鋼の魂と共に   作:宵月颯

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人生は何事も経験と言う言葉がある。

流れに沿って行えば水の様になる。

それは本人の意思とは真逆の意味で。

流される事を選ぶのか遡る事を選ぶかは自分自身である。


相手が誰であろうとも

前回の恋柱失踪の報告を受けて二日後。

 

私ことハスミは全回のメンバーと共に異洲磨村へ移動していた。

 

バイク?今回は使えませんので爆薬多めに水でも反応する手榴弾も持参した。

 

相手が相手なのでスタンガンとスタングレネードは必須ですわ。

 

ついでにご友人から譲り受けたとある粉末の銃弾も持参してます。

 

やるなら徹底的にです。

 

 

******

 

 

某山道にて。

 

不安そうな表情でため息を付く炭治郎。

 

その様子に隣で歩いていたハスミは話しかけた。

 

 

「はぁ。」

「炭治郎君、どうしたの?」

「いえ、その…」

「善逸君と伊之助君の事でしょ?」

「あ、はいそうです。」

「大丈夫よ、今頃…風柱が死亡一歩手前で鬼狩りの訓練していると思うから。」

「…(それが心配なんですけど。」

「それに、それ位の殺気に耐えて貰わなきゃならない事態にもなる可能性もあるわ。」

「…そうですよね。」

「ま、毎度の事で風柱の逆鱗に触れて怒られていると思うけど。」

「あー。」

 

 

ちなみに私が使っていたバイクより火力が弱くなるが、別口のオートバイを鬼狩りの移動手段の一つとして検討出来ないかお館様に申請。

 

しかし、鬼狩りを密かに遂行するに当たって配備は危険と判断されたものの。

 

風柱がそのオートバイを気に入ってしまい…今では暴〇族な感じで乗り回している。

 

あの人相でオートバイ乗り回してたら鬼も裸足で逃げるわ。

 

 

「そう言えば、ハスミさんはどうして異洲磨村が怪しいと?」

「異国の国と魚神って言葉を聞くと…ある邪教の集団の事を思い出してね。」

「じゃきょう?」

「よこしまな…宗教、災いを齎す神様を崇拝する組織って言った方が解りやすいかしら?」

「災い…」

「彼らがその宗教と関りを持っているかは不明だけど、念の為にね。」

「…」

「もしも関りを持っているなら村人全員が狂信者…狂っていると思った方がいい。」

「狂っている?」

「そう、人は誰しも宗教が関わると己の信じる神様と張り合う事があるから…下手をすると戦争ものね。」

「そんな…」

「有名な天草四郎の乱の様に異国の古い時代には宗教戦争も起こっていた位よ。」

 

 

実際に宗教がらみで亡くなった人々は多く、諸説あるが…あの有名な『オルレアンの乙女』も犠牲者の一人とされている。

 

現代では信じる神は人それぞれとなり、宗教は例外を除いて自由に選べると言うのに…

 

時代背景は調べれば調べる程に真っ白い部分もあれば真っ黒い部分も良く見える。

 

 

「どうして仲良く出来ないんですか?」

「…それは全人類共通の永遠の問題ね。」

「問題?」

「人はどうしても思想や願いの違いで争ってしまう、穏便に解決出来るのは稀よ。」

「…」

「生きている以上は生きる事が戦い……その過程で争いは切っても切り離せない。」

「ハスミさん。」

「ま、一つ違うのは争う事をやるやらないの選択肢を選べる事よ。」

「選べる?」

「全員が戦える様に出来ている訳じゃない、守る者や平穏を望む者もいる…その事を忘れないでね。」

「はい。」

 

 

私と炭治郎君が話す中で他の四人は静聴していたものの、特に横槍はなかった。

 

この話に思う所があるが、各自でそれなりの答えを導き出したらしい。

 

綺麗事の様でもあるが、内容はかなり重いモノだ。

 

今回の戦いに置いて、そう言った状況に出くわす可能性があるので私は問い掛けの意味合いで話に出したのだ。

 

甘露寺ちゃん救出の為とはいえ、他者の住まう村へ潜入するのだから…

 

 

「前から聞きたかったのですが、ハスミさんのご両親は?」

「母は私が幼い時に、父は海外で商いをしているわ。」

「商い?」

「父は異国の人で武器や弾薬等の商品を主に扱う商人なのよ。」

「…」

「海外では過去の戦乱の根本を変えてしまうとされている兵器の研究が進められているわ。」

「兵器ですか?」

「ええ、私が使っている銃すら超えるものよ……配備されれば複数の国を巻き込む戦乱が起こる。」

「…」

「その結果、国は兵器によって守られるけど良い結果にはならないわね。」

「何故、判るんですか?」

「戦争に導入される兵士の死傷者が格段に跳ね上がるからよ。」

「!?」

「兵器の導入は即ち殺傷力の向上であり、使ったら最後……ものの数分で屍の山が築き上げられるわ。」

 

 

今の年代なら最初の大戦が該当するだろう。

 

近代兵器の導入によって兵士と民間問わず、その死傷者の総合計数は軽く万を超えた。

 

更に二度目の大戦はその進化を受けた兵器によって大規模な戦乱を巻き起こした。

 

下手をすれば、世界そのものが崩壊する核兵器が導入された大戦でもある。

 

恐らくは鬼殺隊の多くが経験するだろう。

 

後、数年もすれば震災が晒され不景気に不作と言う絶望の時代が訪れるのだから…

 

 

「炭治郎君、これだけは言わせて。」

「ハスミさん。」

「私は確かに銃や爆薬を使う…それは戦いを早期に終結させる為に使っているにすぎないの。」

「…」

「それでも戦う為に向かってくるのであれば撃つ覚悟も含めて私は躊躇いも無く引鉄を引くわ。」

「…覚悟。」

「そう、生きる為に相手の命を奪う覚悟よ。」

 

 

覚悟の度合い。

 

戦場に出る者は一度引鉄を引けば戻れなくなる。

 

 

「炭治郎君、貴方は優しすぎる所がある……それは貴方の長所であり短所。」

「…」

「忘れないで、これから戦うだろう相手には貴方の優しさは命取りだと言う事を。」

「はい。」

 

 

これから戦う相手はただ本能のままに異物を屠る相手。

 

私は躊躇いなく刀を振り、引鉄を引くだろう。

 

油断すれば守れるはずの命を守る事は出来ないから。

 

 

>>>>>>

 

 

一日近く使用して私達は目的地の異洲磨村に近い集落へと辿り着いた。

 

既にその村の年頃の娘達は何人かの行方不明を期に無事だった娘達は村を去っている。

 

現在は地方の町や村へ身を隠しているとの事で暫くは安全だろう。

 

行方不明騒動が発覚した後、事前に隠へ噂を広める様にと伝えたのが功を成した。

 

 

「さてと、予定通りに話を付けるか?」

「ああ。」

「…」

「…甘露寺。」

「急ぎましょ、恋柱の事もそうだけど先に捕まった娘達の事も気がかりだわ。」

「はい。」

 

 

私達は集落を纏める村長らと話を付け、異洲磨村へ潜入する話を持ち掛けた。

 

誘拐された娘達を助ける事を条件に協力を申し出てくれた事は有難い。

 

翌日、その集落に嫁入りをする一家が泊っている噂を流して貰った。

 

案の定、噂を聞きつけた異洲磨村の村民達はそれはめでたいと自分の事の様に話していたとの事。

 

餌は撒いた。

 

後は網に掛かるのを待つばかり。

 

 

=続=

 




IFルート・異洲磨村編その三。

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
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