、逃げ」

 

ザシュッ

 

トーチ「はぁ〜、遅い…遅い…やる気あんのか?なぁ…」

 

ザシュッ

ザシュッ

 

トーチ「腕を斬り落として」

 

ザシュッ

 

トーチ「喉笛斬って」

 

ザシュッ

 

トーチ「なかなか倒れないなら脚まで斬って」

 

ブシャッ

 

トーチ「遅すぎ…カカシでも切ってる気分だ…」

 

グシャッ

 

黒の王「…ふん。噂には聞いていたが…『神速のトーチ』、ヒトの命をカカシ呼ばわりか?」

 

トーチ「ハッ、隣国の国王様にまで名を知られているとは、これはこれは至極光栄にございます?」

 

黒の王「…お前が暴れすぎたせいで、城内の兵士は全て死んだ。メイド達は見逃してやってくれ…。いざ、尋常に」

 

トーチ「違いますよね?」

 

ザシュッ

 

黒の王「ぐぅっ!」

 

トーチ「数え間違いはしてないはずだし、そもそも『居ないんですよ』。

王家直属の近衛兵は全部で10人、それなのに今ココで斬ったのは9人。

そして…貴方の娘、そう、この国のお姫様。

……どこにいるんでしょうねぇ?」

 

黒の王「…逃げたに決まっておろう?

我が城に居残ってお前達の目をごまかしているスキにな」

 

ザシュッ

 

黒の王「ぐあぁ!」

 

トーチ「いいえ。宣戦布告から俺がここに到達するまで半日。先に下調べした隠し通路は全て塞いで退路を断ち、ネズミ1匹逃げられなかったはず…

つまりまだ城内に居るんですよ。

……どこへ隠したんです?これ以上面倒かけないで…っと」

 

ヒュン

 

女性兵士「クソっ!外した…」

 

トーチ「おい」

 

女性兵士「ヒッ…ララ様、お逃げ」

 

ザシュッ

 

トーチ「おいおいおいおい!ララ様っつったかぁ?どこだ?どこだぁ?!

おっ、この絵なんて怪しいなぁ?」

 

黒の王「止めろ!」

 

ザシュッ

 

トーチ「あ、しまった…。まぁ出来るだけ生かしてって注文だったし、首持ってけば良いよな?」

 

ララ「…貴様!覚悟っ」

 

トーチ「はーい、捕まえた〜。やぁっと見付けましたよ?お姫様ぁ!」

 

ララ「っ!離せっ!」

 

トーチ「ダメでーす。

王様うっかりやっちゃったので、貴方は出来るだけキズなしで連れてかないと流石に怒られるんですよ。

ほらほら暴れないで……」

 

ララ「離せっ!殺してやる!離せぇっ!!」

 

トーチ「……セラ?」

 

ララ「は?」

 

トーチ「……いや、違う……。とにかく、縛って連れて行きますから。大人しくしてて下さい」

 

ドスッ

 

ララ「グッ……」

 

トーチ「……セラ……似ている…いや、まさか……」

 

曹長「トーチ」

 

トーチ「お、曹長!終わりましたよ〜。

王様殺しちゃいましたけど、良いんですよね?」

 

曹長「バカが…ん?それは…王女、ララ姫か?」

 

トーチ「……さぁ?実物見たの初めてなもので…。近衛兵が1人付いていましたし、王女で合っているのでは?」

 

曹長「ふむ…成程。良かろう。それを牢馬車へ入れておけ」

 

トーチ「え〜?そこまで報酬に入ってないですよぉ?」

 

曹長「少し割りましてやる。どちらにせよ、王族を始末した分、たっぷり上乗せしてやるがな」

 

トーチ「うっは、ありがとうございますっ!

ならとっとと仕事しましょっかね〜」

 

ヒョイッ

スタスタスタ…

 

トーチ「……うーん…どーすっかなー?……」

 

スタスタスタ……

 

トーチ(誰も見てない…よな?よし……)

 

ダダダダ……

 

 

黒の国 とある川辺

 

ララ「うっ……」

 

トーチ「お目覚めですか?」

 

ララ「っ!貴様っ」

 

トーチ「おやおや、縛られてても威勢のいい事ですねぇ」

 

ララ「ぐ…この…ぅ…うぐ……」

 

トーチ「あの〜、姫様?」

 

ララ「…何よ。殺すならさっさと」

 

トーチ「あーいえいえ、

わざわざこっちの陣地から離れたトコに連れて来たのは、そのー…

ちょっと質問に答えて頂きたいのですが?」

 

ララ「……?な、なに?」

 

トーチ「……セラ、という女性に心当たりはありませんか?」

 

ララ「セラ?いや、別に……

…どちらにせよ、ジュリを…友と父上を殺した奴に、教える筋合いなど…」

 

トーチ「知らないんですね?それなら用事は終わり。

とっととウチの陣地へ御案なーい」

 

ララ「うわっ!私に触るなっこのバケモノっ」

 

兵士「おい!お前ら!そこで何をやっている!?」

 

トーチ「あ、やっべ」

 

曹長「見付けたぞ…トーチ!貴様、そこで何をしている!」

 

トーチ「いや、コレはただの道草でして!

