東方雲狼劇   作:鏡狼 嵐星

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受験生として勉強せにゃならなくなってきたんです。
マジ、めんどくせェ。ハハッ。
では三十三話どうぞ^


とりあえずぶっ飛ばす

亮介が走った方向にいたのは獣の形をした妖怪が並んでいた。獣妖怪と言う時点で戦闘能力は高いのだが、知識は低い。突っ込んでくる亮介を見て首をかしげている中、亮介は前方倒立回転を連続で行い、最後に一気に飛び上がる。

 

「『獣鬼(じゅうき) 壊角硬脚(バスター)!!」

 

亮介は右脚を妖怪の集団のほうに向け、そのまま突っ込む。内容を知らぬ妖怪たちの中でも運の悪かった数匹の妖怪が、亮介の脚から出る衝撃波と足そのものにぶち当たり、粉々に吹っ飛ぶ。さらに周りにいた十数匹が巻き込まれて吹っ飛ばされる。

 

「て、てめぇ、何しやがるぅ!?」

 

「ん? 暴れてるだけだぜっ」

 

あまりとあっさり言う彼に妖怪たちは怒りを発しながら、亮介を囲むように並び始める。しかし、亮介はニヤリと口角を上げ、跳びあがりながら上空から下を向く。

 

「『必撃(ひつげき) 外さない弾丸(オールヒッター)』!!」

 

そのままラッシュを開始。周りにいた妖怪たちが頭からたたきつぶされる。獣妖怪たちの一部は恐怖からか作戦からか、後ろに下がっていく。その中から特に巨大で頭は鼠、下半身は三メートル近くもある巨人の妖怪が出てきた。

 

「てめェ、ただの人間じゃァないな? 何もんだァ?」

 

「俺は清水 亮介だ。ただ戦いが好きなだけの奴さ。お前は?」

 

「……お前のその強さに免じて名乗るぜェ。おらァ、旧鼠(きゅうそ)ッつうもんだァ。戦いは俺も好きだぜェ」

 

そして、いきなり拳を構えて、旧鼠が襲ってくる。亮介は能力を使わず、そのまま殴り合いを開始する。ただ、身長差もあってか、亮介が一方的に殴る展開になっている。

 

「がァ、ちョこまかッとォ、うざァいいんだよォ!!」

 

大降りに拳を振るう。その大木にも似た巨腕に向かって、亮介は手を突き出して体の軸をずらす。そのまま上に飛び上がりながら、頭を蹴り飛ばす。旧鼠は浮き上がりはしたが、すぐに踏ん張り、裏拳で亮介を吹っ飛ばす。

 

「ぐっ!?」

 

いくら亮介でも妖怪の一撃を、今の状態で食らって無事では済むはずがない。直前に腕を殴り、威力を半減。地面に着く直前で手をつき、後方倒立回転で距離を取る。

 

「なかなかやるじゃん」

 

「俺ェから見りャあ、てめェの方がよッぽどバケモンだぜェ?」

 

そんなことを言いながら、亮介は右拳を後ろに下げ、『獣鬼(じゅうき) 牙爪鉄拳(ブレイカー)』の準備をする。霊力の高まりを疑問に思った旧鼠はどうしようかと少し悩み始めた。彼の能力を技から見て加速系だと思っている旧鼠にとって今の亮介に近づくべきなのか、それともこのままでいるべきなのか。しかしすぐに決断する。大技とにらみ、突進を開始する。

 

「大技をォこんな土壇場でェするのかァ、ええェ!?」

 

「別に大技でもあって、大技でもないだけだよっ!!」

 

その時、亮介の拳が紅黒い焔のようなものを纏う。これは亮介の霊力が限界まで高まったときにのみ起こる現象である。つまり、最大威力の牙爪鉄拳(ブレイカー)となる

 

「『獣鬼(じゅうき) 牙爪鉄拳・真(ブレイカー・ソル)』!!」

 

紅黒く染まった拳を旧鼠の体に真正面から叩きつける。紅黒の霊力は旧鼠の体を突き抜け、霊力の砲撃と化し、後ろにいた妖怪軍を吹き飛ばす。

「ふぅ、終了!!」

 

大きく穴のあいた旧鼠の体が妖力となり、爆散したのを見届けると亮介は町のほうへ歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響が走った方向にいたのは人型に近い妖怪たちが集まっていた。人型に近くなるほど妖怪は強いと言われているので、おそらくは筆頭に近い妖怪たちだろう。

 

「おいおい、お前。やけに偉そうなこと言ってんな、んん?」

 

「俺等を倒すだあ? ハハッ、たかが人間のくせに」

 

「世界の強者が誰なのかしっかり教えてやろうではないかね?」

 

そんなことを口々に言いながら、響を囲むように妖怪たちは配置する。その中でも一匹だけが一番後ろにいて、なおかつ強大な妖力を放っている。金色の長い髪、赤いリボンに真っ黒な服、そして身の丈ほどもあろうかという大刀。響の知識でその要旨に当てはまる人物が一人。

