宜しい。
ならば、殲滅戦の開始だ。
引き続き、異洲磨村の教会地下にて。
私は脱出経路を確認と確保する為に一度室内を出た。
炭治郎君達の到着で出払っており、見張りは数名居た程度だった。
勿論、サーチ&ステルス・キルでご臨終させてから内部を捜索して脱出経路を確保した。
******
その道中で礼拝堂の教壇に妙なものを発見したハスミ。
「ダゴン秘密教団…って隠す気ゼロですか?」
デカデカと聖書らしき分厚い書籍には先程の名称とグロデスクな魚の神様が描かれている。
「まあ、あの神話って人の皮とかで造った本があるって言うし……こういうもんなのだろうね。」
グロイ発言はソコソコに。
脱出経路は異洲磨村の断崖絶壁にある鉱山跡地。
その中を通る必要がある。
拉致された時に通ったルートを逆走する手もあるが無理があるだろう。
理由はシンプルに異洲磨村は入ったら最後…出られない構造になっている。
奴らは急斜面の崖を下って村へ入っていた。
海路か鉱山跡地を通るルートの二つで村から出入りしていたのだろう。
海路は危険すぎるので鉱山跡地を通るルートしか方法はない。
「…(恐らく、鉱山跡地は奴らの縄張りで地の利は奴らにある。」
しかも…テケリリとか出そうなルートなのよね。
某魔導書の精霊様が出してた黄色の透明クッション風版は可愛いんだけど…特にぷにっと感が。
モノホンは見つかったら即逃走案件と言う。
…考えても仕方がない。
今はやるべき事をするだけだ。
「っ!外の様子が変わった?」
脱出ルートの確認を終えて地下道から礼拝堂に戻ってきた私。
あれだけ騒がしかった外の音が一瞬静かになった。
私は地下室の二人に合図があるまで恋柱達の護衛を頼んでから外へと向かった。
「あれは…!」
無数の斬撃と何かで抉られた跡が至る所に残っている。
跡を見ると、つい先程付けられた様だ。
「この跡は…上弦の鬼が来ているのか?」
私はこの痕跡から、無限列車事件で遭遇した二体の鬼がこの地に来ている事を理解した。
恐らく、魚人側と何か接点があったのだろう。
仲間であれば、ここまでの襲撃を行う必要はない。
ここから指し示す答えは…鬼側は魚人側と敵対していると推測出来る。
「…(様子を伺ってから行動に移した方がいいわね。」
私は以前戦闘が行われている場所へと向かった。
>>>>>>
同時刻。
魚人の群れと交戦していた炭治郎達だったが…
突如、乱入してきた二つの存在があった。
「竈門炭治郎、奴らに間違いはないのだな?」
「はい。」
悲鳴嶼の問い掛けに答える炭治郎。
悲鳴嶼は眼は見えずとも周囲の気配で相手が誰なのかを認識している。
その気配を出している相手が尋常ではないと悟っていた。
気配の主は上弦の鬼であり長年の宿敵を守護する上位の鬼が二体現れた。
敵である以上、細心の注意が必要である。
「また会ったな、竈門炭治郎。」
「…猗窩座。」
「今日は杏寿郎はいないのか…まあいい。」
「?」
「俺達は貴様らと戦う為に来た訳ではないからな。」
「…」
何時もの調子ではなく淡々と炭治郎に話す上弦の参・猗窩座と沈黙を続ける上弦の壱の黒死牟。
「どういう事だ?」
「貴様ら…に関係の…ない事…だ。」
冨岡の問い掛けに対してあっけない答えを出す黒死牟。
「鬼である以上は斬る…っ!?」
「はいはい、周囲状況を確認しないでやたらに抜刀しない。」
冨岡の行動を脳天空手チョップで一時静止するハスミ。
ある程度は加減しているのだろうが、痛いものは痛い。
冨岡は空手チョップを受けた頭を押さえて屈んでしまった。
その様子に唖然としたまま答える炭治郎。
「は、ハスミさん!?」
「炭治郎君、岩柱と水柱も無事の様ね。」
悲鳴嶼は合流してきたハスミに対して状況を確認する。
「クジョウ、宇髄達は?」
「二人は恋柱達の保護をしているわ、少し問題があるけど…」
「問題?」
「二人は村はずれの教会で恋柱達と待機、後で合流を。」
「判った。」
ハスミは続けて目処前の上弦達に推測を含めて話しかけた。
「無惨の護衛が雁首揃えて現れるなんて……奴らも色々な方面に手出しをしている様ね?」
「貴様、理由を知っているのか?」
「半分は推測だけど……奴ら、深き者共は己の目的の為なら手段を選ばない。」
「奴らの目的とは何だ?」
「…奴らが崇拝する魚神様の復活よ。」
奴らは魚神様の復活の為に人間の娘を生贄に捧げてきた。
しかし、その復活までに時間を必要とし自身らの存続も必要だった。
そこで奴らは仲間が居る異国の地よりあるモノを取り寄せた。
