鋼の魂と共に   作:宵月颯

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向かうは敵の総本山。

蠢く殺人兵器を潜り抜け。

深い地の底へ潜れ。


感覚を信じて進め

 

予定通り、昼過ぎに紅霧村に近い集落へ到着した私達。

 

その集落に待機していた玄弥と合流し、宿泊先の家で事の次第を聞かせて貰った。

 

 

「…成程、報告通りに二人だけで紅霧村に向かったのね。」

「最初の定期連絡は来ていましたが、約束の夕暮れ時になっても戻って来ませんでした。」

「玄弥君が本部に緊急連絡を早めにしてくれた事は正解よ。」

「もしかして兄貴達に何か?」

「ええ、あくまで推測…深く考えなくても大丈夫だから。」

「あ、はい。」

 

 

思春期らしく女性が苦手な玄弥であるが、ハスミに対しては普通に接している。

 

彼曰く、ハスミは年上のお姉さんと言うよりも面倒見のいい母親に近いらしい。

 

銃器に関する修行も付けて貰っているのである意味では先生の方が正しいのかもしれない。

 

 

「玄弥はお兄さんと合同の任務になってたんだ。」

「そうなんだけど、道中物凄くピリピリしてて蛇柱様の仲裁が無かったらどうなっていたか…」

「大変だったみたいだね。」

「ああ…(だって、ブチ切れした兄ちゃんにタマ取られそうな位の気迫だったし。」

 

 

玄弥と話し合う炭治郎。

 

その道中の恐怖を玄弥は震えながら話していた。

 

 

「…(伊黒、何時もの毒舌役が珍しく仲裁役かよ。」

 

 

同じ様に宇髄も心の中で突っ込みを入れた。

 

引き続き話し合いを続ける一行。

 

 

「玄弥君からの情報を踏まえて、これからこの集落を拠点にして行動を行うわ。」

「で、俺らで偵察をしてくるからお前らは煉獄と待機な。」

「炭治郎君、偵察には禰豆子ちゃんも連れて行きたいかな?」

「勿論、連れて行きたいです。」

「悪いのだけど、この偵察には連れて行けない。」

「どうしてですか?」

「今回はあくまで偵察が目的、情報の入手次第で一度集落に戻るから。」

「もしも箱の中の妹にも何かあったら困るのはお前だろ?」

「は、はい。」

「出来なさそうなら偵察に連れて行く隊士を変えるから正直に言ってね。」

「判りました。」

 

 

炭治郎君、君には悪いがジ・エーデルは閲覧者もドン引きする変態なのよ。

 

サディストの発祥者であるマルキ・ド・サド氏も泣いて喜ぶと思う位に。

 

そんな変態野郎に禰豆子ちゃんを引き合わせたくない、絶対に。

 

『うひょひょひょひょ~♪』って奇声上げたり変態中のド変態発言はすっごく引く。

 

鞭でぶっ叩かれて猫にマタタビ顔で喜ぶヤバさは画面外の皆様も周知の事だろう。

 

うっ、思い出しただけで吐き気が…次に鉢合わせしたら三倍返しの爆撃をしちゃる。

 

とハスミの中で一人顔芸が展開されていた。

 

 

「宇随、待機の方は承知した。」

「頼んだぜ、煉獄。」

「我妻少年と嘴平少年に不死川弟は俺と待機…」

 

 

偵察の後に敵本陣への殴り込みは全員でと決定。

 

偵察の間の待機メンバーを煉獄が話し終えようとした時だった。

 

 

「待ってください!」

「玄弥君、どうしたの?」

「俺も一緒に連れて行ってください。」

 

 

玄弥の必死な発言に対して宇髄が提案しハスミは別の目的を含めて了承した。

 

 

「…風柱が心配なのね?」

「はい、無理を承知でお願いします。」

「クジョウ、どうする?」

「玄弥君には私が出来得る銃器の戦術を叩き込んで置いたし、実地訓練も兼ねて腕前を見せて貰いましょうか。」

「連れて行く…でいいんだな?」

「ええ、撤退の成功率を上げるのに越した事はないわ。」

「それで竈門は決まったか?」

「はい、禰豆子をここに置いて俺も行きます。」

「判ったわ、偵察は今話した四人で行う。」

 

 

偵察組は宇髄、ハスミ、炭治郎、玄弥。

 

待機組は煉獄、善逸、伊之助、禰豆子。

 

以上が決定し会議は終了、偵察時間まで時間を潰す事となった。

 

 

>>>>>>

 

 

夕刻を迎える頃。

 

 

「じゃ、ちょっくら行ってくるぜ?」

「炎柱、話し合い通り指定時間になっても連絡がない時は…」

「任せて置け、言われた通りに対処しよう。」

 

 

紅霧村へは呼吸を応用した走りで移動。

 

バイクを使わないのは相手にこちらの動きを察知されてしまう為。

 

日中の空いた時間に調査した所、奴の監視範囲から集落が外れていた事は幸いだった。

 

だからこそ、拠点として利用出来たのだ。

 

 

「善逸、禰豆子を頼む。」

「判ったよ、でも…気を付けろよな?」

「うん、必ず戻るから。」

 

 

炭治郎は善逸に禰豆子の入った箱を預けていた。

 

 

「玄弥君、紅霧村まで一直線に走るけど付いて行ける?」

「やってみます。」

「貴方に合う呼吸が見つかったとはいえ、無理は禁物よ?」

「はい。」

 

 

鬼殺隊では彼に呼吸の才能がないと思っていたが…

 

全くの誤解である。

 

彼は剣技対応の呼吸に才がなかっただけであり、銃器対応の呼吸には才があったのだ。

 

つまり、相性の良い武器に合わせた呼吸使えれば…誰でも呼吸は使える。

 

これは千寿郎君にも当てはまるだろう。

 

修行するかは彼次第だが、必要であれば呼吸に目覚める修行は手伝うつもりだ。

 

千寿郎君は周囲への気配りが出来るので刀ではなく中距離の槍か長刀、遠距離からの和弓の方が扱いやすい思う。

 

極めるまでは単独での任務は難しいが合同任務では才を放つだろう。

 

持ち運びの関係もあるだろうが、昔の鬼狩り達は刀一筋で通していた事が様々な呼吸使いを生み出す障害となっていたのだろう。

 

思いっきり偏りすぎと思ったのは気のせいじゃないと思う。

 

 

「クジョウ、出発するぞ!」

「了解。」

 

 

私達は夕暮れの闇に紛れて紅霧村へと出発した。

 

 

=続=

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
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