結城龍馬には婚約者がいた
望月穂波 Leo/needという、バンドで、
ドラムをしている。
この前は、そのライブを観に行ったのだった。
龍馬は、思うのだった。
婚約者である、穂波が輝いている所を目の当たりにすると、
自分は、何なんだろうって、思ってしまうのだった…
「龍馬…くん?」
「なんだ?穂波」
今は彼女とのランチに行っていた。
元はデートのはずだったが、
あまり、朝食を食べていない、
一応、食べたのだが、
食べたとしても、パン一枚ほどであった…
という訳で、穂波の意見もあってか、
近くの、レストランにやって来たのだった…
「お値段が、お手ごろだし、
ここが、いいかな?」
「あぁ、いいと思うぜ?
俺も、穂波と一緒にいるだけで、
今は、幸せだ」
「龍馬くんは、凄いよね…
冷静で、いろんな意見が持てて…
周りに流されやすい、自分とは、大違いだよ」
変わりたいと願う、穂波に、龍馬はこう言った…
「無理して、変わろうとはするな、
俺が好きになったのは、今の、この瞬間の
穂波だから」
「大人だなぁ…龍馬くん」
と、言っても、俺は、そこまで、大人じゃない
大人になろうと思って、無理をした結果が、
今の俺かもしれない。
いくら、婚約者とはいえ、穂波には、自由に生きて欲しい。
そして、食事を済ませた後…
「美味しかったね」
「あぁ、そうだな」
レストランから出て、公園で、のんびりしていた…
穂波の笑顔も、その優しさも、変わっていない、
変わっていていたのは、俺だけだった。
無実の罪で、警察に捕まり、
その罪を背負って、流れていた時間は、
龍馬の心にも、残っていた。
穂波が知らない、闇や、汚さ、冷たさを、
知ってしまった、俺は、恥ずかしいと感じるのであった…
(そんな、俺が、これからも、ずっと、
この先も、穂波の隣にいてもいいのか?)
穂波には、綺麗なまま、生きててほしい、
それは、俺自身の我儘になってしまうが、
それを叶えるためには、自分自身が、不安分子で、
邪魔な存在かもしれない。
そう思ってしまうと、将来を誓い合ったはずの
関係を断ち切ろうと、思っても、
それも、容易いことでは、決してないのだった。
「ねぇ、龍馬くん、ボーッっと、しているの?
大丈夫?」
「すまない…つい、ボーッとしていた
考え事でもしていてな」
「そっかー」
「散歩でも行くか」
「龍馬くんが、散歩?珍しいね」
「そうか?」
「そうだよ!普段、そんなことしないのに!」
「そうか…」
二人で散歩に出かけるのだった…
「龍馬くん、日本に帰って来て、何かあった?」
「特にねぇよ。その日暮らしだ」
「寂しくないの?」
「別に」
と、結城龍馬は後ろめたさを感じていた。