鋼の魂と共に   作:宵月颯

31 / 78

烏合の衆は慄く。

数だけでは倒せない相手もいる。

一人一人が一騎当千の刃である限り。

彼らを止める事は出来ない。


網にかかったのはどちら?

 

異洲磨村から南下した所にある集落。

 

その村に嫁入りをする一家が宿泊している。

 

一人は銀色の髪が映える美しい女性。

 

一人は左右の眼の色が異なる艶やかな黒い髪の娘。

 

一人は珍しい白磁の肌を持つ藍色の髪の娘。

 

纏めて言えば、見目の美しい女達である。

 

 

「…(あー、この派手に糞な時間が派手にムカつく。」

「…(どこぞの雑魚に甘露寺以外に笑顔なんて向けたくもない。」

「…(二人とも、笑顔が途切れてるけど?」

 

 

宿泊場の縁側で笑顔を振りまく女性陣(二名程、ヤローの女装)。

 

予定通りに女装し準備を整えた音柱と蛇柱の二名と私ことハスミ。

 

表に出していないが、内心この糞時間がさっさと過ぎないかと苛立っていた。

 

音柱の宇随は紫色の着物で髪を夜会巻きで簪で纏めてうなじを強調した首元美人。

 

女装だとバレない名演技と口元の紅でエロく見える為に事情を知らない男の村民に被害が出ている。

 

キセルでも持ってたら極〇の妻たちの妻にしか見えない。

 

蛇柱の伊黒は緑色の着物にサラサラの神に櫛タイプの簪で纏めた儚げ娘。

 

生まれつき喋れない設定にしているので余計に儚さが強調されていた。

 

本人はこの世の終わりの様な表情をしているが任務なので耐えて貰おう。

 

んで、当の私は青色の着物で同じく簪で纏めた清楚な娘に仕上げてある。

 

この着付けの監修は音柱の嫁さんズに炭治郎ママこと葵枝さんのお陰。

 

あの時の四人が鬼気迫る位にノリノリだったのは見なかった事にする。

 

 

「…(早速、来たみたいね。」

 

 

早朝に揚がった魚を売りに来た異洲磨村の漁師達。

 

嫁入りの話に対して口々に答えていた。

 

 

めでたい。

 

めでたい。

 

めでたい。

 

メデタイ…

 

メデタイ…

 

メデタイ…!?!!!?

 

 

 

異洲磨村から魚を売りにやって来た漁師達は自分の事の様に囃し立てた。

 

異洲磨村の漁師達は皆魚顔と呼ばれる独特の素顔をしていた。

 

昔から魚の神を祀っている為に次第にこうなったのでは?と漁師達は気にしていなかった。

 

その彼らの瞼がない眼で娘達を見る眼は本能に動かされつつあった。

 

美しい娘らを村へと…

 

そして彼らは目処前の餌に食らいついた。

 

それが罠とも知らずに…

 

 

******

 

 

その夜、集落から娘達が連れ去らわれた。

 

本能のままに魚独特の磯臭いニオイを残して…

 

 

「行ったか?」

「そうみたいです。」

「竈門炭治郎、奴らの足取りはお前の嗅覚が頼りだ。」

「はい!」

 

 

暫くしてから奴らを足取りを追う為に冨岡、竈門、悲鳴嶼。

 

夜道の中で奴らの足取りを追う為の手段として竈門の嗅覚を頼る事となった。

 

日々、ハスミの監修で嗅覚強化の訓練を行っていたので支障はないだろう。

 

因みに訓練で使用した物で最も強烈だったのはニシンの塩漬けをそのまま缶詰にして発酵させたものである。

 

竈門自身、最初に嗅いだ時…余りの臭いで失神したのは言うまでもない。

 

 

「…(磯臭いニオイに混じってハスミさんの香水の匂いがする。」

 

 

異洲磨村の漁師達を追って夜道を疾走する三人。

 