これから陣地へ連れて行こうかと」

 

曹長「黙れっ!敵国の姫と共に逃走しようとは国家反逆だぞ!

お前がどれ程の功績を上げようとも…!」

 

トーチ「そーちょー!話を聞いて下さい!」

 

曹長「お前らっ!そいつ等を拘束して牢馬車へぶち込めっ!」

 

 

赤の国 陣地

 

 

トーチ「はぁあ……曹長、どうしちゃったんだろ?

……頭に血が登ってるなんてものじゃなかったよなぁ…」

 

ララ「……何故、お前と手枷で繋がれるなど……」

 

トーチ「知りませんよぉー。

あぁ〜今頃美味しいご飯とお酒をたらふく食って飲んでるハズだったのになぁ〜」

 

ララ(……あなたは自業自得でしょう……)

 

曹長「トーチ…」

 

トーチ「お、曹長!俺解放ですか?

めっちゃ腹減ってるんですよぉ!早く手枷外して下さいよ!」

 

曹長「…何を言っている?」

 

トーチ「へ?」

 

曹長「お前は反逆罪で、王女と共にこのまま死刑だ」

 

トーチ「……は?え?何を…」

 

曹長「黙れ!……どちらにせよ、国家反逆の重要参考人を、俺一人の判断で檻から出す訳にはいかん。

後でパンと水くらいは差し入れさせよう」

 

トーチ「えぇええ?ちょっと!曹長!そーちょー!……はぁぁぁ……」

 

ララ「……私は」

 

トーチ「ん?」

 

ララ「私は、このまま、赤の国まで連れて行かれて、そして…死ぬ。王女、だから」

 

トーチ「あ……うーん?」

 

ララ「……ふん。滅びる国の定めよね。

私、の最後の王族勤めだわ…」

 

トーチ「ん〜?

姫様、もしかして、死にたくない、んですか?」

 

ララ「……生きていて、何になるのよ。ハァ……」

 

トーチ「……」

 

 

赤の国 陣地 夜

 

 

トーチ「……姫様、姫様」

 

ララ「キャッ!……何よ?触るなって言ったでしょう?」

 

トーチ「……見張りの奴が寝こけてます。抜け出すなら今ですよ」

 

ララ「……は?何を…」

 

トーチ「あのですね、この牢馬車、ここの金具が緩んでるんで、俺の力なら…

よっ…おりゃ…!ほら、抜けた」

 

ララ「え?え、あなた、何を…」

 

トーチ「姫様」

 

ララ「はい?」

 

トーチ「逃げましょう」

 

ララ「え…」

 

トーチ「貴方を、死なせたくないので」

 

ララ「……は?!何を言っているの?

……嫌よ。逃げても、何処ヘも行けないに決まってる…。

亡国の姫など…どこへ行くと言うの?」

 

トーチ「じゃあ、どこか、誰も居ない所へ」

 

ララ「そんな曖昧な…」

 

トーチ「姫様。お願いします。この通り」

 

ララ「え?!え、もぉお待って!

………そうね…いずれにせよ、私は死ぬ、のよね…」

 

トーチ「そうです。恐らく赤の国の首都に着いてから…拷問の後、火炙りに」

 

ララ「……どちらにせよ死ぬのなら、最後にあなたに付き合ってあげる。

…ただし、父上や友を殺した汚い手で、二度と私に触れない、と約束して」

 

トーチ「……かしこまりました。姫様。

では早速、出来るだけ音を立てないように……」

 

 

 

トーチ「……失礼」

 

スッ

ザシュッ

 

ララ「っ!」

 

トーチ「見張りを始末して、武器を手に入れる…。効率的でしょう?

さ、参りましょう」

 

ララ「……え、えぇ…。行きましょう……」

 

ザッザッ……

 

トーチ「……気付かれてないようですね。

戦いの勝利に酔って、兵士達の気が抜けているようだ…。

少し、走りましょう。距離を稼がなくては」

 

ララ「ねぇ。あなた…いいの?

