あと、遅れてすいません。いろいろありました。更新速度は夏休みまで落ちます。すいません。
では、またどこかで。
「ほうほう、鬼子母神はお前の弟子だったと……ってぇ、信じられっか!!」
妖焔山の頂点、鬼子母神と天魔の屋敷にて亮介の怒声が聞こえる。いや、怒声というより驚きだろうが。
「どうどう、落ち着け」
「落ち着くに落ち着いてられっか!! 一応停戦を持ちかけられたのは確かだけど、いきなり和解ってドユコト!?」
響は右手を出して亮介を宥める。そして何故両手じゃないのかというと、左手にとてつもないほどの幸せそうな顔で鬼子母神こと千秋が抱きついているからだ。
「千秋、くっつき過ぎじゃないか?」
「離れません。しばらくはこのままでいますから」
「……今回は俺が悪いから仕方がない、か」
左手で頬を掻く響。追加で言うと、ここにいるのは三人ではなく十人。残りの七人のうちの一人である天魔が最初に口を開いた。
「あてらにも説明してくれへんか? 正直に言うといくら頭に自信があると言っても、情報が少なすぎて判断するに出来へん」
頭を抱える天魔。
「まさかの話でしか聞いたことがない母様の師匠が紫死雲外鏡だったなんてねぇ」
面白そうに笑う勇儀。腕に包帯を巻いて型に下げている。しかし、腕以外に余り傷は見られない。
「そして、もう一人攻めてきたのが紅黒零狼王とはねえ。はっはっは!」
勇儀に対して全身にところどころ包帯が巻かれている萃香。
「…………」
部屋の端に陣取り、響に向けて冷徹な視線を向ける日向雅。
「母様、その者は使用できるのですか? 母様が言っていた人物は人間のはずです」
夏箋のまっとうな質問に千秋は笑顔で言う。
「大丈夫ですよ。私の名前を知っていたこともありますが、私の顔を見たときのものは私の知っている師匠の反応でした。能力の扱い方も私よりうまかった。なにより勘がそう言ってます」
左腕に抱きつくのすら満足できないのか、自分の体を響に密着させるようにして体に抱きつく。頬を朱に染め、満足そうに息を吐く。
「千秋、お前だいぶ大きくなったな」
「えっ/// あっ、はいっ!! えっと、師匠の好みを目指して……」
千秋が自分の体を見て言う。腕も脚も鬼にしては細く、身長に対して胸も大きい。プロポーションは完ぺきであるのだが。
「身長が」
頬を膨らませる千秋。響はなぜ怒られているのか分からないという顔をしている。
「お前の鈍感はいつもどおりなわけね」
呆れる亮介の天魔が肩をたたく。
「あんたはなんか知ってるのか?」
「おれにもさーっぱり」
首を振る亮介。そんな中、男性の高めの笑い声が聞こえる。
「攻め込んだー場所が弟子の統治ーしてたところだったーんですね。これまた、こっけーで~すね」
ミライトの行動に剛妙丸は厳しい視線を流す。それに気づいてもミライトは笑うことをやめない。
「……紫死雲外鏡。私の目的は一つだ。それを達成したら、私はすぐにでもこの山を降りる。とっととやらせてもらう」
剛妙丸の言葉に響はあぁと同意を示す。そして、伊吹萃香に視線を向ける。
「伊吹萃香、あんたの力で剛妙丸の体格を調整してもらえないか?」
「萃香でいいよ。私が操るのは密度だけど、彼女は人間じゃないかい。どこを調節するのさ?」
響が指を鳴らすと、剛妙丸の体が一瞬光って、すぐに小さい姿で出てきた。刀だけ大きさが変わらないが、そのほかはすべて等身大になっている。
「……なるほど、あんたの能力で密度を変えていたのかい?」
「いや、鏡に映る倍率を変えて、それに合わせて剛妙丸の体を変えただけ。まぁ、いわゆる拡大だ。んで、頼めるか?」
「う~ん、一時的には可能だけどずっとは無理かな~」
萃香は申し訳なさそうに肩をすくめる。その振る舞いに少なからず剛妙丸が落胆したのが分かった。その様子を見た千秋が一つ提案を出した。
「〝打ち出の小槌〟ならそれは可能ですよね?」
爆弾発言に響と亮介の顔が固まる。
「えっ、あんの!?」
「はい。昔、いろいろなところを旅してたのでその時にもらったものです。私は使いにくかったので、宝物庫の奥にしまってあります」
(神器なのになんでもらえるんだよ……?)
