魔法少女遊撃隊   作:黒助さん

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なんか書いちゃった。
眠たい中で書いちゃった。
よろしくお願いします。


魔法少女、目覚める

魔法少女、目覚める

 

 カノ者、強大な力あり。

 地を渡り、各地に住まう魔法少女の救いとならん。

 全ての子らは、かの者を尊敬し、以てその生き様に対しこう呼んだ。

 

 魔法少女遊撃隊

 

 

 

 

 

 冒頭に何を考え、何を載せようかと思い悩んだが、率直に、端的に、結論だけ言うと、私は女の子になっていた。美少女である。

 まさしく別人な私に驚きを隠せないが、問題はそこではない。いや、そこだけではなかった。

 

「変身できたみゃね! まさか男の子の君が、こんなにも適正があるなんて思わなかったみゃ!」

 

 まさか私も女の子になるなんて思わなかったが?と目の前にいる未確認生命体のその言動にしかし、私は何も言えないでいた。驚きで脳の処理が追いついていない。身体も口も追い付いていない。

 

「ふっふっふ! この変身している間は普通の人間と比較にならない力があるみゃ! さぁ、その力を使って人類を救うのみゃ!」

「は?」

 

 可愛らしくも刺々しい声が出た。私の声ではないが、おそらく私の声なのだろう。意味がわからない。状況はややこしいどころではなく、私を置き去りにして進んでいた。

 どーんと決めポーズまで決めちまいやがっていますこのUMAは、一体何をのたまっているのだろうか。人類を救え? 馬鹿馬鹿しい。そんな妄想空想な物語は、この世界ではありえないでしょうに。

 まぁ、なら私の今の状態は何なんだというところなんだが。苦々しい表情を浮かべていた私に、この全長30cm程度のUMAは可愛らしく頬を膨らませて怒った。

 

「だーかーらー! 救うため、戦うのみゃ!」

「いや、話が見えませんが……」

 

 自分の声音ではあるのだが、ふふ、耳が幸せになるような可愛い声だなおい。私の内なるオタクが扉をあけて、呼んだ?とこちらに向かっている感じがした。ステイステイ。とりあえず、状況の把握が先決である。故に帰ってもらった。

 

「何と戦うのですか?」

「それは、怪物みゃ!」

「怪物ってどんなやつですか?」

「怪物は怪物みゃっ」

「……どう戦うのでしょう」

「ステごろで戦うみゃ?」

「……バイオレンス……」

「ミャ……」

 

 みゃ、ではない。怪物とステゴロで戦うとこいつは宣う。少年漫画か何かか? 正直、暴力は好まないたちであった為にご遠慮願いたい。

 しかし、それはそうと、見下ろすと素晴らしく美しき山脈があり、肌もきれいとあっては自分自身の身体であるのにドキドキとしてしまうものである。

 いかんいかん。自身に見とれて照れてしまうのは流石に恥ずかしい。齢19の青少年には刺激が強い外見である。ナルキッソスか私は、と思いながらも鏡を見やる。そこには焔の髪にきりっと目尻の高い目、凛とした雰囲気を出せる超美形であるのにめいいっぱい照れている自身と思しき美少女が写っていた。うむ、可愛い。もはやナルキッソスでもいいやとすら思えた。

 

「現実逃避してるみゃ?」

「そんなことはないです。今までフツメンとして生きていたが故に、ギャップが凄くてですね」

「ふーん、まぁどうでもいいけどみゃ」

 

 なんでそこちょっとどうでも良さそうなんだよ。君が変えた私の感想よ? ちょっとは興味を持ってくれてもいいのでは?

 しかし、しかしながら、私は貧乏大学生故に明日の授業とバイトのことを考えると、夜更けにこんなおもしろおかしな夢を見ている暇はないのである。私もそろそろ現実と向き合う時間だ。

 

「で、私はもう夢から覚めたいのですけど?」

「夢じゃないみゃ! とにかく、今すぐ窓の外を見るみゃ!」

「外を見たところで、夢は覚めませんよ」

 

 このちみっこいUMAに流されて、私はカーテンを開いて外を見る。ベランダに出てみて街を眺めるも、特に変わった様子はなかった。

 

「……何もないですけど」

「上みゃ! あの飛んでいる化物みゃ!」

「上……?」

 

 ベランダから少し乗り出して空を見てみると、確かに『何か』がいた。それは翼の生えた悪魔を模し、しかし頭は化け鴉の様な醜い形相。そして体毛に覆われいくつかの鋭い棘の様な、爪のようなものを持っていた。

 いやいやしかし、魔法少女ものにして中々にリアリティのある化物だな。ニチアサでやるとお茶の間の良い子達がギャン泣きしそうだ。

 

「いやいやいや、あれと戦えと?」

「そうみゃ!」

 

 そうみゃではないのである。今日イチの元気な返答をどうもありがとうございます。でもどうみてもステゴロで戦う相手ではないだろう。今なんかギェェとか耳障りな叫びを上げていたし。

 あんな化物と戦うなど、勘弁願いたい。

 

「さぁ、外に出てあそこまで飛んで、戦うみゃ!」

「無茶言うな」

「無茶じゃないみゃ!?」

「いやあの、寝間着姿なんですけど」

「変身した時点で魔装しているみゃ! さっき散々自分で胸見てたみゃ!」

「そんな見てないです! 言いがかりはよしてください!」

「えぇ……必死すぎみゃ……」

 

