魔界の大魔王(笑)として転生したが、ドラクエ世界ではなく恋姫†無双の世界に転生したのはおかしいんじゃないかな!? 作:てへぺろん
それでは……
本編どうぞ!
「ミルドラース様おはようございます!」
「ミルドラース様この前は助けていただきありがとうございました!」
「ミルドラース様またお礼の荷物が届いております!」
「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」「ミルドラース様」
凄い事になった。星と真名を交換し、正式に俺の元に来るとは思わなかった。もっと他にいい主に仕えた方がいいとそれとなく言っても「私の主はミルドラース殿だと確信しました!」そう言われてしまいました。それから大変な出来事の連続だった。
俺が居候することになり、初めは食事や寝床が必要になるかと思ったが、この肉体には不要だったようで食糧問題も就寝する必要のないことがわかって、迷惑をかけることが少し少なくて安心した……流石魔王の肉体だ。俺はただ自分の居場所さえ確保してくれくれたらいいだけなのだからと願っていたんだけど、白蓮の奴は俺に捧げものや奮発した料理のフルコースや一番いい部屋を用意したりと尽くして来たので頭を悩ませた。太守がたった一人(一匹?)の俺にだけ
とある日には白蓮が太守の座を俺に譲るとか言い出した時はマジで焦った。「全てはミルドラース様のもの」とか濁った瞳で言われた時……めっちゃ後悔した。白蓮を助けたことで俺を崇拝するようになってしまったのだ。流石にまずいと思ったので俺はやんわり断って、白蓮の方が適任だと説得すると満面の笑みで「ミルドラース様のために頑張ります!」って答えてくれたことで、何とか事なきを得た。白蓮の方は俺が何とかするとして、他のところにも問題がある。幽州辺りには黄巾賊の残党が根を張っており、人が足りず困っていたのだ。黄巾の乱を起こした賊の残党とはいえ数がかなり多いため、討伐している間に村々が襲われることがある。まずは人手を確保したかったが、民から義勇兵を集めても素人集団であるため指示する将が必要にもなる。圧倒的な人手不足……ならばと思い、こうして居候させてもらっている白蓮のためだと俺は名乗りをあげた。そしたら桃香(義姉妹トリオとも真名を交換した)と白蓮に反対されてしまった。
桃香の考えは賊でも元民だから説得すれば殺さずに済むという優しい言葉に思えるが甘っちょろい思想を抱いて討伐自体を避けたかったもよう。桃香の優しい考えはこの時代では甘ったれた思想だったが俺は嫌いじゃなかったし賛同してあげたいができない。俺のお口が思い通りに動いてくれないこともあるが、時には残酷な決断を決めなければならなくなると教えておかないと後々蜀を背負った時に心が折れてしまうからね。現実は残酷だと知って置いてもらわないといけないのだ。そしてだ……白蓮の方は桃香と違い「偉大なるミルドラース様の手を煩わせるわけにはいかない!」だと……もう誰だよこれって思っちゃったよ。桃香は桃香なりに甘い考えだがちゃんとした意見を言ったのに白蓮は俺を崇拝することばかりで現実に戻って来てくれ。それに俺には一つ試してみたい案があった。これは俺にしかできないことでもはや賭けだった。
俺はこの世界の住人からしてみたら妖魔やら人外の枠組みだ。その通りなんだが、そんな存在がここ幽州にいると噂になると少なからず人は不安に思う筈だし、実際に賊の前に現れたらどう思うか?一度試してみたいと思った。俺は参謀でも軍師でもないのでこれがいっぱいだ。戦いを止められないことで桃香の方は少し渋っていた。白蓮の方は俺を褒め称える……やっぱり誰だよ……
