鋼の魂と共に   作:宵月颯

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死の淵から這い上がってきた彼ら。

見る夢は誰の夢?

それは紐解く夢。



遥か遠き日の夢

前回から数日後。

 

鎹鴉からの報告で吉原の遊郭に潜む上弦の陸は討伐された。

 

だが、花街に潜む巨躯の鬼と増援で現れた二体の上弦の鬼によって花街は全損。

 

公式記録では近場にあった発電所の事故と言う事で収められた。

 

花街は崩壊したものの花街の人々は生きている。

 

政府からの通達で縮小されていったり、別の形へ変えて存続していくだろう。

 

ときと屋の鯉夏花魁は身受け人の元へ。

 

京極屋は目玉の花魁を失った事で店を畳み新天地へ。

 

荻本屋は睡蓮花魁と猪子を失ったものの…

売人の知り合いから二人に入る保険金を店の再建に使って欲しいと言伝を告げられた。

 

この事件を遊郭事件と呼称し鬼殺隊・本部に記録された。

 

 

******

 

 

その鬼殺隊・本部では緊急柱合会議が開かれていた。

 

何時もの会議を行う場所で悲鳴嶼、不死川、時透、胡蝶、甘露寺、伊黒、冨岡の七人の柱が集合。

 

柱が三名と柱見習い一名と数が足らない状況で輝哉は言葉を告げた。

 

 

「私の可愛い剣士達、この多忙な中で良く集まってくれた。」

「お館様におかれましてもご壮健で何よりです、益々のご多幸をお祈り申し上げます。」

「ありがとう、小芭内。」

「鎹鴉を通して通達しているが、遊郭に潜む上弦の陸を天元、杏寿郎、炭治郎達が共同で討伐した。」

 

 

 

「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

 

 

「ハスミも遊郭に潜んでいた巨躯の鬼を討伐し援軍として現れた上弦の壱と参を相手にたった一人で交戦し撤退させた。」

「なんと!」

「だが、彼らは無惨の鬼とは異なる存在からの攻撃を受け…その場に居た隊士全員が瀕死の重傷を負った。」

 

 

百年越しにもなる勝利からの一瞬の敗北。

 

続けて輝哉ことお館様からしのぶへ容体を聞いた。

 

 

「しのぶ、彼らの容体は?」

「今も意識は戻っていませんが、容体が安定しています。」

「そうか、例の現象は?」

「未だ宇髄さん、煉獄さん、ハスミさん、炭治郎君らに取り付いたままです。」

 

 

しのぶの発言に対して冨岡が違和感な声で答えた。

 

 

「取り付いた?」

「はい、お館様…このままご説明に移っても?」

「うん、彼らの詳しい容体も含めて頼むよ。」

「御意。」

 

 

お館様の指示で何が起こったのかをしのぶは説明し始めた。

 

 

「鎹鴉からの情報では彼らは発見時に死んでいてもおかしくない状態だったのです。」

 

 

火傷から無数の裂傷、骨折に眼球と内臓の損傷、四肢の千切れ。

 

殆どが出血多量による失血死に陥っている状態。

 

宇髄さんと煉獄さんは片目眼球が潰れ腹部内臓の損傷や片腕が千切れかけていました。

 

炭治郎君は顎の骨が折れて至る所の裂傷。

 

善逸君は打撲と両足の複雑骨折。

 

伊之助君は酷い火傷に裂傷。

 

ハスミさんは片方の肩の肉が抉れ両腕は骨が折れて膨れ上がり千切れかけ、刀による切り傷が深すぎて血溜まりが出来る程の出血を起こしていました。

 

この状態では応急処置や蝶屋敷へ搬送しても間に合わなかったでしょう…

 

 

「それが今では容体が安定しているのです。」

「しのぶちゃん、それって取り付いたって事と関係が?」

「甘露寺さんの言う通り、先程の宇髄さん達の負傷した部分に謎の物体が取り付いています。」

「謎の物体?」

「はい、見た目は水銀の様ですが…まるで生きた鉱物の様なものなのです。」

 

