東方雲狼劇   作:鏡狼 嵐星

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今回長くなっちゃいました。
そして、月の都編も終了です。
次もよろしくお願いします。


待チ人ハ来ズ

今現在、火の海と化している街の中。その中を走りぬく二つの影。

 

「どこにいるんだよ!? まさか、その情報もないのか!?」

 

「仕方ないだろ!? お前の能力で探せよ響!?」

 

炎と妖怪を切り、殴りまるで台風のように過ぎていくその二人組はしゃべりながら襲い掛かってくる妖怪たちを見ずに倒していく。そんな様子を後ろの数名の兵士たちは少しだけだが感銘していた。

 

「大体の場所しかわかんねえよ!」

 

「どれくらい?」

 

「直径一キロ」

 

「意味ねーじゃん!」

 

「仕方ないだろ! 人が入り乱れてよくわかんないんだよ!」

 

火の海と化しているこの街の中に逃げ遅れた人たちいるらしい。なんでも情報がいきわたっておらず、逃げ遅れた人たちがいるという情報が今伝わってきた。情報が伝わらなかったのは妖怪の仕業らしく、最初に伝わったここでさえそのことが分かってから一時間かかったという。

本当は街の人たちが逃げたら頃合いを見て逃げるつもりだったらしいが、こうなっては妖怪たちをある程度倒さないと終わらない。

 

「キェェェェェェェェェェェェ!!」

 

「くそっ、妖怪の数が多すぎる。どうにか数を減らさないと」

 

「一掃するか?」

 

「それが一番いいんだが、町の人まで切っちまう可能性もなくもない。清水、お前は基地に戻ってろ! 兵はばらけさせとけ!」

 

響がそう言葉で亮介に促す。その言葉を聞いた亮介は驚くが、響の目を見て理解する。

 

「お前ら! 分かれて街の人たちを探せ!」

 

亮介が周りの兵士に対し、命令を出す。それを兵士たちは忠実に守り、散っていく。亮介は兵士たちがいなくなった後、響に顔を向けこういった。

 

「……ばれねえようにな」

 

「誰に言ってんだ。お前みたいに考えなしじゃないんだよ、俺は」

 

二人は別れ、亮介は基地へ行く。そして、響は誰もいないとわかる場所へと位置を移動する。

 

「妖力を少し混ぜて……『千里眼(せんりがん) 透視凝眼(とうしぎょうがん)』」

 

妖力を少し混ぜて、能力を戻し、鏡を創造する。その鏡をすべてを透視、または見抜くことのできる特殊な鏡に創り変える。そしてその鏡をのぞき街の人達を探す。

 

「南南東、距離68。おしっ」

 

創造した鏡を消し、妖力を消し去る。人間の状態に戻り、人の形を大量に見つけたほうへ走る。南南東へある程度走ったところでラグナシアを取り出し、がれきをかき分け家の残骸を切り刻む。そして、床下と思われる場所に扉が現れる。

 

「あった!」

 

その扉の取っ手を持ち、持ち上げる。ゴグシャと音を立て扉が開く。

 

「おい!! だれかいるか~!?」

 

「は、はい! その声は響さんですか!?」

 

扉の下にいたのは老若男女三十人ほどであった。けがをしている者も少なくなく、おそらくいつのまにか攻めてきた妖怪たちに追い込まれてこの地下に入ったのだろう。

 

「少し人数が多い……」

 

響の『鏡の世界へ続く道(ミラーウィッシュ)』で移動できる人数は人間時は響を含めて二人のみ。少ないメンバーなら技で移動させる気だった響は少し考えを巡らせる。全員を技で移動させるのも悪喰わないが時間がかかりすぎるため、ここが襲われないという可能性は低い。かといってほかにいい方法がない。

 

「おい、お前ら。これから俺が言うことをちゃんと聞いとけ」

 

「何ですか?」

 

