東方雲狼劇   作:鏡狼 嵐星

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お、お気に入りが18件……だと……。
至極感激です(泣) これからもよろしくお願いします。


四章 弥生〜諏訪の国〜
目覚めの狼


「……んあ」

 

目を覚ます黒色の狼男。その眼にはうっすらと涙があった。

 

「昔の夢を見てたんだよな、今……」

 

いつものように笑っているのではなく、目を細め、下を向きながら悲しみの顔をする。その顔をのまま起き上がる。

 

「……」

 

そのままコンマ数秒固まった後に、顔がいつも道理に戻る。その理由は簡単。彼がいる場所である。

 

「あんじゃこりゃぁ?」

 

そこは球体に近い状態になった鏡であった。そこに亮介は寝ころんでいたことになる。

 

「響の鏡か?」

 

そう言って、亮介は鏡をなでる。そこから感じた妖力は響のものだったが、その妖力は恐ろしく強かったことに少しばかり驚く。

 

「響はいないみてぇだな?」

 

その鏡の玉の中にいるのは亮介一人。キョロキョロした後、う~んと考え事をしたと思うと、

 

「よし、出よう!」

 

ガッツポーズをする。そのあと、腕を振り回し、思いっきり壁に向かい拳を振りぬく。もちろん亮介の単純の頭に浮かんだのは「破壊」である。

 

「『魔獣鬼(まじゅうき) 剛牙爪鋼鉄拳(デストロイヤー)』!!」

 

ゴォォォォン!! 恐ろしい音量が鳴り響くが、

 

「……い、いって~~~~~~~~!?!?!?!?」

 

手を真っ赤にして転げる亮介。鏡には傷一つついておらず、きれいに亮介を映し出す。

 

「なにこれ固っ!!! 想像以上に固っ!!! 傷一つ着かないとか傷つく!!!」

 

赤くなったてをさすりながら、叫ぶ亮介。もちろん誰も聞いていない。そのまま叫び数分。

 

「……開かないのなら呪文でも唱えてみっか」

 

いきなりそんな事を言い出す。ただ、亮介が本気で考えても思い浮かんだのは一つだけ。

 

「あぶらかたびら、ひらけごま~」

 

両手を前に出し、気を込めるかのようにふるまう。すると……、

 

「あっ、開いた…………って嘘ォォ!?」

 

ガチャン、という音とともに鏡が一枚一枚徐々に外れていく。その外は……、

 

「こ、これは……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○ 木が生え青々をと緑が生い茂る大きな森。日差しは木の葉に遮られ、地面はところどころを光らせる。小さな湖がその光を反射し、空を映す。青、赤、緑の長が舞い踊り、鹿や兎が木の実や草をせかせかと食べている。すると、草と草がすれる音が鳴る。その音に反応し、動物たちが警戒を強める。

 

「待って! 何もしないから」

 

木の陰から出てきたのは黒い髪を二つに分けて結び、巫女服のような服に身を包んだ小柄な少女が、笑顔で動物たちに近づいていく。普通、自然界に済む動物たちは警戒心が強い。しかし、彼女が現れると動物たちは警戒を解き、彼女に近寄っていく。

 

「よしよし……」

 

彼女は兎を膝の上に載せ、鹿の頭をなでる。動物たちは抗わず、なでられている。蝶やリスなども集まり、まるで映画のワンシーンように見える。

 

「おうおう、こんなところにうまそうなやつがいるぞぉ」

 

「!!」

 

そんな静寂を破る低い声。黒く染まった顔がはっきりしない人間の形をした〝異形″。その姿を見た瞬間、少女は臨時戦闘態勢をとる。動物たちは急ぎ足で逃げていく。

 

「この辺りには結界を張っていたはずです!! なぜそこを通れたのですか!?」

 

「あぁ? あんな弱い結界を壊せないで妖怪やってるかよぉ?」

 

壊れた顔で笑うその姿は奇妙の一言に尽きる。関節を無視したように腕が曲がり、ねじれる。白目をむき、首が回り、頭の上部が下部に代わる。

 

「ウッ!?」

 

そんな様子を見た少女は吐き気に一時的に支配される。しかし負けじと立て直す。妖怪は首を戻し、さらに話す。

 

