鋼の魂と共に   作:宵月颯

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再会は必然。

判明は希望と絶望。

願うのは夜明け。


再会と判明

前回の臨時柱合会議後の夜。

 

ここ鋼屋敷で私ことハスミは滞在中のアウストラリスに情報交換を行っていた。

 

 

******

 

 

「成程、三年間もここに。」

「無限力の介入とは言え、先程の期間を鬼狩りとして過ごしていました。」

 

 

私は元の世界での情報を得つつ、こちら側での情報をアウストラリスに伝えていた。

 

その期間は三年間、私達が目的を達する為の障害には十分な長い期間である。

 

だが、私の中に潜む無惨の呪いや炭治郎君ら鬼殺隊の事をあるので問題解決までここに居る事を許可して貰った。

 

ちなみにアウストラリスは紅霧村事件が発覚する数日前に転移していたとの事。

 

 

「俺がここへ訪れられたのも無限力の介入によるもので間違いないだろう。」

「アウストラリスもですか?」

「ああ、お前の行方不明から数日後の事だ……先んじて向こうでの状況はガドライト達に任せて置いた。」

「後でお礼をしないとですね。」

 

 

封印戦争終結直後とはいえ、何も出来ないのが歯痒い。

 

無限力による私達に次の行動を早期に起こせない為だろう。

 

 

「アウストラリス…他に変わった事は?例えば使えない能力はありませんか?」

「…お前の言う通り、次元将化による巨大化が出来ん状態だ。」

「やはりですか…」

「ハスミもか?」

「はい、私の場合は無惨の呪いもありますが念神を召喚出来ません。」

「…EFの時と同じ状況とは。」

「毎度お馴染み、アカシックレコードからの世界の秩序を乱さない為の措置ですね。」

「本領を発揮出来んのは些か難儀だな。」

「慣れるのも大事ですよ、縛りもまた自身を強くする鍛練と思って下さい。」

「…致し方ないか。」

 

 

腑に落ちない表情をするアウストラリスだったが、納得するしかなかった。

 

 

「しかしジ・エーデルが別の形で復活していたとはな。」

「記憶に関しては空白事件の終盤、AGとは切り離されている状態の様です。」

「奴の悪意の残滓とでも?」

「その解釈で間違っていません。」

「あの愉快犯め、何処まで引っ掻き回せば済むのだ?」

「此方で消し炭にしても足りないかと。」

「本来の力が使えんとなると厄介だな。」

「仰る通りです。」

 

 

無限力が茶番劇を求めているとはいえ、今回の一件はやりすぎだ。

 

悪い意味でこの世界の史実を書き換えてしまう可能性を否定出来ない。

 

在るべき史実こそが世界が定めた歴史。

 

何人たりとも変えてはいけない。

 

変えたら最後、この世界は消失してしまうのだから…

 

 

「ハスミ、これからどうする気だ?」

「引き続き、鬼舞辻無惨と配下の鬼の討伐並びにジ・エーデルの始末が目的です。」

「双方共に野放しには出来んな。」

「ジ・エーデルの件は何時もの事なのですが、無惨と鬼殺隊の関係も少し違和感を感じたので…」

「違和感?」

 

 

ハスミは調査した因果関係についてアウストラリスに話した。

 

戦国の世に痣者と呼ばれる鬼狩りが生まれた事、これにより無惨が人の世から一時的に消えた。

 

同時に鬼狩りから無惨に与する者が現れ、当時のお館様のご先祖が殺害された事。

 

遊郭事件で眠っていた時に見た夢の内容と鬼殺隊に残った記録書を再調査。

 

それらを考察した所…ある答えが導き出された。

 

無惨が執拗に花札の耳飾りを付けている炭治郎君を狙うのは『始まりの呼吸の継承者』である事。

 

戦国の世で始まりの呼吸を生み出した剣士が竈門家にそれを伝授し繋ぐ証として花札の耳飾りを残した。

 

その剣士の双子の兄が無惨と取引し鬼と化し、当時のお館様を殺害した事。

 

これは痣者と始まりの呼吸を知る者を消す為。

 

始まりの呼吸の剣士を孤立させ当時の鬼殺隊を弱体化させる為。

 

これにより後世で痣者になる兆しの柱や剣士を秘密裏に始末させられた事で更なる弱体化が起こった。

 

 

「成程な。」

「他にも調べるべき個所があるので全てではないのですが…」

「では、痣者とは?」

「一種のオーバーヒート、対無惨戦において最終決戦状態です。」

「…」

「そして寿命を削る諸刃の剣とも言えます。」

「諸刃の剣か…」

 

 

人体の体温は大体三十六度から三十五度位。

 

それを四十度以上の熱と心拍数を上げる事で無惨に対抗出来る肉体に切り替わり、それに応じた剣術を行う事が出来る。

 

だが、その行為は人体を著しく損傷させ寿命を削る云わば寿命の前借。

 

痣者が二十五歳までに死去するのはそれが原因だからだ。

 

そしてこれにはある思惑も絡んでいると思われる。

 

 

「思惑?」

「痣者がこの世に長く生きられない……それは呼吸の使い手を最終的に抹消させる為と思われます。」

「訳は?」

 

 

ハスミは目元を伏せて答えた。

 

 

「無惨と鬼無き世界で痣者が生き残ったらどうなりますか?」

「…戦いの道具だな。」

「その通りです。」

 

 

もしも痣者が平均寿命まで生きられたら、後の大戦で戦いの道具にされるだろう。

 

常人よりも鍛えられた肉体に多彩な剣技。

 

呼吸の方法が帝都の軍部に漏れれば間違いなく接収に来るだろう。

 

鬼を滅する呼吸が護るべき人を殺める事になる。

 

最悪の場合は国の道具に成り果てる事。

 

それだけは避けなければならない。

 

 

「ハスミ、お前はどう考える?」

「無惨討伐後、呼吸や戦術に関わりの全てを封印し抹消するしか無いでしょう。」

「つまりは鬼殺隊の解体か…妥当な判断だ。」

「お館様も其れは承知していると思います。」

「…」

 

 

事実、この世界の歴史を興味本位で調べた事がある。

 

前世と同様の歴史を辿った世界。

 

公式記録に鬼殺隊の記録は一切残ってなかった。

 

これは歴史の影に消え去ったと推測した。

 

 

「今後、どうする気だ?」

「痣者の発現はいずれ起こる…私は痣者となった人達を救います。」

 

 

発現したこの力ならそれが出来る。

 

そして呼吸を封印する事もまた可能だ。

 

護るべき人達を護るために。

 

 

「俺からはなにも言わん、お前がすべき事を為せ。」

「はい。」

 

 

ハスミはアウストラリスと話終えた後、潜んでいた客人に静かに告げた。

 

 

「音柱、今の話をお館様に告げるのは自由だけど…よく考えてからにする事をお奨めするわ。」

『!?』

「私は今の通りに行動する、それは変わる事はないわよ?」

 

 

ハスミはそう答えると温くなった茶を啜った。

 

 

=続=

 

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
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