そんな事情があって白蓮と星に愛紗を引き連れて賊討伐へと向かった。鈴々と桃香の二人はお留守番を任せた。一人は防衛に欲しいし、桃香は戦力外だからお留守番組でいいんだ。それに今回は俺の提案を試すのが目的なんだからうまくいくとは限らない。それで結果としては賊共が逃げるわ逃げる、俺の姿を見るなり化け物扱いしてきて剣や槍で応戦しようとするも俺は魔王……吹雪系の『かがやくいき』は威力が高すぎる感じがしたので、威力を弱めて『こおりつくいき』を放ったらみるみる賊共が凍りつき文字通り氷の塊となっていった。仲間達が次々に氷の塊になっていく光景を見て恐怖で戦意を失うものや気を失うものが多く出た。ミルドラースとしての威圧感もあって被害は最小限に収まったが、少なからず死者が出たことは確かだ。ほとんどが賊だが兵士も少なくいた。この結果に多くの者は喜びを感じたが、俺と桃香は素直に喜べなかった。桃香は優しすぎて現実を見ずに誰一人としてかけることなく争いを収められると思っていたからだ。だが俺は違った。全く手応えのない相手につまらなさを感じていた。この肉体がそう思わせているのか自分の残酷的な面を垣間見てしまったが、この時代では己の敵は始末する……これを受け入れるしかない。それが現実なんだ。桃香もその内自分の甘さを気づいてくれるだろうと期待しておく……
結果としては悪くなく被害を最小限に抑えられるため俺は何度も賊の討伐へと出向いた。一人でもいいと言ったが白蓮と星が許してくれず、共に戦うことが多かった。それを続けていくにつれて俺のミルドラースとしての名は広まり、賊共は俺の名を聞いて震え上がり逃げ出していき、今ではほとんどこの辺りに賊はいなくなった。それも短期間で幽州から賊が消えたのだから俺の評価も爆上がりだ。民の中には俺のことを『天の御遣い』と呼ぶものもいた。ミルドラースは天から怒りをかった方なんだけどなぁと心に留めておいたのは内緒だ。それに『天の御遣い』は曹操(後の魏)の元にいるとわかった。どうやら恋姫†無双の主人公は健在らしい……ちょっと会ってみたいなと思ったりしちゃう。
まあそんなことがあって、今や俺は民から「ミルドラース様」と崇められるようになってしまった。白蓮も俺を崇拝して信者になってしまっております……
めっちゃ困っています……ところで星は俺を守るために傍に控えてくれているのだが、白蓮を止めてほしいと期待した時もあった……が結局星も俺を崇拝する側でした……もうどうにでもなれと思ってしまった。
それから新しい仲間が加わった。俺の噂を聞き、遥々やってきてくれた「はわわ軍師」と「あわわ軍師」の諸葛亮の朱里と龐統の雛里の幼女二人である。今でこそ真名で呼んでいるが初めて会った時は俺のことを全く信じてくれなかったし、無理もないことだが怪しすぎる俺に対して警戒するわ、目が合う度に逃げられるわでめっちゃ凹んでしまった。今では俺の評判と努力のおかげでオドオドしているが逃げられることは無くなって良かったと思っている。この二人は桃香の元に身を置くことになり、あの「伏龍」「鳳雛」を手に入れたのは大きい。危なっかしい桃香のためにこの二人の知恵は必ず役に立つし、甘っちょろい桃香に現実を突き付けてくれると期待している。そんな幼女二人を手に入れたわけだが、ここで三国志を語るうえで歴史に疎い俺でも知っている事件が起きる。
『反董卓連合』
後漢王朝の都である洛陽を占拠し、悪逆非道を働いた奸賊と認定された董卓と言う人物が暴君として君臨しているのを黙って見ていることができずに挙兵した各国の群雄達の連合軍……それが傀儡の反董卓連合である。実際に董卓は悪逆非道なる政策を行っていたことで有名だ。
しかしそれは史実の話である。この世界は恋姫†無双の世界で俺は知っていた。
恋姫†無双の董卓は史実とは全く似ておらず、史実では凶悪な暴君としてその名が知られているが、こちらでは儚げで心優しい人物で戦争とは無縁の女性である。彼女は濡れ衣を着せられてしまい反董卓連合と戦うことになってしまうのである。俺的には彼女の方に味方をしたいが、ここの太守は白蓮であり俺ではない。俺が頼めば白蓮は喜んで董卓側につくがそんなことをしてしまうと周りから反発をくらうことは明らか。下手をすれば攻め入られて滅ぼされてしまう。民にも被害が及んでしまうためにそれは避けたい……が、出来れば戦いたくはない。人が死ぬのに抵抗を感じない体でも俺の意思はちゃんとある。ミルドラースになると決めたが、心までは完全なミルドラースになりたくない。信頼を寄せてくれている白蓮や星、桃香達を原作のように切り捨てたりはしたくないのだ。それぐらいの慈愛があってもいいだろ?
