鋼の魂と共に   作:宵月颯

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よくある事。

走れ走れ。

逃げろ逃げろ。

目指すは外の世界。



説明からの脱出

 

前回のやり取りから少し経った頃。

 

侵入者の救援によって窮地を脱したハスミ。

 

だが、その身を蝕む毒は今も毒を齎した。

 

 

******

 

 

「…(最優先でジ・エーデルの確保をお願いします。」

「ああ、あの輩には少しばかり問い質す事が多いからな。」

 

 

前回同様に指先をバキバキを鳴らして臨戦態勢を続ける侵入者。

 

色々とあり過ぎて聞きそびれていた侵入者の正体を問う不死川と伊黒。

 

 

「話がそれちまうが、テメェは何モンだ?」

「クジョウの知り合いと言うのは理解出来るが?」

「俺の名はアウストラリス、ハスミとは生涯を共にする事を誓った仲だ。」

 

 

「「…は?」」

 

 

侵入者ことアウストラリスの名と共に告げられた自己紹介。

 

その発言に不死川と伊黒は一瞬の沈黙の後に顔芸を披露した。

 

 

「…(アイツ、結婚してやがったのか?」

「…(そもそもクジョウと結婚する相手も相手だが?」

 

 

ハスミは二人の顔芸で色んな意味で間違った解釈をしていると判断。

 

後で正確な説明をすべきと思った次第である。

 

 

「鏑丸、どうした?」

「伊黒、奴がいねえぞ!」

「!?」

 

 

伊黒の首元で静観していた白蛇の鏑丸。

 

異変を察知し友人である伊黒に知らせた。

 

同時に不死川がジ・エーデルの姿がない事に気づき、声を荒げた。

 

破壊されたメインルームのモニターに奴の姿はなく、隠し扉の様なモノがキィキィと音を立てていた。

 

 

「…(だから言ったのに。」

「ハスミ、どうする?」

「…(逃げてしまったものは仕方がないです、今は上層の広間に移動してください。」

 

 

ジ・エーデルの逃げ足は凄まじく早い。

 

それを知っているハスミは最優先と告げたが、少しの間に取り逃がしてしまう結果となった。

 

今は他の仲間との合流を最優先にすべきとアウストラリスに説明した。

 

 

「…(今の奴なら、ここを爆破する可能性があります。」

「それも奴の茶番か?」

「…(はい、それも想定内の内ですけど。」

 

 

アウストラリスとの会話中に割って入ってくる不死川と伊黒。

 

 

「半鬼女、この後どうするよ?」

「お前達の仲間と合流すべきと言っている。」

「そうだな、奴を逃がした以上…ここを脱出する事が最優先だ。」

「ちっ、結局収穫は無しか…」

「その件に関しても後だ、収穫とやらの有無は後に判別出来るだろう。」

「お、おう。」

 

 

一行は破損したメインルームを後にし、二手に分かれた上層部の広間へと向かった。

 

その道中に敵の影は無く静かで不穏な空気を漂わせていた。

 

この頃になるとハスミに打たれた投与剤の効果が薄れてきたので声も出せるし歩ける様にはなった。

 

 

「…そういう訳だけど、質問は?」

 

 

合流後、説明の後に顔芸祭り第二弾開催。

 

特に音柱と炭治郎君は吃驚し過ぎ。

 

まるで私に婚約相手がいない様な言い方だったし。

 

失礼するわね。

 

その後、音柱と炭治郎君は解毒が済んだ私の血鬼術で暴走を鎮めたので動ける様になった。

 

一度使用すると術者が死ぬまで外せない様になったので心配。

 

瀕死の負傷を治せると言う点では今後の鬼殺隊には必要不可欠だろう。

 

無惨討伐まで目を瞑ろうと思った。

 

そのまま紅霧村の外へ向かう為に話しながら上へと移動していた時だった。

 

 

「ハスミさん、一つ疑問に思った事があるんですけど?」

「何かな?」

「紅霧村の本当の住民はどうなったんですか?」

「それだけど…」

 

 

ハスミは説明した。

 

アウストラリスが倒したオオサンショウウオ型の巨躯の鬼。

 

その巨躯の鬼が潜んでいた地底湖を改造した大型水槽の底。

 

そこに砕かれたものもあったが、何百の人骨が沈んていたとの事だった。

 

本来の住民は恐らく…

 

 

「そんな…」

「奴に取って人の命とはそう言うものよ。」

 

 

それだけじゃない、奴はこの村で対人兵器の生産と水棲型の巨躯の鬼を製造していた。

 

もしも…これらが世に放たれれば、瞬く間に混乱が起こる。

 

最悪事態は私の血液を奪われた事だ。

 

 

「血ですか?」

「ええ、私の血液……傷を癒す血鬼術もその血を媒介にしている。」

 

 

血の中に潜むDG細胞のサンプルを持ち去られた。

 

ここを放棄した事は別の拠点を奴は所持している。

 

そこで研究を再開するに違いない。

 

推測していた以上、ここで拘束したかった。

 

 

「奴の手に渡った以上、巨躯の鬼も強化された個体が今後出てくると思う。」

「…敵に塩を送る結果となったか。」

「出来得る事なら奴を追うべきでしょう。」

「そうだな。」

 

 

炭治郎との会話に入って来たアウストラリス。

 

彼もまた危険視の言葉を発した。

 

 

「…(ハスミさんとアウストラリスさん、互いに信頼し合っている匂いがする。」

 

 

アウストラリスさんの物凄く強い匂いと何かを背負っている匂い。

 

何か理由はあるんだろうけど、深く入り込まない方がいいな。

 

 

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

 

その時だった、大きな振動と複雑に揺れる施設内部。

 

 

「おい、何がどうなってやがんだ!?」

「ジ・エーデルの奴……ここを爆破する気ね!」

「ええ!?」

「兎に角、上を目指すわよ!」

「わ、分かりました。」

 

 

一行は外へと通じる通路を急ぎ上がって行った。

 

道中で一部の天井が崩れたり壁に埋め込まれた電子盤が爆発したりなどのハプニングがあったものの。

 

何とか脱出する事に成功した。

 

 

=続=

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
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