鋼の魂と共に   作:宵月颯

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花街へ。

そこは愛憎渦巻く場。

そして熾烈な争いの場。

最高格にのし上がる為には裏がある。




嫁探しと不穏な流れ

前回の鋼屋敷での会議後。

 

私達は音柱の案内で遊郭に近い藤の花の家紋の家へと向かった。

 

そこで炭治郎君達をちょっとばかり大改造させてました。

 

******

 

 

「三人共、完成したわよ。」

 

 

炭治郎君は肌艶がいいのと赤みが多いので控えめに。

 

善逸君は金髪を生かして付け毛を足した。

 

伊之助君は元から素材がいいのでほんのりと白粉と軽く目元の整えて置いた。

 

私ことハスミは完成した事を告げて三人に手鏡を渡した。

 

 

「凄い…傷の跡が消えてる!」

「ほぇええ。」

「あんまし違和感ねえからいいか。」

「炭治郎君のはゴム製の傷を目立たなくする素材を使っているから強く擦らないでね?」

「判りました。」

 

 

その様子を見ていた杏寿郎と宇髄はまたもや顔芸を披露していた。

 

 

「うむ、どこからどう見ても娘だ!」

「逆に拙い様な気もしなくもないが、今回は多めに見てやる。」

 

 

私は自身の化粧も終えると化粧箱を家主に返却して置いた。

 

 

「こんなものかな?」

「ハスミさん、眼が!」

「練習して片目を人の眼に戻せるようにしたのよ…まあ、油断すると鬼の眼に戻っちゃうけど。」

「ある意味で凄いですね。」

「何事も精進あるのみよ、炭治郎君。」

 

 

私は炭治郎君達よりも二歳上の一八歳設定にして置いた。

 

元々、鬼化の影響で成長が遅延しており二一歳になろうとも三年前のあの日の年齢と外見をほぼ保っていた。

 

事情を知らなければ年齢通りの娘に見えると思う。

 

 

「頼まれていた品をお持ちしました。」

「ありがとうございます。」

「残りは遊郭の管理を行う屋敷に保管されていると思いますが…今も保管しているかは判り兼ねません。」

「いえ、ありがとうございます。」

「…何を頼んだんだ?」

「此処数十年間の遊郭番付と新聞よ、ちょっと気になる事があってね。」

「まあいいけどよ。」

 

 

私は受け取った年間の遊郭番付と新聞を一枚ずつ確認しながら気になる名前をピックアップしていった。

 

 

「一定間隔で足抜けと行方不明に自殺者……それと似た様な名前がちらほらと。」

「何か判ったのか?」

「炎柱、顔が近い。」

「む、すまん。」

「明治中期の番付まであったから何とかなったし、こっちの推測は当たっていたわ。」

「と、言うと?」

「目的の上弦の鬼は花魁に扮している。」

 

 

ハスミは卓袱台にいくつかの番付とある期間の新聞記事を広げて見せた。

 

 

「これよ、ある花魁が番付の上位に繰り上がる頃に元上位の花魁が項目から消えているわ。」

「項目には身受けや足抜けと書いてあるが?」

「それは建前、新聞記事に行方不明者に花魁と関係が?って書いてあるでしょ?」

「…」

「ただでさえ遊郭を縮小させる件が政府から出始めた頃だったし波風立てたくなかったのでしょうね。」

「ハスミさん、この太夫って言うのは?」

「それは花魁の前身、太夫は江戸時代に使われていた遊郭の最高位の意味よ。」

 

 

ハスミはピックアップしたいくつかの花魁の名前を指し示した。

 

そのいくつかの名前を炭治郎は口に出していた。

 

 

「辰姫太夫、茨姫太夫、椿姫花魁、星姫花魁…」

「この姫と言う名が付いた太夫、花魁が番付に出てくると他の太夫や花魁が謎の失踪を遂げている。」

「どうして姫なんですか?」

「この上弦は恐らく己の強さの証として姫の名前に固執している……さぞや、自分に自信があるのでしょうね。」

 

 

一部の上弦しか遭遇していないが、それぞれが己の力に固執せず鬼狩りと戦っていた。

 

壱と参は根っからの武闘派、弐は策を練る方針での戦闘に長けている。

 

いずれ遭遇する上弦の肆、伍、陸がどの様な方法で戦いを挑んでくるかは不明。

 

だからこそ油断は出来ない。

 

 

「クジョウ、遊郭の上弦が花魁に化けているとするとお前なら何を注意する?」

「音柱、さっきから人に考察させてばかりじゃないかしら?」

「さてな?」

 

 

ハスミはため息を付いてから推測出来る範囲で宇髄に答えた。

 

 

