鋼の魂と共に   作:宵月颯

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敵の姿は見えず。

指し示される言葉はただ一つ。

動く人形。


兵器を操る者

前回から数刻後、夕餉を済ませた私達。

 

春の名残が残る山菜と筍、川魚料理で一息つく筈だったが…

 

その料理のメニューに天麩羅があったので伊之助君が暴走。

 

オチとして私の毒舌説教と音柱の拳骨込みで軽く絞めて置いた。

 

仲居さんに『あらあら、まるで親子みたいですね。』と言われ…

 

音柱とハモって『『全く違います!!』』と弁解して置いた。

 

家主から『おかわりはいっぱいありますよ。』と言う事でとりあえずは収めました。

 

ちなみに炎柱は騒動の横で『うまい!』の連続発言と丼の山を築いていたが、私自身も身体維持の為にそれなりの量を食べなければならないので放っておいた。

 

その後は予定していた紅霧村での調査の件で会議を開始した所だった。

 

 

******

 

 

「まず、紅霧村とその周辺の地図を滞在中の隠経由で取り寄せて貰ったわ。」

 

 

卓袱台に地図を広げるハスミ。

 

地図には紅霧村とその周辺の状況が記されていた。

 

 

「随分と閉鎖的な村なのだな?」

「この形だと村自体が砦にもなるんじゃねえか?」

「そうね、長年に渡る外部からの侵略を防ぐ為に今の作りになったそうよ。」

 

 

煉獄と宇髄の言葉通り、紅霧村は村周囲が崖に囲まれた天然の砦。

 

村の中心地、その地下には坑道へ下りる時や鉱石を運ぶ時に使用する人力の大型昇降機があるらしい。

 

坑道の他に地下水脈もあり、水源の確保や土壌も良いので農作物を自力で生産出来る。

 

この事から戦乱の頃、敵は兵糧攻めすら行えなかったと思われる。

 

 

「この印は?」

 

 

炭治郎が地図に記された印に気が付いたのでハスミが追加の説明を続けた。

 

 

「鎹鴉から聞いた風柱と蛇柱の侵入した経路よ、その場所は可動式の橋になってて出入りの際はこの橋を渡らないと村から出られない様になっているの。」

「まさに難攻不落、進路も退路も自由に塞げるとは……見事な砦の村だ。」

「クジョウ、例の人形の件は?」

「隠経由で聞いた風柱達からの最後の情報では、正体は勝手に動く絡繰り人形だったそうよ。」

「勝手に?」

「恐らくは自動人形……オートマターの一種かもしれない。」

「オート?って何ですか?」

 

 

続けて善逸からの質問に対してもハスミが説明を行った。

 

 

「オートマターと言うのは予め決められた指示を人形に組み込ませる事で特定の動きを行える様にした自動で動く人形の事よ。」

「異国じゃあ普通にあるのか?」

「昼間の運転中に話した物程度ならあるけど、問題の現物に関しては直接見ないと私にも判別が難しいわ。」

「…となると、作戦を変えた方がいいな。」

 

 

宇髄からの提案で問題の人形の捜索、それが済み次第…村への潜入と消息不明の風柱達の行方を追う形となった。

 

余り時間が取れないが、探すべき場所を絞る為にも致し方ない。

 

そして大人組から就寝を促されるかまぼこ隊。

 

 

「つー事で餓鬼共は明日に備えて寝ろ。」

「いいんですか?」

「うむ、君らも長旅で疲れているだろう…早く寝るといい。」

「明日も夜明け前に出るから早めに起きてね。」

 

 

何時ものペースで漫才じみた会話をする善逸と伊之助。

 

 

「それならお言葉に甘えて…」

「じゃ、寝るぜ。」

「お前は少し自重しろよ!」

「くかーzzzzZZ!!!」

「てか!もう寝てるし!?」

「すみません、先に休みます。」

 

 

善逸は鼻提灯を作って爆睡している伊之助を担ぎ。

 

炭治郎は禰豆子の入った箱を持って隣の部屋に向かった。

 

 

「…アイツら、いつもああなのか?」

「大体は。」

「クジョウは面倒見がいいのだな。」

「炭治郎君が仲裁に入ってくれるから半分だけどね。」

 

 

遺された大人組は顔芸込みの愚痴の後に茶を啜りながら話を続けた。

 

 

「で、お前は何処まで知っている?」

「何をかしら?」

「とぼけんなよ、今回の件…お前なら察しがついているんだろ?」

「…恐らくはジ・エーデルの仕業と見ているわ。」

「根拠は?」

「奴は何処かに生産工場を構えている、理由は遊郭での爆撃が奴の仕業であり…その爆撃を行える兵器を作れる場所があると推測したからよ。」

「もしや、俺達が負傷した時の?」

「そうよ、鎹鴉が発見した時はその場に居た全員が瀕死の重傷…私も上弦の壱と参の攻撃を受けて死ぬ一歩手前だったわ。」

「…だが、君の血鬼術で事無きを得たのだろう?」

 

 

二人は既に終わった事と思っているのだろう。

 

私は問題はそこではない事を理解して貰う為にある事をした。

 

 

「…炎柱、少し手を借りるわよ。」

「む、判った。」

 

 

私は普段は引っ込ませている鬼の爪で炎柱の片手の甲を少し切った。

 

暫くすると炎柱の傷から銀色の物体が滲み出し薄い膜を作っていった。

 

 

「これは?」

「まだ、お前の術が続いていたのか?」

「私も何度か試験してみた所、これは常時発動型の血鬼術の様なの。」

「…」

 

 

この力で多少の傷は直ぐに治るが重症の場合は完全に意識を失う。

 

 

「ジ・エーデルも既にこの力に気が付いてると思う。」

「…なら、今回の騒動は!」

「私達をおびき寄せる為の罠よ。」

「!?」

「そして紅霧村は奴の生産工場、動く絡繰り人形は奴の生み出した対人兵器と思われるわ。」

「その村に不死川と伊黒も捕らわれていると?」

「ほぼ確定と見ていい。」

「ややっこしい事になったな。」

「今回の件が鬼によるものでない以上、皆が関わる必要はないわ。」

 

 

ハスミは出来る事なら巻き込みたくないと告げようとすると。

 

 

「クジョウ、君らしくない判断だな。」

「俺達も奴に恨みがある、ここらでド派手に反撃してやってもいいだろ?」

「炎柱、音柱。」

「お前には嫁を救って貰った恩がある。」

「うむ、お館様からも君の宿敵が現れた際には協力してやってくれと言われているのでな。」

「…既にお館様は察していたのね。」

 

 

今は、その気持ちを受け取って置くわ。

 

 

=続=

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
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