更なる危機が訪れるのか?
否。
目論見は崩れる物。
前回、ハスミがジ・エーデルの潜む最下層のメインルームに突撃した頃。
宇髄らと別れた場所で柱二名のストレスが頂点に達しようとしていた。
******
炭治郎と玄弥はある人物達の様子に戦慄していた。
「「…(色んな意味で意味で怖い。」」
閻魔が降臨した様なオーラを出すこの柱二名の事である。
「あんの糞ジジイ……潰すっ!!!」
「細切れにする!存在自体をこの世から抹消する!!」
ハスミからの助言と宇髄らの奮闘で洗脳から解放された不死川と伊黒。
先程まで宇髄にドヤ顔で痛い所と突かれていた。
それも彼が信頼されているから出来る事である。
二人に更なる逆鱗を与える事になるが、何時もの茶番程度の事だ。
「クジョウの話していた通り、こんなので人を操れるとはな…」
宇髄は先程まで不死川と伊黒のうなじに付いていた装飾が施された金属の塊を見ていた。
取り外す際に中心部を破壊したので今は機能はしていない。
口癖の様にハスミは異常な技術力と科学力を持つジ・エーデルを危険視していた。
「…(確かに、こんな技術が世に出回ったらヤバイ代物だ。」
元忍の宇髄もまた察し理解した。
先程の機械ですら扱い方次第では国一つ操れる。
あの無惨よりも最悪の事態が訪れだろう。
「炭治郎、ど…どうしたんだ?」
「わ、判らな……ああああ!!!」
突如、床に膝を付いた炭治郎。
近くに寄った玄弥が安否を気遣うが、炭治郎に起こった事は尋常ではない現象だった。
「何だよ、これ…」
「ううっ…!」
炭治郎の体に起こった異変とは一度は死の淵から呼び戻した白銀の守り。
それが意識を失わせる程の発熱と全身の痛みを引き起こしていた。
「くそっ、俺もか…!?」
少し遅れて、宇髄もまた同じ様に白銀の守りが暴走を開始した。
今もビキビキと音を立てて白銀の膜が人である細胞を侵食し続けている。
それは人でない者へ変えるかの様に。
「おい、宇髄、クソガキ、何がどうなってんた?」
「不死川、宇髄と竈門はクジョウの血鬼術を受けている。」
「まさか…」
「不死川弟、クジョウは何処へ?」
「あのっ、この先に居る親玉を倒しに向かいました。」
「…玄弥、そいつらの事を任せるぞ。」
「兄貴、判った。」
「不死川、恐らくは。」
「…あの血鬼術の暴走、つまりはあの半鬼女の身に何かあったって事だ。」
かつての実弥であれば、血鬼術の暴走で頸を斬ると宣言しただろう。
だが、ハスミの巨躯の鬼討伐の活躍や下級隊士への戦術指南など鬼殺隊に貢献している事を考慮し様子見の判断をしたのだ。
実弥本人が素直ではないのは変わらずであるが…
「ほっとけ!」
「不死川、誰に言っている?」
気を取り直し、実弥と小芭内はハスミが向かったとされる場所へと移動した。
>>>>>>
その頃。
「随分と前のデータより様変わりしちゃってるね、この細胞。」
仕切りがされたメインルームでメインモニターを見つつコンソールをカタカタと打つジ・エーデル。
「ま、元々の細胞自体は完全に消失しちゃってるしーこれも変異し過ぎたのかも。」
はふーと口を尖らせて溜息をつくジ・エーデル。
ひじき芋と称される顔でのキモい表情は変わらずである。
「他の方はどうかな~」
別のコンソールを操作し戦闘があった室内を映し出し、様子を伺った。
映像には倒れた不死川と伊黒の姿が映し出されていた。
「ありゃま、あの二人もうやられちゃったのね。」
ま、ハスミたんも居たしこっちの手を看破しちゃったんだろうね。
あいっ変わらず、こっちの手を読むの上手いんだから…ワシ、すねちゃいそう。
「でも~それ抜きにしてもハスミたんの身体にあんな事やこんな事も出来るからすっごく気分いいねー♪」
ジ・エーデルの現在の表情。
表現をするならグラビア雑誌をニヤニヤと見ているおっさんの様な。
推しのアイテムをモザイクを付ける事を推奨する表情で愛でる人の様な。