 

「宵闇の妖怪 ルーミア。あんたがこの襲撃の首謀者か?」

 

自分の名を言われたことに驚いたのか、目を見開く。しかし、すぐに笑った顔に変わる。

 

「へぇ、まさか人間なのに私の名前を知っている奴がいるなんてね。初めてだわ」

 

「無駄な知識は多いからな。それでここに襲撃をかけた理由は?」

 

「簡単な話よ。私は人の肉が大好きなのよ。特に、ここには人間の中で有名な奴がいるらしいじゃない? そいつを食べてみたいなッて思ったの。けど……」

 

響に視線を向け、口から舌を出し、舌なめずりをする。

 

「あなたのほうがおいしそう♡ その顔もなかなか好みだわ。まずあなたから食べてあげる」

 

剣を持っていないほうの手を上げ、妖怪たちに突撃するように指示する。妖怪たちはその指示に従い、響に突撃を開始する。しかしそんな様子を見ても驚きの表情をひとつ見せず、愛刀すら持たずに、右手を地面に突き立てる。

 

「……『鏡の世界への招待状(ミラーウィッシュ)』」

 

地面に妖怪たちを含めても余りができるぐらいの大きさの鏡が現れ、妖怪たちを一瞬で吸いこんでいく。響本人も。

 

吸い込まれていった妖怪たちが光に目をつぶり、その光が収まったとき、彼らが見たのは巨城だった。宮殿と言ってもいいのかもしれない。

 

「銀色……」

 

ルーミアが発したその一言はその世界を表す言葉だったのかもしれない。銀色の空、鏡の地面、そして雲のように浮いている様々な形の鏡。円形、姿見、四角、ガラスが割れたような破片に似た形。そんな形の鏡を見ているとき、ここに彼らを呼びつけたであろう本人が現れる。

 

「どうだい、鏡の世界は。美しいだろう?」

 

妖怪たちは一瞬だけ止まったように見えたが、すぐに戦闘の態勢に入る。そんな様子を見て笑いながら左手と右手を前に出す。空に浮いていた鏡たちがどんどんと空から降りてきて、響の周りを回り始める。

 

「お前らには、歓迎という名の死合い(パーティ)を始めようか。『鏡の世界の死焉を謳う鎮魂歌(ミラルバ・ワールド・レクイエム)』」

 

浮いている鏡は響の周りから変わり、妖怪たちの周りを回り始める。そして、響が右手をかざすと言った。

 

「『反砲(はんほう) セネスセンシア』」

 

右手から巨大な紫のレーザーを放出。それを見た妖怪たちは目視でも避けきった。さすが、妖怪の中でも上位の属す妖怪たちである。

 

「はっ、こんな安い攻撃よけられるに決まっt、ウグアァッ!?」

 

だが、叫び声が上がる。もちろん、誰も予測できないだろう。レーザーが鏡で反射するなんて(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「チッ」

 

ルーミアだけは闇化。全てを避けきるが、彼らの周りに集合した鏡での反射角度を割り出すのはほぼ不可能。放出した長さ的に割り出してもよけられない。そのため妖怪の半分近くがやられていく。

 

「時間をかけてる暇はないからすぐに終わらせるぞ? 『槍突(そうとつ) 金剛石鏡槍(ミラールモンド)』」

 

鏡の何枚かから鏡の槍が噴き出す。その槍が妖怪を突き刺していき、消滅させていく。その二つの猛攻どんどんと妖怪の数は少なくなっていき、ルーミア以外の全員が消滅した。

 

「最後はあんただけだぜ? ルーミア。さぁ、どうする?」

 

「……ふふふっ。あなたが本格的にほしくなったわぁ。あなたは首だけ残しておいてあげる。愛でられるように、ね」

 

背中の大刀を構えて、響に対して突っ込む。響も虚空からラグナシアを取り出し、剣をぶつけあう。圧倒的に筋力が違うため、響のほうが劣勢となる。が、響もただやられてはおらず、能力を応用して台頭に持っていく。

 

「剣術も能力も尋常じゃない……あぁ、ますます欲しくなったぁ……。むふふ、生きて捕まえて、しばらくは舐めて味を楽しんで……ふふっ」

 

「……怖い」

 

一人でトリップしているルーミアに対して恐怖を覚えた響はすぐに終わらせることを決意、特殊な居合の構えを取る。剣を逆手に持ち、ルーミアに剣先を向けるようにしながら股割をし、手と手の間に剣を入れる。

 

「『凶合(きょうあい) 謳詠唄歌(こもりうた)』」

 

剣を振った瞬間、ルーミアは眠るように倒れた。響は寝ていても幸せそうな顔を見て、厄介な敵が増えたと呟いた。

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