このまま逃げれば確実に罪人になる。

…私と共に処刑されるのよ?」

 

トーチ「もう、見張りを殺してしまいました」

 

ララ「……」

 

トーチ「良いのですよ。逃げ切れば良いのです。

…とりあえず、大きな森が隠れ場所として理想でしょうか…?」

 

ララ「森……ここから東へ行けば、人の手の入っていない山林地帯があるけれど?」

 

トーチ「いいですね!では、東へ。」

 

トーチ「……今度こそ、護って見せる」

 

ララ「ん?何かいった?」

 

トーチ「いえ、何でもございませんよ。

急ぎましょう」

 

タッタッタッ……

 

 

夜明け前 黒の国 郊外

 

 

ララ「ハァ…ハァッ…ハァ…」

 

トーチ「森の端まで来ましたか。

……追っ手は今のところ来ていませんね。

丁度川のほとりに来ました。少し休みましょう」

 

ララ「ハァ…えぇ、休みましょう…」

 

トーチ「本当は抱えて走った方が速いのですが……。

どうぞ。干し肉です」

 

ララ「要りません」

 

トーチ「……姫様。これからまた走らねばなりません。

食べておかないと……」

 

ララ「要りません!そもそも逃げ切れる訳がないでしょう?!

相手は数万の兵士、あなたが大活躍したおかげで消耗もほとんどしていない!

そもそも『あなた』から、憎き敵国からの施しなんて要らないわ!

私の腕を切り落として、あなただけ逃げれば良いのよ!

どうして私を巻き込むの?!」

 

トーチ「……姫様」

 

兵士「居たぞ!こっちだ!」

 

トーチ「クッ、もう見付かったか…。

姫様、こちらへ!早く!」

 

ララ「……もう、いや……」

 

タッタッタッ……

 

トーチ(ん?アレは…)

 

ララ「ハァ……ハァ……も、もう、私の事など……」

 

トーチ「姫様!もう少し頑張って下さい!」

 

ララ「え……?」

 

トーチ「ここを登った先に、簡単な造りの橋がかかっています!あそこまで行けば……」

 

ララ「い、や……ハァッ……もう、そんな体力が……」

 

トーチ「姫様!!」

 

ララ「ッ…」

 

トーチ「お願いします。貴方と、共に行かせてください」

 

ララ「…な、ぜ…」

 

トーチ「それは、この追っ手を巻いてから話します。

……抱えさせて頂いても」

 

ララ「さわっ…るな!ハァ…わか、た…」

 

 

曹長「逃がすな!矢を放て!殺しても構わん!」

 

ヒュン

ドスッ

 

トーチ「っ!……このまま走り抜けますよ。早く!」

 

ララ「ゼェッ……ハァ……」

 

ヒュンッヒュンッ

 

トーチ「もう少し…さあ、ここを渡ればっ」

 

ギシッ

 

兵士「待てぇっ!」

 

ララ「ヒッ」

 

ザシュッ

 

トーチ「…近付かれた方が余程やり易い。雑魚共が…。

さあ、早く。でも落ちないように、慎重に」

 

ララ「もう……ハァ……」

 

ギシッギシッ

 

トーチ「…よし。ではでは皆様、さようなら」

 

ブツンッブツンッ

 

兵士「う、うわぁ!」

 

ヒュー…ボチャンッボチャン…

 

トーチ「ふぅ…コレで暫くは大丈夫でしょう。

姫様、よく頑張って下さいました」

 

曹長「トーチぃい!!やはりお前はそちらなのだな?!

この裏切り者めが!黒き髪と瞳の悪魔め!

決して逃がさんぞおっ!!」

 

ララ「ヒッ……」

 

トーチ「……参りましょう。姫様」

 

スタスタスタ……

 

曹長「トーチ!育ててやった恩を忘れたかぁ?!」

 

 

黒の国 山林内山小屋 夜

 

 

トーチ「都合良く山小屋があって助かりました。

…さ、火が入りましたよ。姫様、お座り下さい」

 

ララ「えぇ…。うーん、やっぱり手枷は外せないわね…」

 

トーチ「そうですね…流石の俺でも鋼鉄の鎖は…」

 

パチッ…パチ…

 

トーチ「…姫様」

 

ララ「何よ」

 

トーチ「先程、そこの箱の中に干しぶどうがありました。

召し上がられては?」

 

ララ「そう……」

 

ゴソゴソ…

 

ララ「……あった。大丈夫そうね……」

 

