鋼の魂と共に   作:宵月颯

46 / 78
縋った先は何処?

差し伸ばされた手は誰?

その正体は誰にも判らない。





それは祝福か呪いか?

朝日が昇り夜明けを迎えた花街。

 

遊郭に巣くう鬼の姿は消え、こちらも真の意味で夜明けを迎えた。

 

夜の光に朝の光が照らされたのだ。

 

だが、その功労者達は崩壊した花街で命の危機に瀕していた。

 

 

******

 

 

「てーへんだ!てーへんだー!!」

 

 

花街に近い藤の花の家紋の家へ一羽の鎹鴉が降り立った。

 

その鎹鴉の名は叙荷、鋼柱の鎹鴉である。

 

 

「誰か、誰かいねえか!!」

 

 

この藤の花の家に待機していた隠の一人がそれに気づいた。

 

 

「何が遭ったんだ?」

「早く救護を!!柱が!!お嬢達が死んじまう!!」

「!?」

 

 

主人とは真逆に慌ただしいと評判の鎹鴉が焦りを含んだ涙声で叫んでいた。

 

事態は深刻であると悟った隠はすぐさま他の隠達を叩き起こし、現場へと向かっていった。

 

同じく虹丸、要、松衛門、チュン太郎、どんぐり丸と言った彼らの鎹鴉達も本部への通達、近隣の隠達や隊士に援軍の要請を行っていた。

 

同時刻。

 

いつも以上に夫の帰りを待つ事が不安になり、宇髄の嫁達が崩落した花街へ到着していた。

 

 

「天元様!!」

「天元様~!!」

「居たら返事をしてくださいぃ~!!」

 

 

順に雛鶴、まきを、須磨の三人である。

 

鬼と戦った痕跡とは言え、花街の家屋は殆ど破壊しつくされており捜索は困難だった。

 

爆撃による家屋の倒壊と所々に火事が発生しているが、爆撃の反動が運よく倒壊した家屋と家屋の間に火移りしない隙間が出来ていたので大炎上までに至っていなかった。

 

破裂した水道管の水が地面から噴き出て鎮火に一役買っているのもある。

 

だからこそ彼女達は捜索が可能だったのだ。

 

 

「てんげんさぁまああ!!!」

「須磨!今は許す!!ありったけの声で叫びな!!」

「まきをさん、わっかりました!!!てんげんさまぁああああ!!!」

「一体何処に。」

 

 

日の出を迎え、花街に日光が完全に差した頃だった。

 

雛鶴が見慣れた姿を発見し二人を呼んだ。

 

 

「二人とも!こっちよ!!」

「!?」

「天元様!?」

 

 

衣服が灰や泥で汚れにまみれるまで捜索を続けた三人。

 

漸く、夫を見つける事が出来た。

 

但し、最悪の形であるが…

 

 

「天元様…」

「…そんな?」

「…」

 

 

爆撃で家屋に吹き飛ばされ重傷を負った五人と人としての機能を損なう損傷で倒れた一人を発見。

 

普通であれば、出血多量若しくは爆撃のショックで死亡していても可笑しくない時間が経過していた。

 

だが、彼らは不可思議な現象によって生き延びていた。

 

 

「何なのこれ?」

「ひぃいい!!何かこの変なの動いてますー!!」

「うっさい!」

 

 

彼女達が驚くのも無理はない。

 

愛する夫や仲間の隊士達に付着した銀色の物体は生物の様に蠢いている。

 

特に攻撃する訳でもなく、触れると軟体生物の様に動く程度。

 

水銀?と三人は思ったが、それに似た全く見当もつかない物体が付着しているとしか理解出来なかった。

 

 

「と、兎に角…須磨は隠に連絡!」

「は、はい!!」

「まきを、天元様と他の人達を!」

「判ったよ!」

 

 

須磨は隠へ連絡を取る為に鎹鴉を探しに。

 

雛鶴とまきをは倒れたままの宇髄達の介抱を開始。

 

その頃に鎹鴉の呼び掛けよって近隣の隠達が到着した。

 

隠達の迅速な対応によって応急処置が施された後に雛鶴達が同行し六人は蝶屋敷へ。

 

残りは事後処理の為に残った。

 