そんな痛い方々を足して倍増させたものである。
「っ…」
「あら、投与剤が少なかったのかな?」
ハスミは仕切り越しの先の隔離室に移され、今もジワジワと暴走したDG細胞の影響を受けていた。
隊服の開けた部分から見えるDG細胞の浸食は何処となく破廉恥な感覚を呼び起こしている。
ジ・エーデルがニヤけるのも無理はない。
このまま浸食が続けば、DG細胞が利用された原作通りの最悪の状態に変化するだろう。
ちなみにジ・エーデルの呟きは、DG細胞の浸食速度が前のデータより遅い事に関してである。
この為、コンソールを動かし注射器型のマニピュレーターでハスミに投与剤を追加された。
気を失い、意識が戻らない無防備な状況だったので抵抗らしい抵抗は出来ていない。
投与剤の追加でハスミは更なる発熱と痛みで目を見開き苦しんでいた。
間の悪い事に声が出ず、かすれた音しか出てこなかった。
「…ぁ!?」
鬼化と同様にDG細胞は肉体を金属に置き変える金属細胞。
その痛みは凄まじく、自身の意思が保てているのが奇跡だろう。
意志の弱い人間なら瞬く間に感染が進行しゾンビ兵へと変貌している。
ハスミは持ち前の強靭な意思の力で今も抑えているのだ。
「ハスミたんも粘るねぇ。」
「…」
「まあ、時間の問題だし~放置プレイを楽しみながら見物してよーっと!」
ジ・エーデルが歓喜の声を上げるのと同時にメインルームの扉が再度破壊された。
ちなみに入れ替えしたばかりの新品である。
「また会ったな、この糞ジジィ?」
「貴様の塵の様な命乞いは済んだか?」
扉を破壊したのは不死川と伊黒の二名。
その表情は正にカチコミを行う893の様な表情だった。
「ありゃー随分とご立腹の様で♪」
「ったりめーだ!!テメェのせいでどんだけ赤っ恥かいた事か…覚悟は出来ているだろうな?」
「風穴を開ける程度では済まない、貴様の屑芋の様な頭をかち割って魚の餌にしてやる。」
「もう~そんなに怒っちゃやーよ?」
ぶりっ子顔芸のジ・エーデルの火に油を注ぐ発言に対し不死川と伊黒の怒りは臨界点と突破した。
「そんな君達にぽちっとな♪」
ジ・エーデルはコンソールにあったボタンを押して何かを起動させる。
「何だ?」
「判らない。」
不死川と伊黒の居る場所に機械音が鳴り響いた後。
その足元は一気に崩れた。
「ちっ!?」
「罠か!」
「下に出来立てほやほやのビックな鬼ちゃんがいるから、あの世に直行へ行ってらっしゃいw」
室内の奥に入り込み過ぎた事で落下を止められず、そのまま二人は落とされていった。
「さてと、気を取り直して~放置プレイ見物を再開しよっと!?」
その時だった。
隔離室の壁が破壊され粉塵が巻き上げられるが、暫くし収まるとそこに新たな侵入者が現れた。
「え…うそ~ん!?」
ジ・エーデルは一度硬直すると目玉ドコーの表情から有名絵画の叫びの様な表情へと変貌する。
「俺の女に手を出すとはいい度胸だな…ジ・エーデル・ベルナル。」
「あばばばば!!!」
「…」
「…ハスミ、後は任せろ。」
破壊音で目を覚ましたハスミは侵入者の姿を確認すると一度目を見開いた。
何かを言おうとしたが、声が出ないままの為に口の動きで相手に状況を伝えた。
「えーマジで!?何でココにいるの!?」
「貴様には関係ない事だ。」
「ちょ!?」
「……覚悟して貰おうか?」
構えを取る侵入者。
「あーワシ、死んだかも?」
この時、ジ・エーデルの確定事項な発言が呟かれた。
侵入者の相手はある世界で『次元将』と呼ばれた存在だったのだから…
=続=
刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?
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不在担当地区防衛(時透、甘露寺)