トーチ「俺も干し肉を…」

 

モグモグ……

 

ララ「……ねえ、いい加減、話したらどうなの?」

 

トーチ「…何故、貴方を命懸けで助けるか、ですか?」

 

ララ「えぇ…。

…いや、そもそも、あなたは一体…」

 

トーチ「……そうですね。俺、について話した方が、分かりやすいか……」

 

トーチ「俺は、見ての通り、元々は黒の国の人間だったようです。

赤の国の人間は赤髪に茶色の眼が普通ですからね。

黒髪、黒の瞳は封鎖的な黒の国独特の特徴だ。

でも…物心着いた時には、俺は既に赤の国の『特別兵士育成所』に居ました」

 

ララ「『特別兵士育成所』?」

 

トーチ「より強い兵士を育成する目的で、子供の頃から徹底して教育する。

…教育、と言っても、実態は虐待と労務の強制、戦闘術の徹底的指導、

そして『こんな目にあっているのは、全て黒の国と戦争をしているせいだ』というマインドコントロール。

そこには、俺以外にも5人程の黒髪、黒目の子供達が居ました。

『黒の国の子供達』には、特に強い虐待が与えられていました」

 

ララ「…あなた、今何歳かしら?」

 

トーチ「……18、だったかと。誕生日すら分からないので…」

 

ララ「……聞いたことがあるわ。15年程前に、国境に近い街の修道院と付属の孤児院が、侵攻してきた赤の国の軍隊に襲われた。

修道女と孤児達はほとんどが皆殺しにされ、数名の孤児が連れ去られた、と…」

 

トーチ「……そうですか。そう、だとしても…今さら、ですね…。

5人の黒の国の子供達の内、1人は虐待に耐えきれずに死に、

1人は鏡を見ながら黒い自分の姿に発狂して自らの首を切り、

1人は黒の国の人間の姿をした俺を殺そうとしたので、返り討ちに。

残ったのは、俺と、もう1人……セラ、という女の子です。

……貴方は、本当に、セラに…そっくり、ですね」

 

ララ「……その、セラという方は?」

 

トーチ「俺達の初仕事、赤の国の辺境奪還作戦で優秀な戦果を納めた後…

味方の兵士に、背後から襲われました」

 

ララ「…え?」

 

トーチ「……若い兵士でした。

作戦の直前に、黒の国に郷土を奪われ、目の前で両親と恋人を殺された、と。

作戦前に自ら志願して入隊したと。

1人でも多くの敵を、殺したかったと……。

セラは、背から胸まで剣で貫かれ、最後は俺の腕の中で息を引き取りました。

傍に居たのに、初仕事が終わって、気が抜けて…何も出来なかった、俺の……」

 

ララ「そ、それは、しょうがないでしょう?

味方に襲われるなんて…」

 

トーチ「……セラを襲った兵士は、罪に問われませんでした。連行すらされなかった。

セラは、死んだ直後には、『居なかった』ものとして扱われた。

俺は、1人でその場に穴を掘って、埋葬してやる事しか出来なかった…。」

 

ララ「……」

 

トーチ「…今度こそ、護りたいんです。

彼女を、死なせたくないのです。

……姫様、こんな形で申し訳ないのですが……お願いします。

貴方を、護らせて下さい」

 

ララ「……ララよ」

 

トーチ「え?」

 

ララ「私はララ。黒の国の次期女王…に、なるはずだった、あなた達の敵として教え込まれた者よ。

セラではないの」

 

トーチ「ぁ…」

 

ララ「……ごめんなさい。自分でも何を言いたいのか…。

もう遅いわ。今夜はここで眠りましょう」

 

トーチ「……えぇ。俺は見張りをします。

姫様はどうぞごゆっくりおやすみ下さい」

 

ララ「…ありがとう。おやすみなさい……」

 

 

3日後 黒の国辺境 昼

 

 

タッタッタッ……

 

ララ「ハァ……ハァ……」

 

トーチ「ハァッ…ハァ…」

 

兵士「居たぞ!捕まえろっ!」

 

トーチ「……っ!しつこい……っ!」

 

ザシュッ

ドサッ

ザシュッ

ブシュッ

 

ララ「ヒッ!……」

 

トーチ「クソッ……キリがない……

姫様、1度身を隠さないと……」

 

ララ「……ジュリ…父上……」

 

トーチ「ひめ、さま?」

 

ララ「……」

 

ドサッ

 

トーチ「姫様!」

 

ララ「……」

 

トーチ「姫様!姫様!!……ララ、様っ」

 

ララ「ぅ……」

 

トーチ「姫様?よかっ」

 

ララ「触るな…バケモノ…」

 

トーチ「え?……あ……」

 

ララ「……あ?私は、今、何を…」

 

トーチ「…姫様、こんなに痩せて……お疲れでしょう?

