鋼の魂と共に   作:宵月颯

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それは予期されていた。

足取りを追えるのはお前達だけではない。

足元を掬うのはこちらである。




奇襲からの足止め

前回から三日ほど遡る。

 

私ことハスミは上弦の零との戦いによる負傷から復帰。

 

刀のメンテナンスも兼ねて刀鍛冶の里へと訪れていた。

 

里長からのほぼセクハラまがいのご挨拶の後、先に来ている炭治郎君達を探していたものの…

 

御取込中だったので自分のやるべき事に専念する事にした。

 

 

******

 

 

私は奇襲が予想される日まで里の一帯を調査。

 

調査結果、攻め込まれれば…瞬く間に掌握されてしまう最悪の状態だった事が判明。

 

今のままでは駐在中の隊士らで食い止める事はおろか壊滅するだろう。

 

これは巨躯の鬼や上弦級の鬼が現れても同じだ。

 

今までよく壊滅に追い込まれなかったのか不思議な位である。

 

私はこの状況下で視野し考察する。

 

鬼に入り込まれた場合、里の人を何処から逃がすか、鬼は何処から攻めるか。

 

手順を誤れば、多大な被害を出してしまう。

 

念の為の武装バイク達も目立たせない様に潜ませている。

 

奴らに慈悲は必要ない。

 

 

「さてと、腕が鳴るわね。」

 

 

下手に対地型の設置式罠を仕掛けるのも危険なのでドローンタイプの罠を仕掛けて置く事にした。

 

網に掛かれば、手痛い反撃になるだろう。

 

これに関してはお館様や里長にも許可を貰っている。

 

建前は試験的な実地実験。

 

本音は鬼の襲来を予期した上での妨害作戦。

 

奴らが懐に入った瞬間、地獄を見せてやるわ。

 

 

「…(上弦の伍と肆以外の新手の鬼が来ない事を祈りたいが…念には念を。」

 

 

恐らく、穴埋めの上弦の鬼候補は他にも存在する。

 

でなければ、こうも簡単に増員出来る筈がない。

 

無惨は使えない鬼は即座に切り捨てる。

 

なら、候補達はそれなりの血鬼術や実力を持っていても可笑しくはない。

 

 

「…(他の候補の血鬼術は不明…判明しているのはアウストラリス達が追っている上弦の鬼は人形を操る能力だけか。」

 

 

情報が余りにも少ない。

 

確認済みの現上弦の鬼の能力と姿は炭治郎君から教えて貰っているから何とかなるけど。

 

今回の目的は里の人達の護衛と上弦の伍と肆の討伐。

 

戦うべき相手を見誤ってはいけない。

 

 

「…」

 

 

上弦の伍は複数の壺を介して分身体を作り出して里を襲撃。

 

上弦の肆は斬られる事によって己の分身を生み出し最大四体の上弦級の鬼が生成される。

 

伍は里の襲撃し混乱、肆は滞在中の隊士達の始末って段取りかしらね。

 

 

「確かに良く出来た作戦……けど、単純すぎて対処しやすいわ。」

 

 

肆は炭治郎君達に任せて、伍の分身体の足止めが私かしら。

 

んで、霞柱には伍の相手を引継ぎして、残った分身体の殲滅と新手の鬼の始末が打倒ね。

 

 

「ま、成る様になるでしょう。」

 

 

時は金なり、敵は上弦。

 

ハスミは口元でニヤリと笑みを浮かべた後、里周辺に罠を仕掛けて行った。

 

 

>>>>>>

 

 

時は戻り、温泉と里を繋ぐ階段の場。

 

ハスミが仕込んだ毒で行動が制限された玉壺はハスミに叫んだ。

 

 

「貴様、何故ワタシの襲撃を見抜いた!?」

「ここを襲撃するのは時間の問題だった…いずれ起こるそれだけよ。」

「答えになってないぞ!」

「そうよ、今回の遭遇も偶然だし。」

「偶然…(無惨様が仰っていた通り、この女は上弦を目処前にしても動じていない。」

「元々、今まで里を襲撃しなかったのが不思議だったのよね。」

「は?」

「戦国の世に鬼狩りの一人が無惨の元に下った……そこで大体の情報が無惨に渡ってしまっていた。」

 

 

それにより当時の産屋敷一族の当主が殺害された。

 

同時に刀鍛冶の里も壊滅に追い込まれていても可笑しくはなかった。

 

その鬼狩りも里の情報は持っていた筈だし。

 

猶の事、壊滅に追い込むなら襲われていても不思議じゃない。

 

けど、無惨はそれをする事はなかった。

 

当時の産屋敷一族の当主を殺害すれば鬼殺隊は機能しなくなると思ったから。

 

でも、読みが甘かった様ね。

 

 

「甘いだと?」

「人間は鬼よりも諦めが悪い種族だからよ。」

「…」

「オマケに奇襲しようと思ったら捕まった……貴方、本当に上弦?」

「貴様が異常過ぎるのだ!!」

「異常ね…そう言う事は入り込んでいるお連れ様に言う事ね。」

「!?」

「里に潜り込んだのが貴方一体だけと思っていないわよ、それに余程の実力と血鬼術が無ければ里壊滅なんて無理だろうし。」

「小娘が!愚弄す!?」

「無駄口は聞きたくないな?」

 

 

ハスミ、玉壺の顔面にUVライトの光で顔潰しを引き続き決行。

 

 

「ぎやぁああああ!!!?」

「あのね、貴方は袋のネズミなの?」

「ひぃいいい!!」

「解る?捕まってどうしようもない状態なの?」

「ううっ…(この小娘、無惨様よりも酷い。」

「ま、上弦の陸を倒した時点で予想出来た事だし…どうでもいいけどね。」

「貴様は人間の前に鬼だろう!何故あの方に仕えん!!」

「うっさいわね、そんなの決まっているじゃない?」

 

 

あんな小物に使える義理はない。

 

私が使えるべき相手は既に居る。

 

それともあの黒ワカメや貴方達を糞雑魚認定してやろうかしら?

 

 

「…(あの方や上弦を雑魚だと?」

「人の世は日々進歩しつつあるのに貴方達は鬼の耐久性と血鬼術に頼り過ぎて進化していないじゃない?」

 

 

ハスミの正論は玉壺の脳裏に雷を落としたのだった。

 

 

=続=

 

刀鍛冶の里編後、新・上弦が引き起こした事件でどちらに向かいますか?

  • 木乃伊事件(不死川、伊黒)
  • 集団失踪事件(悲鳴嶼、胡蝶、栗花落)
  • 船舶沈没事件(宇随、煉獄)
  • 不在担当地区防衛(時透、甘露寺)
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