 何でそんな私の意見に対しては冷たいんだ……。と、このUMAをにらみつつ考える。如何あがいてもあれを倒せるイメージが湧かない。

 自身の身体を見やると、可愛らしいフリフリのミニスカドレスを身にまとい、ステッキでもあれば完全に魔法少女のそれである。まぁ、ステゴロなんですけど。

 

「まぁ、それはさておいて……ステゴロであんなのと戦えるのですか? 無理でしょ」

「いけるみゃ! とにかく、外に出て身体に慣れるみゃ!」

「はぁ」

 

 まぁもう、夢が覚めるならなんでもいいや。そう思いつつそのまま六畳一部屋の城から私は出る。外は昼間の暑さが嘘のように若干冷え込み、もうそろそろ秋なのだと教えてくれた。何故そんなふうに感じるか?スースーすんだよ。足回りが。スカートなんてこの19年間履いたことすらなかったのだから、慣れないのは当たり前でしょう?

 アパートの2階から階段で降りると、私はアスファルトの地につく。辺りは夜更けということもあり、静寂に包まれた暗闇の住宅街となっていた。こういう夜に缶コーヒーを一杯飲むと、どこか特別な気分になるものだ。

 などと言っている場合ではない。目の前に不審者がいた。そしてそいつはゆっくりとこちらに近づいている。

 

「気をつけるみゃ……あいつが、怪物みゃ」

「え、さっきのやつじゃないですか」

 

 そう、あろうことか空が飛べるアドバンテージを捨てて、私の前に現れたのだ。街灯に照らされ姿が顕になると、完全に先程キェェと声を上げていた化物である。おとなしく空を飛んでいろ。

 

「どうすればいいのですか」

「殴るみゃ」

「直接的すぎません?」

 

 いやまぁ、至極明快な回答とも取れるのだが、如何せん暴力的な回答であったので、魔法少女に似つかわしくないそれに突っ込まざるを得なかった。随分と凶暴なUMAだこと……。

 

「生まれてこの方人を殴ったことがありません」

「化物は?」

「いやないに決まってるでしょ」

 

 何を言っているんだこのUMAは。

 

「なら、簡単に流れを言うみゃ! まずは飛んで回避するみゃ!」

「回避? ぬぁ!?」

 

 言うやいなや、私は飛んで回避行動を取った。そこには鋭く尖った棘が刺さり、アスファルトを割っている。だが、驚くところはそこではなかった。私は今塀の上にいたのだ。

 先程の回避行動にて私は超人的な運動神経を活用し、回避と同時にこの足場の狭い塀に立って一息つける余裕を持っていた。

 なるほど。確かに凄い力である。

 

「いや、なるほど?」

「次の攻撃もくるみゃ! クロスカウンターみゃー!」

「それだと攻撃受けますよね!?」

 

 言いつつ回避するも、それだけでは埒が明かない。私はその場から飛び退き、一気に化物との距離を狭めた。いやしかし、今なら世界記録なんて余裕でしょう?と言いたげな脚力に笑いが出る。一瞬で敵の目と鼻の先に立った私は、その勢いのまま拳を前に突き出した。

 

「グェアォアアアアアア!」

「き、きもっ!? あっ」

 

 そして、やっちゃったのである。拳は既のところでその気持ち悪さに逸れてしまい、私の眼前に敵の顔面が迫る。そしてそのまま、私の体が一つの弾丸となって、敵の顔面を撃ち抜いたのだった。

 

「ぐええええええええええ!」

 

 轟音とともにコンクリートブロックの塀を破壊し、敵と共に倒れふした私。今絶対魔法少女がしてはいけないポーズで倒れてる。体はどうやら動くので、立ち上がると噴出している鼻血を拭った。先程の衝撃で出ていたようである。

 

「ば、化物は」

「倒したみゃ……! やはり、凄い力みゃ、きみは!」

「倒し、た……」

 

 残骸と亡骸を見やる。動いていないのとその破損ぷりからどう見ても倒したと言って良い。何なら亡骸はどういうわけか燃えカスのように灰として空中に消えていきつつある。その上、やつの顔面が私の顔面の形で減っこんでいる。凄まじい陥没具合だった。

 うむ。見まごうことなき勝利である。なんともあっけない。

 

「はは、は……痛い」

「当たり前みゃ。それはおいておいて」

 

 置いておくな。私、怪我してるのだが?

 

「僕はマーチ!天園より使われし者であり、この地の美しき勇者を見出す者みゃ!」

「それはまぁなんと大層な……」

「君はなんて名前みゃ?」

「……」

 

 正直名乗りたくはない。いやいや、何なんだこいつは。はっちゃけた夢過ぎてもうついていくのを諦めてる自身がいる。だがまぁ、もう今後合うこともないでしょう。こういう夢は二度も見ないものなのだ。

 故に、私ははぁ、と一つため息をつくと答えた。

 

「私の名前は木倉幹之助(きのくらみきのすけ)と申します」

「え、なんでそんなに古臭い名前なんだみゃ……」

 

 しまいにゃしばくぞ。何で私自身に対してはそんな辛辣なの。苛立ちを隠せない私は笑っているが怒ってますからね?

 そんな私の表情に気づかずにこのUMA改めマーチはうーんと悩んで答えた。

 

「なら、君のことはミキって呼ぶみゃ!」

「ご自由に」

「よろしく、ミキ!」

「なんだか女性っぽい名前ですね……まぁ、よろしくお願いします」

 

 何がよろしくお願いしますなのだろうか。全くわからないが、こうして私は初戦を顔面(物理)により勝利し、魔法少女としての一夜を終えるのであった。




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