「……今から四~五人の組を作れ。俺が基地までの道を作るからそこを全力で走りぬけろ」

 

「……はい? ……えええええええ!?」

 

響がとった作戦は無理やり道を切り開き、そこを全員を走らせるという方法だった。

 

「これぐらいしか方法がない。生きたいならいうことを聞け」

 

響の声に全員がすくみあがる。ただの声なのにものすごい重みがあった。数人が立ち上がり組を作り始める。それに誘われるように、周りの人たちも組を作っていく。

 

「……できたな? 一組目行くぞ」

 

男性二人と女性二人の組が響がラグナシアで放った斬撃に付いていく。そして見えなくなったときに響は二組目を呼ぶ。そしてそれを繰り返していき、ついに最後の組になった。

 

「最後だな? ……よし、行け!」

 

最後の女性と子供と男性の三人の組が走っていく。それを横目に地下の中を見る。その中には誰もいなかった。

 

「……誰もいないな」

 

そう確信した時、

 

「ウキャァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

妖怪の声が聞こえた後、人の叫び声が聞こえた。距離はそこまでない。響の脳裏によぎったのはさっき出て行った三人のことだった。

 

「ちっ、さすがにこれだけ無作為に攻撃してれば怪しまれんのも無理ないか!」

 

ラグナシアを担ぎなおし、飛ぶ。十秒もしないうちに意つけた四つの影。手が異常に長いモノクロのクマと倒れている血だらけの二人の男女とおびえて倒れている一人の少年。そこにちょうどクマの手が振りかざされていた。

 

「くそっ、向きが悪いうえにタイミングが悪い! やるしかないか!」

 

響はラグナシアを抜き、クマに向かい飛び抜ける。そして少年の前に剣を逆手に持ち、覆いかぶさる。

 

 グシャア

 

響は少年に覆いかぶさり妖怪に向け、剣を突き刺す。……自分の腹に妖怪の手が貫通しながら。

 

「あっ……え……ふえ……」

 

少年は信じられないという顔で固まり、妖怪は声にならない叫び声をあげながら崩れていった。

 

「グハァ……」グシュブシュ

 

腹に穴があき、肉がすれる気持ち悪い音を立て膝をつく。

 

「ハァハァ……『ミラ、ーウ、ィシュ』」

 

とぎれとぎれに技名をいい、少年ごと鏡に入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○ 一方、基地の中……、

 

「避難した人たちを保護しろ!!」

 

亮介は基地の中にある兵士に指示を出す。自分が戦いながらではあるが、兵士たちはその声をちゃんと聞き、避難してきた人たちを保護していく。

 

(響は大丈夫かな……)

 

亮介はそう思いながら、戦っていた。その時、基地内から悲鳴が上がる。

 

「なんだなんだ!?」

 

近づいてきていた妖怪を倒し、残りの掃討をほかの部下に任せて基地内へ入る亮介。その中で見たのは……、

 

「んなっ!?」

 

腹の真ん中に巨大な穴が開き、満身創痍状態の響であった。床にはどんどんと血だまりができており、響は息をしているだけで動かない。隣には少年が血だらけの状態で震えていた。

 

「響!! 大丈夫……じゃねえな!?」

 

亮介は響に近づくが、その傷の深さにたじろぐ。人間の手なら余裕で入るぐらいの巨大な穴が響の腹にあいている。

 

「響さん!! 医療道具を持ってきました!!」

 

兵士の数人がガラガラと音を立て、医療道具を運んできて用意を始める。……が、

 

「いや……もう……遅い……」

 

響はその場にいる誰もが聞きたくなかった言葉を放つ。その場にいる兵士、街の人、亮介ですら目を見開く。響の顔は恐ろしく冷静だった。

 

「ハハハ……まさか……俺が……人助け……で死ぬ……なんて……な……」

 

薄い笑みを浮かべ、後悔の言葉を響は言う。そんな様子を見て、一人の兵士が響に言葉をぶつける。

 

