鋼の魂と共に   作:宵月颯

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全てに置いて偶然ではなく必然が重なる。

重なり合った必然が奇跡を呼び込んだ。

もう一度、あの時の光景を思い出せ。



無限列車編
反逆の一手は何か?


鋼柱率いる訓練隊士達が無傷で鬼の集団を仕留めた事件から更に一か月後。

 

汽車に乗り合わせた乗員乗客が行方不明になると言う噂が舞い込んできた。

 

私ことハスミは鋼屋敷にて汽車で起こった事件を炭治郎君に一通り思い出して貰った。

 

但し、私が提示したのは状況だけで答えではない。

 

同じ事の繰り返しでは前と同じ結末になってしまうからである。

 

一通り聞いた私は改めて流れを一つずつ推理し解決していく方法を提示した。

 

 

「その事件は鬼一人ではなく複数の人間が関わっていた。」

「えっ!どうして判ったんですか?」

「理由は複雑だけど説明が付く。」

 

 

前提として汽車の事件は汽車のみが無事で乗員乗客全てが行方不明。

 

その規模の人間を喰らうにしても普通の鬼では無理がある。

 

異形化の鬼…いや、血鬼術を駆使する下弦級の鬼が潜んでいる可能性が高い。

 

それもかなりの知恵者がね。

 

これに人間の協力者…恐らくは車掌を含めた乗員。

 

乗客を逃がさない為と疑い始めた乗員を始末するのには弱みを握られた人を使ったのでしょうね。

 

それでも血鬼術にも限界があるし効果を高める為に何か触媒になるものを利用している。

 

逃がさない様にする…これは毒に麻痺、意識昏倒する血鬼術でしょう。

 

理由は客車内に血痕が残っていなかった。

 

恐らくは目立たない様に掃除されてるか、鬼自体が何かに擬態する能力か何かで痕跡を消しているかのどちらか。

 

最も効率がいいのが汽車自体と融合して人間を喰らう方法。

 

この方法なら指定した相手を喰わずに任意の相手を喰らう事も出来て汽車に痕跡を残さない。

 

…本当に良く考えられたものね。

 

 

「…(凄い、話した情報は少ないのにあの事件で起こった事の大半を言い当てている。」

 

 

だからこそ流れを変えずに奴らに一泡吹かせる。

 

それもとびっきりの秘策でね。

 

ハスミは炭治郎に条件を告げた。

 

 

「まず、一つ目は下弦の壱の眠りの罠を回避しない事。」

「と、言うと?」

 

 

夜明けを迎えさせる為の時間稼ぎその一。

 

夢の中の罠を受け入れる事。

 

但し、夢に溺れず現実から逃げない事。

 

 

「同時に禰豆子ちゃんに指定の時間…時計の音が鳴ったら血鬼術で縄を解いて貰う様にするから。」

「判りました。」

「ムー。」

「目覚めるタイミングは夢の中で腕に巻かれた紐が切れたら合図よ?」

「はい。」

「その協力者達も今回居る場合に限るけど、流れが変わらなければ来ている筈よ。」

「また争う事になるんですね。」

「ああ、気にしないでね……いざとなったら、これでお話するから。」

「あのー拳銃は止めましょう?」

 

 

この人なら拳銃で締め上げるなんて朝飯前だし。

 

寧ろ、あの四人の命が危ない。

 

 

「二つ目は乗客を守りつつ下弦の壱との戦いを長引かせる事。」

 

 

今回も炭治郎君と伊之助君が下弦の壱を抑え、乗車している炎柱と共に善逸君、禰豆子ちゃん、私で乗客を守りつつ時間稼ぎに呈する。

 

上弦の参が仕掛けてくる事は判っている以上は技の出し過ぎに注意する事。

 

目的は夜明けを迎えるギリギリの時間を稼ぐ事と相手に悟られない事。

 

 

「三つ目は私か炭治郎君のどちらかで上弦の参との戦いに介入する事。」

「何故です?」

「上弦の参が好戦的でより強い相手と戦いたいと言うのであれば狙わずにはいられない。」

「成程…」

「そして、奴の戦い方を熟知している貴方だから頼んでいるのよ…炭治郎君。」

「…」

「例外として無惨はこの戦いに余計な存在も差し向ける可能性も否定出来ない。」

「それじゃあ?」

 

 

ハスミは例外が出た場合、自分が対処すると炭治郎に告げた。

 

そして、その時…炎柱を守る事が出来るのは炭治郎だけであると付け加えた。

 

 

「炭治郎君、もしも余計な存在が出た場合は貴方が炎柱を守りなさい。」

「判りました、今度こそ…絶対に。」

「辛い戦いになるけど……生きましょう、皆で?」

「はい!」

 

 

その為の修行を続けてきた。

 

炭治郎にはもう迷いはない。

 

掴み取る為に生きる為に戦うと誓ったのだから…

 

 

******

 

 

私達は念密な準備を整えて汽車乗車の日を迎えた。

 

本来、合流の指令を受けたのは炭治郎君達のいつもの三人。

 

私は『彼らの修行の成果を確認したい』と言う理由から任務ではないが同行する形にした。

 

駅のホーム内でまたもや暴走しまくる伊之助君を締め上げ、私の琴箱に全員の刀を隠して乗車。

 

購入した切符はそのままである。

 

暫くすると列車が発車し、間を置いてから最後尾で各自に刀を返却し客車内を移動。

 

そして何両車か目で『旨い!』と言う叫びが聞こえてきた。

 

 

「この声は。」

「ハスミさん、知っているんですか?」

「間違いないわ…炎柱・煉獄杏寿郎の声よ。」

「何ですか、あの声は。」

「前に柱だけの宴会に誘われた時にも同じ事していたのよね。」

「…えー。」

 

 

善逸の質問に答えるハスミ。

 

その表情は呆れてものも言えない位に遠い眼をしていた。

 

 

『旨い!』

 

『旨い!』

 

『旨い!』

 

 

音の根源である車両に入ると声は車両内を響かせており、周囲の乗客をドン引きさせていた。

 

取り敢えず、その牛すき焼き弁当・十箱分食べ終わったらお小言でも添えて置こう。

 

 

=続=

 




無限列車編・その壱

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
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