響と亮介にそれぞれ疑問はあったものの、千秋が夏箋に対して、剛妙丸をそこへに案内するように言うと、彼女は承諾した。
「打ち出の小鎚であれば問題はないだろう。あんたとの契約は完了だな、剛妙丸」
「もうお前と出会わないことを祈るばかりだ、まったくこんなに生き方を狂わされたのは初めてだ」
そう言い残し、夏箋と共に剛妙丸は消えた。
「ミライト、お前はどうする?」
「そーですね~。せっかく自由になれたーので、世界を見て回ろうと思ってーます。時間の許す限りー」
胡坐をかいた状態で体を左右に揺らすその様子は、いかにも楽しみで仕方なさそうだ。響は一枚の鏡をミライトに渡す。
「何かあったら連絡よこせ」
「これまた頼もーしい友人が出来てしまったもんですーね。約束は守ってくださいよ~?」
「ああ、じゃあな、ミライト。また会おう」
ミライトは外につながる襖をあけると、満面の笑みを浮かべながらお礼を言った後、白い翼を生やして飛んでいった。
「もう解散でいいか?」
響の一言に今まで我慢していた天魔が叫ぶ。
「ええ加減にせいな!! 説明をしてくれへんか、ほんとに……」
最初は大きな怒気を発した天魔だったが、大人げなかったことに気付いたのか、徐々に声の声量を下げていく。
「そういえば、忘れてたな。すまん」
「あてをこんな扱いした奴、初めてやで」
「響にそれ言っても無駄だぞ。こいつ、一度決めたこと基本曲げないから」
一人を除く全員が笑った。しかし、日向雅は最初と全く変わらぬ表情をしていた。
「まずは千秋と出会ったときから話すか。あの日は天気が良かったな…………」
○
気に食わない。
それが最初の印象だった。下級の鬼相手に見向きもせずに、天奈さんと母様を狙っていた男。俺と夏箋と戦っているときでさえ、何かを確かめるような態度が出ていたそいつ。
北川 響。
それは〝
実力は俺では到底かなわないことはさっきの戦いでよくわかった。今まで負けなしだった俺と夏箋の能力の融合技の弱点をことごとく見つけ、それをわざわざ俺たちに教えた。それほど、あいつには余裕があったことになる。
「ギリッ……!!」
自分の歯の音が聞こえるぐらい歯ぎしりをしているのが、今になって分かった。
俺は鬼の集落の中でも到底大きいと呼べる場所におらず、かつてずっと夏箋と一緒に同じ鬼にさげすまれていた。「力がない鬼は鬼なんかじゃない」「すばしっこいだけの非力の餓鬼が」「守る能力? そんなもんは雑魚が持つようなものだ」と今でも思い出せるほど浴びせられた罵声は多かった。それでも努力をやめなかった俺と夏箋の前に現れたのが母様だった。その時すでに最強の名はまだつけられてはいなかったが、鬼でかなうものはいないと呼ばれるほど強くて、なおかつ鬼の中でも強い権力を持っていた。俺は自分たちの評価を改めさせるのはここしかないと思った。
「俺と勝負しろ、猿飛 千秋!!」
無謀にも一人で俺は母様の前に立った。周りが止めに入ってこようとするが、それを自分の速さを上げて避けきり、母様に向かった。俺は全力で向かったが、ことごとく避けられた。そして母様の一撃が入りかけた瞬間、大きな衝撃音と共に俺の周りにあったピンク色の結界が揺らいだ。
「日向雅ぁ!!」
右手をこちらに向けた夏箋がいた。その一瞬そちらを向いた母様のすきを俺はその場で名の通りの全力で回し蹴りを放った。それは母様をわずかにかすっただけだった。全力を出し切り、倒れた俺を取り押さえる鬼たち。しかし、母様の一括でそれが止められた。