海辺に近いのか磯の臭いが道中混じる様になった。

 

 

「竈門、方角は?」

「このまま前方…直進です!」

 

 

磯の臭い、足元を混乱させる草と泥の感触。

 

進むにつれて感じる嫌な気配。

 

 

「冨岡さん…」

「炭治郎、クジョウの話していた通り……この村は尋常じゃない。」

「冨岡の言うとおりだ、奴らは鬼以上に危険な輩である事は間違いない。」

 

 

夜道を駆け抜け、森を抜けると異洲磨村を見渡せる場所へと辿り着く。

 

月夜に照らされた場所に不可思議な霧が村を囲む様に包んでいた。

 

余りにも静かな入江に入ってくる海水と真っ黒と言える海水の色。

 

夏場なのに気持ち悪い位に寒気が伝わってくる。

 

磯の臭いに紛れているが、微かに血の臭いも混じっている。

 

ここで何が起こっている?

 

 

「…」

 

 

静けさを保った村。

 

キイ、キイ、と音を立てながら軒下に吊るされた銛の先。

 

その先は何かの血の様なモノが付着している。

 

 

「炭治郎、これは?」

「人の血ではないようですが、何かの血である事は確かです。」

「かなり大きいが、捕鯨もしていたのか?」

「錆鉄と磯の臭いが強すぎて詳しくは…」

「夜とはいえ、村人の気配が全くしないのはおかしい…二人とも十分注意しろ。」

「…(コク。」

「…はい。」

 

 

その時だった。

 

雲で月の光が遮られると同時に家屋から出現する存在。

 

人と魚を合わせた生物…魚人である。

 

その眼は魚と同じ本能に染まった眼と鮫の様に相手を喰い千切れる牙を口元から見せていた。

 

この場が底の深い水辺だったら勝ち目がなかっただろう。

 

今は陸地で立地上、炭治郎達に分があった。

 

 

「この先は通させて貰うぞ!!」

 

 

ヒノカミ神楽・参ノ型 烈日紅鏡

 

水の呼吸・弐ノ型 水車

 

岩の呼吸・参ノ型 岩軀の膚

 

 

それぞれが広範囲に剣戟を行う技を繰り出す。

 

炭治郎ら三人対魚人こと深き者達との交戦が始まったのである。

 

 

>>>>>>

 

 

一方その頃。

 

連れ去らわれた三人は異洲磨村の奥にある教会の地下へと監禁されていた。

 

そこには同じ様に捕らわれた娘達が捕まっており、気を失っていた。

 

呼吸で気絶したふりをし村民が居なくなったのを確認してから三人は行動を開始。

 

捕らわれた娘の中に甘露寺蜜璃の姿を発見した伊黒は彼女に近づいた。

 

 

「甘露寺!?甘露寺!!」

「おいおい、マジかよ?」

「…これは鱗。」

 

 

意識を失った甘露寺の両足から桃色の鱗が生え始めていたのである。

 

 

「ちょっと調べる必要がありそうね。」

 

 

ハスミは監禁場所に置かれた蒼く輝く薬品の入ったボトルに眼が行った。

 

 

=続=

 




IFルート・異洲磨村編その四。


※ニシンの塩漬けをそのまま缶詰にして発酵させたもの。
シュールストレミングの事。

一般の缶詰は密閉した後に加熱処理を行うが、シュールストレミングは作る工程では加熱処理は行わない。
そのまま密閉した後に缶の中で発酵させる必要がある為が理由。
加熱すると発酵せずにただのニシンの塩煮状態になる。
発酵には大体二年程掛かり、缶が中の発酵ガスで膨れると食べ頃の合図である。
ガスを抜かずに放っておくと爆発して中のシュールストレミング汁が飛び出るらしい。
開封時は人気のない森の中で樽に水を入れてその水の中で開封するとガスや汁が飛び散らないとの事。
主人公はこのガスと汁を攪乱用の臭気剤に使用している。

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。