しかし問題は目の前だ。俺達(白蓮や桃香達も一緒)は会議室に集まり檄文を広げて話し合っている。その檄文には『反董卓連合』への参加を要望するものだった。あれこれ意見が飛び交っている会議室の少し離れたところで俺はその光景を見ているだけなんだが、話し合いがまとまらずどうするべきかと悩んでいるようだ。俺が知っていることを教えてあげたいが先に話した通り周りからの反発が怖いため黙っておく。これも残酷だが仕方ない事だ。
それにしてもこう見ていると白蓮は俺以外のことになったらいつも通りに見える。ゲームで見た白蓮にしか見えない……だが俺が視線を向けていることに気がつくと顔を赤らめてこちらを愛おしそうに見て来るのを止めてほしい……会議中だぞ。はわわ&あわわ軍師が困っているだろうが……
ミルドラースが公孫賛の視線に困っていると趙雲が思いついたように諸葛亮と龐統こと軍師二人に提案した。
「それならば我が主に決めてもらいましょう」
「星の言う通りだ。ミルドラース様が仰ることならばこの公孫伯珪、どのような答えでも従います!!もしミルドラース様に反対する者がいれば私が容赦なく裁きを下します!!」
「「「「「……」」」」」
星が言う主とは当然俺のことだ。そして決めてもらうと言うのはこの連合に参加するかそうでないかだが、星の提案に白蓮がこれでもかと賛同する。もし俺の答えに異を唱える者がいればこの場で斬り捨てる
こんな現在の状況なのだが、部外者の俺に意見を聞くまでに至ったのには理由がある。この書状に朱里と雛里のはわわ&あわわ軍師が怪しいと睨んだ。流石だっと俺はゲームを知っているため威張る権限はない。実際にこの目で見て、この二人がいるならば桃香は大丈夫だろうと安心できたから一つ満足。それでこの連合に参加するかそうでないかだが……俺が出した答えとは……!
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「華琳様、伝令から例の件の報告が入っています」
「そう、それで何かわかったのかしら?」
「はい、今回の反董卓連合に公孫賛も参加するようです」
「そう……やっぱりね」
王座に座る小柄な女性は笑みを浮かべている。しかしその小さな体からとは思えぬ風格を感じさせる……髑髏をかたどった髪飾りを付けており、華琳と呼ばれるその者の名は曹操。三国志で知らぬ者はいない程の有名人であり、覇者の風格を持ち、文武に優れた完璧超人である彼女は全身ほとんど水色一色の女性から受けた報告に楽しみを感じている様子だった。
「華琳様、秋蘭の報告とは何のことですか?」
何も聞いていなかった女性は夏侯惇と言い、報告しに来た水色一色の女性こと夏侯淵の姉である。姉である夏侯惇は武力としては優秀だが、猪突猛進な猛将タイプなのに対して夏侯淵は冷静に戦局を見ることができる人物であり、何かと猪突猛進気味な姉を制御している苦労人だ。夏侯淵の真名が秋蘭、夏侯惇の真名が春蘭である。
「姉者……聞いていなかったのか?幽州で話題になっている者のことを」
「……それなら憶えている。たしか……み、み……みーとそーすとか言う名だったな!」
「いや絶対違うから!!」
悩みに悩んだ夏侯惇が出した答えに反射的に突っ込んでしまったのは曹操の傍に控えていた冴えない男性であった。
「貴様!わたしの答えが違うと申すか!!!」
「いや流石に人の名前にそれはないって!!」
夏侯惇が檄を飛ばしている相手は北郷一刀と言う名であり、ある日突然この世界に飛ばされ賊に襲われていたところを曹操に助けられた青年である。檄を飛ばしてくる夏侯惇の圧力に一刀は腰を引かせながらも強く反発していた。夏侯惇が答えた名は一刀から教えてもらったソースの名前であって決して人の名前などにつけるわけはなかった。それに対して反発しているのだが、それでも聞いてくれずに夏侯惇は刀にまで手を伸ばそうとする……
「やめなさい春蘭」
「は、はい華琳様!」
「一刀も身をわきまえなさい。今は秋蘭の報告を詳しく聞くことの方が大事だから」
「わ、わかった……」
怒られて身を縮ませる夏侯惇と一刀の二人を無視して曹操は話に戻った。夏侯淵が受けた報告は幽州で話題となっている人物の情報を探り集めたものだった。数々の黄巾賊を打ち倒して恐怖を与え、幽州を短期間のうちに賊が消え去ったことで民からは信頼を得られた。そのおかげで影が薄い公孫賛の元にいる謎の人物の噂は他の所にまで広がっており、曹操の耳にも入って来た。気になった曹操はその人物に対しての情報を集めるように伝え、その人物が今回の反董卓連合に参加することまでの情報を入手したのだった。この情報に曹操は満足したようにも見えたが、彼女はこの程度で満足する人物ではない。
