将来を誓い合った恋人   作:アッシュクフォルダー

29 / 29
第二十九話 結城龍馬と教室のセカイ

教室のセカイにて、テニスコート。

 

龍馬は、リンとレンにテニスを教えていた。

 

「まさか、お前等の指導をするとはな…」

 

「さきぴょんが言っていたよ!

テニスの教え方が上手って!」

 

「そんな事ねぇよ…たまたま、咲希の呑み込みが上手で、

才能を開花させただけだ」

 

「凄いよ!龍馬くん!」

 

「俺にも、テニス!教えてよ!」

 

と、レンが龍馬にねだる。

 

「やれやれだぜ…!」

 

龍馬は早速、テニスを、リンとレンに教えるのだった。

 

「それじゃあ、お前等、ラケットの持つこと位、出来るだろう?」

 

「うんっ!さきぴょんから、教わったよ!」

 

「俺も!俺も!」

 

サーブにボレー、スマッシュと…一通りは、

龍馬はリンとレンに対して、教えるのだった。

 

「楽しそうだね!」

 

「あぁ、練習したら、試合をしても良いぜ?俺が審判してやる」

 

「龍馬くんはテニスをやらないの?」

 

「昔の話だ…それに、もう捨てたことだ。気にすることは無い」

 

「本当にそれで良いの?」

 

「過ぎたことにケチを言ったり、文句を言うのも、

賛美するのも、自慢するのも、快くは思ってねぇ」

 

と、結城龍馬は過去は過去。本来は、どうでもいいはずだが、

それでも、気にしつつ、引きずるしかないと考えている。

 

「それって、辛くないの?」

 

「まぁ、辛いさ。心安らぐ時だって、俺も欲しい位には。

誕生日会も、悪くな無かったぜ…」

 

「もーう!相変わらず、素直じゃないなー!」

 

「別に良いだろ?自惚れたり、自画自賛する方が大概だがな」

 

「龍馬くんは、色々、考えていて、大人だなー」

 

「そんなことは思ってねぇな…それに、俺も俺でやったことがアレだったからな…」

 

「何かあったの?」

 

「テニスの賭博だ。俺は無実で何もやっていないのに、

濡れ衣を着せされて、アメリカの留学も、止める事になった。

が、俺はありのままの運命を受け入れるだけだ。

サツにしょっぴかれて、俺は誓ったんだ」

 

結城龍馬は重たい口調で、こう言い放った。

 

「もう、二度とテニスはしねぇ。と」

 

「そうだったんだ…」

 

「テニスを始めたきっかけは?」

 

「親父だな。俺の親父はプロのテニス選手だった。

だが、親父もお袋も、この世にはいねぇ。死んだんだ」

 

「悲しい…」

 

「辛いよね…」

 

「当然だ。俺が持っている何かを失い、

俺は未来を捨てる覚悟を決めたんだ。

きっと、もし、テニスをやり続けたら、ロクな目に遭わない。

きっと、非情な毎日を送るんだろうなと…

きっと、人の心の痛みを知らない奴になっていたかもしれねぇな。

 

だから、俺は体育やスポーツは、自分ではしねぇんだ。

 

って、そろそろ、始めるぞ?」

 

「そうだった!」

 

「負けないぞ!」

 

「俺も!」

 

リンとレンによる、テニスのシングルスが始まるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。