鋼の魂と共に   作:宵月颯

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生き残った命。

生まれ変わった命。

記憶の輪廻を巡る命。

どちらでもない狭間の命。

命の起源は違えど、確かに存在する。


御山の天狗と呼吸

竈門家の生家を後にして一週間が過ぎた。

 

狭霧山へ向かう為に荷車を押しながら私ことハスミは竈門家の護衛をしながら旅を続けていた。

 

道中、休憩を取ったお堂で炭治郎君が話していたマ〇キボイスのお堂の鬼に遭遇したが…

 

相手は一人だったので特に苦も無く倒す事が出来た。

 

うん、炭治郎君が斧で注意を引き付けて禰豆子ちゃんが頸をサッカーボール蹴り。

 

他の鬼がいない事を確認してから竈門家の人達をお堂の中に避難させ、私が残った肉体をぶつ切りレベルで切り刻んで崖から落として置いた。

 

最終的に日が昇り、お堂の鬼は日光消毒(と、言う名の消失)されました。

 

その様子を天狗の面を付けた老人が見ていた。

 

どうやら冨岡義勇が話していた人物で育手の鱗滝左近次氏である事が判明。

 

炭治郎君に対して問い掛けをし炭治郎君が応答した後…

 

そのお堂の敷地で喰われてしまった人達を埋葬しつつ狭霧山へと再び歩みを進めた。

 

日が昇ったのもあり炭治郎君は禰豆子ちゃんを背負ったまま鱗滝氏と共に先に狭霧山へと向かった。

 

私は竈門家の人達の護衛があるので後追いの形となった。

 

 

******

 

 

「成程、先に義勇から文を受け取ったが…この様な事があるとは。」

 

 

 

私達は狭霧山の鱗滝氏が使用する山小屋に遅れて到着した。

 

荷車の荷解きをする前に鱗滝氏に改めて挨拶を済ませた後、先に着いていた炭治郎君と共に事情説明を始めた。

 

その内容に俄かに信じがたいがと言う声だったが…

 

改めて禰豆子ちゃんの様子と私の変化を見て貰った事で信じて貰えた。

 

 

「人を喰らわずに自我を保つ鬼達か…」

「炭治郎君、禰豆子ちゃんは?」

「実はこっちに着いてから眠ってしまったんです。」

「…そう。」

「禰豆子と言う少女の状態はまだ分からんが、お主は自身の変化に関して自覚している事はあるのか?」

「はい、ここ一週間で判明した事をご説明させていただきます。」

 

 

鬼と化した私に起こった変化。

 

一つ、人への飢餓はないが人間と同じ食事が可能で人よりも数倍の量を必要とする。

 

一つ、日光を浴びても消失しないが逆に一定の時間内に浴びていないと体調を崩す。

 

一つ、鬼となる前に使用していた己の持つ力の大部分が使えなくなってしまった事。

 

一つ、鬼舞辻無惨の名を話しても自身に肉体崩壊の呪詛が発動しない事。

 

 

「以上が判明している事です。」

「ふむ…(炭治郎同様に瞬時に判断し己の状態を把握している。」

「私は鬼となった時点で鬼滅隊に追われる立場、無理を承知で貴方に告げます。」

「炭治郎と同様に鬼滅隊に入る件か?」

「はい、手がかりが少ない今…鬼舞辻無惨を追うには隊に入隊し鬼の情報を得るしかないと判断しました。」

「…(冷静に判断し最も効率のいい答えを出す、何よりも覚悟を決めた意思の強さは認めねばならんな。」

「最も鬼舞辻無惨と交戦した時、奴に効率的な負傷を負わせる武器を持っていれば話が違いましたが…」

「どう言う事だ?」

 

 

ハスミの会話の中である事を思い出した炭治郎はハスミに問う形で鱗滝に伝えた。

 

 

「そう言えばハスミさん、無惨が逃げる時に何か投げていましたけど?」

「ああ、奴が撤退する時に投げ入れたのは収束手榴弾よ。」

「収束手榴弾?」

「主に水路とか鉱山の掘削作業に使用されるダイナマイトが発展したものね、例として一本で炭治郎君達の住んでいた山小屋一軒を吹き飛ばせるわ。」

「え…?」

「無惨の撤退先に投げ入れたのは鉄線で六本ほど巻き付けたもの…命中していれば四肢から肉塊まで完全に吹き飛んでいるわね。」

 

 

さらりと笑顔で答えたハスミの表情を見て炭治郎は吃驚顔芸と声を荒げた。

 

 