「……いえ、まだです!! まだ永琳さんの力なら……」

 

「……自分の……死ぐらい……分かる……」

 

兵士の言葉は響には届かず流される。その間にも床の上には徐々に大きくなっていく血だまりがあった。

 

「ここに……残って……暴れて……死ぬさ……」

 

流れている血と響の悲しそうな表情から誰もが何も言えなくなった。そんな皆に響は言う。

 

「早く……行け……」

 

そう言いながら響は亮介に視線を向ける。答えを聞こうとしているのだと、亮介は悟った。

 

「いえ、あなたは月に行かなければなりません……!! 無理にでも連れて行きます!! 亮介副団長、お手伝い願います!!」

 

兵士の一人が響を無理やり連れて行こうとして亮介に声をかける。その声がまるで聞こえていないように亮介は立ちつくしたままで止まっている。

 

「……亮介副団長?」

 

兵士が心配そうに亮介の顔をのぞく。亮介はいつもと全く違い、納屋見つめた顔で立っていた。そして、言い放った。

 

「全員ロケットに乗れ!! 響は俺が連れていく!!」

 

その言葉に兵士たちは街の人々をつれて、ロケットに乗り込む。しかし、亮介は響の近くに居続けて動かない。その行為に兵士全員がずっと一緒に居続けた仲間に対してに敬意を払っているのだと思い、何も言わなかった。

 

「全員乗り込みました! 後は亮介さんだけです!」

 

入口から身を乗り出した兵士の一人が叫ぶ。そこに亮介は笑いかけ、こういった。

 

「そうか……なら、お別れだな」

 

「「「「「……え?」」」」」

 

亮介は一瞬にしてロケットの入口に移動し、身を乗り出していた兵士の一人を強制的に中に押入れ、近くにある緊急用のロケット発射スイッチをカバーごと叩き押す。飛び始めるロケットの窓から兵士たちの涙目の顔が見えた。

 

「清水……?」

 

てっきり月に行くと思っていた響は驚いて、眼を見開いている。そんな響に亮介は満面の笑みを見せる。

 

「……やっぱり俺はこっちにいたほうがいいや。こっちのほうが楽しめそうだし、何より……お前と入れる」

 

「フッ、お前らしいな……亮介!!」

 

「!! お前に名前で呼ばれるとはな。思ってもみなかったよ、響!!」

 

初めて響に名前を呼ばれたことない亮介は歓喜の声を浴びる。その時、

 

「キエァァァァァァァ!! オイ、人間ガマダ残ッテルゾ!! シカモ一人ハ死ニソウダ、殺ッチマエ!!」

 

扉をぶち開け、やけに高い声で飛びかかってくる黒い蝙蝠のような妖怪が飛びかかってくる。が、その妖怪が一瞬にして切り刻まれ、後ろの妖怪たちがビビってしまう。

 

「雑魚が息がるんじゃないぜ」

 

その妖怪を切り刻んだのは大けがをしているにもかかわらずケロッとしている響であった。

 

「ナンダト!? 人間ナラ死ヌレベルノ怪我ヲシテドウシテ!?」

 

「確かに死んでるだろうな。……人間ならな」

 

そういうと響たちから恐ろしいほどの妖力があふれ出てくる。そして、響は背中から皮膚を破り、紫色の蝙蝠型の翼が出てきて、亮介は黒い犬耳と尻尾が生え、地面をたたきつける。

 

「俺らは妖怪だ。こんな程度の傷では死なないぜ?」

 

響の腹の傷がどんどんと癒えていく。その様子を見た妖怪たちは固まってしまう。

 

「さあ、暴れてやるぜ!! 響、遅れんなよ!!

