鋼の魂と共に   作:宵月颯

48 / 78
形容しがたい何か。

それは在るべき形を守る者。

だが、ある意味では禁忌の力。

その時代に存在してはならない力だった。



紅霧村編
白銀の守護


前回から一時間後の事。

 

お見舞いの品であるカステラを持参して隠の後藤さんの巨大声によって駆け付けた蝶屋敷の人々。

 

すみ、きよ、なほの三人に慌てて洗濯したシーツごと持ってきてお化けになってしまったアオイが病室に駆け付けたのだ。

 

 

「無事でよかったですぅ。」

「カステラが落ちてる。」

「あんぱんあげますね。」

「すみません、私の代わりに任務に行ったばかりに…!」

 

 

と、炭治郎君らの周囲が騒がしいのと半面に宇髄に関して無視されていた。

 

 

「おい、俺は…!!」

「無理と思うわよ。」

「うむ、宇髄が遊郭事件の前のやらかした騒動が原因だな。」

「けっ!」

 

 

その後、私達が目覚めた事を聞きつけた鬼殺隊の面々が任務の合間に顔を出していた。

 

音柱は三人の嫁達に号泣され抱きつかれていた。

 

炎柱は弟君に引っ張られて連れて来られた煉獄父と軽い話し合いをしていた。

 

どうやら改善された様子で安心した。

 

まあ、アル中な酒柱に逆戻りしたら『死ぬ気で逃走中・第三弾』をするけどね。

 

周囲が生還の喜びに浸る中で私が考えるべき問題はこれである。

 

 

「…(やっぱりDG細胞よね?」

 

 

DG細胞はDGのコアから三大理論に基づいて起動しているのだけど…

 

ちなみにこの三大理論は増殖・再生・進化の事ね。

 

とりあえず、私の中で残留していたDG細胞のお陰で皆も助かったって事か。

 

と、すると私の鬼化が進まないのはDG細胞のお陰って事?

 

それなら鬼化する所か人間のままの筈だし。

 

もしかしたらこのDG細胞の異物除染の力が弱いのかしら?

 

近場に居た炭治郎君達にも取り付いているけど暴走している訳でもない。

 

本当に欠損部分や負傷した傷を治しているだけだし。

 

…今は様子を見るしかないわね。

 

問題は鬼殺隊にどう説明するかって事だけだわ。

 

いっその事、私の血鬼術って事にしておこうかな?

 

 

「なほちゃん、手鏡ある?」

「あ、はい…今持ってきますね。」

 

 

私はなほちゃんに手鏡を持ってきて貰い自身の顔の状態を見た。

 

上手く包帯で隠れているが、はみ出てしまっている部分からDG細胞が今も感染している状態が見えていた。

 

 

「本当にズタボロ。」

「ハスミさん…」

「大丈夫、ご飯食べて日の光を浴びて寝れば良くなるわ。」

「はい。」

 

 

ちょっと涙目になっているなほちゃんに私は大丈夫と告げた。

 

但し、周囲が余りにも騒がしいのが玉に瑕。

 

 

「えー!!なにこれ!?」

「傷跡に何かが貼り付いている?」

「くっそー!これ全然とれねー!!」

「うむ、見事なまでにとんでもない事になっているな!!」

「寝ている間に随分とド派手な事になってんな!」

 

 

その後、アオイちゃんに『病室では静かに!!』とお叱りを受けるのはいつもの事だった。

 

 

******

 

 

 

更に数週間後、傷が癒えた私達は機能回復訓練に参加。

 

何時もの柔軟から薬湯の高速引っ掛けなどお決まりのメニューを行った。

 

炭治郎君達に取り付いたDG細胞は跡形もなく姿を消した。

 

恐らくは役目を終えて眠ったのだろう。

 

後々、除染させないといけないが今は彼らを守って貰おうと思った。

 

 

 

「「お館様の御成です。」」

 

 

「無事再会出来た事を嬉しく思うよ、天元、杏寿郎、ハスミ、炭治郎。」

「お館様におかれましてもご壮健で何よりです、益々のご多幸をお祈り申し上げます。」

「ありがとう、天元。」

 

 

任務に復帰する事が可能となった私達はお館様に呼ばれた。

 

産屋敷邸にて事後報告を行う為である。

 

 

「早速だけどハスミ、君に目覚めた血鬼術…それを緊急時に置ける救命措置として使ってくれないかな?」

「お館様、それは…」

「勿論、君の血鬼術に攻撃性はない事はしのぶの経過報告で判っている。」

「…」

「この決定には実弥や小芭内は拒絶していた、それでもあの事件の様な事が在ればそうは言っていられない。」

「…お館様。」

「どうか、君の仲間…私の可愛い剣士達を守って欲しい。」

「御意。」

 

 

本当は危険だから多用して欲しくなかった。

 

だが、ジ・エーデルの巨躯の鬼や規模が不明な機動兵器がいつ牙を向くか判らない。

 

出来る事なら使う事がない事を祈りたいが、そうもいかないだろう。

 

 

「そして君達に急を要する任務を告げなければならない。」

「お館様、あの…それは一体?」

「三日ほど前、ある村に派遣した実弥と小芭内の消息が途絶えた。」

「よもや、不死川と伊黒が?」

「お館様、その村の名は?」

紅霧村(あかぎりむら)、通称…雛形の里と呼ばれている。」

 

 

お館様は続けてその村にまつわる噂を告げた。

 

 

「そこでは人形に死者の魂が宿ると言う噂が立ち込めているんだ。」

「…鬼かジ・エーデルか、調べるには十分な内容ですね。」

「ハスミ、君なら捜索に乗ってくれると思ったよ。」

 

 

お館様はニコリと微笑むと任務の間の隊士達の編成を告げた。

 

 

「引き続き、柱の不在地区には前回同様に下級隊士達を派遣しておいてある。」

「これで柱が五人も抜ける事になる…厄介な事だな。」

「ま、遊郭の上弦を倒した以上は奴らも暫くは手を出さないだろう。」

「出来得る事なら早期に解決すべきね。」

「はい。」

 

 

お館様はそれぞれの柱の顔を見て名を告げて任務を通達した。

 

 

「では、天元、杏寿郎、ハスミ、炭治郎、よろしく頼むよ?」

 

 

四人はお館様に向けて言葉を紡ぐ。

 

 

「「「「御意。」」」」

 

 

=続=





アンケートにご参加頂き有難うございます。

アンケートの結果、今回を含めてIFルートの雛形の里こと紅霧村編を開始。

時系列は遊郭編後と刀鍛冶の里編の間の話になります。

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。