 

しのぶの発言に不死川、伊黒、悲鳴嶼、冨岡の四人からの驚愕発言が開始。

 

 

「何じゃそりゃー!?」

「俺は信じないぞ!」

「生きた鉱物とは一体?」

「!?」

 

 

時透は相変わらず?マークを浮かべて混乱している。

 

 

「つまりどういう事?」

 

 

混乱する男衆を余所にしのぶは決定的な言葉を答えた。

 

 

「これはハスミさんに偶然目覚めた血鬼術ではないかと思います。」

 

 

更なる混乱を招くと思ったが、お館様が口元に人差し指を添えて静止し話を継続させた。

 

 

「ハスミも無惨の血を受けていたからね、可能性はあったと思う。」

「はい、禰豆子さんも炭治郎君の危機で鬼を燃やす血鬼術が目覚めたと話していた事がありましたので。」

「ハスミに目覚めた血鬼術がどんな作用を引き出すのか不明だけど信じてみたいんだ。」

「お館様、引き続き宇髄さん達の事は私の方で経過を観察致します。」

「頼んだよ、しのぶ。」

「御意。」

 

 

残りの上弦は五体、巨躯の鬼の出現も微々たるものだが出現が確認されているので警戒を怠らない様にとお館様が話を締めくくった。

 

 

>>>>>>>

 

 

その頃、意識が戻らない炭治郎達はと言うと…

 

何処へ行っても元の場所に戻ってくる空間に閉じ込められていた。

 

ちなみに服装は全員揃って何故か死装束である。

 

 

「俺達どうなったのかな?」

「うーん、よく覚えていない…禰豆子もいないし。」

「何も感じねえし変な場所だな?」

「うむ、不可思議過ぎて良く分からん!」

「派手にどうなってんだが、つか煉獄…流石に少し考えようぜ。」

「…覚えている限りでは私や皆も死んでも可笑しくない負傷していたから仲良く三途の川に来ているとか?」

 

 

善逸の不安発言から炭治郎の正直な回答、伊之助のむしゃくしゃ、杏寿郎のポジティブ、天元のストレートな突っ込みが展開される中。

 

最後のハスミの発言に全員が固まった。

 

 

 

「「「「「…」」」」」

 

 

少しの間の後に始まるのは毎度お馴染みの絶叫時間である。

 

 

「いーやー!!!俺ら!!俺ら死んでるの?ねえ!どうなってるの!?」

「善逸、少し落ち着こうよ。」

「炭治郎ー!!これが落ち着いてられるか?俺ら死んだかもしれないんだぞ!?」

「俺だって何が何だか…」

「うっせぇぞ!!」

 

 

かまぼこ隊のいつものやり取りを見ながら様子見をする大人組。

 

 

「しかし、こうも簡単に死んでしまうとは…」

「若しくは…生死の境を彷徨っているだけかもしれないわね。」

「クジョウ、お前…我妻で遊んでやがるだろ?」

「反応が楽しいから少しね。」

「アイツ、うるせえからとっとと黙らせろや。」

「まあ言い出しっぺは私だし、しょうがないわね。」

 

 

ハスミ、暴走中の善逸に楽しいオハナシ中。

 

 

「混乱させてゴメンナサイ、煩くしてゴメンナサイ、死んでてゴメンナサイ。」

「善逸大丈夫か?」

「…」

 

 

隅っこで体育座りをしながらブツブツと呟く善逸と慰める炭治郎らを置いといて。

 

大人組は引き続き話し合いを続けていた。

 

 

「はぁ!?お前…派手にデケェ鬼に他の上弦の鬼と戦ってたのか!?」

「しかも二体とは!」

「組み合わせは無限列車事件の時の二人よ、但し仕留め損なったけどね。」

「お前、本当に何者だよ?」

「見た通りの存在と言う事で。」

「良く分からんな。」

「とりあえず、そっちは上弦の陸を仕留められたのでしょ?」

「ああ、お前の足止めのお陰でな。」

「うむ、手ごわい相手だったが宇髄や竈門少年達のお陰で無事に頸を斬る事が出来た。」

 