 

「お前こそ!!」

 

固まっていた妖怪たちに襲いかかる二人。剣と拳を武器にして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○ ここは、地上にあった街そのものと全く同じ形の月の上の都市。その入口には最後のロケッ  トを待つ、団長を含めた月見兵団と綿月姉妹、そして永琳がいた。

 

「まだ来ないのか……」

 

依姫がそうつぶやく。少し前に直輝が乗っていたロケットが到着し、その前にストロ兄弟が来たので残すところは響たちが乗り込むロケットのみであった。

 

「すぐに来るわよ~。落ち着きなさいな~。……そんなことを言っていたら来たわよ~」

 

豊姫がそうつぶやいたときにロケットが見えた。そのロケットを見て依姫は握っていた小さな箱をさらに強く握りしめる。そして、そのロケットが月の地面に着陸態勢を取り始める。月にいた治療班も準備を始める。ロケットはヒュゴォォォと音と土煙を立て着地する。

 

「治療班! 降りてきた者の治療を急ぎなさい!」

 

永琳が指示を出す。その時、扉が開き、数人の血だらけの兵士が出てきた。それを治療しようとした治療班を押しのけ一人の兵士が叫ぶ。

 

「依姫様!! 依姫様はおられますか!!」

 

兵士が依姫の名前を呼ぶ。その真剣な顔に依姫は手を挙げ、近づく。

 

「どうしたんだ? 血相変えて?」

 

依姫が近づくとその兵士は苦そうな顔をして、言い放った。

 

「響さんと亮介副団長を下に置いてきてしまいました!!」

 

その兵士の言葉に月にいた人々は表情を固める。まるで言っていることが理解できないように。

 

「……おい、……今何て……?」

 

「響さんは街の子供をかばい、瀕死のけがを負ってしまっていたのですが、自らの意思で地上にの残り暴れてから死ぬといい地上に残りました……!!」

 

その言葉を最も信じられなかったのは無論依姫である。その兵士の胸ぐらをつかみ、叫ぶ。

 

「どういうことだ!! なぜ連れてこなかった!?」

 

「我々は連れてこようとしました!! しかし亮介副団長に任せたところ、亮介副団長がいきなりロケットに押し込み、我々は緊急発射させられたのです!!」

 

亮介が裏切った。そのことだけでも月の人々を思考停止させるのは十分だったのだが……、

 

「ふざけるな!! あいつが死ぬだと!? ありえない、何かのはったりだ、そうに決まってる!!」

 

依姫は恐ろしい気迫を出しながらロケットに近づいていく。

 

「まって、落ち着いて依姫!! 今から行っても……」

 

「お姉さまは黙っておいてください!!」

 

豊姫はいつもと違い全力で止めようとするが、依り姫はそれを振り払おうとする。

 

「依姫。もう遅い」

 

直輝が依り姫を説得しようとする。

 

「なぜですか、お父様!! 助けに行くだけです!!」

 

「ほんとに遅いんだ。……上だけで決まってることがあってな。下の街は核爆弾で処理することになっているんだ」

 

その言葉がその場にいる全ての人にさらに絶望を与える。しかし、依姫だけはあきらめず、

 

「まだ間に合う!! まd、ドォォォォォォォォォン、!!」

 

そんな姿勢を非情にも打ち砕く轟音が鳴り響く。その音を聞き、膝から崩れ落ちる。持っていた箱を落とし、中から指輪がこぼれおちる。

 

「響……きょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

苦い叫びが響く。その言葉はもう届きはしない……。




作「ちゃ~す。作者でぅぇ~す。今回は直輝さんゲストで~す」
直「なんか面白いやつだな」
亮「それが鏡狼なんだよな」
響「変人っけが強くなった気がするよ」
作「いきなりだが、このコーナー少し停止します」
響・亮「「……はぁ?」」
作「最近、いいネタが浮かばなくて……、しばらくしたら再開する気なのでそこのところお願いします(土下座)」
響「言いなりすぎんだろ。このアホ!!」
作「自分勝手ですいません。ほんとに」
亮「結構楽しかったのになんでだよ?」
直「……なんか自分空気だな……」
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