鬼狩りの合間に起こった出来事。
それは異国からの侵略。
この世は摩訶不思議。
何が起こっても不思議ではない。
失踪からの大事件
雨期を過ぎて夏の日差しが照り付ける頃。
この期間は鬼の出現率が極端に減る時期でもある。
逆に冬場などの日照時間が少なくなる頃に鬼の出現率が上がり始める傾向があった。
鬼殺本部に残る鬼の出現統計を取ってみた結果…判明した事だ。
流石に気づくだろうと思ったが…
この件に関して、誰も調査もしなかったらしい。
正直、頭が痛くなった。
******
文月の初めの夜。
…それは訪れた。
「皆も知っての通り、任務中に甘露寺蜜璃が消息不明になった。」
日々の鬼狩りを終えた頃。
夜明けと共に鎹鴉から齎された緊急招集からの緊急柱合会議。
お館様から語られた報告に他の柱達も動揺を隠せなかった状況。
その皮切りに煉獄と胡蝶が甘露寺の安否を心配していた。
「甘露寺が行方不明と?」
「一体、どうして…?」
「蜜璃にはある場所の調査任務を与えていた。」
「ある場所?」
お館様と共に屋敷の縁側で鎮座するご子息の二人が移動し大きめの地図を柱に向けて見せた。
「ここに掛かれている
地図の中心に異洲磨村と書かれた海岸沿いの集落。
詳しい周辺の情報は碌に掛かれていなかったのでほとんどが不明だ。
「その村に嫁入りする娘達が村へ辿り着く前に行方不明になっているそうだ。」
「お館様、発言をお許し頂いても宜しいでしょうか?」
「ハスミ、何かな?」
「他にも村に近づいた年頃の娘達も行方不明になっている…ではないですか?」
「その通りだよ、そこで蜜璃を調査に向かわせたんだ。」
「異洲磨村に関して他に情報はありますか?」
「隠からの情報で判明している事はその村は明治初期頃に異国の者達が村への移住希望の人々と共に開拓した位だよ。」
「…」
「皆も日々の鬼狩りで多忙だろうが、どうか蜜璃を…助け出して欲しい。」
お館様は柱で話し合い状況を打破して欲しいと告げて屋敷の奥へ去って行った。
現場の事は現場に任せた方がいいと言う判断なのだろう。
「甘露寺が…甘露寺が…!」
ここに約一名程、落ち着きがない蛇柱がいる。
傍から見れば怨念込めた陰湿オーラを醸し出したストーカースレスレの行動に見えるから止めなさい。
本当に周囲が呆れるから…
後、無一郎君…可哀そうだから後ろで背中にツンツンしながら一緒にしゃがんでなくていいからね。
「しかし、甘露寺が行方不明とは…何やら不吉な予感の前触れかもしれん。」
「だな、それも只の鬼が相手じゃない可能性もあるってか。」
「十二鬼月かぁ?」
「…その可能性も否定出来ない。」
「クジョウ、お前はどうみる?」
悲鳴嶼を始めとした残りの柱達が話し合う中でハスミは自身の鎹鴉に手紙を持たせて飛ばしていた。
「流石に情報が少なすぎる、異洲磨村周辺に待機している隠達に追加の調査依頼を出したからそれ待ちよ。」
「追加ですか?」
「…もしかしたら相手は鬼ではない可能性もあるかもしれない。」
「?」
「一体どういう事だ?」
「異洲磨村と言う名前と開拓者の中に居た異国の者って言うのがどうも引っかかってて。」
下手すりゃ某ネギトロに鰹のタタキや鯵のなめろうとかの案件だし。
…何かあると困るし爆薬の追加をして置こう。
「てぇ事はお前が追っている奴と関係の奴か?」
「それも否定出来ないから情報が必要なのよ。」
「鬼舞辻無惨の生み出した鬼とは別の異形の者達…妖怪や妖の類と?」
「場合によっては…」
「成程な、甘露寺の消息も分からねえし情報が少なすぎる以上は下手に動けねえか。」
「…早ければ、次の早朝に情報が届く予定よ。」
「では、私達は追加情報が入り次第…再度話し合いをすると言う事で宜しいですか?」
「うむ、鬼の出現率が少ない時期とは言え油断は出来んからな。」
「炭治郎君も情報が明確になってないから余り口外しない様に。」
「判りました。」
私達は一度解散し、各任務地の巡回を行いながら追加情報の到着を待った。
~翌日~
時はお昼頃、どう言う訳か甘露寺を抜いた柱全員が鋼屋敷に集合していた。
理由はお館様より今回の一件は柱に一任する指示を出した為である。
で、会議をしやすいこの屋敷に集まった訳だ。
「…何で私の屋敷が集会場になっている訳?」
外の気温は例年を通り越して暑さを増して寝苦しい夜を迎える日々が続いていた。
その過程で鋼屋敷には快適な冷暖房設備を独自に備えている為に集会場と化している状況だった。
「ハスミさんの屋敷はどうしても過ごしやすくて…」
「うむ、涼しくて過ごしやすい。」
「…(これが本当の快適器具の蟻地獄状態。」
端で扇風機の風に当たりながら『アーーー。』ってやっている無一郎君。
畳の上でごろ寝している宇髄。
冷蔵庫から麦茶を取ってきて勝手に飲んでいる富岡達。
炭治郎君に至っては御煎餅とかの軽い茶菓子の用意をしている状態だ。
「はぁ…」
私は呆れてため息をついた後、鎹鴉の叙荷が持ってきた手紙を軽く目を通した結果。
目星を付けていた該当情報のいくつかが当たった事を示していた。