「売れっ子の花魁ならある程度…自分の好きに出来るから住んでいる間取りは日の当たらない部屋、肌に悪いからとか口実を付けて極力日のある内は外へ出ない、花魁名に姫と付ける位だからかなりの我儘で気性が荒くて性根がひん曲がり巻くって物凄く性格が悪いと推測するけど?」

「派手にすげー言われ様だな。」

「逆もあると思うけど、無惨の鬼が慈悲の心を持つ事はないと思う。」

「…」

「奴が鬼全ての生命線を握っている以上、腹心の部下であろうとも慈悲は与えられない。」

「…(もしかして、あの鞠の鬼の事を言っているのかな?」

「上弦ならば人は虫けら扱い……ある程度は抑えているでしょうけど、無惨製の鬼由来の気性は変わらない。」

 

 

ハスミの考察、推測、結論はほぼ言い当てていると言える。

 

それは彼女自身が持つ『とある能力』や軍属時代に培われてきた経験からだ。

 

但し、彼女は最後にこう付け加えている。

 

 

「ま…あくまでこれらは私の考察や推測、本当の真実は自身の眼で確かめる事ね。」

 

 

必ず付け加える彼女の口癖。

 

他人の情報だけを鵜呑みにせず、本当の真実は自分自身の手で見つけ出す事。

 

あくまで彼女の考察や推測は結論へ辿る為の軽い道標程度だ。

 

間違った結論は余計な諍いの原因に発展してしまう。

 

自身の提供する情報は薬にも毒にもなると理解している為に付け加えているのだ。

 

 

「それと話していた三人の奥方を探す話はどうするの?」

「先に話した店に潜入させたが、三人共…行方が途絶えたままだ。」

「だとすると急いだ方がいいわね。」

「っ…それは派手に判っている。」

「炎柱、念の為…切見世に音柱の奥方達と同じ名前の花魁が移動したか調査して欲しい。」

「承知した。」

「そして発見したら音柱と合流してから救出を。」

「何故だ?」

「わざと逃がされた…そして上弦に監視されている可能性がある。」

「!?」

「上弦の花魁に化けた鬼は鬼狩りや繋がる相手と判断した相手を簡単に逃がす事はしない。」

「成程な、その為の俺達か?」

「そう言う事よ、それに奥方を助ける役割は旦那である音柱の方がいいのでは?」

「…派手にその通りだな。」

 

 

持たせるのは危険だが上弦が相手である以上、それなりの対策と言う事で。

 

 

「これは選別よ。」

 

 

ハスミは音柱に取っ手付きのケースを渡した。

 

 

「そいつは?」

「私が愛用している手榴弾数発とボウガンが入っている、説明書付きよ。」

「ぼうがん?」

「ボウガンは矢を装填して撃ちやすくした銃ね。」

 

 

ハスミはケースを開けさせると簡単な説明を続ける。

 

中にはボウガン一式と矢が数発分、二種の色分けされた手榴弾が四発分収めされていた。

 

 

「矢は対鬼用に加工してあるから折れ難いし、しのぶさんと共同開発した高濃度の藤毒を装填してあるわ。」

「こっちのは?」

「紫は菫外線手榴弾、黒は毒煙幕手榴弾、どちらも対鬼用よ。」

「…」

「使わなければそれでいいけど、相手が相手だから。」

 

 

宇髄と杏寿郎は心の中でボソリと思う。

 

 

『『お前(君)が持っている武器の方が派手に危険だ。』』

 

 

口に出せば三倍毒舌で返されるので遠い眼の顔芸で無言を通した。

 

 

「最後にひじき芋の動向が余りにも静かすぎるから…念の為よ。」

 

 

ハスミは何か言いたそうな二人の表情を無視しそれなりの理由を告げる。

 

 

「話はここまで、音柱…段取り通りによろしく。」

「へいへいっと。」

 

 

ハスミは借りた番付と新聞を家主に返してから先に準備を終えた炭治郎達と共に花街へと向かった。

 

 

>>>>>>

 

 

売人に変装した宇髄の手引きにより、ときと屋に炭治郎、京極屋に善逸、荻本屋に伊之助とハスミと言う形で潜入する事となった。

 

荻本屋は元々番付に載る様な花魁が居なかったので顔立ちの良い伊之助と共に買い取られた形だ。

 

数日後、荻本屋に新参の花魁が姿を現した事で吉原の花街は大賑わいとなった。

 

この事である花魁は苛立ちと好奇心を隠せずに居た。

 

 

「あら…見目はいいじゃない、この私が鯉夏花魁と一緒に喰ってやるわ。」

 

 

その花魁は擬態を少し解いて口元を歪ませる。

 

艶のある口元には鬼特有の牙が姿を覗かせていた。

 

 

=続=

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
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