出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
突然ではありますが、今回を以ってSEASON2終了とさせていただきます。
詳細につきましては、活動報告をご覧いただければ幸いです。
それでは、短いですが最後までお楽しみください。
最終話:
雷鳥side
さて、那歩島から雄英高校へと無事に戻ってきた俺達を待っていたのは、相澤先生と根津校長の厚意で与えられた3日間の休養だった。
思いがけない形で与えられた休みに俺達は大いに喜び、2日間のんびりと過ごさせてもらった訳だが…
「悪いな皆。折角の3連休最終日に付き合ってもらって」
「構わないさ。流石に3日も完全休養だと、体が
「そうそう! それに吸阪のパワーアップした“個性”を間近で見られるなんて、滅茶苦茶面白そうじゃん!」
3連休最終日である日曜日の朝。俺達は全員体操服に着替え、グラウンドに集合していた。
元々は那歩島での戦いでパワーアップした俺の“個性”、『雷神』改め『
ちなみに、グラウンドの使用許可は前以て相澤先生から貰っており、測定役は―
「機材の準備は完了したわ! いつでも始められるわよ!」
これまた話を聞きつけたメリッサさんが行ってくれる事となった。
「内容としては4月に行った“個性”把握テストと同じ。ただし、50m走は100m走に変更だ」
「うむ。100m走なら、俺も最高速度を出す事が出来る」
準備体操を終えた俺達は、そんな事を話しながら動き出す。第1種目は100m走だ。
飯田side
吸阪君の横に立った俺は、ゆっくりと深呼吸を2回行い…“個性”を発動。
「レシプロターボ!」
いつでも最高速度を発動出来る状況で、クロウチスタート*1の構えを取る。
レシプロターボを発動した今の最高速度は、時速に換算して約120km。4月の50m走では後れを取ったが、今回は俺が先を行かせてもらう!
心の中でそう吠えながら、スタートの瞬間を待つ…そして―
「はぁっ!」
「ターボユニット!」
スタートを告げるブザーが鳴り響いた瞬間、俺と吸阪君は同時に飛び出した。吸阪君も相当なスピードで疾走するが、やはり俺の方が速度で上回る!
「天哉君、2.98秒! 雷鳥君、4.37秒!」
結局、吸阪君に1秒以上の差をつけ、先にゴールする事が出来た。その事実を秘かに喜んでいると―
「飯田。悪いがあと2回付き合ってくれるか?
吸阪君からそんな申し込みがあった。こちらこそ望むところだ。2回と言わず、レシプロターボの限界まで付き合うとしよう!
雷鳥side
1回目の測定では、ターボユニットのみの発動で、飯田と約1.4秒差。まぁ、これは想定内。本番はここからだ。
俺は両手を何度か開いたり閉じたりして、感覚を確かめ…クロウチスタートの構えを取り―
「はぁっ!」
「ブゥゥゥストッ!」
スタートを告げるブザーが鳴り響いた瞬間、ターボユニットを発動。同時に疾風を両手から放ち、それをブースターにすることで更に加速していく!
2つの合わせ技で1回目を超えるスピードを出す事は出来たが…
「天哉君、2.99秒! 雷鳥君、3.46秒!」
まだ飯田には及ばないか。よし、次だ。
メリッサside
「『
3回目の測定を行う為、スタートラインへ戻っていく雷鳥君と天哉君の背中を見ながら、私は静かに呟く。
ただでさえ強力だった雷鳥君の“個性”『雷神』が、実は“個性”の半分でしかなくて、那歩島における
Iアイランドにいた頃に閲覧した“個性”のデータベースにも記載されていなかった極めて稀なケース。是非とも間近で観察させてほしいものだわ。
「それじゃあ、3回目の測定始めるわよ!」
心の中でそこまで呟いたところで、私はスタートラインに立つ2人に声をかけ、測定装置を操作する。一定時間後にスタートを告げるブザーが鳴り、2人は同時に走り出す。
天哉はこれまで同様、レシプロターボによる驚異的な加速を見せ、雷鳥君は―
「
イオノクラフトによる滑走と、両掌から放つ風による加速。更には周囲の空気の流れを操作する事で作り出した空気抵抗を極限まで減らすフィールド。
三位一体の合わせ技でこちらも驚異的な加速を披露。天哉君の走りに肉薄してみせたわ。はたして結果は…
「天哉君、2.98秒! 雷鳥君、3.18秒!」
その差0.2秒。まさに紙一重の勝負ね。
「ギ、ギリギリの勝利だった…」
勝った天哉君も何とか勝てたという顔をしているわね。でも、テストはまだまだ続いていくわ。どんどん進めていきましょう!