「そちらの少年と少女、私と来る気はありませんか? 私はあなた達を気に入りました。どうでしょう?」
あっさり、母様は俺たちを受け入れようとした。それから俺と夏箋は普通の鬼に負けないぐらいに母様に鍛えてもらった。どんな時でも優しく、厳しくしてくれた母様。そんなカあさまの会話というより、昔話で一番多かったのは母様の師匠の話だった。話しているときの母様の様子は本当に楽しそうだった。だが、その師匠は母様の元から去ったそうだ。俺は信じられなかった。一人だった時の苦しさを知っているからこそ、好きだと思っている相手がいなくなるほど嫌なことはない。しかし、母様は気にしていない様子だった。
俺は単純に許せなかった。そいつにあったら母様に謝らせようと思っていた。……だが、会ってみれば、印象は最悪だった。母様と会っても謝る様子なんてない。怒りの表情を表に出さないようにするのを苦労した。そいつが語っていた昔話なんて興味がなかった。すぐに俺は外に出て、いつもの木の上に寝転がった。
「やっぱりここにいた」
子供の時から聞いている声の方へ向く。そこには申し訳なさそうに立つ夏箋。
「どうしたんだよ」
「あの時のこと謝りたくて」
あの時。つまりあいつと戦っていたときに俺に結界を二重に張ったことだろう。
「……気にすんな。俺とお前の技はぼろがあったな。あいつのおかげでそれを知れたのが恨めしいけどな」
「日向雅、やっぱりあの人のこと気に入らないの?」
「当たり前だ。あいつは母様を見捨てた。それだけでもう許せねえのに、あいつは謝ろうとしない」
夏箋が何かを思案するように下を向く。そして、何かを決意したのか俺の顔を見ながら、俺の隣に来た。
「日向雅。あなたは勘違いしてると思うわ。あの母様があんなにご執心なのよ? 悪い人なわけないじゃない」
どうやらこいつもある意味勘違いしてるんだな。
「俺はあいつが悪党だとは言ってない。あくまで俺はあいつに自分が悪かったと思わせたいだけだ。あいつのせいで母様は苦しんだ。それを、な」
自分で言っててらしくないと思い始めてきた。思わずため息をついてしまった。
「……なんかごめんね、日向雅」
「なにが?」
夏箋の一言に何を言っているのか分からなかった俺だが、
「日向雅の事だからそんな事だろうと思ってた」
すぐにわかった。聞こえてきた母様の声で。
「か、母様!? 夏箋、お前嵌めたな!?」
ごめんと言いたげに下べろを少しだけ出す。少しかわいいと思ってしまったのは仕方ない。
「日向雅。あなたが私に最も尽くしてくれていることは私も分かってる。だからこそ言う。あなたのやっていることは自己満足。私はそんなこと望んでない」
「……わかってるさ、それぐらい。これは俺が満足したいだけだ。わかっているからこそ、止められない。俺はあいつが母様に謝る姿を見るまでこの気持ちを抑える気はない」
これは曲げない。俺を拾ってくれた人、親となってくれた人。その人に対しての無礼。本人が許しても俺が許さない。
「師匠に言えば、師匠はすぐ謝ってくれると思うよ。それならなぜ、謝らないと思う?」
「…………わからない、です」
「それはね、あの人は基本、私を褒めたことがなかったけど、今回やっと褒めてくれた。例え、それが身長だったしても。……言ってて悲しくなってきた」
少し涙ぐんだ母様にさらに深くなった疑問を聞く。
「なぜ、それが謝ってると?」
「師匠はどんな時でも褒めることはしなかった。私のこじつけかもしれない。けど、師匠は謝ってくれているとそう感じられるんです」
