鋼の魂と共に   作:宵月颯

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詰めの甘さは自身への障害。

出来得る限りの戦術と戦略を繰り出す。

私は容赦しない。




目処前の障害は各個撃破

吉原の遊郭。

 

荻本屋で遊女の教養を学びつつ上弦の情報を手に入れる為に日々潜入捜査を続けていた。

 

伊之助改め猪子は声を少し高めに出すとハスキーな女の子ボイスに近いのでそれで済ませた。

 

ちゃんと教養は教えたので特に問題はない。

 

うん、某オンラインゲーム小説の主人公を思い出したのは気のせいと思う。

 

 

******

 

 

二日後、萩本屋の奥さんに連れられて猪子と共にとある花魁の居る部屋へ案内された。

 

 

「まきを、新しい子が入ったんだけと挨拶出来るかい?」

「…」

「まだ調子が悪そうだね。」

「女将さん、こちらの部屋は?」

「ああ、アンタより大分前に入った子でね…名前はまきをって言うの。」

「…(まきを、音柱の嫁の一人か?」

「数週間前から調子が悪いって言ってね、部屋から出てこないんだよ。」

「…(微かに血の匂い、まさか!?」

「まきを、また後で来るわよ?」

「ちょっと失礼しますね!」

 

 

私は猪子に先んじてまきをの居る部屋の外側の襖を全開にする様に合図した。

 

それはこちらの合図と共に全開される。

 

私は入室と同時に室内へ藤の花の香水が入った瓶をぶちまけた。

 

しのぶさんと共同開発した超濃縮香水の為、鬼なら即座に撤退したくなる代物である。

 

ちなみに少し嗅いだ私でも肺がヤバイです。

 

 

「ひっ!?」

 

 

女将さんが声を上げるのも無理はない。

 

室内は無惨に切り裂かれ何かに襲われた跡と点在する血の跡。

 

ズタズタに切られた跡が残るまきをが倒れてたのだ。

 

 

「女将さん、急いで医者とお湯と清潔な布を!私が介抱します!」

「頼んだよ!!誰か!誰か来とくれ!!?」

 

 

本日は晴天、春一番の強風で風向きも良好。

 

まきをの部屋は日光の当たり具合が良いのでいい感じに日差しが入ってくれた。

 

外の襖を開けたのも風通しを良くする為で理由がある。

 

まず、猪子が開けた外側の襖から廊下側の襖の一部へ風が当たり室内に一種の濁流が出来るのでそれを利用。

 

この為、毒薬レベルの香水の匂いが一気に室内に広がったのである。

 

流石の鬼もこの状況に混乱し拘束していたまきをさんを手放して撤退。

 

嫌味がてらにまきをに絡みつき拘束していた帯らしき物体へ直接香水をぶちまけて置いた。

 

今頃、余りの臭さに地団駄踏んで憤慨しているだろう。

 

ざまぁWである。

 

 

「猪子、天さんにこの事を伝えて来て。」

「判った。」

 

 

猪子に売人に扮している天さんこと音柱へ連絡をする様に告げた。

 

鎹鴉を使わないのは何処で鬼側から監視されているか判らない為である。

 

 

「蓮子、まきをは?」

「大丈夫です、ただ酷い切り傷が出来ているので暫くはお座敷に出せませんね。」

「そうかい、無事でよかったよ。」

「女将さん、一瞬でしたが…まきをさんを縛っていた人の影を見たのですが。」

「もしかしてそいつが…」

「?」

「実はここ最近、遊女の足抜けや禿の子が自殺するって事が多くてね…そいつが襲っていたのかもしれなくて。」

「様子を見る限り…そうかもしれませんね。」

「まきをも売れっ子の花魁だったから狙われたんだね…無事で何よりだよ。」

「医者の方は?」

「今呼んだからもう少しで来るよ、先に血の汚れだけでも取っちまおうね。」

「判りました。」

 

 

私は女将さんや他の遊女の人達と一緒にまきをの介抱をし天さん経由の医者に扮した隠に一芝居して貰った。

 

まきをは切り傷からの化膿や酷い過労で入院が必要だと花街の外で療養する形に話をした。

 

本来なら切見世へ送られるのだが、私がまきをの分まで稼ぐと告げて外での療養を了承して貰った。

 

 

「全く、アンタも人が好過ぎるよ。」

「良く言われます。」

「ま、その分頑張って貰うわよ?」

「判りました。」

 

 

女将さんに愚痴られつつ、一人目の救助に成功した。

 

 

>>>>>>

 

 

まきをの救助から二日目。

 

切見世が点在する区域にて。

 

 

「ここか?」

「ああ、我妻とクジョウが聞いた話じゃ…この長屋だそうだ。」

 

 

夜明けを迎えつつある早朝。

 

日が当たりにくい長屋の一つに集まる二人の鬼狩り。

 

 

「煉獄、合図と同時に反対側の窓を開けてくれ。」

「承知した。」

 

 

切見世の長屋へ夜明けの日差しが入る瞬間と同時に戸と窓が全開に開け放たれる。

 

 

「!?」

 

 

同時に投げ込まれる藤の花から調合された煙幕。

 

高濃度の煙幕は室内に広がっていた帯の物体を麻痺させ動けなくさせた。

 

室内に寝かされた女性を宇髄が確保し煉獄が帯を細切れに切り裂く。

 

一瞬の事だったので帯の主である鬼は帯の消失で混乱しているだろう。

 

鬼が日中動けない事は鬼側も理解しているが、最も動けない時間に行動された。

 

それを行えるのは鬼舞辻無惨が危険視した成り損ないの鬼。

 

その鬼が自身に迫っている事を帯の鬼は理解しただろう。

 

寝首を掻かれるのは誰か?

 

 

「天元さ…」

「今は話さなくていい。」

 

 

宇髄は寝かされたままの状態になった女性が自身の妻である『雛鶴』である事を確認。

 

鬼の潜む店から逃げる為に毒薬を服薬しここへ逃げたものの帯を操る鬼に監視されていたとの事。

 

 

「宇髄、彼女が?」

「ああ、俺の嫁の一人だ。」

「クジョウが救った嫁を合わせると二人、後は一人か…」

 

 

宇髄は雛鶴に解毒剤を飲ませると煉獄と共に切見世から撤退し作戦を練った藤の家へと移動した。

 

 

=続=

 

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
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