梅雨side
朝から昼にかけて実施した2度目の“個性”把握テストも無事終了。吸阪ちゃんのパワーアップした“個性”『
「那歩島での復興作業や今回の“個性”把握テストで、『
「ただ…問題はサポートアイテムだな。ケラウノスはあくまでも『雷神』だった頃の俺用に作られた、電気系“個性”の
「まぁ、メリッサさんが何とかすると言っていたから、お任せするのが最善な訳だが…」
だけど、吸阪ちゃんはまだ不安があるみたいね。半ば独り言の様に喋りながら、大量のミートソースを仕上げているわ。
『四本腕が艶やかな女性、立派な毛並みの老紳士、ゼリーのようなプルプルお肌の少年。かつて彼らのような人間はマイノリティだったそうです』
『しかし超常は加速度的に進み、あっという間に彼らの時代。ここで産業革命以降膨張し続けた大量生産・消費文化に待ったが掛かったのです』
『気づいた時にはもう遅い! 規格はバラバラ、日用品すら合うモノ探しに奔走する日々。“皆が違う”! これだけの事で、多くの人々が苦労を強いられた冬の時代』
『そのような過去の歴史を忘れることなく、お客様一人一人に寄り添ったモノづくりを大切に歩んで来ました』
『個人単位でのデザインを3日以内のスピード提供! 独自開発の技術とシステムで業界
『そしていよいよヒーロー社会へ! これからのデトネラット社にご期待ください!』
そんな時、テレビで流れたのは1本のCM。そういえば朝のニュースで、ライフスタイルサポートメーカー大手のデトネラット社が、ヒーローサポート事業への本格参入に踏み切ったとか言っていたわね。
「デトネラット社…たしか社長は、
「あら、吸阪ちゃんがそんな事言うなんて珍しいわね」
「あぁ、あくまでも第一印象というか直感というか…
そう言って苦笑する吸阪ちゃんに、私も苦笑いした訳だけど…
だけど、デトネラット社のヒーロー事業参入が私達…いいえ、日本という国そのものの運命を大きく変える転換点となった事を、この時は誰も知らずにいたわ…。
死柄木side
『初めまして
先生や稀代の盗人張間歐児と並び称される暗黒界の超大物、デストロの名を冠する奴からだった。リ・デストロと名乗ったって事は…後継者を自称している訳か。
リ・デストロは、俺達が何度か世話になったブローカーの義爛を捕らえ、人質にしている事。人工衛星のカメラによって俺達を捕捉した事。日本全国に11万6000人を超える戦力が潜伏している事等を懇切丁寧に説明し―
「丁寧に説明してくれて嬉しいね。どうしたいんだ? お前らは」
『解放の先導者は“デストロ”でなければならない。君達は名を上げ過ぎた。
自分達の目的をぶっちゃけてくれた。
『戦おう、異能を開放して。これからすぐ! 愛知は“
『来れば義爛は解放しよう! そして選ぶといい。私達と戦って潰えるか、ヒーローに捕まり潰えるか! 死柄木弔!!』
自分の言いたい事だけを言った後、挨拶も無しに通話を終えるリ・デストロ。まったく、最高指導者だなんだと名乗るんなら、最低限の礼儀くらいは守れ…。だが…
「ククッ…ハッ、ハハハッ…リ・デストロ、どうやらお笑いの才能はあるようだ」
自分の器がどの程度なのかわかっていない奴が、最高指導者を名乗るなんてそうそう出来る事じゃない。ある意味大物だな。
俺は油断すれば零れそうになる笑いを堪えながら、スマホを操作してドクターと連絡を取る。
「ドクター、聞いていたな?」
『あぁ、最初から最後までバッチリと聞いておったぞ。まさか異能解放軍が生きておったとは! 驚きじゃよ~。お前さん達の活躍で闇が活性化しておるのう』
「その件に関しては後でゆっくりと話そう。それよりも
『準備万端整っておる。いつでも使えるぞ』
「それじゃあ…15分後にまた電話する。その時にそっちへのゲートを開いてくれ」
『わかった。用意しておこう』
ドクターとの通話を終えた俺はスマホをコートのポケットに戻し―
「ここから10分ほど戻ったところに山小屋があったな。そこまで戻るぞ」
そう言って歩き出した。
「死柄木! 義爛を助けに行くんだよな!? 行ってくれるんだよな!?」
「あぁ、ミスター義爛には色々と世話になった。見捨てる訳にはいかねぇよ…それに……」
「それに、何ですか? 弔君」
トゥワイスの問いに答えた後の沈黙に気づき、質問をぶつけてくるトガ。俺は満面の笑みを浮かべながらトガの方を向き―
「異能解放軍。奴らは幾つもミスを犯したが、その中でも最大級のミスを挙げるならこれしかない」
「奴らは、
そう宣言した。さぁ、ぶっ壊してやるよ。異能解放軍。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2年前の12月に連載を始めて約1年と11ヶ月。読者の皆様のおかげで、なんとかここまでやってこれました。本当にありがとうございました。
今後の事とSEASON3につきましては、同時に投稿しました活動報告をご覧ください。