「それでは追加した隠からの調査情報が届いたので整理に掛けたいと思います。」
ハスミは隠から届いた情報を元に話し合いを進めた。
「異洲磨村は入江の様になった場所を利用した漁村であり、村独自の風習が残る場所だそうです。」
入江の周辺は崖が多く、拠点としては陸から攻めにくい地形。
海辺も独特の海流があり、船での潜入も困難。
文字通り難攻不落の地だろう。
「風習?」
「ええ、仏様じゃなくて
「漁村ならではの風習か…」
「隠の話では異洲磨村の住民は殆どが男性、女性が生まれにくいと言う理由から嫁探しを明治中期頃に始めた。」
「うむ、理由が理由だけに怪しい所が多すぎる。」
「怪しい所?」
煉獄の怪しい発言に時透は?を浮かべる。
ハスミの説明に続いて胡蝶も自身の答えを告げた。
「これだけ頻繁に女性が生まれないし嫁探しを続けている事が不自然なのよ。」
「子は授かりものと言いますが、不自然に女性が生まれない時期が長すぎますね。」
「嫁入りならまだしも村周辺に近づいた年頃の娘達が行方不明と言うのが決定打。」
「人買いか?」
「風柱、それなら救いようがあるけど…」
「人柱、神嫁…その類か?」
「マジか?宇随。」
「音柱の言う通りよ、その視野も含めているわ。」
「えっと、つまり…」
「行方不明者は全員生贄にされている可能性があるって事。」
「そんな!」
「まだ確証がないから何とも言えないけど、村総出で何かを隠蔽している事は確かよ。」
「どうしてそこまで解ったんですか?」
「炭治郎君、私は隠へ情報を集めさせる時にある条件を付けた質問を周辺の村人にさせたのよ。」
「条件?」
隠に与えた条件付きの質問。
友人の娘が嫁入りする道中で行方が解らなくなった。
もう半月も姿が見えない。
誰か知らないか?
この質問の答えに対して特定の回答した場合、その人は黒である。
知らない。
この周辺は海沿いの崖が多く事故に遭ったのではないか?
うちの村ではそう言った娘子は来ていない。
拐かしでも遭ったんじゃないのか?
と、回答した者が怪しいって事。
「何故怪しいと?」
「この問いは何処の村に嫁入りしたとは答えていない事が重要点よ。」
「成程、質問の問いが悪辣だがな。」
「フフっ、そうですね。」
炭治郎の混乱を他所に宇髄と胡蝶は納得した意味で答えた。
「犯人はこの問いで自分が犯人と暴露しちゃっているのよ。」
「へ?」
「つまり、犯人に自分達の事だと錯覚させて真意を引き摺り出したの。」
「???」
「炭治郎君、解らな過ぎて頭が爆発しちゃった。」
「意地悪な問題を出すからですよ。」
ハスミ、炭治郎に対し詳しく分かりやすく説明。
「そうか…それで相手は自分達の事だと思ってしまったんですね。」
「そ、これで異洲磨村は完全な真っ黒で周辺の村々も何か知っている。」
「となると下手に下級の隊士を動かす訳にはいかないな。」
「だな、柱の甘露寺が取っ捕まった以上は手練れが行く必要があるぜ。」
「柱が合同で動く事になるとはな…」
「では、こちらでの指揮対応の柱を数名を省いて編成しましょう。」
話し合いの結果。
潜入に悲鳴嶼、宇髄、伊黒、富岡、クジョウ、炭治郎の
六名が選出。
残りの煉獄、不死川、時透、胡蝶の四名は本部で通常任務をこなしつつ待機の形となった。
そして…
「そう言う事で音柱と蛇柱には女装して貰います。」
「「ハァ!?」」
「ちょっと待て!」
「何故、俺達が!」
ハスミの案件で反論する二名。
二名に対して最もな説明を続ける。
「相手の狙いが多い方がいい事と変装と化粧してもバレにくいからよ。」
「富岡はどうなんだ!」
「…愛想がないから無理。」
「!?(心外だ。」
「岩柱は論外、そもそも無理がある。」
「嗚呼、役に立てずにすまない。」
「炭治郎君は顔に出やすいから却下。」
「…ですよね。」
ハスミの的確な説明で反論出来ない二名。
この事から諦めを通り越して自棄糞状態の発言をした。
「あーったくよ、やりゃいいんだろ!派手に女装をな!!」
「甘露寺の為だ、恥を忍んでやる。」
「それでは宜しくお願いしますね。」
甘露寺救出の為、柱総出の潜入任務が始まる。
=続=
IFルート・異洲磨村編その一。
刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?
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木乃伊事件(不死川、伊黒)
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集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
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船舶沈没事件(宇随、煉獄)
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不在担当地区防衛(時透、甘露寺)