とても幸せそうな表情。今更納得した。俺はただ嫉妬していたのだろう。自分を救ってくれた人が、救われた人に贈る愛への。
「……俺は納得しない。けど、俺は母様の意見を尊重する」
心から言えたと、そう思えた。何かが俺の心から抜けた気がした。短い間だったのにとても重かったそれが。
「日向雅。あなたの思いはしっかり私に響いてるから安心してね」
母様はいつもの雰囲気を保ちながら来た道を戻っていった。
「なんかありがとな、夏箋。お前のおかげで何かが楽になった」
「あなたはすぐに抱え込むから、心配だったの。それだけよ」
夏箋は木の上で脚をぶらぶらさせる。それに合わせて長いピンク色の髪が揺れる。
「なぁ、夏箋。俺が『光斬〝真紅〟』を使ったとき、お前が俺に言ったこと覚えてるか?」
「えっ……はっ、へっ///?」
夏箋が面白いぐらい顔を赤くする。それを見て、思わず笑ってしまう。
「な、なによ。そ、それがどうかしたの?」
「夏箋」
夏箋の顔を無理やり俺を見せるようにこちらへ向ける。驚愕や羞恥などの感情が入り混じったような顔を治せずにいる夏箋に、あの時に爆発させた感情を、俺と同じ境遇で唯一俺を昔から支えてくれていた少女への重いを。
「お前が好きだ、夏箋。俺と来ないか?」
「な、な、なぁぁぁ///……」
「あっ、おい!! こんなとこで気絶済んな!? ちょちょちょ、おいおいおいお~い!?」
○
「あぁ~、やっと告白されたんだね~。よかったね、夏箋」
「昨日私たちと飲んで愚痴ってたのに。まったく、あいつらは」
「なぁ、萃香、俺この為にお前運んだのか? 勇儀に言われるがままにされたからいろいろ分かってないけどさ」
萃香を背負い、勇儀に肩を貸しながら日向雅と夏箋の乗っている木が見え、木にいる方からは見えない位置にある崖の上にいる亮介。
「何をしてるんだ、お前ら」
そして、響。
「お前には分からないもんを見てる」
「……恋、か」
頭を掻く響にさらに新しい声が現れる。
「あんたらなぁ、あての話聞いとったか? 今から、いろいろと下の天狗や鬼たちに説明するから集まれいうたやろうが」
「集まってるから問題なっし!!」
「集合場所は決めていなかったんだからここでかまわないだろう」
「屁理屈立てんなや!? 確かに集合言うたけど、普通、それを言った時の場所を集合場所やと思うやろぉがぁ!!」
天魔の叫びが響く。下の鴉天狗たちがその声に驚いたのも一応報告しておく。
「さて、これからどうなるか。楽しみだな」
作「あとがきラジオ開始、といこうぜな。ゲストは台与」
台「よろしくなのです。えっと、響さんがいると聞いていたのにいないのです?」
亮「また、あれか。あいつも不運だな」
台「?」
作「では登場していただきましょう。わが能力を使い、改造した響です」
?「よろしくお願いしますにゃ」
亮「えっ、誰この猫耳。いや、分かってはいるけどあり得ない。絶対」
響「どうされたのですにゃ?」
台「こ、これは、すんばらしいですぅ!!」
亮「きょ、響が壊れた……。おい、鏡狼。なにしたの!?」
作「俺の『設定を操る程度の能力』なめんな。なんなら、響をTSできっぞ」
亮「やめてくれ。俺の響のイメージがががががががが」
作「台与は涎たらしてるし、亮介は頭抱えてるし。収集つかないな。ネタがなくなりはじめたので響のコスプレをやってみようかなと思ってます。TSもオケなので、意見があればおなしゃす。では、また会いましょうぜ」