「え--------------------!!!?」

「どうせなら火薬追加と破片を撒き散らす破片手榴弾も付けて置けばと後悔したわ。」

「いやいや、何でそんな物騒なものを持っているんですか!?」

「父が武器商人をやっていたの…その伝手もあったし女の一人旅には備えあれば憂い無しでしょ?」

「刀の他に鉄砲で戦っていましたけど色々と別の意味で怖いです。」

 

 

色んな意味でどう反応すればいいのか困った表情をしている炭治郎。

 

ハスミは静かに告げた。

 

 

「そもそも日輪刀で頸切るしか鬼を倒す方法はないとは限らないんじゃない?」

「えっ?」

「鬼に有効な毒があれば毒を入れた銃弾で怯ませたり、再生が不可能なまでに爆薬で細切れにするなり方法は幾らでもある。」

「…」

「もう一つは日光に弱いなら西洋方面で発見された菫外線を発生させる灯りが有効かもしれない。」

「きんがいせん?」

 

 

菫外線とは1960年代以前に使用されていた紫外線の名称である。

 

 

「主に医療や化学関連で使用されているものだけど、最近の研究で太陽から発生している可視化光線の一つとされているわ。」

「???」

「ごめん炭治郎君、もう頭の中爆発気味の内容だったね……簡単に話せば必要な材料さえあれば夜中でも日光に鬼を晒せる代物を作れるって事。」

「…(すごい、そんなものが作れるなんて。」

「ただ、あくまで理論上の事よ?私の推測段階だから試作品を作って鬼に試してみないとね…それと。」

「何か?」

「さっき話した私の戦い方は絶対に広めちゃ駄目よ?」

「どうしてですか?」

「この戦い方は鬼だけではなく人にも害を成す戦い方…広まれば使い所を間違える人も出てしまうでしょうね。」

「…」

「これは鬼舞辻無惨と配下の鬼達を倒す為の手段として使うだけに留めたいの、判ったかな?」

「は、はい。」

 

 

ダイナマイトを開発したノーベルですら自身の発明がいずれ戦争に使われる事を危惧していた。

 

何処の世界でも何かが生み出されると良からぬ方向に使いたがる人間が出てくる。

 

私の戦い方も後の世で使用される戦い方ばかりだ。

 

相手の意表を突くには十分な方法だが使用する武装は最低限こちらの時代に合わせたものを使う。

 

この世界の未来史を変えない為に。

 

近代兵器の基礎となった兵器を使用したと記録に残るソンムの戦いがそれを示している。

 

理由も無い大義無き戦いはただの殺戮でしかないのだから…

 

 

「鱗滝さん、話の筋を折ってしまい申し訳ありません。」

「構わん、お前の言う戦い方で指摘しようとした部分があったがお前は理解していた。」

「以前、戦術を学ぶ際に教わった心構えを実践しただけです。」

「その心を忘れるな、人も戦うだけの存在となれば…それは鬼と変わらん。」

「はい。」

「では、炭治郎とハスミ…ワシの元で修行するに値するか課題を出す。」

 

 

「「宜しくお願い致します。」」

 

 

炭治郎と私は鱗滝さんに一礼し課題クリアの為に狭霧山の頂上まで向かった。

 

ちなみに私達が課題中だった頃。

 

話し合いで葵枝さん達は鱗滝さんの山小屋で引受先が決まるまで生活する事が決定した。

 

その中で竹雄君が炭治郎と同じ様に修行したいと申し出たが、炭治郎が不在の間に家族を支える者が居なくなってしまう事を説明した後…本人は諦めて帰る場所を守り、待つ側になった。

 

何よりも竹雄君は恐らく呼吸が扱えなかったと後に鱗滝さんより話を聞かされた。

 

炭治郎君達の一族で長男が扱うヒノカミ神楽…それは肉体の限界を超えて鬼舞辻無惨を倒す為だけに編み出された日の呼吸のあるべき形。

 

呼吸とは鬼殺隊の者が使用する呼吸法で大きく成長させた肺に酸素を送り血液の循環を良くさせたもの。

 

酸素の供給量が大きければ呼吸を扱う者達の身体能力は飛躍的に上昇する。

 

だが、これは諸刃の剣でもある。

 

肉体への酸素供給を強めれば肉体の老化が早まると言う事だからだ。

 

寿命の前借り…痣者への一歩手前に立たされる。

 

炭治郎君が話していた事だったがこれに関しても調べる必要がある。

 

呼吸とは何か?

 

痣者とは何か?

 

二年間と言う修行の中で見出した己の呼吸についてもまた可能性の一つと視ている。

 

私はただ荒波となったこの流れに沿うだけだ…

 

 

=続=

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
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