「霊力は意外に高いなぁ? ヒヒッ、うまそうだ」

 

妖怪は彼女を食べることしか頭になく、少女は妖怪から逃げることを考える。少女は自分の力量をしっかり理解している。今の少女にそこの妖怪に勝てる可能性はゼロに等しいことを分析できていた。

 

(どうする? あいつから逃げるには……)

 

考えを巡らせる。だが、そう都合よく妖怪が待ってくれるわけもなく、

 

「おとなしくしろぉ!! 上手に食らってやるわぁ!!」

 

襲いかかる。考えていた少女はすぐには反応できず、なんとか助かろうと受け身をとる。しかし、そこ思わぬ乱入者が現れる。その人物が現れたのは、

 

「---――ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」

 

徐々に声が聞こえた後、〝土の中″から。拳を突き上げた黒色の髪と犬耳を持つ少年。黒い尻尾も汚れはほとんどなく光に揺られて、きれいに輝いていた。そこから妖怪の顎を殴り、吹き飛ばす。そのあと、息を吸いこんで絶叫する。

 

「なんで、起きたのが土の中なんだよ!? 埋もれて死ぬわーーーーー!!!」

 

受け身をとっていた少女は茫然となる。吹き飛ばされた妖怪は文句を言わないわけがなく。

 

「くそっがっぁあ、てめぇ、なんのつもりだぁ、アァ!?」

 

「ん、どうしたお前? あほみたいなつらが、さらにあほみたいになってるぞ?」

 

「てめぇのせいだぁよ、このやろぉ!!!」

 

言い争い始める妖怪と狼の男。少女のことなど目もくれず。

 

「飯の邪魔済んなぁ!! 腹減ってんだよぉ!!!」

 

「飯? お前その外見で草食? 引くわ~」

 

「そこの餓鬼のことだ、ボケェ!!」

 

完全に狼の男のペースに乗せられている妖怪。その時、狼の男が少女のほうを向く。少女は身構えるが、

 

「お~、かわいい子じゃないか。だいじょうぶか?」

 

心の底から心配そうな顔でしゃがみ、少女の顔をのぞきこむ。顔立ちは整っているため、少女は顔を赤くする。

 

「え、えっと、大丈夫です……」

 

そうか、と笑いかける狼の男。妖怪は狼の男に突っかかる。

 

「お前ぇ、俺の飯に何しようとしてるんだぁ?」

 

「……」

 

妖怪に対してゆらりと立ちあがり、不気味な笑みを浮かべる。

 

「こんな美少女を食うって、お前もなかなかなしゅみしてんな」

 

「もうめんどくせぇ!! 殺ぉす!!」

 

妖怪が狼の男に飛びかかる。しかし妖怪は力量を見極められなかった。妖怪が襲いかかった男は自らの力量の数倍の力を持っているというう事実を。

 

「『必滅壊(ひつめっかい) 百発百中ぶち壊し《オールリジェクター》』!!」

 

拳を妖怪に向けてラッシュを始める。しかしあたるほど近いわけではない。少女はわけがわからず、首をかしげる。しかし、すぐにその意味がわかる。

 

「グアァォォぉッぁぉアァオオァオァォォ!?!?」

 

妖怪が近くに誰もいないのに、殴られているようにぼこぼこになっていく。

 

「オォラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

 

ラッシュを終わらせた時には、もうすでに妖怪はほぼ粉々になっていた。

 

「よし、終わり」

 

少女が勝てないと痛感していた相手に、明らかに圧勝してしまったその狼の男に少女は固まるしかなかった。

 

「おい、大丈夫か? おい?」

 

「! は、はい」

 

固まっていた少女は狼の男に頬をたたかれ、硬直を解く。ただ不思議だったことを彼に聞く。

 

「なぜ……私を……?」

 

「んあ? かわいかったから、かな?」

 

予想もしていなかった理由によろめく。もっと他に理由があるのかと思っていた自分がばからしくなったのもあった。

 

「俺は清水 亮介ってんだが君は?」

 

「わ、私は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          ひ、卑弥呼です。よろしくです!」




今回から新章開始! 張り切っていきます!
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