今回から過去編です。(あまり長くないですが)
では、16話目どうぞ~。
残された者
ここは現代。そして響たちが異世界に行ってから、一時間と少し。
早苗は、長引いた学校の活動部の会議が終わり、帰路についていた。時刻は六時過ぎで、全体的に暗くなりはじめている時刻であった。
「少し長引きましたね。諏訪子様たちが心配してないといいのですが……」
少し急ぎ足で人通りの少ない山へ向かう道を走る。行きかう人がいるとしても、山へ向かう道とは逆方向に歩いている。
(響ちゃんに明日こそ言うぞ!! もちろん亮ちゃんにも!)
心でそう決心する。もしかしたら言えないかもとも思っていたが。そんな時、
プルプルプルプル……、
「なんだろう?」
電話が一本かかってくる。もちろん、早苗は出ようと電話に触れる。しかし触れた瞬間、恐ろしいほどの悪寒が体を駆け抜ける。
「!?!?」
ただ触れただけ。それだけであるはずなのだが、悪寒が体を走った。早苗は感覚的にこの電話には出ていけないと悟った。
「……でなきゃ」
それでも、早苗は出ようとした。そして、この電話は彼女の運命を大きく変えることになることをまだ知るよしもなかった。
「もしもし」
「さ、早苗ちゃん!?」
「響ちゃんのお母さん!?」
電話をかけてきたのは響の母。話す内容を早苗はもちろん知らない。
「……おちついて、聞いてね……」
「なんでしょう?」
「……響と亮介君が、死んだわ」
「……えっ?」
その言葉は早苗を混乱へと落とし入れた。たった一時間前に分かれた友人が死んだと言われれば、誰でも混乱するが早苗の混乱ようはすさまじかった。
「……アハハハ、御冗談はよしてくださいよ。私と二人は一時間ほど前に別れたばかりですよ? 死ぬ時間なんてありませんよ」
ひきつった顔で早口になりながら話す彼女は明らかに動揺している。もちろん響の母が言っていることを信じる気も持っていない。
「さっき警察から連絡があったの。学校から帰ってきている途中で、最近有名になっている快楽殺人鬼にね、二人が襲われたらしいのよ。響は大量出血で、亮介君は心臓を一突きされたの」
「……」
「亮介ちゃんの家はお寺だから、そこでお葬式しようと思ってるわ。来る?」
その言葉を聞いた時、早苗は電話を切り、走り出す。行先は亮介の家である『清水谷寺(きよみずだにでら)』。周りのことも気にもせず全力疾走して、危ないことも多々あったが無事、寺に着いた。
「ハァハァ着いた……」
常時開いている問を抜け、玄関のピンポンを押す。上がっていた息も次第に収まってきた。一分も待たずに扉が開く。
「早苗ちゃんだね。上がってくれ」
「失礼します……」
早苗は玄関を上がり、奥の部屋に入る。中は大広間で、白黒の掛け軸などが飾られている。ただ、完全に出来上がっているわけではなく、今始まったという感じだ。部屋には三人ほど大人がいた。うち一人は響の母である。
「早苗ちゃん、こっちよ」
響の母が早苗を手招きする。その横には棺桶が二つ並んでいる。
「あの……」
「見てあげて」
棺桶を響の母が開ける。そこにいたのは響と亮介の亡骸。二人とも顔は真っ白でまさに亡骸であった。
「響ちゃん……亮ちゃん……」
真っ白に染まった二人の顔を見たとき、早苗は涙を堪えられなくなって、大粒の涙がボロボロと出てくる。
「うう、うわぁぁああぁ、なんで死んでしあったんでぇすかぁぁああぁああぁあ!?」
人の目も気にせず大泣きする。その様子を響の母も、案内してきた亮介の父親も、他の両親も、自分たちの目がしらに涙をためながら見守っていた。それでも響と亮介の顔は真っ白いままであった。
○
「うう、ひっく……ひっく」
三十分ほど泣き、泣きやむを繰り返していた早苗はやっと落ち着いた。
「明日、葬儀をするわ。早苗ちゃんが着たら二人ともうれしいと思うから、来てね」
「……もちろんです」
早苗は響の母に葬儀の詳しい時間帯を聞き、寺を出る。涙で真っ赤になった顔を隠す様子もなく、歩いていく。周りの目よりも早苗に会ったのは後悔の気持であった。
「言えなかった……。もう二度と言えない……」
自分のこと。昔から神様が見えると言っていたことと、神様の影響で緑色になった髪の毛でいじめられていた自分にを助けてくれた彼らに話そうと思っていたこと。それは自分が『現人神』であるということ。そして、あるところへ移住しなければならなくなってきたということ。
「……響ちゃん、亮ちゃん……」
後悔の懺悔。その一言に尽きるぐらい、過去に言えた機会のことを振り返っては後悔をしていた。しかし時は過ぎていく。ウエアの空の状態でついた自分の家である守矢神社。ついて扉を開けた瞬間、奥からドタドタと音が聞こえる。
「「早苗!?」」
その声の主は現代の服ではない特徴的な服を着た二人組。一人はカエルの顔のような帽子を着ており、もう一人は背中にしめ縄をかついでいた。洩矢 諏訪子、八坂 神奈子。この守矢神社の神様である。
「大丈夫なのかい!?」
「何もなかった!?」
二人同時に早苗の身を案じる二人。その顔を見て早苗は涙をまた耐えられなくなり、泣きながら抱きつく。
「うう、ずわこさま~、がなごさま~」
「うわ、どうした、何かあったのかい!?」
泣き、神奈子に抱きつく早苗を神奈子は慰めようとするが一向に泣きやむ気配がない。
「しばらく待とう、神奈子。しばらく泣きやみそうにない」
「……そう、だね」
二人はそんなことを話していたが、早苗の頭はあることでいっぱいだった。
彼らの今までに早苗の背中を押してくれた出来事を……。
最近動画編集ソフトを練習しているのですが、
なかなかうまくならないもですね。
今回の過去編では、前回言った通り、ラジオを停止します。
では、また。