任務を終えた伊黒が現場へ駆けつけた後には既に搬送された後だった。

 

 

「一体、何が起こったんだ?」

 

 

吉原の花街、その遊郭に巣くう上弦の陸の討伐に成功した鬼殺隊。

 

だが、予期せぬ乱入者達によって柱が三名と同行した下級隊士が三名共に瀕死の重症を負うと言う結末を迎えた。

 

無限列車事件に続き、これもまた痛み分けの勝利であり敗北でもあった。

 

 

*******

 

 

一方。

 

無限城で撤退を促された上弦の壱と参が理不尽なパワハラを無惨から受けていた頃。

 

とある場所で遊郭消失の要因である爆撃を行ったひじき芋が自室で抱腹絶倒していた。

 

 

「にょほほほほほほ~!!」

 

 

第三者目線から見ればドン引きする表情を浮かべているこの変態ひじき芋博士ジエー・ベイベルことジ・エーデル・ベルナル。

 

ゲスい表情でひとしきり大爆笑を行った後、普段通りの状態に戻った。

 

 

「いや~あんなに上手くいくとは思わなかったよ♪」

 

 

いーっつも折角作った巨躯の鬼であの子とバトッて貰ってたんだけど~

 

ぜーんぜん、駄目で返り討ちに合うし~見てて楽しかったけどね。

 

そろそろ、絶望でも味わって貰おうと吃驚大サービスしたら大当たり。

 

再起に時間かかるか、仏壇で両手合掌のポッくらチーンだね♪

 

いやーええもん見せて貰えたよーWWW

 

 

「あれ?何のアラート?」

 

 

ジ・エーデルはアラートの鳴ったコンピューターのコンソールを動かして画面に映った映像を見ると…

 

目玉ドコー?な位に口あんぐりをさせていた。

 

 

「うっそーん!そんなのアリ!?」

 

 

映像の先には意識を失ったハスミの肉体から出た謎の物体が移動し負傷した炭治郎らを保護していたのだ。

 

ジ・エーデルが折角起こした絶望は、彼女の中に眠るパンドラの箱を開けてしまったのだ。

 

 

「あ、忘れとった!あの子…あの細胞の感染者だった!?」

 

 

ありゃ…ずーっと前にハッキングした記録調書には除染完了したって記載してあったし、可笑しいね?

 

何で?何で?

 

………電球ポーンっとね!!

 

 

「そう言う事か!だから鬼にならなかったのね!!何か面白い事になってきたわんWW」

 

 

ジ・エーデルは映像からの見た現状といくつかの考察の末にある結論を見出した。

 

 

「あの無惨ちゃんの鬼化の力は科学的根拠で説明出来るし面白い事に使えそうだにゃW」

 

 

ゲスい表情で彼は答えた。

 

 

「まさか、あの子の中にDG細胞(・・・・)が残留していたとはねー!」

 

 

=続=




※DG細胞

機動武闘伝Gガンダムに出てくる金属細胞。
元は長年に渡る戦乱によって荒廃した地球環境問題を改善する為に生み出された。
だが、戦争の道具にする輩の介入によってシステムは暴走し人類抹殺を行う様になった。
DG細胞に感染した生物はDGと言う起動兵器の傀儡になる。
例外として我の強い精神力で感染の進行を遅らせたり感染しない場合がある。
感染後は肉体が徐々に機械化し身体の100%…つまり脳内まで感染した場合、治療方法はない。


<原作との違い>

主人公は本来属する世界で発生したDG細胞に感染した経緯があり、原作と違うのはDG自体に人類抹殺の意思はなく、人を傷つける事も自身が壊される事も怖がる子供の様な性格へと変貌していた点。
色々とあり、原作の様な暴走はなくDG細胞感染の経緯も自身を守る為にした自己防衛によるものである。


<遊郭編での覚醒>

主人公の残留していた微量のDG細胞は暴走しない所か体内で共存共栄の道を選び、今の今まで細胞の数を増やしていたがほぼ眠っていた。
だが、鬼化や瀕死の重傷によって細胞が目覚めて行動を開始。
現在は負傷した近場の鬼殺隊の身体に感染し迅速な治療行為を行っている。

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。