教室のセカイにて、テニスコート。
龍馬は、リンとレンにテニスを教えていた。
「まさか、お前等の指導をするとはな…」
「さきぴょんが言っていたよ!
テニスの教え方が上手って!」
「そんな事ねぇよ…たまたま、咲希の呑み込みが上手で、
才能を開花させただけだ」
「凄いよ!龍馬くん!」
「俺にも、テニス!教えてよ!」
と、レンが龍馬にねだる。
「やれやれだぜ…!」
龍馬は早速、テニスを、リンとレンに教えるのだった。
「それじゃあ、お前等、ラケットの持つこと位、出来るだろう?」
「うんっ!さきぴょんから、教わったよ!」
「俺も!俺も!」
サーブにボレー、スマッシュと…一通りは、
龍馬はリンとレンに対して、教えるのだった。
「楽しそうだね!」
「あぁ、練習したら、試合をしても良いぜ?俺が審判してやる」
「龍馬くんはテニスをやらないの?」
「昔の話だ…それに、もう捨てたことだ。気にすることは無い」
「本当にそれで良いの?」
「過ぎたことにケチを言ったり、文句を言うのも、
賛美するのも、自慢するのも、快くは思ってねぇ」
と、結城龍馬は過去は過去。本来は、どうでもいいはずだが、
それでも、気にしつつ、引きずるしかないと考えている。
「それって、辛くないの?」
「まぁ、辛いさ。心安らぐ時だって、俺も欲しい位には。
誕生日会も、悪くな無かったぜ…」
「もーう!相変わらず、素直じゃないなー!」
「別に良いだろ?自惚れたり、自画自賛する方が大概だがな」
「龍馬くんは、色々、考えていて、大人だなー」
「そんなことは思ってねぇな…それに、俺も俺でやったことがアレだったからな…」
「何かあったの?」
「テニスの賭博だ。俺は無実で何もやっていないのに、
濡れ衣を着せされて、アメリカの留学も、止める事になった。
が、俺はありのままの運命を受け入れるだけだ。
サツにしょっぴかれて、俺は誓ったんだ」
結城龍馬は重たい口調で、こう言い放った。
「もう、二度とテニスはしねぇ。と」
「そうだったんだ…」
「テニスを始めたきっかけは?」
「親父だな。俺の親父はプロのテニス選手だった。
だが、親父もお袋も、この世にはいねぇ。死んだんだ」
「悲しい…」
「辛いよね…」
「当然だ。俺が持っている何かを失い、
俺は未来を捨てる覚悟を決めたんだ。
きっと、もし、テニスをやり続けたら、ロクな目に遭わない。
きっと、非情な毎日を送るんだろうなと…
きっと、人の心の痛みを知らない奴になっていたかもしれねぇな。
だから、俺は体育やスポーツは、自分ではしねぇんだ。
って、そろそろ、始めるぞ?」
「そうだった!」
「負けないぞ!」
「俺も!」
リンとレンによる、テニスのシングルスが始まるのだった。