「春蘭、秋蘭は他の者に出る準備を伝えて頂戴。それに桂花達も呼んで来てくれないかしら。今から袁紹の元へ向かうわ」
「華琳様、そのみ、みみ……なんとかという人物をどうするつもりですか?」
「ミルドラースよ春蘭、それぐらい憶えなさい。そうね、彼が使えるならば……手に入れるわ」
「そんな!!そのような訳の分からない男など要りません!北郷一人でも邪魔なのに!」
「(……酷い言われようだな……俺……)」
本人がいる前で発言された言葉に傷ついた青年はちょこっと拗ねた。
「使えるならばって言ったでしょ。使えなければ……わかるわよね?」
「――ッ!お任せください!この夏侯元譲、華琳様の邪魔になる者ならばすぐに斬ってみせます!!」
「ふふ、その時はよろしくね春蘭」
曹操は悪戯な笑みを浮かべてまだ見ぬ噂の存在を楽しみにしていた……使えるならば手に入れてやろうと。
「(ミルドラース……どこかで聞いたことのあるような……なんだったっけ?)」
その中で青年は一人聞き覚えのある名を思い出そうとしていたが、彼はまだ思い出すことはできなかった……
「ふむ、噂の男も参加するようだ」
「そう……やっぱりこの連合軍に参加して正解だったわ!」
「はぁ……雪蓮」
「わかっているわよ。袁術の奴に付き合わされるのはしゃくだったけど楽しみが一つあるんだから喜んでもいいじゃない……袁術は許さないけど。それにしても彼……ええっと誰に仕えているって言ってたっけ?」
「公孫賛よ、何度言えば憶えるの?」
「ううん……ちょっと難しいかな」
「はぁ……」
ため息をつく眼鏡をかけド派手な果実を実らせ、胸元を開かせた褐色肌の女性は周瑜で真名は冥琳と言う。それに対して同じく褐色肌でこちらも負けずド派手な果実を所有する桃色の長い髪を垂らす女性は孫策で真名は雪蓮。冥琳とは幼なじみの親友同士である。そして孫策は『呉』を築き上げ名君の誉れ高く、『江東の小覇王』と称された。そんな二人がお互いに目を通していたのは反董卓連合の参加への檄文であった。
とある事情で反董卓連合に参加することになった孫策は初めは不機嫌であったが、ある噂を耳にした。幽州には民から称えられ、賊は恐怖する象徴がいると……幽州の太守もその象徴を崇拝している程である。そして何よりもその象徴が幽州が考えられない程の短期間のうちに賊を狩り、寄せ付けなくなった成果を出している。そんな噂を耳にした孫策はもしこの連合軍に参加するならばその象徴と会ってみたいと期待を膨らませていた。そしてその期待は公孫賛が連合に参加すると表明した時点で叶うことになり、今は機嫌が良い。
「ふふん♪早くその象徴さんに出会って一度交えたいわね♪」
「雪蓮……」
待ち受ける象徴がどのような男なのかを想像し、連合軍の集会を今かと楽しみにしている小覇王にため息をもらす苦労人の周瑜であった……
「七乃!やっぱり行きたくないのじゃ!」
「そうですね美羽様、でも行かないと後が怖いですよー?」
「むむ……孫策に任せれば良いではないのか?」
「それだと後々更に問題になってしまうのです。その代わりにお菓子を持ってきますから機嫌を直してくださいね♪」
「うむ!わかったのじゃ!」
玉座にふんぞり返る小柄でどう見ても幼女の姿をした偉そうな人物……袁術(真名は美羽)は傍に控えているのは副官の張勲(真名は七乃)である。袁術は幼女の姿ながらも権力を手に入れた豪族であり、我が儘し放題の生活を送っていた。世間の事は何も知らずただ甘やかされて生きてきた袁術は「お菓子」と聞くと手に持っていた檄文を放り出して喜びを見せる。その姿は年相応の子供の反応にしか見えなかった。
「(お菓子と聞いて喜ぶ美羽様は相変わらず可愛らしいですね~♪しかしあの公……公……幽州の太守に仕えて短期間の内に賊を追い払うなんてどんな策を使ったんでしょうかねぇ?)」
張勲は主君である袁術をこよなく愛し、支離滅裂な命令にも従い、それに基づいた献策を行う袁術LOVEな人物である。頭脳はかなり明晰な方だが、袁術と自分のため以外に使う気は全くもって無く、とても腹黒い。楽をして美味しいところを持っていくことばかりを考えており、袁術がワガママに育ってしまった原因の大部分はこの張勲なのである。
その張勲は意外にも今回の連合について思考を凝らしていた。その中で一番気になったのが幽州に突如現れた救世主の存在だった。