 

宇髄らは影の功労者であるハスミに礼を伝えた。

 

一通りの情報交換の後に本題へと入った。

 

 

「んで、ここは一体?」

「私にも判らない、敵の血鬼術ではない事は確かよ。」

「だが、彼女の言う通り俺達は全員負傷している…文字通りに死に掛けているがただしいのでは?」

「最後に見た現状からだと、それ位しか思いつかないのよね。」

「ド派手に臨死体験するとは思わなかったぞ。」

「それにこうして話していられるのも不思議な位よ。」

 

 

深まる謎。

 

その答えは直ぐ傍に近づいていた。

 

 

「これは…」

 

 

話し合いを続ける一行の空間の景色が変わった。

 

梅の木に止まるメジロ。

 

ある人物に取って見慣れた風景でもあった。

 

 

「ここ雲取山だ…それにあれは俺の家です!」

「間違いないわ、私も冬の間だけど見た事がある。」

 

 

炭治郎とハスミは景色の場所が竈門家の生家であると告げる。

 

杏寿郎はこの空間が炭治郎の夢の中ではと告げるが誰かが出てくるのを察したハスミが話を静止させた。

 

 

「もしや、ここは竈門少年の夢の中?」

「待って、誰か出てくる。」

 

 

縁側で剣士らしき人物が赤子を抱いて座っていた。

 

同じ様に家の中からお膳を持って現れた青年の姿があった。

 

 

『本当に申し訳ない、客人に子守をさせてしまって。』

『気にするな、疲れているのだろう…子供を産んで育てる事は大変な事だ。』

 

 

他愛もない会話。

 

額に痣のない炭治郎にそっくりな青年は赤子の父親。

 

室内の奥で眠る人物は奥さんだろう。

 

炭治郎と同じ花札の耳飾りを付けた剣士は命の恩人と言われていた。

 

剣士は長居はせずに出て行くと話すが、青年はそれを静止したもの…

 

茶を啜る無言のままの剣士に対して青年は答えた。

 

 

『…判りました、ならばせめて貴方の事を後世に伝えます。』

『必要ない。』

『しかし…後を継ぐ方が居なくて困っておられるのでしょう?』

『…』

『しがない炭焼きの俺には無理でも、いつか誰かが…』

『必要ない。』

 

 

剣士は必要ないの真意を青年に答えた。

 

 

『炭吉、道を極めた者が辿り着く場所はいつも同じだ。』

 

 

時代が変わろうともそこに至るまでの道のりが違おうとも必ず同じ場所に行きつく。

 

 

『お前には私が何か特別な人間に見えているらしいがそんなことはない。』

 

 

私は大切なものを何一つ守れず人生に置いて為すべき事を成せなかった者だ。

 

 

『何の価値もない男なのだ。』

 

 

愛した妻も生まれてくる筈だった子を守れず、鬼と成った双子の兄を斬れなかった。

 

この戦国の世で何も…

 

 

『縁壱さん!そんな事はないです…貴方は俺達を守ってくれました。』

 

 

約束します、貴方の舞を俺達が後世に伝えると!!

 

だから…〇〇〇〇〇〇〇〇〇!!!

 

 

『!』

 

 

ここでこの夢は途切れた。

 

本当に炭治郎君の夢だったのだろうか?

 

現実か?夢か?

 

私達は同時に蝶屋敷の病室で目覚めた。

 

目覚めた私達を見て吃驚し花瓶を割ってしまったカナヲと再会。

 

彼女の話では遊郭事件から約一か月ぶりの目覚めだったそうだ。

 

後、部屋の隅っこに隠れている三毛にゃんこの茶々丸よ…本当にゴメンね。

 

 

=続=

 

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
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