食べ物も丸一日全く食べていないし……」

 

ララ「はやく、にげないと…はやく…」

 

トーチ「…ほら、そこの木にリンゴが成っていました。

どうぞ。お召し上がりください」

 

ララ「い、いやだ…ひとごろし…

近付かないで…死にたくない…」

 

トーチ「やめてください!どうしたんですか?!ララ様!」

 

ララ「っ!え?あ…違うの、トーチ…」

 

ヒュンッ

ドスッ

 

ララ「ウッ?!ぐ……あ……」

 

ドサッ

カラン……

 

トーチ「ララ様!」

 

ララ「ぁ……や、だ……しに、たくな…と、ち…」

 

セラ(トーチ……しにたく、ない……誰も、居ないところ、へ……やく、そく……)

 

トーチ「……ララ様、良かったですね。最後に、手枷が、外れました……こんなに、痩せて……」

 

ヒュンッドスッ

ヒュン……

ヒュッドスッ

 

トーチ「うるさい……」

 

ダダッ

 

ザシュッ

ザシュッ

 

トーチ「うるさい…うるさい……」

 

グシャッ

ズシャッ

 

トーチ「腕を斬って……喉笛を斬って……」

 

ザシュッ

ブシャッ

 

トーチ「なかなか倒れなければ…脚も斬って……」

 

ザシュッ

 

トーチ「アハハ……ああ……ハハハ……あぁああああっ!」

 

ヒュンッドスッ

 

トーチ「ぐ……」

 

ヒュンッドスッドッ

 

トーチ「ぅ……ぐ……」

 

ドサッ

 

曹長「……ふん。やっと死んだか。死に損ないめが……。

おい、姫をさっさと回収しろ。全く、とんだ寄り道をさせられたもんだ……」

 

トーチ(や、めろ!触るな!ララ様に…汚い手で触るんじゃないッ!

やめ、ろ…。ら、ら……様…)

 

 

数世紀後 日本 昼

 

 

ヒカル「……ハッ?!」

 

ガタッ

 

先生「おーうヒカル、今日は10分しか寝なかったなぁ?」

 

クスクス……

 

瀬良「ちょ、ちょっと…授業中よ?

ヒカル、早く座んなさいよ」

 

ヒカル「ララ様?」

 

瀬良「は?」

 

ヒカル「ララ様!御無事だったのですね?」

 

瀬良「えっ?ちょ」

 

ガシッ

 

ヒカル「ララ様…うっ…グズ…」

 

瀬良「えぇ?!ちょっとヒカル!どうしたの?」

 

先生「……ヒカル、廊下に立ってろ」

 

キーンコーンカーンコーン……

 

先生「……ヒカル」

 

ヒカル「あ、先生…すんませんでした…」

 

先生「……正気に戻ったならいい。夜更かしは程々にな」

 

ヒカル「はい……」

 

瀬良「ヒカル」

 

ヒカル「あ、瀬良!ごめん、なんか変な夢見てて…」

 

瀬良「いや、ビックリしたけど…うん…」

 

ヒカル「ごめん……」

 

瀬良「……ちょうど昼休みだし、屋上でお弁当食べよ?

今教室戻ってもあんた笑われるでしょ?

お弁当取ってくるから、蘭々を隣のクラスから呼んどいて」

 

ヒカル「ありがとう、瀬良!マジで恩に着る!」

 

蘭々「あ、ヒカル〜!お昼食べよ?」

 

ヒカル「あ、蘭々。ちょうど良かった!

呼びに行くとこだったんだ。

瀬良が来たら屋上で食べようぜ」

 

蘭々「屋上?珍しいね…?

何?人の顔ジロジロ見て」

 

ヒカル「いや、あの…さっき、変な夢見てさ…」

 

蘭々「夢?」

 

瀬良「お待たせ!行こっ!」

 

ヒカル「うん。食べながら話すよ。

本当に変な夢でさ〜…」

 

迷子の足音 消えた

代わりに 祈りの歌を

そこで 炎になるのだろう

続く者の 灯火に

七色の 灯火に

 

原曲 BUMP OF CHICKEN ゼロ

作詞作曲 藤原基央

編作 シリウス

 

ただの悲劇をパンドラの匣に変えた最推し君へ

最大限の感謝と敬意を以てこの物語を捧ぐ

 

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