「(公……公……幽州の太守が参加するならばその救世主も当然参加しますよね……どれほどの実力なのでしょうか?)」
民や兵、幽州の太守ですらその存在を称えていると噂になっている。残党とはいえかなりの数が残っていたと聞いていた張勲はそれらを退けた救世主の姿を想像していた。もし最愛なる袁術の敵になるならば早いうちに手を打っておくべきだとも考えていた。
「七乃どうしたのじゃ?」
「えっ?ああ、何でもないのですよーお嬢様」
「そうなのかえ?ならば早くお菓子を持ってくるのじゃ!!」
「はい♪」
愛しい袁術の笑顔と比べれば救世主の存在など彼女にとってはほんの些細なことであった……
「おーほっほっほっほ、すぐにわたくしが美しく華麗に董卓を成敗してさしあげますわ!!」
「流石麗羽様!あたいと斗詩そして麗羽様がいれば董卓の奴なんて一捻りだぜ!」
「麗羽さまも文ちゃんも……少し落ち着いて……」
金髪縦ロールの見るからに典型的なお嬢様のイメージさせる女性は部下である文醜(真名は猪々子)と顔良(真名は斗詩)から真名で「麗羽さま」と呼ばれている。その正体は名家の誉れ高い袁家の当主ので袁紹その人である。彼女は大層の自信家でかなり浮世離れしており、自分から何もしようとせず基本部下任せ、常に自分が最も目立っていなければ気が済まない性格をしており、曹操(華琳)とは幼馴染みの関係で、何かと共通点があるため、目の敵にしている。
袁紹はとても機嫌が良かった。各地に送った檄文の返答に満足し高笑いしている程であったのだから。
「わたくしの威光にかかればあのクルクル小娘もこのわたくしの前にひれ伏したわけですわ!」
袁紹の言うクルクル小娘とは曹操のことである。別に曹操は袁紹にひれ伏した訳ではないのだが、頭の中が髪型と同じクルクルパーの袁紹には言ったとしても無駄なことである。
「もう……そうだ。麗羽さま一つ確認したいことがあるのですが?」
「あら?どうかしましたの斗詩さん?」
「どうしたんだよ斗詩?」
袁紹と文醜から注目を浴びる顔良は前々から気になっていたことがあった。
『幽州に英雄現る』
各地に飛び交った噂は例えは違えどもある人物を称えるものであった。当然この噂は顔良にも届いていた。おそらく今この地で目立っているのは幽州の英雄だった。いきなり幽州に現れて民たちを救い賊を追い払う……それも短期間である。にわかに信じられなかった顔良は幽州の太守である公孫賛が参加するか気になった。もし参加しているならばその英雄も一緒に現れるのではないか?どのような人物なのかを頭があれな袁紹と文醜に変わって窺おうとしていた。ちなみに袁紹はこのことを知らなかった……兵士や民でも知っていることだった。文醜も知っていたが、袁紹の性格からして自分よりも英雄の方が目立っていると知れば面倒なことになるからである。
そして顔良に事の経緯を説明されてようやく英雄の存在を認知したのである。
「なぁぁぁぁんですってぇぇぇぇぇ!」
二人の予想通り袁紹は自分よりも目立っている幽州の英雄に嫉妬した。
「このわたくしよりも目立っていることなど許しませんわ!到着次第わたくしの方が華麗であることを見せつけてさしあげますわよ。おーほっほっほっほ!おーほっほっほっほ!」
「「はぁ……」」
袁紹は幽州の英雄よりも自分の方が上だと言う事をわからせてやろうと心の決めるのだった。
多くの者は幽州の噂の人物を高く見ていなかった。ただの噂だろうと思う者、自分の方が上だと認識する者、パッと出の田舎者が運が良かっただけなどの答えがほとんどであったが、曹操や孫策と言った期待を胸に抱いている者も少なからず存在していた。しかしこの時どこの情報にも肝心なことを伝えられていなかった。
この世に人外がいるだなんて誰も予想することなどできない……
誰もそれを信じようとしない……
そして後に知ることになる……
この世に魔王が実在すると言うことを身を持って知ることになるのはもう間近のことである……
質問です。魔王は一匹で十分ですか?
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もう一匹で十分だ!
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最低もう一匹仲間が欲しいぜ!
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そんなことよりも次話投降しろ!