少し投稿が遅れるかもです。では、また。
〝太子″と呼ばれたその少女は響や他の住民たちに目もくれず、亮介の前に歩き出す。その目は真剣そのものである。
「四年間もどこ行ってったんですか、大馬鹿兄さんがぁっ!?!?」
亮介の襟元をつかみ、思いっきり前後に振り回す。頭が思いっきりぐらぐらするような行動のため、亮介は言い訳するような暇もない。
「あぅわぁあうがぁ、きょぉ、たうぁすけぇてぇ~」
ろれつの回らない声で響に助けを求める。響は苦笑いしながら見つめているだけで一向に助けようとしない。それを見かねた店長一家のお二人が少女に亮介が人違いであることを説明し、自分たちがかんちがいしてしまった事を話した。
「本っ当にすいませんでした!!」
すぐさま亮介の襟首から手を離し、きれいに土下座をする。亮介はいまだにくらくらしているので、響が別に問題ないさと言っておいた。そんなところへ太子と呼ばれた少女と同じように、さらに二人の少女が駆け込んでくる。その二人は争いながら入ってきたらしく、髪がぼさぼさになっている。一人は薄い緑色の髪を持っていて、同じような色の目、濃い緑路の服を着ている。頭には紫色の烏帽子があるため、彼女は大徳の位についていることになる。もう一人は小徳の証である薄い紫色の色の烏帽子をかぶっていて、その下には白色に近い色の髪がある。同じように白を強調とした服を着込んでいた。
「「太子さまっ!!!」」
聖徳太子の少女の名を呼んだのはいいものの、その少女が見知らぬ少年二人に土下座をしているのを良い方面にとらえるはずがなく、
「「太子さまに何をさせてるんだ、己はッァ!?」」
言うや否や、緑色の髪を持つ少女が雷を手にまとわせ、白い少女は腕に水をまとわせて、こちらに視線を向けている響に向かって突っ込んでいく。そんな二人に向けて響はほぼ癖と化したため息を吐いた。
「少しは落ち着いている人物はいないのか? ここは」
二人を視線の隅に入れながら、響は指パッチンをする。その瞬間、響と少女二人の間に鏡が二枚現れる。そこに拳をあてた二人は、下向きに向いていた鏡に反射したように鏡の表面を手が滑り、そのまま地面に激突する。
「能力の使い方もなってない。もう少し活かすことを考えた方がいい」
顔抑えた二人の少女を尻目に、響は亮介に顔を向けるとある程度復活したらしく普通の表情に戻っていた。少し状況を飲み込めていないようだが。
「太子さん。あなたが〝聖徳太子″でよろしいのですね?」
「は、はい。ですが聖徳太子は通り名のようなものなので、私の本名は別にあります」
顔を上げた状態から姿勢をしっかりと真っすぐに立て、改めて頭を下げた後に挨拶をする。
「改めて自己紹介いたします。私、
「気にしないでほしい。特に何もなかったしな。しかし、大丈夫か、その二人」
鼻を少し赤くした二人の少女が疑いに似た視線を響と亮介に向けるが、すぐに神子に止められる。そして自己紹介するように言われたらしく、きっちりとした座り方で二人も自己紹介を始める。
「私は
緑色の服の少女がまず答え、
「我は
次に、白色の服の少女が自信満々に答える。しかし、行ったことに対して好敵手のように二人でにらみ合っている。おそらく仲が悪そうに見えるが仲がいいのだろう。
(蘇我 屠自古。本当は聖徳太子の正妻だったはずだが……、聖徳太子自体が女性なら部下が一番ありえるなぁ)
響が一人でそんなことを思っていると、屠自古と布都が亮介のことを亮さんと呼び始めた。そのためあまり分かっていない亮介が神子と共に二人に説明をする。
「んで、これからどうすんのさ、響?」
「そうだな……、聖徳太子には会ったし、ここにいては迷惑そうだしな。明日は法隆寺、いや法隆塔を見て他の町へ行こう」
その言葉に少しだけ神子の顔が曇るが、すぐに表情を戻す。彼女らには懐かしい顔だが彼らには関係ない人物が目の前にいるだけなのだ。
「迷惑をかけてしまってすいません。宿への宿泊代は私たちが出しますので……」
「いや、いいよ、そんなに気を遣わなくて。金はあるから」
彼が服の中から取り出した巾着袋には見ても分かるぐらいずっしりとお金が詰まっていた。それをみて太子たちは驚くことになるのだが、太子は一歩も譲らないので少し居合をしていた時。三回目の闖入者が屋敷の扉を開けて飛び込んでくる。
「太子様はここにいらっしゃれるかい!?」
「は、はい。居ますがどうされたのですか?」
跳びこんできたのは町人の一人で息を荒げるため、うまく話すことができなかった。それを見かねた響がもともと彼の前にあったが、手をつけていなかった水が入った湯のみのようなグラスを町人に渡す。それを一気に飲み落ち着いたところで町人が叫ぶ。
「町の南方から百近い妖怪たちが攻め込んできてるんです! どうにか止められませんか!?」
「何だと!?」
屠自古は驚愕の表情で叫ぶ。布都も十分驚いていたのだが、太子の一言で正気に戻る。そして、太子は響たちのほうを向く。
「あなた方は逃げてください。これは私たちで食い止めます」
「おいおい、大丈夫か? 俺が見るにあんたたち、まだ能力を使いこなせてないんじゃないのか?」
響の言葉に三人とも表情を少し苦くするが、しっかりと自分の意思を決める。
「これは私たちの問題だ。あんたらが口を出す必要はない」
「そうじゃのう。お主らは何もせずに、逃げてくれ」
三人は順番に屋敷から出ていき、残ったのは響と亮介の二人と店長の二人だけ。
「な、な。俺も参加したいんだけど」
「あいつらが戦って負けたら参加すればいい。俺は少し眠いから寝る」
○
町の南方にて、妖怪の群れが攻めてきていて村人の中でも戦闘技術の高い人物たちがなんとか抑え込んでいる状況となっている。
「なんとか耐えて!! 中には入れないで!!」
神子が自ら剣を取り、戦闘している所で叫ぶ。屠自古や布都も戦闘していて周りに気を配る余裕はない。
「太子様ぁ!! 防衛壁が持ちません!!」
思わず舌打ちをしてしまう。しかし、敵が百近いのに比べて、人間側は戦力になるのは三十ほど。到底かなわない。
「層にか打開策h、キャァっ!?」
考えことをしているときに死角に妖怪がいたらしく、押さえつけられてしまう。獣に刃が生えたような不気味な妖怪は奇妙な叫び声をあげながら、神子の首筋にかみつこうと歯を見せる。
(ここまでか……っ!!)
しかし、いつまで待っても痛みが来ない。そのため顔を上げると、
「おいおい、美少女に噛みつくとか趣味悪いぞ」
妖怪の顔面に手を添えて、神子にかみつく寸前で止めている亮介がいた。
「そぉりゃっ!!」
体を地面と水平に回すようにして妖怪を蹴っ飛ばす。妖怪は群れのほうへ突っ込んでいき、粉塵をを高く上げる。
「響!! もうやっても問題ないよな?」
何もない空間に向かって、亮介がそういうと、
「あぁ、もう勝手にしろ」
虚空から瞬間的に鏡が現れ、抜け出すように鏡から響が出てきた。あくびを一回すると周り見渡す。
「数は80と少し、か。50はお前でやっていい。30は俺の新技の実験体としてよこせ」
「わかったっ!!」
最低限の会話をした後、亮介は右側へ、響は左側へ走り出す。