だが、異国の地の闇社会に存在する敵対組織にそれを奪われた。
奴らは深き者共にとって最重要品である品を奪ったと知らず、金銭取引で深き者共に取引した。
事を大きくしたくない深き者共は金銭を支払い、その品を取り戻しこの地へ送ろうとした。
ま、良くある話だけど敵対組織は金銭の更なるつり上げをしたみたいでいざこざが発生。
…奴らも欲に眩んで深き者共の怒りに触れたのよ。
で、敵対組織は最後の最後で帝都内の貿易会社を利用して品物を隠してしまった。
流れ流れで…ある貿易会社が所有する船が狙われた。
「それが鬼舞辻無惨が人の世で行動する際に利用している取引相手の会社の船だった。」
船の積み荷に紛れたソレを取り戻す為に船は深き者共によって沈没。
その積み荷の中に無惨が必要としていた何かがあって回収が不可能となってしまった。
「それが鬼側が深き者共を追う理由かしら?」
「ハスミさん、どうしてそこまで…」
「無惨が利用している帝都内の貿易会社には網を張っていたのよ……で、今回の件で関係性のある不可解な海難事故と被害に遭った会社や企業を調べて、その会社の貨物目録をちょっと拝借して最近の記録を複写した次第よ。」
「…」
炭治郎曰く開いた口が塞がらないとはこの事である。
ハスミは異洲磨村へ潜入する前の僅か一日でここまでの経緯に辿り着いたのだ。
彼女に取って情報は何よりの武器。
それがかつての立場で敵対勢力を震え上がらせたのだ。
「それに…その品物が原因で恋柱達の問題になっているのよ。」
教会の地下室に置かれた『人魚の涙』と呼ばれる発光する薬品。
死亡した医者の残した記録書に寄れば、あれは人体に著しく変異を促す代物。
無惨の血による人間の鬼化と似た物質に近いのかもしれない。
人魚の涙を投与された女性は奴らと同じ種族に変貌する。
それも一握りの話で適合出来なかった女性は確実に死に至る。
…人体変異は神への冒涜の象徴なのかもしれない。
「元に戻す事は出来ないんですか?」
「それは大丈夫、もう調べは付いているから蟲柱を呼んで解毒剤を調合して貰うだけよ。」
「よ、良かった。」
炭治郎の心配を余所に解決策は出来ていると答えるハスミ。
「問題はもう一つある、このまま奴らを野放しに出来ない事。」
深き者共を野放しにすれば、再び第二・第三の犠牲者が出る。
今後の為にも奴らの殲滅を提案する。
「けど、鬼殺隊は鬼を狩る事が目的……今回の件に頸を突っ込む必要はないわ。」
「ハスミさん…」
「ま、私は奴らをマグロのタタキにする事は確定だけど。」
ハスミは後光に閻魔様を召喚した様な気配を漂わせながら答える。
「恋柱と女の子達をあんな目に遇わせたのだから……ただじゃ置かないわ。」
「冨岡さん、悲鳴嶼さん、どうしましょう。」
「あれは…無理だ。(止めようがない。」
「右に同じく同じ意見だ。」
「いっその事、ガトリング砲で奴らをミンチに壊滅させた後にナパームとロケランで村ごと爆破しちゃおうかしら?」
単語の内容を知る者ならそれが途轍もなくヤバイ事だと言うのが理解出来るだろう。
だが、今の年代は大正初期で理解出来る者はいない。
上弦の壱と参に関しては既に無表情で混乱に陥っていた。
「て、言うか…ここに来るまでに何体かマグロのタタキにしてあげたし大丈夫でしょう。」
ハスミの通ったルートに居た深き者共は隠し持っていた破片手榴弾によって見事なまでのマグロのタタキにされていた。
今も村の家屋があった場所に夥しい血とタタキと化した肉塊が飛び散っている。
「手を出したらどうなるか…奴らには身を持って知って貰いましょう。」
異洲磨村が地図上から消失するまで後三時間。
=続=
IFルート・異洲磨村編その六。
刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?
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木乃伊事件(不死川、伊黒)
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集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
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船舶沈没事件(宇随、煉獄)
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不在担当地区防衛(時透、甘露寺)